私の道のり
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緊張から解き放たれた入試の翌日。
私はイー娘卒業を公式に発表した。
「卒業を決めた理由はなんでしょうか?」
『高校に進学して、学業に専念するためです』
「進学先はもう決めていらっしゃるのですか?」
『はい。希望の進学先は決めてあります』
「芸能活動に関しては今後どうされるご予定ですか?」
『学業に専念する為、一時休業で考えています』
「卒業公演を控えていらっしゃいますが、意気込みをお聞かせください」
『私のイー娘としての4年間の集大成で、私がイー娘としてパフォーマンス出来る最後のコンサートなので最高のステージに出来るよう頑張ります』
1時間半に及ぶ記者会見が終了し、楽屋に戻ってきた私。
『ふー、疲れたぁ』
土田「お疲れさま、そういえば入試の時バレなかった?」
メイク・ヘアリストの土田さんが後ろから声をかけてお茶を渡してくれた。
『うん!さすが、土田さん。ありがとうございました!』
土田「良かった、入試でバレて騒ぎになったら入学どころじゃないもんね」
『うん...ホントに』
土田「どう?合格できそう?」
『んー、どうなんだろう。自分的には上出来なんだけど』
土田「そっか、受かるといいね」
優しい顔でそう言ってくれる土田さん。
一人っ子の私にとってお姉ちゃんみたいな存在。
『うんっ』
土田「あとは卒業公演頑張ろ!」
『よし!』
そして、入試から数日後。
雄英高校から封筒が届いた。
『キ、キター!』
封筒を見て私は走って家に駆け込み、両親に雄英から通知が来た事を伝えた。
両親も、興奮して轟家に駆け込み焦凍くん達を呼びに行った。
冬美「莉紗ちゃん!合否来たってホント?!」
勢いよく顔を覗き込んできた冬姉。
『冬姉?!』
轟「何だ、まだ開けてねぇのか」
『うっ...』
テーブルの上に置いてある封筒を見て焦凍くんが冷静に言った。
両親や冬姉に急かされ封筒を開けると...
オールマイト「やあ!私が手紙越しに来たー!
受験番号3425、風舞莉紗少女。今の気分はどうかな?緊張してるかな?」
『えっと..オールマイトにびっくりしたらいいのか、この手紙のハイテクにびっくりすればいいのか...』
母「あら、オールマイトだわ」
『母さん面識あり?』
母「そりゃ私もプロヒーローだからね」
冬美「すごーい!ハイテク!」
轟「......」←既に経験済み
オールマイト「まず筆記試験だが...試験結果、悪いわけではなかったがギリギリ合格ラインだったよ。ぶっちゃけ他の受験者の結果によっては不合格だったかもしれない..」
『うわ...』
母「焦凍くん、この子にはまだまだスパルタ教育が必要みたいね。月に1回焦凍くんの行きたい蕎麦屋で蕎麦食べ放題でどう?」
轟「了解」
『ここでそんな取引しないでよ!』
オールマイト「さて、演習試験についてだが...」
オールマイトの言葉に、焦凍くん以外が固唾をのんだ。
オールマイト「仮想ヴィランを倒してポイントを稼ぐ試験であったね。風舞少女のポイントは40P。1位の子は、77P。結構差をつけられたね」
『えー...萎えた』
轟「萎えんなよ」
『うぅ~...』
オールマイト「しかし、ヒーローと言うのは敵を倒せれば良い職業でもないのは分かるね?そう、人助け!人を助けてこそ真のヒーロー。今回の演習試験で見ていたのはヴィランの討伐ポイントだけじゃあない!そう、レスキューポイント!!他が為にとることが出来た正しい行いをポイント化。しかも審査制!今回、君はヴィランを前に瓦礫に挟まれ動けなくなっていた少女を助けたうえに、治癒をして救った。君のレスキューポイントは審査員たちからなんと44Pの評価を得たぞ!
