Season4
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進もうとした時突然道がうねり始めあろうことか道が変形していく。
「治崎じゃねぇ!逸脱してる。本部長の入中だ!入中の個性は、物の中に入り自由自在に操る擬態!地下を形成するコンクリに入りこんで生き迷宮となってるんだ」
ロック「規模が大きすぎるぞ!奴が入り操れるのはせいぜい冷蔵庫の大きさまでと!」
ファット「かなり強めにブーストさせればない話しじゃあないか」
皆がこの場をどう収めるか決めあぐねているところに通形が、ただの時間稼ぎだと先を走り壁をすり抜けながら1人で進んでいった。
皆が現状を回避する方法を各々に考えていると突然、地面に穴が開き地面に落とされた。
緑谷「広間?」
ロック「ますます目的から遠のいたぞ!良いようにやられてんじゃねぇか」
「おーいおいおいおい、空から国家権力が落ちてきやがった。不思議な事もあるもんだ」
一行の目の前には白マスクをした男、刀を持つ金髪、ナイトメアのような容貌をした男の3人が立ちはだかった。
ファット「よっぽど全面戦争したいらしいな。さすがにそろそろプロの力を見せつけて..」
指を鳴らしながら気合を入れるファットガムの前で腕を伸ばし制止させた天喰。
天喰「そのプロの力は目的の為に...。
こんな時間稼ぎ要員、俺1人で十分だ!」
「
「バーレてんのか、まあいいや。暴れやすくなるだけだ!!」
相澤「ならないぞ!刀捨てろ!」
すかさず相澤が目の前の3人を目視で捉え、個性を抹消した。
「個性を消す。壊理の劣化個性。そういうヒーローが存在するとは聞いた事がある。だが、関係ない。我々がすべき事は、"阻む"。その一点のみ!」
白マスクの男が銃をこちらに向けた。
ファット「刀も銃弾も俺の身体に沈むだけや!!大人しく捕まったほうが身のためやぞ!」
「そういう脅しは命が惜しい奴にしか効かねぇんだよ!!」
吠える敵が動き出す前に天喰が自身の身体をタコ化して3人を捕縛した。
天喰「こいつらは俺が相手します!ファット事務所でたこ焼き三昧だったからタコの熟練度は極まってるし、以前撃たれたことでこういう物には敏感になってる」
そう言いながら天喰は敵から奪い取った刀や銃を破壊した。
天喰「こいつらは相手にするだけムダだ。何人ものプロヒーローがこの場に留まっているこの状況がもう、思うツボだ。イレイザー筆頭にプロの個性はこの先に取っておくべきだ!蠢く地下を突破するパワーも、拳銃を持つ警官も...
ファットガム!俺なら1人で3人完封出来る!!」
ファット「.......行くぞ!あの扉や」
切島「ファット?」
相澤が瞬きした瞬間に切野が手を伸ばした。相澤はすかさず個性を発動し、ナイトメアのような様相の男の首を払い地面に叩きつけた。
相澤「天喰!3人を見といた。効果がある間に動きを止めろ」
天喰「皆さん!ミリオを頼むよ。あいつは絶対無理をするから、助けてやってくれ」
『分かりました、先輩。ここ頼みます』
**
周りが天喰1人残す事をファットに問い詰めるも、ファットは意志を曲げることはなくむしろ天喰の実力はこの場の誰よりも上だが、心が弱いだけだと告げた。
ファット「完璧にやらなあかんっちゅうプレッシャーで自分を押しつぶしとった。そんな状態であいつは雄英のビッグ3に昇りつめた。そんな人間が、完封できる宣言したんや!ほんなら任せるしかないやろ!!」
ウィン「確かに、そんな子が自分なら出来ると言える心のモチベーションを今持っているんだとしたらその実力は未知数で恐ろしいわ」
『うん。私は天喰先輩を信じる』
緑谷「うん!」
切島「そうだな、天喰先輩の漢気。俺も信じるぜ!」
そこに、突然前方から何かの物体が飛んできた。
ウィン「スピントルネード!」
『竜巻旋風陣!』
風使いの2人が飛んできた物を風でいなした。飛んできたものの破片が2人の近くに散らばった。
ウィン「これは、土?」
『土を操る個性?』
すると今度は大きな土の壁が前方からこちらに向かって近づいてきた。
『緑谷!切島!』
緑谷「うん!」
切島「おう!」
3人が、先ほど壁を破壊した時と同じようにそれぞれの必殺技でこちらに近づいてくる土の壁を壊した。
すると壁の向こうに人の姿が見えた為莉紗が敵を粘着糸で捕獲し思いきり引き自分達の後方に投げ飛ばし相澤が個性を消した。
『(治崎との戦闘に先生の個性は必須。この先もどんな個性持ちが待ち構わえてるかわからないから人員は裂けない。奴の個性が土なら"自然"個性でなんとかなるか....
