Season4
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壊理ちゃん救出任務に向け、緑谷達インターン組はサー・ナイトアイとプロヒーロー達が死穢八斎會若頭である治崎と壊理ちゃんの居場所を特定するまでの間待機となった。また、インターンに関しては一切の口外を禁止とされた。
耳郎「インターン組、動きがキレてる..」
セメントスお手製絶壁の僅かな溝や隙間を使い頂上まで己の肉体だけで登っていく今日の訓練。
現場活動に一早く出ているインターン組の動きが明らかに以前と違うため、クラスメイト達が目を見開いた。
爆豪「外で何か掴みやがったんだ..
コラおい!何やったんだ!言え!!」
切島「悪りぃ!言えねぇ!」
今、絶壁を昇っている最中の切島が登りながら爆豪に告げた。その近くで同じように壁を登る麗日。
一足先に登り終わった緑谷、風舞、蛙吹も箝口令を敷かれた以上何も言えず口を閉ざした。
**
授業を終えて昼食を取りに食堂に来た私。焦凍くんと別れてからは焦凍くんは緑谷や飯田と、私はお茶子ちゃんや梅雨ちゃんと一緒に食べる事が多かったけどお茶子ちゃんと梅雨ちゃんは午後からインターン活動の為に早退したから今日は久しぶりに1人で食べることにした。
最近の私の頭の中はミッションの事ばかりだ。
私達は、何を期待されて今回のミッションに呼ばれたんだろう。
学生の経験値稼ぎ?それにしてはリスキー過ぎる気がする。
私に至ってはヴィランに狙われた経緯がある。ロックロックが口にした懸念は嫌味でもなんでもない。
もし、また私がヴィランに捕まるようなことがあればミッションに招集したプロヒーロー達もミッションへの参加を許可した学校側も責任を問われる。親だって、世間的に色々言われるはず。
そんなリスクを犯してまで私達を参加させる意義って一体...。
「くん....風舞くん!」
『!』
自分の世界に入り込み考え込んでいて全く気づかなかったが目の前には緑谷と飯田、焦凍くんが食事の乗ったトレーを持ち目の前に立っていた。
飯田「大丈夫か?ボーッとしていたようだが」
『あ、うん。ちょっと考え事』
飯田「そうか、それならいいが」
轟「1人か?」
『あ、うん。お茶子ちゃんと梅雨ちゃんインターン行ったから』
飯田「そうだったのか。せっかくだから一緒にいいかい?」
『あ、どうぞどうぞ』
私の向かい側に座った男子3人。
いつもと変わらず食事を始めた飯田や焦凍くんと違い緑谷が中々食べ始めず俯いたまま動かない。
『(緑谷、思い詰めてるな...)』
轟「食わねぇのか?」
中々食べ始めない緑谷に焦凍くんが不思議そうに声をかけると慌てたように箸を手にした。
緑谷「あ、く、食うよ!く、食う!!」
飯田「大丈夫か?」
若干裏返り気味の声に飯田が疑問符を浮かべ緑谷を気遣った。
轟「インターン入ってから浮かない顔が続いてる」
『(壊理ちゃんの事気になって仕方ないんだろうなぁ)』
緑谷「そ、そうかなっ?!.....っ」
明らかに空元気を見せる緑谷に飯田も焦凍くんも思わず緑谷を見た。
飯田「本当にどうしようもなくなったら言ってくれ、友達だろ?」
緑谷「!!」
その言葉は緑谷が職場体験に行く前に飯田にかけていた言葉だった。
飯田「いつかの愚かな俺に、君がかけてくれた言葉さ。職場体験前の」
問い詰めるわけでもそっとしておくわけでもない。飯田から紡がれた気遣いの言葉に緑谷が俯きながら涙を流し始めた。
飯田「うぉぉっ!?おいっ!」
轟「緑谷....」
緑谷「ごめん、大丈夫...何でもない...」
そう言っておもむろにカツ丼を口の中にかき込むと、力強い表情で涙を拭いた。
緑谷「っ、ヒーローは泣かない!」
轟「いや...ヒーローも泣く時は泣くだろ。多分」
『(焦凍くん....)』
焦凍くんの口から出た言葉が意外で私は思わず焦凍くんを見た。その表情は穏やかで、入学の時と比べすっかり丸くなった焦凍くんが友人を励まそうとしているのを見て思わず嬉しくなった。
『(そうだよね、焦凍くんは元々すごく優しい人だもんね)』
目の前で落ち込んだ緑谷に焦凍くんが蕎麦を、飯田がビーフシチューを分けている何とも微笑ましい光景に思わずクスッと笑った。そんな私に気づいた焦凍くんが、私を見た。
轟「大丈夫か?」
『え?』
轟「お前も元気なかっただろ」
『あ....や、そーかな?』
轟「何かあるなら言えよ。話しくらい聞く」
そう言って、焦凍くんは自分の蕎麦定食についていた、漬物を箸で掴むと私のお茶碗に乗せた。
焦凍くんだって漬物好きなくせに...私が漬物好きなの知ってて励まそうとしてるんだ。
この人は、ホントに....。これで、離れてるつもりなのかな。距離感が分からない人だなーなんて思いながらも焦凍くんのその言葉が嬉しくて小さく笑って答えた。
『うん...ありがと』
**
翌日の深夜。寮の共有スペースには各々スマホを片手にした私を含めた常闇以外のインターン組が集合していた。
切島「皆、来たか?」
麗日「うん」
蛙吹「来たわ」
『やっと、だね』
緑谷「...決行日」
夜が明けたらいよいよ戦いが始まる。
万全な状態で望むために就寝する事にした。
『いよいよ...』
私に何が出来るのか...
