劇場版 2人の英雄
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メリッサと緑谷、麗日は風力発電システムがある場所にやってきていた。
メリッサ「タワーの中を登れば、警備マシンが待ち構えているはず。だから、ここから一気に上層部までいくの。あの非常口まで行ければ。お茶子さんの触れたものを無重力にする個性なら、それが出来る...」
そう言うメリッサの体は震えている。
恐怖で震えているのは一目瞭然だった。
麗日「うん!任せて!」
メリッサは緑谷にしがみついた。
麗日が2人に触れて、2人の身体を一気に持ち上げた。
麗日「行けぇえ!!」
無事に浮かび上がった2人に安堵していた麗日。しかし警備マシンがやってきた。
麗日「!!そんな..」
緑谷「麗日さん!」
メリッサ「個性を解除して逃げて!」
麗日「できひん!!そんなことしたら、みんなを助けられなくなる!」
メリッサ「お茶子さーん!!」
麗日の目前まで迫った警備マシン。
麗日が覚悟を決めたその時...
バァァンっ!!
麗日の目の前で爆豪が警備マシンを吹っ飛ばした。
麗日「!!」
緑谷「かっちゃん!!」
爆豪の登場に油断した麗日に警備マシンが飛びかかってきたその時。
ブワァアッ!!
麗日「っ!竜巻?まさか!」
麗日が後ろを振り向くと..
『竜巻旋風陣!!轟くん!』
轟「ああ!」
先ほどと同じ要領で、竜巻に巻き込まれたロボたちを竜巻が解除されるタイミングに合わせ氷結を出し、氷漬けにした轟。
麗日「莉紗ちゃん!それに、轟くんに切島くん!」
『お茶子ちゃん!!』
轟「怪我はねぇか?麗日!」
麗日「うん!平気!」
『間に合って良かった』
麗日「ありがと!デクくんとメリッサさんが今、最上階に向かってる!」
轟「ああ、見えてた。ここでこいつらを足止めするぞ!!」
再び氷結を出し、ロボたちを捕まえた轟。
爆豪「俺に命令、すんじゃねぇ!!」
切島「でもコンビネーションは、いいんだよな!!」
爆豪「誰が!!」
『この2人案外!良いコンビ、だよ!!』
同じく再び竜巻を出して、ロボたちを竜巻の中に閉じ込めた莉紗。
爆豪「誰と誰がダ!!殺すゾ!!」
順調に緑谷とメリッサは最上階に向けて昇っていたが途中設置されていた巨大ファンの風に煽られ流れが横に逸れてしまい無重力状態でそこから再び上に昇ることが難しくなっていた。
麗日「デクくん!メリッサさん!」
麗日の声に緑谷たちを見て、すぐに何かを思いついた轟は上に羽織っていたジャケットを脱ぎ捨ててブルーのシャツ1枚になった。
轟「爆豪!プロペラを緑谷たちに向けろ!」
爆豪「だから命令、すんじゃねぇ!!」
そう言いながらもプロペラを攻撃して緑谷達にプロペラの向きを変えた爆豪。轟はプロペラに向かって炎を放ったが高い位置に、かつ遠い距離にあるプロペラに炎が届かなかった。
轟「風舞!俺の炎をお前の風でプロペラに送りこめ!!」
『分かった!』
言われた通りに轟の斜め後方に立ち、轟の炎を散らしてしまわないように横方向の渦巻き状の風を送った莉紗。莉紗の竜巻に轟の炎が巻き込まれると、炎の威力が強まり火炎竜巻状になった莉紗の風と轟の炎は、プロペラに呑まれていった。するとプロペラから送り出される風が威力を増し緑谷達を元のルートに押し戻した。
麗日「熱風?!」
切島「すげぇ!」
風の勢いによって壁にぶつかりそうになった緑谷達だが、緑谷が壁を破壊し、なんとか中に入り込んでいった緑谷達。麗日が個性を解除した。
『何とか緑谷達を送りこめた...』
轟「よし、俺たちもここを片付けて早いとこ合流するぞ」
『んのヤロー!!』
どんどんと集まり数を増していく警備ロボ。攻撃は無効化される為、莉紗は屋外にいるのを利用し、突風で吹き飛ばしビルの外に落とそうとした。
麗日「そっか!莉紗ちゃん、落とそうとしたんやね!」
名案とばかしに麗日が声を張り上げるが...
