救え!救助訓練!
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雄英高校ヒーロー科、1年A組21名はレスキュー訓練を受けるべく"ウソの災害や事故ルーム"略してUSJに赴くも、訓練開始直前ヴィラン連合と名乗る集団からの、襲撃を受けました。
ヴィラン連合側の個性によって、生徒達は各救難施設に分断。担当教師であった相澤と13号はヴィランに対抗するも黒霧と名乗るヴィランによって13号は負傷。
相澤もまた、主犯格である死柄木弔と脳無と呼ばれるヴィランの攻撃を受け戦闘不能状態に陥りました。
諸般の事情で遅れてきた教師のオールマイトが戦闘に参加し、負傷しつつも脳無を撃退したことで形勢が逆転。
また、A組クラス委員長であった飯田天哉が本校教師たちに連絡。現場に急行させたことによって、事件は一気に収拾しました。
そして、教師3名、生徒1名が負傷するという学校側の運営責任を追われかねない事態を招いたことに遺憾であると言わざるを得ません。
しかし、雄英高校としては数日の後ヒーロー科を通常のカリキュラムに戻す予定でいます。
人々を困難から救い、ヴィランと戦う術を生徒達に身につけさせるために3年という期間はあまりにも短い。その旨を鑑みての処置だとお考え下さい。
1年A組の生徒の保護者の皆さまには、ご心配とご迷惑をお掛けいたしますが何とぞ、ご理解とご協力を賜りたいと思います。
雄英高校ヒーロー科1年A組担任 相澤消太
**
ヴィラン連合からの襲撃の4日後。
私達1年A組は再び雄英高校訓練施設USJに来ていた。
13号「まああんな事があったけど、授業は授業。というわけで救助訓練、しっかり行っていきましょう」
USJでの負傷具合を見ていたA組生徒達は、あまりにも普通に登場し、普通に授業を進行しようとする13号に呆気に取られた。
『(..何事もなかったかのような空気で始まるんだな)』
麗日「13号先生..もう動いて大丈夫なんですか?」
13号「背中がちょっとめくれただけさ!先輩に比べたら大したものじゃないよ」
相澤「授業行えるなら何でもいい。とにかく早く始めるぞ、時間がもったいない」
緑谷「あ、相澤先生!」
相澤「んぁ?」
緑谷「前回は13号先生と相澤先生と、あとオールマイトがみてくれるはずでしたけど。オールマイトは?」
相澤「知るか、あんな男。放っとけ」
緑谷「?」
場所を移動し、山岳地帯。
13号「では、まずは山岳救助の訓練からです。訓練想定としまして、登山客3名が誤ってこの谷底に滑落。1名は頭を激しく打ち付け意識不明、もう2名は足を骨折し動けず救助要請、という感じです」
切島と上鳴が谷底を覗き見ると底が全く見えずにその恐怖から声を上げた。
上鳴「2名はよく骨折で済んだな、おい!」
飯田「切島くん、上鳴くん!何を悠長なことを!一刻を争う事態なんだぞ!大丈夫ですかぁ!!安心してくださーい!!必ず助け出しまーす!!」
切島「おめぇは早すぎんだろ」
上鳴「まだ始まってねぇよ」
麗日「うぉお!!本格的だぜー!!がんばろうね!!デクくん!!」
緑谷「うわぁっ!う、う、うん!!////」
何故か息巻いて気合の入ってる3人。
