劇場版 2人の英雄
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飯田「シャッターが!?」
80階までたどり着くとシャッターが閉まってその上に昇れなくなっていた。
轟「どうする、壊すか?」
メリッサ「そんなことをしたら、警備システムが反応してヴィランに気づかれるわ!」
峰田「なら、こっちから行けばいいんじゃねぇの..?」
緑谷「峰田くん!」
メリッサ「ダメ!」
峰田が横の方の壁に埋め込まれた取っ手のようなレバーを引くとその横の扉が開いた。開いてしまったものは仕方なく行き場もない為その扉の中を進んでいった。
轟「他に上に行く方法は?!」
メリッサ「反対側に同じ構造の非常階段があるわ!」
飯田「急ぐぞ!」
しかし、遠くの方から順番にこちらに向かってシャッターが閉まっていき足を止めた。
緑谷「シャッターが!」
八百万「後ろもですわ!」
飯田「!?轟くん!」
轟「ああ!」
轟が氷結を繰り出し、手前のシャッターが閉まりきるのを止めた。
飯田が半端に開いたその隙間から中に入り、エンジンを稼働させた蹴りで横にあった大きなドアを破壊した。
飯田「この中を突っ切ろう!」
緑に囲まれたその中は植物プラントで、個性を受けた植物を研究しているようだった。その中を突っ切って反対側に行こうとした一行だが、真ん中にそびえたつエレベーターが下から上に動いてるのに気づいた。
峰田「ヴィランが追ってきたんじゃ...」
緑谷「隠れてやり過ごそう!」
一行は死角になる植物の影に隠れた。
隠れるときに轟に見つめられているのに気づいた莉紗。
『...?(焦凍くん..?)』
自分を見る轟の表情が何を言わんとしているのか、数秒見つめ合ったのちに気づいた莉紗は小さく頷いた。すると轟も同じように小さく頷き、エレベーターに視線をやった。
『(いざって時には一緒に戦おうって事だよね?焦凍くん)』
エレベーターが開くとヴィランと思しき2人組が降りてきた。
緑谷「!、あの服装..会場にいたヴィランだ..」
ヴィランが話をしながら一歩一歩近づいてくる。皆が体を震わせながら息を殺して見つからないことを祈った。
「見つけたぞ、クソガキ共!!」
見つかった..誰もが絶対絶命と思ったその瞬間、自分達の中にはいなかったはずの聞き慣れた声が聞こえた。
「あぁっ?!今なんつっった?」
皆がヴィラン達の方を確認すると、奴らと対峙していたのは爆豪と切島だった。
「お前らここで何をしている」
爆豪「そんなの俺が聞きてぇわ」
切島「ここは俺に任せろって!な?!」
突っかかっていく爆豪をあわてて止める切島。敵と対話をしようと敵の元に話しながら近づいた。
切島「あのー、俺たち道に迷ってしまって。レセプション会場ってどこに行けば..」
「見え透いた嘘ついてんじゃねぇぞー!!!」
敵が突風のような個性で切島に攻撃しようとした時、轟と莉紗はアイコンタクトを取り同時に動いた。
緑谷「切島くん!!」
轟が爆豪たちを守るように氷壁を出して、莉紗が右手で粘着糸を出し切島の体を爆豪の方に放り投げ左手で突風を出し敵の個性をいなした。
爆豪「この個性は..」
目の前を遮る氷と切島の体に巻き付いている糸を見て2人は目を見開いた。
切島「轟?!風舞?!」
轟「ふーっ...」
『切島、大丈夫?』
しかし、敵は轟の出した氷壁を殴っているのか氷壁が揺れ、時折氷のかけらが飛び散っている。
轟「チッ..風舞、みんなを!」
『分かった!みんな、先に行って!』
