私の道のり
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母「もっと抑揚つけて!ただメロディを紡ぐだけじゃダメ。歌詞の意味をきちんと理解して」
今、私は母から個性の特訓を受けている。
母はプロヒーロー シンギ―。個性"アブノーマリティ"。
私の"アビリティブースト"と同じように歌が個性の発動条件。違うのはその効果。
母の個性は、聞いた相手に眠り、神経麻痺、混乱といういずれかの状態異常を付加する。各状態異常の付加条件はメロディーの音域。
低音域では神経麻痺、中音域で混乱、高音域で眠りをそれぞれ付加する。
個性発動時に付加するエネルギー量でその効果の強さを調整できる。
私は今、そのエネルギー量の調整をする訓練を焦凍くんに協力してもらいながら母の指導のもといそしんでいた。
轟「さっきより足が軽い気がする」
母「焦ちゃん、跳躍してみて」
焦凍君は私のブーストを受ける前と受けた後の今の跳躍力を比較している。
轟「75cm上がった」
母「実戦では微妙な効果ね」
『焦凍君と違って私個性の鍛錬とかしてきてないんだから仕方ないでしょー?』
特段この個性を発動する上でのデメリットや反動というのは無い。しかし、歌うことが発動の条件だから喉が限界を超えれば個性は発動しなくなるし自分の声が届かなければ意味がない。
その点、歌う仕事をしていたため"歌う"という行為の基礎や声量は出来上がっている私。
けど、個性を使う上でのそれに込めるエネルギー量による効果の程度は全く把握していないし効率よくエネルギー付加も出来ていないから個性を発動するとムダに疲れてしまう。
轟「莉紗、休むか?」
私の疲弊具合に気づき優しい言葉をかけてくれる焦凍君。
母「こんなんでへばってたら雄英入れないわよ」
『...........』
この母と来たら....。
なら子供の時から個性の特訓させといてよ!
護身術とか組手ばっか鍛えてさ!
母「でも、まあさすが歌手なだけあって喉は早々ダメにならないし声量もあるから個性の調整さえ覚えれば文句なしよ」
轟「そうっすね」
一件優しく見える焦凍君だけど、これが勉強の時間になると鬼コーチに変身。
轟「さっきもそこ間違えてたぞ」
『あ、すいません..』
轟「ちゃんと公式自体理解しないとダメだ」
つまり雄英に進む事を決めてからの母と焦凍くんからのスパルタ教育は凄まじかった、ってことです。
『もー!年間休日3日のイー娘よりキツい!』
スパルタ教育は連日続いた。
さすがの2人もお仕事がある日は手加減してくれるけど休みの日はホントに鬼!鬼!鬼!とにかく鬼畜!
轟「けど、ダンスとかもムダじゃねーな。体力もあるし身体のキレもある。芸能界の仕事ちゃんと活かされてる」
母「そうね。個性発動条件の歌うことに関しては莉紗の方がプロだし私が言えることはないわ」
『雄英目指さなきゃこんなにしんどい思いしなくて済むんですが...』
轟・母「「ダメ」」
『.....元アイドルがヒーロー目指すってかなり目立つと思います』
母「逆に世間の注目を集めていた方がいい事もあるのよ」
轟「ヒーロー科入れば俺がほぼ一緒に居てやれる」
『...はい』
そもそも何故焦凍くんや母がここまで心配してるのかというと...
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私のバフ付与効果のアビリティブーストという個性は、かなり希少なタイプの個性。まして、治癒が出来る個性自体が希少とされてる中でバフ付与も出来ると言うのはその筋の人達からすると喉から手が出るほど欲しいほどにレアな個性らしく、そのせいか幼少期は3回ほど誘拐事件に巻き込まれた事がある。
1回目と2回目は3歳と5歳の時。どちらも焦凍くんや焦凍くんのお姉ちゃんと一緒に遊んでいる時に誘拐された。2人がすぐに大人に助けを求めに行ってくれたため、No.2ヒーローのエンデヴァーおじさんや私の母がすぐに動き私は五体満足で帰ってくる事ができた。
3回目は7歳の時。
放課後、先生と話しがある焦凍くんを一人でグラウンドで鉄棒の練習をしながら待っていた時に誘拐された。
他の生徒の子がたまたま遠くから見てたみたいで先生に伝えに言ってくれてすぐに警察に通報された。過去の誘拐の事もあり、警察も迅速に動いてくれた上これまたエンデヴァーおじさんや私の母にもすぐに連絡がいった。また、入学する際に1.2回目の誘拐のこともあり小学校に入学すると24時間見ているわけにはいかないし実質不可能であることを考慮し私の靴、ランドセル、カバンのキーホルダー、髪飾りなどありとあらゆる持ち物にGPSを取り付け万が一にはそれで私の行方を追えるようにしていた為、そのGPSを使いすぐに保護してもらえて大事には至らなかった。
この3回の出来事から周りの私に対する警戒心はより一層強まった。将来はヒーローになると焦凍くんと思い描いていた私だったが、これほど狙われてしまう個性持ちとしては自衛の術になるためむしろヒーローになることやその為の教育課程は理にかなっているという事で大人たちもヒーロー科の学校に進めたいという願望はあったが問題はヒーロー科に入るまでだ。ヒーロー科は基本的に義務教育を終えた高校から。小学校中学校では最低限の超人社会の知識と個性とはなんぞやという知識。そして、自分の個性を知るという道徳や社会的な授業だけで個性自体を訓練したり、個性を使う授業はある程度自分の個性を制御する程度。
つまり、3回目の誘拐事件からヒーロー科に進学するまでの8年余りが無防備になってしまう為危険だったのだ。
焦凍くんが一緒、と言っても同じ子供の焦凍くんに出来ることは限られているし、資格未取得の子供が私を助けるためとはいえ個性で相手に危害を加える事は出来ない。
多くの目が私に向いていないとまたいつ誘拐されてもおかしくない。それほどまでに私の個性は特殊だったらしい。
そこで、私の両親が選んだ手段が芸能界だった。
芸能人というのは基本的に常に人に注目される職業。
プライベートですら、誰かに見られているかもしれないような人種だ。それは、プロヒーローも似た部分がある。また、国民に差をつけるものではないのだろうが、残念なことに世の中一般人が事件に巻き込まれるよりも芸能人が事件に巻き込まれるほうが警察の動きも機敏である。一般人の少女でいるよりも芸能界で子役なりアイドルとして知名度を上げる方が周囲の目が危険を少しでも遠ざけてくれる...そう考えた両親は私を芸能界に入れることを決断。
人気商売でその陽の目を浴びれるかどうかは賭けではあっただろうが、私はデビューして2年後に国民的アイドルと呼ばれアイドルとしての地位を獲得した。
そう言った背景もあり、2人は(もちろん父親も)私の身を守るために最高峰の雄英にヒーロー科に入れようと考えている。
(私としてはヒーロー科に入れるわけがないと思っているから普通科も受験しようと思っていたけどそれを焦凍君に見抜かれ、保険があると甘えるからダメだとヒーロー科1本での受験にさせられました)
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