警備ロボ達は吹き飛ばされないように連結した。
『...合体すんのかよ』
麗日「卑怯やー!!」
どんどん増えていく警備ロボ。
そして、どんどんと追い込まれていく5人。
轟「クソ...」
爆豪「しゃらくせぇ!!」
5人は段々と端に追いやられていく。
その場にいる誰もがこれまでか、と思ったその時。
警備ロボ達が明らかに動きを停止させた。
麗日「止まった....?」
切島「緑谷達、やったんだな!』
轟「なら、オールマイト達ヒーローも動けるようになってるだろうな」
『私たちも緑谷達と合流しよう』
爆豪「クソデクがどうなろうがしったこっちゃねぇ!!」
そう言って颯爽と最上階に向かった爆豪。
切島「けど誰よりも先に駆けつけんだな?」
『マジあいつのツンデレなんなの?』
麗日「デレてはいないんちゃうかなー」
轟「俺らも早く行くぞ」
**
5人がセントラルタワーの屋上につくと、オールマイトがヴィランのボスと激闘を繰り広げていた。
敵の個性なのか、無数の金属片が柱状に密集していて、オールマイトは血反吐を吐きながらそれらを抑え込んでいる。
「さっさと潰れちまえ!!」
別の場所からオールマイトに向かって金属片の塊が突っ込んできた。
緑谷「オールマイト!!!!」
しかし、金属片はオールマイトにたどり着く前に氷漬けになった。
「?!」
爆豪「くたばれー!!!」
爆豪が金属片を爆破でバラバラにした。
爆豪「グっ...あんなクソみてぇなラスボスに!何やられてんだよ!!えぇっ?!オールマイト!!」
個性の使い過ぎで痛む腕を抑えながらオールマイトに罵声と言う名の応援をする爆豪。
オールマイト「クッ、爆豪少年...」
『はぁっ!!』
莉紗が爆豪が壊した金属片たちをヴィランに向かって吹き飛ばした。
『っ...周りは任せて、オールマイト!!』
爆豪と同じく、個性を頻発して使っていたために両腕あちこちに痛みが走り腕を抑えながら苦痛に顔を歪める莉紗。
轟「今のうちに、ヴィランを!」
緑谷「風舞さん!轟くん!みんな!!」
切島「金属の塊は俺たちが引き受けます!!」
飯田「八百万くん、ココを頼む!!」
八百万「はい!!」
飯田と切島も金属片を破壊しに向かった。
オールマイト「教え子たちにこうも発破をかけられては...限界だなんだと言ってられないな!!」
いつもなら限界をとっくに超えているだろう程の個性を使ってここまで来ている。本当なら全員倒れていてもおかしくない疲労だ。
しかし、誰一人として膝をつく者も諦めてる者はいなかった。
オールマイト「そう、プルスウルトラだぁーー!!!」
轟の氷結ごと金属柱を破壊しながら敵の懐に突っ込むオールマイト。
オールマイト「カロライナスマーッシュ!!!」
「グッ....?!」
オールマイト「観念しろ!ヴィラン!!」
オールマイトの拳がヴィランに届くかと思ったその時...
細長い紐状の何かがオールマイトの身体を拘束した。ヴィランは動けなくなったオールマイトの首を掴んだ。
「観念しろ..?それお前だ。オールマイト」
ヴィランの形相が明らかに変わっている。
オールマイト「ぐはっ!!ぐっ、ああぁぁあぁっ!!」
突如苦しみはじめたオールマイト。
生徒達からはオールマイトに何があったかわからないが、オールマイトの苦しむ叫び声からただならぬことが起きていることだけはわかった。
緑谷「オールマイト!!うっ!!」
右肩に激痛が走りうずくまった緑谷。
爆豪「クソがぁあ!!」
轟「クッ!」
『こんのぉっ!!』
応戦している3人の個性も段々と威力が弱まり防戦になっていってる。他のメンバーは八百万が創造した合金板でなんとか守られている状況。そんな中、金属の塊がオールマイトに密集していく。
「「「「オールマイト!!!」」」」
メリッサ「お、おじさま...!!」
「さらばだ、オールマイト!!!」
メリッサ「マイトおじさまー!!!」
オールマイトの絶対絶命のピンチに誰もが絶望しかけたその時..
