入学
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今日のヒーロー基礎学は救助訓練のようだけど学校では無い所で行われるとの事で各自コスチュームに着替えて校門前に集合の指示を言い渡され、私もコスチュームに着替えて校門に向かった。そこには1台のバスが停まっていて、飯田くんがめちゃくちゃ張り切って出席番号順に並ぼう、と皆を誘導してる。
『飯田くん、気合い入ってるねぇ』
轟「.........」
他人に興味のない焦凍くんは見向きもせずにバスに乗り込んだ。
しかしバスに乗り込むと公共バスのような作りの座席だった為皆思い思いのまま好きな場所に座った。
『焦凍くん、どこ座る?』
轟「どこでも」
真ん中あたりの2人用座席に焦凍くんが座ったので、私もその隣に座った。座席に座るなり、焦凍くんは窓の淵に肘をかけて顔を支えると目を閉じた。
『もう眠いの?』
轟「ああ」
『昨日寝れなかった?』
轟「いや、朝ロードワークしたからだと思う」
『ストイックだなぁー..真似すべきなんだろうけど私には真似できないや』
そんな会話をしていると気づけばバスは出発していた。
バスの中は途端に賑やかになり前方では個性の話しで盛り上がっていた。
切島「まあ派手で強ぇっつったらやっぱ、轟と爆豪だな!」
蛙吹「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」
緑谷「?!;」
爆豪「んだとゴラァ!出すわ!!」
梅雨ちゃんの言葉に立ち上がりながらキレた爆豪くん。
蛙吹「ほら」
上鳴「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されてるってスゲェよ」
『(クソを、下水で、煮込む....)』
爆豪「テメェのボキャブラリーは何だコラ!!殺すぞ!!」
爆豪くんが怒鳴り散らしてるのがうるさかったらしく、響香ちゃんが後ろを向いて口パクで「うるさい」と言ってきた。
『あはは....(ってか、響香ちゃんよく爆豪くんの隣に座ったなー..)』
相澤「もう着くぞ!いい加減にしとけ」
**
やってきた救助訓練場。そこには、災害救助で活躍している13号が立っていた。
13号の案内で中に入った一行。
砂藤「すっげぇえ!」
上鳴「USJかよ!」
13号「水難事故、土砂災害、火災..etc
あらゆる事故や災害を想定した僕が作った演習場です。その名も、【ウソの(U)災害や(S)事故ルーム(J)】略して、USJ!」
「「「「「『........(ほんとにUSJだった...)』」」」」」
13号「えぇ、始める前にお小言を1つ、2つ...3つ、4つ」
「「「(増える...)」」」
13号「皆さん、ご存じとは思いますが僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んで塵にしてしまいます」
緑谷「その個性でどんな災害からも人を救いあげるんですよね!」
13号「ええ、しかし簡単に人を殺せる力です。みんなの中にもそういう個性がいるでしょう。超人社会は、個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立ってるようには見えます。しかし、1歩間違えれば容易に人を殺せる、行き過ぎる個性を個々が持ってることを忘れないでください。相澤さんの体力テストで自分の秘めている力の可能性を知り、オールマイトの対人訓練でそれを人に向ける危うさを経験したかと思います。この授業では、心機一転人命のために個性をどう活用するか学んでいきます。君たちの力は人を傷つける為にあるのではない、助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいな」
『(人を助ける....私も、助けられるヒーローになりたい!)』
相澤「よし、まずは..」
相澤先生が話し始めたその時USJ内が暗くなった。
相澤「........!!
