劇場版 2人の英雄
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夏休み
世間の学生にとってはそれはそれは楽しい期間だろう。
夏の思い出作りにさぞ張り切っていることだろう。
しかし、ここ雄英ヒーロー科ではもう間もなく合宿と言う名の地獄の強化トレーニングが待っていた。
これは、その合宿が始まる前のほんの数日前のお話....
**
とある日の朝。
今日は平日だが、夏休み期間中であるため莉紗と妹の梨央は学校が休み。末っ子の寛太はいつもと変わらず保育園に登園し、今日はウィンドリアが保育園に連れて行く為2人共好きな時間に起きて行動を始めることにしていた。
AM9時を過ぎた頃...
元々朝は苦手な夜型人間である莉紗。昼まで寝てやろうと思っても日頃学校と兄弟の世話による習慣からか、どうにも9時くらいには目が覚めるようになってしまっている莉紗。お茶を飲もうとリビングにやってくると梨央はまだ寝ているようで両親は既に仕事に行ったようだが、テーブルの上に一枚のメモと横長の封筒が置いてあるのに気づいた。
"莉紗
有名な科学者たちが多数住んでいる巨大人工移動都市の「Iアイランド」。そこで開かれるI EXPOのプレオープンの招待状。日本のプロヒーローも招待されている人がいて私とお父さん宛てに2枚来ています。1枚につき1人同伴者を連れていける。私達は仕事で行けないから学校のお友達と行ってきていいよ。旅費はカード決済にして、悪いけど泊まる所は自分で探して"
『Iアイランド....うちの親にも来てるならエンデヴァーにも来てるかな』
**
in轟家
冬美「梨央ちゃん、どこ分からないの?」
梨央「ここわかんない」
それから2時間後、起きてきた梨央と朝ごはんを食べ、一緒に轟家にお邪魔した莉紗。
梨央は宿題で分からない所があると言って冬美に聞いていた。
莉紗はというと、轟焦凍に用事があったが部屋に行くと彼はいなくて彼愛用のボディバックがなかった為どうやらどこかに出かけたんだと察した。冬美にどこに行ったか聞くために居間に戻ってきた莉紗。
『冬ちゃん、焦凍くんは?』
冬美「あー、コスチュームのことでなんとか..って言って学校に行ったの」
『ふ~ん、ちょっと私も行ってきていいかな?』
冬美「うん、いいよ」
『ごめんね、休みの日まで先生の仕事。私が勉強教えれないばっかりに...』
冬美「いいのいいのっ、気にしないで!」
冬美の言葉に甘え、妹を預けて学校に向かった莉紗。
**
コスチュームの事で来たなら工房だろうと、真っ先に工房にやってきた莉紗。
『こんにちわ』
P・R「あー、君は」
発目「1年A組の風舞さんですね!」
不二「やあ、風舞」
乾「コスチュームの相談か?」
『あ、違う違う。轟くん、来なかった?』
「俺がどうかしたか?」
シーン.....
突然背後から聞こえた馴染みのある低音ボイス。
『...え、何で私より後に現れんの?』
轟「図書室寄ってた」
『あ...そう』
轟「何かあったか?」
『あ、工房に用あったんでしょ?先にいいよ、急いでないから』
轟「ああ、分かった」
パワーローダーの元に向かった轟を見やった後友人たちに視線を戻した莉紗。
『2人は何やってたの?』
不二「見学かな」
乾「夏休みは工房に通ってコスチュームの発明の勉強をすることにしている。風舞も何か相談があれば聞くぞ」
『乾に相談したくないと思うのは乾汁※の影響かな....』
※不二以外の人間は一口飲んだだけで気を失ってしまう乾の特性青汁
轟「風舞、終わったぞ」
10分程3人で談笑していると、轟が莉紗の元にやってきた。
『あ、早いね』
不二「やあ、轟くんだね。噂はかねがね聞いてるよ」
乾「体育祭でデータはとらせてもらった。あの氷結攻撃、試合が進むにつれ温度が下がっていったが温度を下げるのに必要な時間..ぶつぶつ」
轟「....?」
『あー、乾のこれは緑谷のぶつぶつ分析と似たようなもんだから気にしないで』
流れで一緒に工房を出て校門に向かう4人。
『2人もどっか行くの?』
不二「そろそろお昼に行こうかと話していたところに君たちが来たんだ」
轟「お前の友達か?」
『中学のテニス部の奴ら』
轟「あぁ、お前がマネージャーやってたって言うあれか」
不二「風舞は面倒見がいいから助かったよ」
轟「こいつ世話焼きだからな」
『..褒めてる?それ』
轟「褒めてる。で、お前俺に用あったんじゃないのか?」
『あ、そうそう。IEXPOの招待状届いたでしょ?』
ハンドバックからチケットを出し轟に見せた莉紗。
轟「ああ、あれな。親父が行けねぇから行けって言われたがめんどくせぇって断った」