緑谷「デトロイト....」
爆轟「「『!!』」」
緑谷がオールマイトの元に跳躍し、オールマイトに密集してる金属片に拳を叩きこんだ。
緑谷「スマァアーッシュ!!!」
緑谷の拳が金属片を破壊し、オールマイトを救出した。
『轟くん..』
隣で膝をついて座り込む幼馴染に呼ばれ、彼女を見た轟。
『少しだけ...私の右手、冷やして』
轟「..何かするつもりか?」
『突破口開くに決まってるでしょ』
明らかに満身創痍な身体とは裏腹に彼女のその目は諦めるとは程遠い、力強い目をしていた。
轟「..ああ、分かった。手貸せ」
轟に右手を差し出し、轟の冷気で熱がこもり痛みに痛んだ腕を冷やしてもらう莉紗。
『ありがとう』
轟「どうするつもりだ」
『オールマイトも緑谷も諦めない。絶対敵に突っ込む。だから後押しするんだよ、私の風で』
そう莉紗が話してるとき、オールマイトと緑谷が立ち上がった。あたりに散らばった金属の欠片が再び密集していく。
『爆豪、まだやれるでしょ!オールマイト達を邪魔する金属の塊壊しまくって!』
爆豪「俺に指図すんじゃねぇ!!」
「クッ...くたばり損ないとガキが。往生際が悪いんだよ!!!」
爆豪「そりゃあ、テメェだろうがー!!」
今出来る最大の爆破でオールマイト達に向かってくる塊を一網打尽に吹き飛ばした。しかし、すかさず金属の柱がオールマイト達に向かってくる。
轟「させねぇ!」
轟が氷結で金属柱を食い止めた。
『氷結まだ出せる?』
轟「ああ」
『私とオールマイト達の間に壁を』
轟「分かった」
轟は言われた通りにオールマイト達と自分たちの間に氷結で壁を作った。
『2人共サンキュー!』
自分の突風でオールマイト達が揺さぶられないように轟に壁を作ってもらい安心して強い風を出せるようになった莉紗は、体育祭で見せた超広範囲突風で爆豪が壊したあたり一面の金属片の欠片を一気に吹き飛ばした莉紗。金属片の欠片は容赦なくヴィランに向かって飛んでいきヴィランはそれらをいなし始めた。
『...緑谷にばっかいいトコ取られたくないもんね』
オールマイト「目の前にあるピンチを!」
緑谷「全力で乗り越え!」
オールマイト「人々を!」
緑谷「全力で助ける!」
オールマイト「それこそが!」
緑谷「ヒーロー!」
ヴィランが再び金属を密集させこれまでみせたことなかったほどの巨大な塊を形成した。
「「ダブルデトロイトー、スマ―ッシュ!!!!」」
ヴィランは2人のパワーを受け止め、必死で抑え込んでいる。
麗日「行けー!!!」
八・耳「「オールマイト!!」」
飯・峰・切「「「緑谷(くん)ー!」」」
爆・轟「「『ぶち壊せー!!!』」」
2人のスマッシュは金属片を粉々にした。そのパワーの相殺により生まれた反発力と衝撃波で押し戻されそうになった2人。
『行けー!!!』
轟が出した壁を溶かしてもらいオールマイトと緑谷の背後から全力の追い風を送り、ヴィランの元に押し込んだ莉紗。
緑谷「さらに!」
オールマイト「向こうへ!」
「「プルス、ウルトラ―!!!」」
2人の拳はヴィランを捕らえた。
恐ろしいほどの衝撃波で辺りは粉塵が舞い上がった。
飯田「..やったのか?」
峰田「やったんだよぉ!ヴィランをやっつけたんだー!!」
その光景を峰田の言葉を聞きながら眺めていた爆豪たちも思わず安堵したように笑みを浮かべた。
『あ、見て。爆豪が笑ってる』
莉紗と轟が爆豪に笑いかけると、爆豪も不貞腐れたようにそっぽ向いていつもの調子で「ケッ」と吐き捨てた。
『拘束してくる』
そう言ってヴィランの元に走った莉紗。
目の前では力尽きたヴィランが静かに地面に落ちて行き何かの部品に服がひっかかりぶら下がった状態で動けなくなっていた。
莉紗はヴィランに粘着糸を伸ばし捕縛した。
少し離れた場所ではクラスメイト達が瓦礫の上にいる緑谷やメリッサと労い合っている。
『終わったね』
隣に移動してきた轟に気づき呟いた莉紗。
轟「ああ、大丈夫か?」
『うん、焦凍君のおかげでね。無理させてごめんね』
轟「無理はお互い様だ」
『せっかくの正装、似合ってたのにボロボロになってもったいないね』
轟「...お前も」
残念そうに言う莉紗に轟が遠くを見つめながら言った。
『え?』
轟「お前も、似合ってる」
『.......』
莉紗の顔を見て微かに笑んだ轟。
轟「可愛い」
『っ!?/////』
轟「悪い、ちゃんと言ってなくて」
『や..別に、そんなん..いいよ、言わなくて...わざわざ..///』
明らかに照れくさそうに動揺する莉紗の様子に轟は今度ははっきりと優しく笑い、莉紗の頭をそっと撫でた。
『........////』
隣に並ぶ2人はいつもよりも近く、肩が触れ合いそうになっているその距離感にお互い心地よさと感じたことのない胸の高鳴りを覚えていた。
こうして、私達の初めての海外旅行は幕を閉じた。
Fin