莉紗が緑谷たちの体に粘着糸を巻き付けて、天井近くにある非常通路と思わしき細い渡り廊下に向けて皆の体を緩やかな竜巻の中に閉じ込め上に移動させた。
轟「俺たちで時間を稼ぐ、上に行く道を探せ!」
緑谷「轟くん、風舞さん!」
飯田「君たちは?!」
轟「良いから行け!」
八百万「轟さん!莉紗さん!」
轟「ここを片付けたらすぐに追う」
『時間を食うだけ敵の警戒がきつくなる!助けるためにも先に進んで!』
八百万「っ、はい!」
皆のやり取りの真意を理解していない切島が詰め寄ってきた。
切島「どういう事だよ轟、風舞」
轟「放送聞いてないのか?」
切島「え」
『このタワーがヴィランに占拠された』
切島「えっ?!」
爆豪「んだと?」
轟「詳しい説明は後だ!今はヴィランを」
そう話している間にヴィランは轟の氷壁に穴を開けて通過してきたが、氷壁を叩き壊して穴を開けたというよりは丸くくりぬいたような状態だった。
爆豪「なんだ、あの個性..」
轟「油断すんなよ」
爆豪「うっせぇ!わぁーっとるわ!」
「ガキどもが..付けあがってんじぇねぇぞ!!!」
身体が大きい方のヴィランが突然巨体化し、まるで獣のようになった。轟が大男に向かって氷結を繰り出すも、大男は眼前で全て殴り壊しながら4人の元に進んでいった。4人とも宙に跳び男の攻撃を避けると莉紗が粘着糸を巻き付け一瞬動きを止めた後、爆豪が大男に爆破を浴びせた。
「うぉおお!」
煙で視界は塞がれたが、唸り声が聞こえ手ごたえありと思ったが煙の中からまるで効いていなかったのか大男が拳を振りかぶって走って出てきた。
切島「爆豪!」
切島が咄嗟に爆豪を庇い、硬化をして大男の攻撃を受け止めたが、その場に踏みとどまる事は出来ず吹っ飛ばされ壁に激突した。
『切島!』
爆豪「切島!」
轟「避けろ!」
切島に意識がいっていた2人に轟が声を上げた。爆豪と莉紗が飛び上がり轟が氷結を出す。
すると今度は小柄な男が轟の氷結を破壊してきたため、轟もその場を飛び上がり莉紗と爆豪の元へ着地した。3人は背中合わせになって周囲を警戒した。
「お前ら、ただのガキじゃねぇな」
「何者だ!?」
爆豪「答えるか!!このクソヴィランがぁ」
轟「名乗るほどの者じゃねぇ」
『ていうか、人に名を聞く時は自分から名乗れ非常識!』
怯むこともなくヴィランに強気に答えていく3人。
爆豪「おいクソアマ、半分野郎!テメェらそっちの小せぇのやっとけや!!」
轟「ああ、分かった」
『言い方がムカつくのはこの際気にしないでおいてあげる..』
スピードがある小柄な男の方は轟は氷で滑走、莉紗は風を使って応戦を始めた。轟は氷結を出すも男は高く宙に飛び大きく変形した腕を振るった。すると轟の氷結が丸い球体になって落ちてきた。
轟「『!?』」
轟「あいつ、空間に穴を開けてんじゃねぇ。抉ってやがる!」
爆豪「そういう事か」
『という事は、物理攻撃は無効。炎と風で応戦!』
轟「ああ」
小柄な男が莉紗達に向かって腕を振るってきたため、莉紗が突風を起こして相殺し、そこに轟が炎を放った。爆豪がハウザーインパクトで吹き飛ばした巨体男が飛んできたため莉紗が竜巻を巨体男に飛ばした。竜巻により上空高く飛ばされた男に粘着糸を巻き付け地面に叩きつけると巨体男は意識を失った。小柄な男がそれをみて、よくもー!と怒り散らし爆豪の方に向かって走り出し腕を振るった。
轟「『爆豪!!』」
敵の個性が爆豪の左腕をかすり傷こそなかったが、爆豪の右肩から腕にかけて服が破れた。
「ちっ、あ?何だこりゃ」
小柄な男の手のひらに水滴のようなものが乗っているのに気づいた男は不思議そうにそれを見た。