13号「じゃ、ケガ人役はランダムで決めたこの3人です!」
そう言って指名されたのは緑谷、麗日、飯田だった。
緑麗飯「「「...(助けられる方かー)」」」
『(ランダムね...悪意を感じるけど)』
そして、けが人役の3人は谷底に降りスタンバイをした。
相澤「よし、それじゃあまず救助要請で駆け付けたと想定しこの4名だ」
相澤に選ばれたのは、莉紗、八百万、轟、爆豪。
瀬呂「お、推薦入学者の3人に一般入試トップのエリートチーム」
峰田「エリートには楽勝だよなあ?」
相澤「そこの道具は好きに使っていいこととする」
爆豪「何だオイっっ!!何で俺がデクを助けなきゃなんねぇんだ!!」
蛙吹「アニメフェスタだからよ、爆豪ちゃん」
切島「梅雨ちゃん、やめとこ?そういうの」
上鳴「もうこれ大分前のやつだからさ?」
轟が崖下の様子を見た。
飯田達が叫んで助けを求めている。
『骨折の2人は私の個性だけで引き上げられるけど、意識不明者はそうはいかない』
轟「ああ...始めるぞ。誰が下りる」
爆豪「仕切ってんじゃねぇぞ、半分野郎!!降りるまでもねぇ..谷そのものを無くしちまえば問題ねぇ!!」
八百万「正気ですか?!;;」
蛙吹「考えなしじゃないけど、考える事が人とは思えないわ」
上鳴「緑谷絡むとやべぇな、あいつ」
轟「ハァ」
轟が爆豪の言葉に見下すようにため息をついた。
『つーかその思考ただの単細胞バカじゃん』
爆豪「んだと?!このアマ女!!」
『もう、いいから始めよう。意識不明の重体がいる設定なんだからちんたらやってられないよ』
轟「八百万、お前はプーリーを出せ。倍力システムを作る」
八百万が轟の案に頷いた。
轟「意識不明の奴から1人ずつ上にあげる。介添えには風舞を下ろす。俺、爆豪、八百万で引き上げ「待てテメェ!!」
爆豪が轟の言葉を遮り轟の胸ぐらを掴んだ。
爆豪「勝手に全部決めてんじゃねぇぞ!!」
八百万「ば、爆豪さん!!」
轟「これがベストだろうが」
爆豪「あぁっ?!」
轟「遊び半分でやってんなら何もしなくていい」
轟は爆豪の腕を振り払い一睨みすると、鋭い視線を横に流した。
轟「俺はこんな訓練で揉める程暇じゃねぇんだよ」
そう言って爆豪の前から移動した。
『(轟くん...何かイラついてる気が。
でも2人ともこのやり取り自体がしょうがないって気づいて欲しい)』
爆豪「だ...誰が遊び半分だぁ?!」
そう言って爆豪が轟に掴みかかろうとし、轟も何かしら動こうとしたのか爆豪に向き合ったその時。
爆・轟「「!!」」
爆豪と轟の身体が何かに縛り上げられた。それが、莉紗の粘着糸であると気づくのに時間はかからなかった。
八百万「お止めなさい!!」
その時、八百万から制止の言葉が向けられた。
八百万「お二人とも、みっともない!それに我々には、まず初めにやるべきことがあります!」
八百万が崖に近づき膝をつくと、崖下にいる3人に向かって声をかけた。
八百万「皆さん安心してください!すぐ向かいます!」
『実際の現場でそんな事で揉めるつもり?要救助者そっちのけでそんなやり取りしてる時点でレベルが低い。八百万、私下降りるから上頼むね』
そう言って粘着糸を粘着させ、崖下に降りて行った莉紗。
八百万「はい!!