『え、行かないの?』
てっきり行くのかと思っていた莉紗は轟の言葉に、思わず聞き返した。
轟「...?お前は行くのか?」
『行きたいなぁとは思ってたけど1人で行くのもあれだからさ』
轟「なら行くか」
『え?面倒くさいんじゃないの?』
轟「? 行きたいんだろ?」
莉紗が行きたがっていることを知ると、さも当たり前のように行く事にした轟。
『私はね』
轟「なら行くだろ」
『.....?』
しかし、莉紗にはどうしたらそういう理由でその答えになるのかその方程式がよくわからず眉をしかめ首を傾げた。
不二「(轟くん、風舞のお願いは何でも聞いてあげたいんだね)」
乾「(その意図に風舞が気づいてない確率99.4%...)」
『あー、じゃあ轟くんも行くって事で。んでさ、Iアイランドって科学者の島だしサポート科もやっぱり行きたいんじゃないかと思って2人に招待状譲ろうと思ってさ』
不二「え?」
『うちにも両親宛てに2枚招待状来てて、1枚の招待状で同伴者1人連れていけるの。だからうちに来た招待状あげるよ』
乾「いいのか?」
『うん、でもエンデヴァーが行かないなら私は轟くんの招待状で入れるから経営科の2人にもあげようかな』
不二「ありがとう。嬉しいし手塚達も喜ぶよ。ちょうど昨日そのニュースを見て話題にでてたんだ」
『そっか、2枚とも渡しておく。手塚達には後で連絡しとくね。
じゃあ轟くん、準備の買い物行こう』
轟「ああ」
『泊まるホテルは自分で探せって言われてるからホテルも探さないと..』
2人は旅行について話しながら共に帰路についた。
不二「あの二人は、一緒に旅行に行くことになるのかな」
乾「思春期の男女が共に旅行...親密度が増す確率100%」
不二「うーん、あの二人はもう親密度が100以上ある気がするけどね」
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そして、帰宅後すぐに宿泊するホテルや飛行機のチケットを取った莉紗。旅行中は梨央と寛太はせっかくなので年に1回程度しか会えていない親戚の家に預けた。
『ここが、Iアイランド』
Iアイランドにやってきた二人は街のその賑やかさに思わずうなりをあげた。
轟「結構人多いな」
『ほんとだねー』
轟「IEXPOにはヒーローコス着てくんだろ?」
『うん、そうらしいよ』
轟「なら荷物もあるしさっさとホテルに行くか」
『そうだね』
宿泊先のホテルに着きチェックインした2人。
実はホテル探しの時...
『焦凍くん、ホテルの料金見て。ビジホで素泊まりなのに結構高いよ』
携帯を轟に見せて言った莉紗。
轟「ああ、日本とは相場が違うのは仕方ねぇな」
『部屋どうする?2部屋取ろうと思ってたけど』
轟「料金は?」
『ちょっと割高になる』
轟「なら1部屋で良いんじゃねぇか?」
『だね』
と言う事があった。日本と相場が違うらしく素泊まりのビジネスホテルと言えど日本の相場の3倍の金額はした。
別室で1人ずつの宿泊よりも2人同室の方が少し安く、日頃同じ屋根の下にいることが多い二人。何なら寛太と梨央を挟んで同じ部屋で寝る事もある2人は何の躊躇もなく同室で予約した。
『高いだけあって景色は結構いいね。IEXPOここから見える』
窓の外を眺めながら言う莉紗。
轟「ああ、プレオープン何時だ?」
『んーと、13時から』
轟「あと2時間か。この距離なら10分くらいで着くだろうし結構時間余ったな」
『若干時差ボケしてるからすこし休まない?』
轟「ああ、何か買ってきてやるか?」
『大丈夫、冷蔵庫にミネラルウォーター入ってるみたいだし』
轟「そうか」
基本的に、2人共そんなにおしゃべりな方ではない為歩いている時などは沈黙のことが多いがそれを苦に思ったことはないし、こうして2人でリラックスムードでいるときはどちらからともなく途切れることなく話している事が多い。2人は時間まで談笑して過ごしていた。
**
in IEXPO
『すごいねぇ』
轟「ここも人多いな」
『ねぇ、あっち見に行ってみようよ』
轟「ああ」
中を歩いていると、アトラクションのような催しもあれば、展覧会のような催しもありヒーローにとっても目を輝かせるものが多くあった。
『ヴィラン、アタック?』
競うタイプのアトラクションもあり、10体のヴィランを模したロボを何秒で倒せるかというもので優勝者にはIEXPO内で使える有料チケットがプレゼントされるそうだ。
『焦凍くん、やってみたら?』
轟「お前は?」
『私の個性で行けるかどうか、焦凍くんやってるの見てから決める』
轟「(俺の個性で行けるなら汎用性高いこいつの個性なら普通に行けると思うが...)
