私の道のり
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私は風舞莉紗。
イブニング娘というアイドルグループで小学5年生の時からアイドル活動をしている現役アイドル。
デビューして2年ほどは大きなヒット曲にも恵まれなかったが、これでヒットしなかったらもう活動をやめようと話し合っていた最中に、"LIKEマシーン"という曲でミリオンヒットを飛ばし国民的アイドルと呼ばれるようになった。
おかげで、街を歩けば囲まれ追いかけられ、去年行った東京ドームでのコンサートはチケットが10分で売り切れ満員御礼。
年間休日3日なんて言う多忙な毎日。
義務教育という事もあり、最低限の出席日数は維持しなければならないが本当に最低限。
(未成年のため夜22時以降の仕事は基本的にNG。)
そんな生活をかれこれ4年ほど続け、私はアイドルとしては申し分ない地位を築かせてもらったと思う。
そして中学3年生。進学を考えるタイミングで私は今年、イー娘卒業の決断をした。
昨日、イー娘の冠番組で卒業発表をしてきたばかり。
『焦凍くん!』
基本的に学校に行っても仕事のために早退が多い私はいわゆる当たり前の下校時間に帰ることが少ない。その為、朝は必ず焦凍くんと登校するが帰りは一緒になることはほぼなかった。
轟「莉紗...お前何でこの時間までいるんだ」
だけど、久しぶりの1日オフで丸一日学校にいた私は、下校中の帰り道に見つけた見知ったその人物の後ろ姿。その名を呼ぶと、振り返った紅白のツートンヘアーで端正な顔立ちの彼。
轟焦凍くん。
私の家のお向かいの幼馴染。家族ぐるみで仲がいい。
とは言っても、焦凍くんのお父さんは焦凍君が個性を発現した頃から人が変わったように焦凍くんにとても厳しく訓練するようになってた。
焦凍くんもおじさんと関わるなと言うし、私も近寄りがたくなっておじさんとはあまり関わらなくなった。
小5から芸能界にいる私とは違い、焦凍くんはヒーロー志望。半冷半燃の個性は見た目も派手で、何より強い。
焦凍くんの潜在的なセンスもありヒーローを目指す同世代の中でもきっと焦凍くんは格上なはず。そんな焦凍くんは、ヒーローになるべく雄英高校に推薦が来たらしい。
『今日1日オフでね』
轟「なら、ちゃんと言えよ。危ないだろ」
『ごめんね、言い忘れてた。すぐ焦凍君追いかければ大丈夫かなと思ってたんだけど』
轟「もう少し危機意識持て」
『うん。私さ、イー娘卒業発表したんだー』
轟「あー、発表昨日だったんだな」
『うん、ファンの皆にはめっちゃ止められたよ笑』
轟「だろうな。寂しいのか?」
『え?』
轟「そんな顔してる」
『まあ..イー娘が私の生活の主体だったからねぇ』
轟「お前、進学どうすんだ?」
『ん?近所の高校受けるよ』
轟「イー娘辞めるならヒーロー科進めば良いんじゃないか?」
突如突拍子もなく言いだした焦凍君。
『えぇっ?無理だよー、焦凍くんみたいに鍛錬してきたわけでもないのに』
轟「おばさんに自衛の為にって護身術とか合気道とかめちゃくちゃやらされてただろ」
『それはそうだけど...第一私の個性ヒーロー向きじゃない』
轟「そうか?結構強個性だろ」
『効果としてはね』
そう、私も幼い頃は焦凍くんと一緒にヒーローを目指していた時期もあったにはあった。けど、色々な事情でヒーローを目指すのは断念。
そんな私の個性は「アビリティブースト」
発動条件は"歌"
私の歌を聴いた人のさまざまな能力にバフをかけることができる。
何の能力にバフをかけるかは、歌う歌のジャンルに起因する。
マイクやスピーカーを通せば自分にもバフをかける事は可能。
そして、私の歌に込めるエネルギー量や聴かせる時間によってバフの効力調整も可能。
治癒効果へのバフを持つバラードを歌うと、聞いた人の細胞を活性化させ治癒力を高める。これを還元エネルギーを多くして、高効果で使うと多少の擦り傷や打撲程度なら瞬間治療もできる為治癒に関してはチート個性とプロヒーローの母親に言われたのは一生忘れない。
轟「個性が目立っちまうデメリットはあるかもしれねぇけどヒーロー科入って訓練受けた方が自衛にもなるだろ」
『まあね...でも目立つデメリットの方がデカ過ぎる気がするよ』
轟「けど、もう狙われないとも言い切れないだろ」
『まあ...ね』
轟「じゃあ、ヒーロー科じゃなくてもいい」
『ん?』
轟「普通科でもサポート科でもいいから。雄英入れ」
『....は?』
轟「その方が別の学校よりは一緒にいてやれるし登下校も一緒にしてやれる」
『雄英の偏差値と倍率考えて...私焦凍くんと違って勉強はてんでダメなんだから!』
轟「今日から俺が教えてやる」
『え、そのもう決定事項みたいな流れやめてくれない?』
轟「帰ったらおばさん達とも話し合いするぞ」
そう言って私の手を掴んで歩みのスピードを速めた焦凍君。
『え、ちょっと!』
轟「....強くなる」
『ん?』
轟「俺もお前の事守れるように強くなるから」
『...焦凍くん?』
轟「それまで、待ってろ」
私を強く、優しい目でジッと見つめる焦凍くん。
その目にひどく安心する私。
『焦凍くんはもうとっくに強いよ?』
轟「まだまだ足りねぇ」
向い合せの家にたどり着いた私達。焦凍君は自分の家には入らずにさも当たり前のように私の家に入っていく。
私の雄英進学の話しは両親も大賛成で、3:1となってしまった情勢。3人の言ってる自衛の為のヒーロー科進学は私の覚悟が足りないことと、心の準備が全くもって出来ていない事を除けばもっともであり、私はぐうの音も出ず3人に言い負かされ今日から焦凍くんに勉強を、母親に個性の特訓をしてもらい雄英ヒーロー科を目指すこととなった。
これが私がヒーローを目指すまでの道のり。
そして、私の人生の転換期だった。
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