入学
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お昼を食べようと焦凍くんに声をかけたものの、他の奴らと食いに行けと言われた為私は焦凍くんが気になりながらも女子のみんなとランチラッシュ処で昼食を取った。
峰田くんと上鳴くんが、相澤先生からの伝言で女子はレクの時にチアリーダーの衣装を着るように伝え忘れたから伝えてくれと言われたと。八百万さんに衣装を創造してもらって、みんなでそれを着てグラウンドに向かった。
マイク「A組どうしたー?!何のサービスだぁ?!」
相澤「何やってんだあいつら...」
スピーカー越しに聞こえる相澤先生たちの声。その様子からさっき峰田くん達が言っていた事を真っ赤なウソと言う事が分かり八百万さんがものすごく落ち込んでいる。
耳郎「アホだろ、あいつら」
手に持っていたポンポンを地面に投げつけ露出されたへそ元を隠すように腕を組んだ響香ちゃん。
葉隠「まあ気張っててもしょうがないしさ!」
蛙吹「好きね、透ちゃん」
『(まあ見えないのを良い事に裸になっちゃう透ちゃんだもんねぇ)』
麗日「莉紗ちゃんはさすがに慣れとるねー」
『もっと派手で露出高い衣装しょっちゅう着てたからねぇ~』
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くじ引きで本戦の対戦トーナメントが決定して、試合のない人は観客席へ次に控えてる人はバックの控室に、そして試合の人はそのままステージに残った。
『私B組の人か~』
耳郎「莉紗、頑張りなよ」
『うん!応援しててね』
第1戦は緑谷くんと普通科心操くんの試合。
心操くんの個性で緑谷くんが洗脳され、フィールドの外に向かって緑谷くんが自分の足で進みだした時は焦ったけど自力で洗脳を解いてその後は何とか心操くんを場外に押し出した緑谷くん。
もし、次焦凍くんが勝てば緑谷くんと焦凍くんが早くも戦うことになる...。朝の緑谷くんに対する宣戦布告が何を意味するのかは分からない。分かっているのは、焦凍くんがここに立つ理由が私達とは違うという事。必死にヒーローになる為に自分をアピールしようとしている私達と違って、焦凍くんが自分をアピールしようとしてるのは炎司おじさんただ1人。炎司おじさんの言う通りになりたくないから左を使わない。そこに、焦凍くんの意志がなくてただおじさんの存在に振り回されている。
だけど、私が何を言っても焦凍くんには届かない。だって私は、焦凍くんにとってヴィランに狙われるから守らなきゃという保護対象の存在でしかない。私の言葉はきっと聞こうとしてくれない。もやもやする気持ちともどかしい気持ち。色んな気持ちが私の心を支配する。そんな中始まった第2戦は、焦凍くんと瀬呂くん。
焦凍くんの顔を見たら分かる。多分、おじさんと会ったんだろう。そして、確実に何か言われた。
その表情にはもはや怒りや恨みしか見受けられない。
私に手を焼いてくれる面倒見の良い焦凍くんも、私の心配してくれる優しい焦凍くんも、今はいない。
ただただ、おじさんへの憎悪だけが表出してる。
そんな中始まった焦凍くんの試合。瀬呂くんが開始早々焦凍くんの身体をテープで巻き付け拘束した。
その時、焦凍くんの顔付きが変わり辺りが途端に冷気に包まれた。
足からも氷結を出すことが出来る焦凍くんにはそんな拘束は無意味だったようで氷壁は瀬呂くんのテープを渡りステージの半分を覆い、会場の天井よりも高くそびえ立った。
誰もがその規模の氷壁に、言葉を失った。観客席のどこかから、「もうそこらのプロ以上だよ」なんて言葉も聞こえてきた。
圧倒的な力を見せつけた焦凍くん。
それなのに、凍った瀬呂くんの身体に自身の熱を送り溶かす焦凍くんのその後ろ姿はなぜだかすごく苦しそうに見えた。
焦凍くんの様子が気になったけど、私も負けるわけにはいかないから全力で自分の試合に集中しなきゃ。
マイク「続いては女子同士対決!
元アイドルがヒーロー目指して研鑽中!ヒーロー科風舞莉紗!
バーサス、綺麗なバラには棘がある?!塩崎茨!」
『派手なアナウンスやめて欲しいのに...』
めちゃくちゃインパクトのある紹介の仕方に必要以上に目立つ事を懸念した私は肩を竦めた。現に、あたりからは「イー娘!」「りんりん!」などとライブ中のような掛け声が至る所から聞こえる。
塩崎「私も風舞さんの事はテレビで拝見しておりました」
『あ、ありがとう』
塩崎「ですが、私も負けるわけにはいきませんので手加減はしません」
『それは...』
塩崎さんの宣戦布告に私は不覚にも燃えてしまった。これから始まるのは演習でも授業でもない。
私のヒーローとして初めての戦い!!
マイク「スタート!!!」
『私も同じだよ!』
脚力ブーストで一気に塩崎さんの間合いに詰めた。塩崎さんの個性はあの蔓のような髪を自在に操る事っぽい。だけど、操るためには本人の意志や反応があるに決まってる。つまり塩崎さんが対応できないスピードで攻め立てれば私に勝機がある。全力のブーストで一気に間合いに詰めて...
塩崎「?!」
マイク「おーっと!瞬殺―!!塩崎、成す術なく場外に押し出されたー!!」
ミッドナイト「塩崎さん、場外!勝者、風舞さん!!」
全力の脚力ブーストで塩崎さんの間合いに入り込み一気に場外に向かって塩崎さんの身体を押し出した。塩崎さんは何が起こったかもわかってないよな表情。そりゃそうだ、私だって正直この全力のスピードには身体も目も慣れてないんだから。
塩崎「何もできませんでした...」
『ごめんね。何かされたら勝つの難しそうだったから塩崎さんが何かする前しかチャンスはないと思ってたんだ』
塩崎「悔しいですが、私の完敗です。この後も頑張ってください」
キレイな笑顔で笑いかけて鼓舞をくれる塩崎さん。
『うん!ありがと!』
観客席に戻ると皆が私を労ってくれた。
麗日「莉紗ちゃん、お疲れー!」
『ありがと~』
耳郎「瞬殺じゃん」
『むしろ塩崎さんが動き出してからだと私に勝つ術がなかったよぉ...』
響香ちゃんの隣に腰を下ろしながら焦凍くんの姿を探すけど、A組エリアにはいなかった。
『ねぇ、焦凍くん知らない?』
耳郎「え、見てないけど。誰か轟見た?」
瀬呂「俺との試合の後戻って来た?」
上鳴「いーや?」
誰も焦凍くんが戻って来たところを見ていないって事だからどこか別の場所で試合見てるのかな。
炎司おじさんが見てるから虫の居所悪いんだろうなぁ...。
瀬呂くん戦の時は人でも殺すのかってレベルでイライラしてたし。
目の前で繰り広げられる友人たちの試合。だけど私の頭の中は焦凍くんの事でいっぱいだった。
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