いや、絶対行ける)』
「奴は土積 形太(ドセキ ケイタ)だ!個性は土操(ドソウ)!土を自在に操る個性だ!四角にしか形成できないうえ、土を作ることは出来ないから一面コンクリのこの場で奴の個性は十分発揮されないはずだが...」
ウィン「事前対策でどこかに武器を隠してあったんじゃない?」
ファット「次から次へと邪魔しおって...よっぽどどつかれたいようやな」
『.....相澤先生、私あいつやれます』
相澤「風舞...?」
『奴の個性、私の個性ならいなせるしおばあちゃんの個性なら奴の個性自体抑えられる』
相澤「それはそうかもしれないが...」
相手の個性から考えるとごてごての遠距離タイプであろう敵に、今残ってるメンバーの個性で一番相性が良いのは莉紗とウィンドリアであることは相澤も理解はしている。
そのうえ、莉紗には"自然"の個性もあるし、元々戦略を練るのが得意。期末試験で自分のその特性を認識した今となっては、クラスの中でも重要な司令塔となりつつある彼女は、この場では最も適任と言えるだろう。
しかし、だからと言って既にプロと同等の力量と経験を持つ雄英ビッグ3はともかく、ついこの間仮免を取ったばかり...かつ、大々的にヴィランに誘拐された彼女を1人残し託すのはどうかと相澤は渋った。
まして、彼女も案外無茶しいな部分がある。
緑谷から聞いた合宿での奇襲時の話しも懸念だった。彼女が、自分は風で毒ガスをいなせるからとヴィランがどこに潜んでいるかもわからない森の中にたった一人で仲間を助けに行ったそうじゃないか。
彼女も存外自己犠牲を働いて周囲の人間を守ろうとする、疑うまでもない根っからのヒーロー気質。
『無茶するつもりはないです。でも、勝てる確信が私の中にある。もう、戦略は出来上がってます』
まるで自分が無茶するかもしれない事を懸念していた相澤の心情を察したのか。相澤が彼女に視線を移してみるも、どう追い詰められて無茶しようとしてる奴の顔ではない。
彼女は強い自信を持って、今この場を任せて欲しいと決意を秘めた瞳で言うそのサマに相澤は信じてやりたい気持ちの方が強まり、隣に立つ彼女の母を見た。
相澤「...ウィンドリアさん」
ウィン「ええ、うちの子ははったりでこんな事言う子じゃない。
莉紗、一緒に戦おう」
『..うん』
相澤は膝を曲げ莉紗に視線を合わせると彼女の肩に手を置いた。
相澤「風舞、会見で言った事。俺は間違ってないと思ってる」
『え?』
相澤から突如言われた言葉に莉紗の頭には神野事件の時に記者会見で相澤が自分について話していた言葉達が浮かんだ。
相澤「風舞莉紗という生徒は、周囲の人間のために自分が何をすべき...自分がどうあるべきかそれを考え自分で行動出来る。それが彼女の最大の武器であり、ヒーローとしての素質だと私は考えております」
相澤「自分がどうすべきかお前自身の頭でしっかり考えて行動しろ」
『相澤先生...』
相澤「勝てよ、ウィンディ」
『!』
相澤に呼ばれたヒーロー名。
それは相澤が生徒としてではなくヒーローとして、自分を信じこの場を託そうとしているという事に気づき莉紗は胸が熱くなった。
『....はい!!』
相澤「奴の個性は抹消しといた」
サー「ウィンドリアさん、ウィンディ。この場は任せました」
ウィンドリア「ええ」
『はい!』
ナイトアイたちが先に進み走り出した。しかし皆と共に一度は走り出した切島が莉紗の元に振り返り近づいてきた。
『切島?』
切島「その...無理すんなよ、風舞」
『え?』