討伐ポイントと合わせて、74P。圧倒的な2位通過だ!」
『え、やったー!!』
母「人助けしたんだ?偉い!」
オールマイト「風舞少女、合格おめでとう!雄英高校、4月からここが、君のヒーローアカデミアだ!」
『受かった.....』
オールマイトの口から紡がれた"合格"という言葉に驚くよりも、夢ではないかという疑惑の方が先に浮かんでいた私はしばし茫然とした。
冬美「莉紗ちゃんおめでとう!!今日はお祝いしよう!!」
母「おめでとう!」
父「莉紗~、おめでとう。頑張ったね」
轟「よく頑張ったな」
大人たちがワーワーキャーキャー騒いでる中、焦凍君は静かに頭を撫でてくれた。
『ん、ありがと』
轟「けど、入学までにお前の学力もう少し上げねぇとな」
『.....ハイ』
その日は焦凍くんと私の雄英の合格祝いに、母が接待で使う高級寿司屋で買ってきた寿司、焦凍君のお気に入りの蕎麦屋で買ってきた蕎麦。そして、冬姉のお手製の四川麻婆や唐揚げ、肉じゃがなどが食卓に並んだ。
冬美「莉紗ちゃん、卒業公演いつなんだっけ?」
『来月!冬姉にまたチケット持ってくるから来てね』
冬美「うん、楽しみにしてるね!」
小学校5年生で始めたイー娘活動。初めてのコンサートの時に両親や祖父母、焦凍君や冬姉に特別招待チケットを送って見に来てもらった以降も、みんな都合がつく時にはコンサートを見に来てくれていた。
『焦凍君は今回どうする?』
轟「特に用事ねぇし、行く」
冬美「最後だし、多分夏も行きたいんじゃないかな?」
『じゃあ全員分持ってくるね!』
母「じゃあ今回はうちの事務所でパトロール要請受けようかな?」
『今回は...ってか、ほぼ毎回じゃん!んで会場内のパトロールと称して鑑賞してるでしょ』
母「アハハ、まあね!」
『職権濫用ー』
父「まあまあ、お母さんも莉紗が元気に歌って踊ってるところ見たいんだよ」
『じゃあ今回は風舞家、轟家総出だね』
雄英の合格を受け、私は母と雄英高校に出向いた。
母「校長、ご無沙汰してます」
根津「やあ、音科※さん」
※音科(オトシナ)...母の旧姓。ちなみに母も雄英出身でエンデヴァー達と同世代。
『(ね、ねずみ?!これ、校長なの?!)』
私の衝撃なんて知らんとでも言うように2人は仲良さげに談笑している。
今回私たちが雄英に来た理由。
それはもちろん私のこれまでの経歴と親が芸能界に入れた理由を知ってもらうため。そして、何かと露出の多い雄英で元アイドルである事を隠し続けるのは難しいが、公表についての学校側の意向を聞くため。
母「校長もご存知かもしれませんが、この子はその特殊な個性故に幼少期に三度誘拐された過去がありいずれも誘拐の動機が個性商人に売り飛ばす為でありました。
同じような事が今後起こらないとも限らないので、個性での戦闘を行使して自衛が出来るようヒーロー免許を取得させたいと常々思っていましたが、ヒーロー科に入学するまでの8年間無防備になります。その為、芸能界に入れて売れっ子になれば人から注目され、他者の目が増えまた公人となれば警察の動きも迅速になり敵も手を出しにくくなると考えアイドルにすることに決めました。親の願い通りこの子は国民的アイドルとなってくれたので常に人から注目され、幸いにも今日まで大きな事件に巻き込まれることなく過ごしてこれました。
今回雄英に入るにあたって、校内で存在が知られてしまうのは必然ですけど何かと世間への露出が多い雄英なので、当たり前に通っていればこの子が雄英に通っていることはいずれ世間にバレてしまうかと思います。この子や私どもとしては覚悟のうえですし、雄英なら雄英バリアもあってメディアからも隔離され授業の妨げにはならないかと思いました。学校としてはいかがですか?」
根津「別に構わないさ!元来、ヒーローは良くも悪くも世間の注目を集め易い職業。その注目の中で、他人の評価や誹謗中傷などに左右されずベストパフォーマンスが出来るよう常に最善を選択し、こなしていくのがヒーロー。学生時代からその訓練をしていると思えば何も問題はないさ!」
母「校長ならそういうと思いました。体育祭に出場すれば否が応でもバレますので、入学前に正式にヒーローを目指して雄英に通う事を発表させますね」
根津「ああ、もちろんいいとも!」
母「ありがとうございます」
『ありがとうございます』
根津「風舞莉紗さん」
『はい?』
根津「雄英は、生徒を育てるだけの場所じゃない。生徒を守る場でもあるんだ。だから、安心して通っといで。今日からここが、君のヒーローアカデミアさ!」
『!! はい!』
こうして私の国民的アイドルからヒーローを目指す物語が始まった。
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