爆豪「俺の手の汗だよ!ニトロみてぇなもんだ」
轟「『!!』」
、轟は爆豪の意図が分かり小柄な男の手目掛けて炎を放った。
爆豪の汗を手にしていた男の手元は轟の炎を浴びて大爆発を起こした。爆風で天高く飛んだ男は失神し、またもや莉紗が粘着糸で捕獲し、巨体男と一括りにした。
爆豪「切島!!」
3人はすぐに壁に叩きつけられ抉れた壁に腕がハマってしまっている切島の元へ駆け寄った。
轟「無事か?」
『大丈夫?けがは?』
切島「大丈夫。けど、動けねぇ。助けてくれ」
爆豪「アホか、お前は。個性解けばいいだけだろうが」
切島「あー、そっか」
個性を解除し、少し細身になった腕はすんなり抜けた。
切島「あー、びっくりした」
轟「とりあえずケガがなくて良かったな」
『ホントに』
切島「おめぇらもな!!」
爆豪「ケッ.....あーがとよ」
聞こえるか聞こえないかのボリュームでボソッと呟いた爆豪。
切島「んだよおめぇらしくねぇ!気にすんな!!」
爆豪「してねぇわ!!!」
『素直じゃない』
爆豪「うっせぇ!!殺すぞ!クソアマ!!」
轟「よし、緑谷たちを追うぞ」
『うん』
爆豪「命令すんな!!」
切島「轟!風舞!詳しく教えてくれ」
走り出した4人の前に、小さな警備ロボットが無数に現れた。
『おっと...これはつまり?』
轟「奴ら本気になったようだな」
爆豪「全部まとめてぶっ壊す!!」
切島「おうよ!!」
『先鋒には私行くよ。突風 木枯らし!!』
体育祭で見せた超広範囲突風を起こし警備ロボの動きを止め、接近を阻止しその後大き目の竜巻を発生させ移動させながらロボを竜巻内に回収していく。その間に轟は辺りに氷結を出し、ロボたちの行動範囲を限定させると同時に周囲の空気を冷やしておいた。
『私が竜巻解除するのにタイミング合わせてね』
轟「ああ!」
さすがと言うべきか、莉紗が竜巻を解除するタイミングにぴったり合わせて轟が炎を放つとその炎がロボたちを包んだと同時に、冷やされた空気が膨張し、体育祭の緑谷戦でみせた大爆発を起こした。元がロボットなら、壊れているだろうと誰もが思っていたのも束の間。全てのロボットが再び動き出した。
切島「マジかよ!!」
爆豪「ケッ!生ぬるいんだよ、この舐めプ野郎!!」
爆豪がロボの中に突っ込み個性を発動した。しかし、爆豪の爆破でもロボたちは引き続き動き続けた。
『...頑丈さがチートじゃない?』
轟「クッ..、なら!」
轟は今度は氷結でロボたちを凍らせた。
氷漬けにされたロボたちは氷の中でも作動はしているようだったが、動くことは出来ないようだ。
切島「炎浴びても氷漬けにされても動くロボットって何か怖くねぇか?」
『怖いねぇ、けど拘束一手ってのは分かった!』
突破口を見つけた莉紗はあたりに蜘蛛の巣状に粘着糸を張り巡らせた。ロボたちは蜘蛛の巣にかかった虫のようにどんどんと粘着糸の蜘蛛の巣にかかっていく。
爆豪と切島が動き回りばらけたロボたちを粘着糸の巣におびきよせる。ほとんどのロボが粘着糸にかかった所を...
『轟くん!』
轟「ああ」
粘着糸に捕らえられたロボたちを氷結で一網打尽に氷漬けにした。
切島「やったな!」
『囮役が良かったからねぇ』
爆豪を見て言う莉紗。
爆豪「誰が囮だぁ?!あぁっ?!」
轟「よし、緑谷たちを追うぞ」
ロボたちを破壊は出来ずとも、動きを封じることが出来た為4人は仲間達に合流するためその場を後にした。
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