身を案じてくれている切島の表情はどこか不安げで単に自分の身を案じているわけじゃないと言う事に莉紗はすぐに気づいた。
切島「合宿の時さ。お前が連れていかれた後、轟の奴...今にもビルから飛び降りるんじゃねぇかってくらい憔悴しててさ」
『...........』
莉紗には切島の言葉がなんとなく理解できた。
何故ならワープゲートの中に引きずりこまれそうになった時の轟の顔が、莉紗の脳裏にくっきりと残るほどに絶望的な顔をしていたからだ。
切島「お前になんかあったら...」
『分かってる』
切島「え...」
『ワープゲートに引きずりこまれた時の顔、見てたから。あんな顔、もうさせない....絶対に』
切島「風舞...」
切島の目に映る莉紗ははっきりとそう言い切り、凛としていて安心感すら与えてくれる強さを感じさせた。
切島「..おう。風舞!ここ、頼んだぜ!」
『うん、切島たちも気を付けて』
-莉紗side-
皆の後ろ姿を見送ると後方にいる敵に視線をやった。
ウィン「焦凍ちゃんにも冬美ちゃんにもなっちゃんにも。これ以上心配かけらんないもんね」
『ん』
ウィン「それで、莉紗の作戦は?」
『..奴に土を使わせない』
相澤先生の個性が切れる前に先手を打たなければ。そう思った私は地面に手をついた。
ウィンドリア「使わせないって?」
『奴の個性発動を妨害する』
母さんの疑問に返答しながら意識を集中させ自然個性を発動した。
辺りの土は私の意識に合わせて周囲に集まってきた。
ここ数ヶ月で発現し、訓練を始めた個性。実戦レベルに達したとは言え、似たような個性を前にすれば素人同然レベルだ。
まだ流ちゃんの土流みたいな扱い方は出来ないし、土の操作技術で言えば相手の方が俄然上のハズ。
同じ系統の個性で戦っても私が不利なだけ。
だから、まず私がすることは相手の個性の発動を妨害する事。
そう考えた私は、今度は水に意識を集中させた。だけど、水のないところで水を出すには自分の体内や空気中の水分を集めなきゃならないから必然発動まで時間を要する。
『先生の抹消が切れたら時間稼ぎお願い』
ウィンドリア「分かったわ」
土積は私の粘着糸で拘束されながらも個性の発動確認をしている素振りを見せる。
土積「見たことある顔だと思ってたら、トップヒーローのウィンドリアと神野事件の時に誘拐されてたウィンドリアの娘か」
ウィンドリア「存じてくれてて嬉しいわ」
土積「まだ学生の娘連れてくるとはな。随分テメェの娘を買ってるじぇねぇか」
ウィンドリア「当然、実力はエンデヴァーのお墨付きよ」
土積「へぇ、そりゃすげーや!!」
そう叫んだ土積は相澤先生の個性が切れたのか、私の周囲にあった土を自分の元に寄せ集め始めた。しかし...。
土積「何だ...随分土が重てぇ」
『水を含んでるからね』
土積は大きな土の塊を投げつけてこようとしたらしいが私がかき集め水を含ませておいた土は重量を持ち、扱いにくくなったのか先ほどよりも質量と勢いが低下していた。
『水分量の多い土は形成しやすいけど扱いにくいでしょ』
手が使えなくても個性は発動出来るようなので私は敵が個性を発動する隙を与えないように突風と竜巻を交互に放った。
ウィン「やる〜。考えて戦うのはお父さん譲りだね」
『そうなの?』
ウィン「母さんはあんまり考えないで動いちゃうタイプだからさ」
『へぇ』
土積「風の個性と水を操る個性か。相性が悪いな。けどな、こちとら人生かかってんだ。こんなおばさんと小娘に邪魔されるわけにいかねぇんだよ!」
そう言って土積は自分の首に何かの注射を打った。
『あれってまさか...』