風舞さんの言う通りですわ。
要救助者への接触。それが第一です!絶望的状況でパニックを起こす方も少なくないと聞きます。そんな方々を安心させることが迅速な救助に繋がるのです。
こんな訓練?真摯に取り組まずに、何が訓練ですか!」
切島「すげぇ..立派だな、女子コンビ」
女子2人の制止によって大人しくなった爆豪と轟。救助活動を再開した。崖下にロープを下ろす際に、轟の氷を滑車代わりにしロープへの負荷を減らす事とスムーズにロープを引き上げられるように工夫した3人。
八百万「風舞さん!別のロープで担架を下ろしますから、ゆっくりでいいですわ」
『大丈夫、この使い方は慣れてるから』
粘着糸を伸ばせる今の限界は3m程度な為、途中途中足場を見つけると、一旦粘着糸を解除し再び伸ばしてを繰り返し谷底まで無事に降りた莉紗。
そこでは麗日が横になっていて、飯田が迫真の演技で麗日に希望の言葉をかけている。
『意識不明のお茶子ちゃんから引き上げる』
緑谷「了解..と、ダメだ。僕らは足が動かないから手伝えないんだった」
飯田「頭を打った人を1人で抱えるのは危なくないですか?!」
『大丈夫、頭を固定して担架に乗せればいいだけ』
莉紗は担架を麗日の身体の真横に置いた。そして、麗日の体を自身の出した風で少し浮かせ、麗日の頭を自分の両手で支え、麗日の体の真下に粘着糸で引き寄せた担架を置き麗日の体をそっと置いた。
緑谷「す、すごい!個性の使い方が器用だ!」
麗日を担架に乗せ、引き上げるよう上にいるメンバーに声をかけ、担架の引き上げる速度に合わせて左手を使い粘着糸を崖に粘着させ短くしながら自身の体を引き上げる莉紗。右手ではなるべく担架が揺れないように竜巻で支えた。
無事に地上に引き上げられた麗日。
轟「じゃあ次下ろすぞ」
爆豪「黙れ、指図すんな」
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13号「個性を上手く作用させ合い、人助けをする。1組目にしてはとても効率の良い模範的な仕事です!これこそ、超人社会のあるべき姿だー!」
瀬呂「1人、ただ引っ張るだけの人いますよー?」
爆豪「外野がうっせぇんだよ!!黙れよぉっ!!」
13号「自身の個性が貢献出来ないと判断した場合、それは正しい。適材適所、最近のプロはそれが出来ない人が多いんです。自分が自分がー、ばかりでかえって状況を悪くしてしまう例も多発しています。そこをよく理解して、フォローに回る事を覚えれば彼も、きっと素敵なヒーローになると思いますよー!」
瀬呂「いやー、素敵にはならんでしょうなぁ」
爆豪「後で殺す...あの醤油顔..怒」
**
何とか、山岳救助訓練を終えたA組。
13号「皆さん大変素晴らしい成果でした。1回目にしては。救助とは時間との戦いでもあります。まだまだ改善の余地が皆さんにはありました。すなわち、まだまだ伸びしろがあると言う事」
上鳴「何かあっけねぇや」
相澤「気を抜くな!まだ授業は続くぞ」
**
所変わって
13号「次はこちら、倒壊ゾーンです!救助訓練の1回目という事で今回は色んな状況を経験してもらいます。この倒壊ゾーンでの訓練想定は、震災直後の都市部。被災者の数、位置は何も分からない状態でなるべく多くを助ける訓練です。8分の制限時間を設定し、これまた4人組での救助活動を行います。残りの16名は各々好きな場所に隠れて救助を待つこと。ただし、そのうち8名は声を出せない状態と仮定します。その8名は私が指定します」
芦戸「それってかくれんぼ!かくれんぼじゃーん!」
13号「簡潔に言うと近いですね」
『簡潔すぎ..』
13号「では、1回目の4人組はこちら!」
緑谷、爆豪、峰田、麗日が選ばれた。
爆豪「何でつくづくデクとやんなきゃねーんだよ!!」
麗日「しょうがないよー、アニメフェスタなんだ「さっきからなんだそれはぁ!!怒」
要救助者役は一斉に建物の中に入っていった。
莉紗は大きなビルだったであろう、建物の最下層の瓦礫の影に隠れていた。
『(そういえば焦凍くんのあのコスチューム...左は絶対使わないっていう決意の現れだよね)』
莉紗の頭の中にはエンデヴァーに厳しく鍛錬され、いつも怯え、泣き、傷ついていく幼い男の子の姿が思い浮かんだ。
「訓練中に考え事か?随分余裕だな、ヒーローの卵よ」
『?! 誰だ!』
突如聞こえた声に莉紗は立ち上がり構え、周囲を見渡した。すると入口から巨体で見覚えのないコスチューム姿の男が近づいてきた。
『ホントに、誰だ...』
「4日ぶりの戦闘だ...」
『4日...?