一塊になって動くな!13号、生徒を守れ」
相澤先生が突然声を張り上げた。一体何が起こったのか分からず、辺りを見回した。
切島「なんだありゃ?」
切島くんが何かに気づいて彼の視線の先を見ると中央広場の噴水の前に黒いモヤがありそこから人がどんどん出てきていた。
切島「また入試の時みたいなもう始まってんぞパターン?」
緑谷が1歩前に出ようとしたその時
相澤「動くな!」
「「「!!!」」」
相澤「あれは、敵(ヴィラン)だ」
上鳴「ヴィラン?!」
切島「ヒーローの学校に入り込んでくるなんて、阿保すぎるぞ!」
八百万「先生、侵入者用センサーは?」
13号「もちろんありますが...」
轟「現れたのはここだけか、それとも学校全体か。どちらにせよセンサーが反応しなかったってことはそういう個性持ちがいるってことだ。校舎と離れた隔離空間。そこにクラスが入る時間割。バカだが、アホじゃねぇ。これは何らかの目的があって、用意周到に画策された奇襲だ」
焦凍くんのその言葉に、クラス一同が言葉を失った。
相澤「13号、避難開始。学校に電話試せ。センサーの対策も頭にあるヴィランだ。電波系の奴が妨害してる可能性もある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」
上鳴「!、しゃ..しゃぁ!」
緑谷「先生は!?1人で戦うんですか?!あの数じゃ、いくら個性を消すって言っても..イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は...」
相澤「一芸だけじゃヒーローは務まらん」
緑谷「え?」
相澤「任せた、13号」
相澤先生はその言葉と共に敵の中に入っていった。
先生は、肉弾戦と個性をうまく使い分けてどんどんと敵を制圧していく。
緑谷「すごい..多対1こそ、先生の得意分野だったんだ」
飯田「分析してる場合じゃない、早く避難を!」
13号先生と一緒に私達は、バスに向かって走った。
「させませんよ」
突如私達の目の前に現れた人の形をした黒いモヤ。
「初めまして、我々はヴィラン連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟 雄英高校に入らせていただいたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして。本来ならば、ここにオールマイトがいらっしゃるはず...ですが、何か変更があったのでしょう。まあ、それとは関係なく私の役目はこれ」
13号先生がブラックホールを発動しようとしたその時、爆豪くんと切島くんが敵の元に飛び込んでいった。
切島「その前に俺たちにやられる事は考えなかったか!!」
だけど爆豪くんと切島くんの攻撃は、もや男の身体をすりぬけ通じなかった。
「危ない危ない....そう、生徒といえど優秀な金の卵。」
13号「ダメだ、どきなさい!二人とも!!」
「私の役目は貴方達を散らしてなぶり殺す!」
気づくと黒いモヤに囲まれた私達。
轟「莉紗!」
焦凍くんが私の名前を呼び腕を引いてくれたのも虚しく2人一緒にモヤの中に引きずり込まれてしまった。
『ここは....』
真っ黒で何も見えないと思ったのも束の間。突然視界が開けて地面が見えた。特撮の戦闘シーンで鍛えた身のこなしは健在で咄嗟に受け身を取り綺麗に着地をすることが出来た。
轟「土砂ゾーンだな。大丈夫か?」
『うん、大丈夫だよ』
「ガキがいたぞ!」
お互いの無事に安心していたのも束の間。
野蛮な声がいくつか聞こえたかと思い振り返ると、5人の敵が目の前に立っていた。
轟「莉紗、下がってろ」
『...私も戦えるよ?もうブーストかけてるし』
轟「そうか」
『まあ...』
「お前らをぶっ殺すのが俺らの仕事だ」
「きっちり仕事させてもらうぜ」
そうファイティングポーズを構えた敵たちだったが動き出すよりも焦凍くんの氷結が敵を捕らえる方が速かったようで、身動き一つ取れなくなった敵。
轟「子供1人に情けねぇな、しっかりしろよ。大人だろ」
『(私が動く必要もないのは分かってたんだけどね...)』
焦凍くんといると自分のあまりの無力さに泣きたくなるほど悲観してしまう事ももちろんあるが、そもそも個性を持て余して過ごしてきた私が焦凍くんと肩並べて戦えるわけないんだけど。
轟「散らして、殺す....か。
言っちゃ悪いがあんたら。どう見ても個性を持て余した輩以上には見受けられねぇよ」
「こ、こいつ...移動してきた途端に...」
「ほんとにガキかよ」
焦凍くんが何かを考えながら氷漬けになっている敵の中に歩いて行った。その焦凍くんに向かって氷結を逃れたのか身を潜めていたらしい素手の男が拳を振り上げて焦凍くんに飛びかかってきていた為、私は焦凍くんの前に出て高く飛びあがると男の脳天に向かって思いっきり足を振り下ろした。
すると今度は焦凍くんの背後から別の男が走ってきて鉄パイプを振り下ろしてきたが焦凍くんはいとも簡単にそれを避け、鉄パイプを掴むと鉄パイプもろとも男を氷漬けにした。
轟「なあ、このままじゃあんたらじわじわと体が壊死していくわけなんだが。俺もヒーロー志望、そんな酷い事はなるべく避けたい。あのオールマイトを殺れるっつー根拠、策って何だ」
冷気を惜しむことなく出した手の平を男の顔の前にかざしながら
聞く焦凍くん。
ヒーロー志望が...脅してる!?
世も末や...なんて能天気な事を思っていたのは、私だけの秘密。
突然の奇襲にあっても私がこうして落ち着いていられるのは、幼いころに経験した3度の誘拐による免疫力もあるけど、焦凍くんが一緒にいる安心感。それが一番、かな。
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