ウィン「ブースト薬ね」
注射の効果なのか、どんどんとその身体は異形化していく。
筋肉が異常な程に膨れ上がり身体の大きさは先ほどの1.5倍ほどまでになった。土積は莉紗の粘着糸を力づくで引きちぎると大きな四角形に形勢した土を投げつけてきた。
『旋風拳!』
風を纏った拳が土積の放った土の塊を破壊した。あたりには壊された土片などが飛び散ったがウィンドリアが突風で土積の方へ吹き飛ばした。しかし、土積の元に届くまでに土は再び土積の元で今度は大きな球体となって形成されていく。
『ブーストのおかげで丸くも出来るようになってる』
ウィンドリア「個性だけじゃない。奴の素の力も上がってるはずよ、気を付けて」
大きな球体は二人に襲い掛かるように転がってきた。
莉紗は再び破壊しようと風を纏った拳を突き当てたがヒビすら入らず、あろうことかこちらを押し込むパワーに負けそうになり一度球体から離れ距離を取った。
『強度が増してる..』
ウィンドリア「風で押し返すには難しい質量だし、難航しそうね」
『(技術がどうの言ってられない...がむしゃらでやらないと追い込まれる)
だったら!!』
今度は自然の個性で土を操ろうとする莉紗。相手が形成した土の球体の素材を我が物にしようと自身のエネルギーを土に付加していく。
すると球体はまたたく間にバラバラとなって莉紗の元に吸い寄せられるように集まっていく。
ウィンドリア「スピントルネード!!」
ある程度莉紗の元に土が集まると今度は土積に向かってウィンドリアは突風を放ちその風に自身の体を乗せ土積の懐に飛び込んだ。
ウィンドリア「ジャスティスウィンド!」
そして、莉紗が出す竜巻とは比べ物にならないほどの激しい回転の竜巻に土積を巻き込んだ。
ウィンドリア「普通の人間ならこれに巻き込まれたらまともに動けなくなるはずだけど」
『その回転数どうしたら出せるの?』
自分が放つ竜巻の回転とはケタ違いの激しさに無意識に疑問を口にしていた莉紗。
ウィンドリア「え?聞いてくれるの?」
『や、聞いてくれるの?じゃなくて聞いたの』
ウィンドリア「...........」
『.....何』
ウィンドリア「莉紗がお母さんに、技の事で質問してくれると思わなかった...。ありがとう」
嬉しそうな表情を浮かべて言うウィンドリアとは反対に、莉紗はバツの悪そうな表情を浮かべた。
『...敵に集中する』
ウィンドリア「終わったらちゃんと教えるね」
『...ん』
そんな親子らしい会話をしていた2人の背後から、死角が襲った。
『!?』
ウィンドリア「!?」
いくつもの鋭利なものが二人の体を貫いた。
2人共、かろうじて急所は避けているが二人とも体中に何かが刺さっている感覚がした為刺さっているものの正体を確認した。
『つ、ち..?』
それは土で作られたまるでナイフのような形状のもの。
『こんな、形状まで....』
ウィンドリア「ブースト薬のおかげね。平衡感覚もなくなってる、であろうあの、中で...グッ、正確に私達の体を、狙って..」
不意打ちの攻撃でウィンドリアの風は解除されてしまい、土積の身体は地面にドスンと大きな音を立てて落ちた。
そして、ゆっくりと立ち上がった。
『あれに、巻き込まれて...何で』
ウィンドリア「まともに、立てんのよ」
ゆっくりと立ち上がった土積。
竜巻の中で激しく脳を揺さぶられていたとは思えない程に真っすぐ立ち上がる土積に二人はにわかには信じられず目を見開いた。
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