ああ、分かった」
受付でエントリーし轟がヴィランアタックに挑戦した。
ステージは真ん中に池があってロッククライミングのような崖にロボが上下左右に設置してある。
『(あれは、単発で攻撃するタイプよりも焦凍君みたいな制圧能力高いタイプの方が有利だな..)』
最大火力の氷結を出し、全てのロボを一気に凍らせた轟。
一番高いところにいるロボまで氷結が届くまでの時間があり結果は...
「きゃー!!すごいすごいすごい!!じゅ、14秒!現在トップです!!」
『あ...これ私有利じゃね?』
轟がチャレンジしているのを見てそう思った莉紗は自分もエントリーすることにした。
アトラクションを終え、轟が白い息を1つ吐くと観覧席の方から突然怒号と爆発音が聞こえた。
爆豪「テメェ!この半分野郎ぉぉ!!」
轟「爆豪...?」
『爆豪..?』
爆豪「いきなり出てきて俺スゲェアピールか?!ごらぁあ?!」
轟「緑谷たちも来てんのか?」
爆豪「無視すんな!!大体何でテメェここにいんだよ」
轟「招待受けた親父の代理」
「あ、あの~?次の方が待ってますので..」
爆豪「うっせぇ!!次は俺だ!!!」
飯田「みんな!!2人を止めるんだ!!雄英の恥部が世間に去らされてしまうぞ!!!」
緑・切「「う、うん!(お、おう!)」」
『緑谷...切島...?』
ステージの方では飯田達が何とか爆豪をなだめ観覧席へ引きずって戻した。轟もそれについていき、ようやく次のエントリー者に順番が回った。
「さあ、続いては今日初めての女子の参戦です!!一体どんな結果になるのでしょうか?!」
麗日「あ、莉紗ちゃん!!」
八百万「まあ!」
耳郎「轟、もしかして莉紗と一緒に?」
轟「ああ」
「「「(え、一緒に旅行...?マジかよ...幼馴染強ぇ...)」」」
そんなことを思われているとも知らずに莉紗はどう攻略するか考えていた。
『(10体...私がタイムラグなしで作れる竜巻の数と同じ。数が増えると威力は少々落ちるけどあのロボなら大して問題じゃない。問題は、全ての竜巻を的確にロボに正確に当てにいけるか...。
いや、これは焦凍くんと同じように最大威力の広範囲突風の方が確実だな。高い所にいるロボを粘着糸で引きずり下ろしてから突風で叩きつける!!)』
「ヴィランアタック、レディーゴー!!」
莉紗は頭の中でのシミュレーション通り開始の合図とともに高いところや離れた所にいるロボに粘着糸をくっつけて地面に向かって引きずり下ろした後、上から下に向かうステージ全体を巻き込むほどの広範囲突風を起こした。ロボは一瞬にして地面に叩きつけられた破壊された。
「え.....あ......こ、これは!!すごすぎる!!なんと、8秒!!圧倒的です!!」
様子を見ていたクラスメイト達もその記録にドン引き。
緑谷「す...;」
切島「スゲェ...;」
麗日「さすが...莉紗ちゃんやわ...;」
八百万「そう..ですわね;」
爆豪「こんの...クソアマぁあああ!!!!」
**
結局、圧倒的な記録でヴィランアタックの優勝を勝ち取った莉紗は戦利品の有料チケットをもらった。
喫茶店などでも使えるそうで、2人はお昼ご飯食べにEXPO内の喫茶店に入った。
轟「蕎麦はねぇのか」
『さすがにないと思うしあっても海外の蕎麦はそんなに美味しくないと思うなぁ』
轟「そうか...」
結局莉紗はオムライスのランチセット、轟は鮭の乗った日本定食セットを頼んだ。
轟「お前全然不利じゃなかったな」
『焦凍くんやってるの見て..あ、これ有利じゃんって思ってすぐエントリーした』
轟「そうか。あいつらも来てたとはな」
『女子は明日の一般公開で合流するってことにはなってたけど、プレオープンに来てるメンバーもいたのはびっくりだね』
轟「ああ。あ、そういや飯田からレセプションパーティーは正装で18時30分にセントラルタワーの7番ロビーに集合ってメール来てたぞ」
『あー、うん。分かった』
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