!!(まさか、ヴィラン連合の残党?!)』
「さあ、楽しもうぜ...」
そう言うや否や、男が背後に回ってきた。
『クッ..(飯田より速い..!)』
かろうじて反応できた莉紗はすぐに腕をクロスさせて防御体制をとるがそんなの関係ないと言わんばかりに力づくで吹っ飛ばしてきた。
壁に叩きつけられそうになった莉紗はなんとか背後に風を出し激突は回避し、すぐに粘着糸を出し捕縛しようとしたが粘着糸を上手く交わし間合いを詰めてきた。
『(速いって、このヤロウ!)』
真正面から飛び込んでくるヴィランに竜巻を浴びせてやろうと間合いに入ったか否かのタイミングで腕を振り上げようとしたその時..
「これで終わりだー!!」
男は莉紗の腕を掴んだ。
『?!』
**
轟「.......」
一方で、轟は隠れてるというよりは、何階かも分からないほどに崩壊したフロアの瓦礫に座り何かを考えこんでいる。
「ハァハァハァ....」
エン「焦凍」
「!?」
エン「こんなとこで這いつくばってはならん。お前は、俺の最高傑作なのだから」
轟「クッ...」
昔のことを思い出した故か、その表情には怒りが満ちていた。
轟「思い通りにはならねぇ」
轟は氷で覆った自分の左手を強く握った。
「なんて顔だ」
轟「! 誰だ!?」
突如聞こえた声に轟は立ち上がり当たりを見回した。
その時、突如すぐ横の壁が破壊され爆風が起こり煙の中にうっすらと人影が見えた。
「とてもヒーローの目付きとは思えんなぁ」
煙が晴れてきて人影の顔だけが見えるようになってきた。そこにはコスチュームを着てるようにも見える、見たことのない形相の大男が立っていた。
轟「(マジで誰だ..?)」
「4日ぶりに暴れるか」
轟「(4日前?!襲撃があった日...まさか!
残党...!!隠れてたのか!)」
「ヒーローの卵よ、助けられるかな?」
轟「あ?」
煙が完全に晴れ、轟は目を疑った。
何故なら男は左手で1人の少女を抱えている。
轟「?!莉紗...!」
その少女は紛れもなく、幼馴染である風舞莉紗であった。
轟はすぐに氷結で先制攻撃を繰り出すも、男のスピードは莉紗を抱えていることなどハンデにもならないと言わんくらいのスピードで、氷結よりも速く移動して回った。気づくと轟の視界から消え背後から声がした。
「遅い!」
轟「?!」
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in倒壊ゾーンの都市部
救助活動に勤しんでいるA組生徒たち。
そんな中、学級委員長である飯田天哉が大声で叫んでこちらに近づいてきた。
飯田「ヴィランだ!」
麗日「えっ??」
耳郎「隠れてたってこと?」
飯田が指す方向を見ると、そこには確かに巨体の男がこちらに近づいていた。
麗・耳「「え?!」」
2人は驚愕した。何故なら、ヴィランが人を両脇に抱えていた..まではいいがその人物がクラスメイトの轟焦凍と風舞莉紗だったからだ。
麗日「そんな...まさか...莉紗ちゃん!轟くん!」
耳郎「うちのクラスで...1番強い2人が...」
飯田「だから早く!君たちは先生の元へ!」
大きな物音に、ほかのクラスメイトたちも続々と集まってきた。
緑谷「ヴィラン?!」
峰田「ウソだろ?!」
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