私に出来ることはどれほどの物なのか...
それは考えても考えても答えは出ない。
だけど、学生といえど参加を決めた以上は私達はヒーローとしてその場に立つ。
合宿の時のように易々と敵の手に落ちない。それは最低条件だ。
誰かの助けをただ待つだけの神野の時とは違う。
今回は助けられる側じゃない。
敵の手の中にいる小さな女の子を私たちが助ける。
その為に自分達に出来ることを自分達で考えて精一杯やる。
それしかないけど、それが1番大事なんだ。
焦凍くんが迎えに来てくれた時に、私も焦凍くんに恥じないように。
私に出来ることをやり抜く。
私は心にそう決めて、焦凍くんに一言だけメッセージを送って眠りについた。
**
瀬呂「九州行ってる常闇は当然として、他のインターン組も全員公欠か〜」
尾白「緑谷さ、ここんとこ様子変だった」
瀬呂「今朝特に変だった!」
尾白「うん、ものすごく真剣な表情で...鯵、見つめてた」
瀬呂「緑谷だけじゃねーよ。切島も麗日も梅雨ちゃんも、みんな思い詰めた表情して。風舞なんて爆豪に絡まれてんのに苦笑いだけしてスルーしてたぜ?」
上鳴「確かに、風舞も最近全然覇気なかったよなー」
朝食を終えた3人が共有スペースでそんな会話をしているのを食事をしながら俺は背中で聞いていた。
莉紗の奴...最近のあの顔、かなり自分の事追い詰めてたな。
俺は、最近の莉紗の様子を思い返しすぐ近くに置いておいたスマホに表示された深夜に彼女から送られて来ていたメッセージにそっと視線をやった。
【私も、頑張ってくるね】
見ればインターン活動へのただの意気込みのようにも見えるがそうではないとすぐわかったがそれを知る術は今はない。
莉紗は状況判断力は抜群だがいかんせん誰かの為に無茶してしまう所がある。
俺が懸念した所でどうにもならねぇが、莉紗。
無茶だけはするなよ。
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ロック「はぁ?!壊理って子が本拠地にいる?!」
ファット「本拠地っちゅうことは..」
リューキュウ「八斎會のトップ、組長の屋敷ね」
ロック「何だよ、俺たちの調査は無駄だったわけか...」
サー「いえ、新たな情報も得られました」
ファット「どうやって確信に?!」
サー「八斎會の構成員が先日近くのデパートにて女児向けの玩具を購入していました」
『(あ、プリユアだ..)』
ファット「は..?何じゃそりゃ。そういう趣味の人かもしれへんやろ。世界は広いんやで、ナイトアイ。ちゅーか、なんでお前も買うとうねん!」
サー「いえ、そういう趣味を持つ人間ならば確実に言わないセリフを吐いていた」
サー・ナイトアイが見たその男は、今はもう終わっている昔のシリーズの名前を口にし、店員に場所を聞いていた。
クロだと目をつけたサー・ナイトアイは個性を使い男の未来を見た所、そこで買ったプリユアのオモチャを壊理に渡す映像が映し出された。壊理の居場所を特定出来た、すなわち実行に移す時が来た。
AM8:00
警察署前
「ナイトアイが、八斎會構成員のその後を見た結果。八斎會組長宅には、届け出のない入り組んだ地下施設が存在しその中の一室に今回の目的である女児が匿われている事が確定した。さすがに地下全体を把握することは叶わなかったが、男の歩いた道はそのまま目的への最短ルートであり八斎會の広い敷地を捜索するにあたって最も有益な情報となる。しかし、目指すにしても個性を屈されれば捜索は難航する。そこで、分かる範囲でだが、八斎會の登録個性をリストアップしておいた。頭に入れといてくれ。隠蔽の時間を与えぬ為にも、全構成員の確認、可能な限り迅速に行いたい」
切島「決まったら速いっすね!!」
天喰「君..朝から元気だな...」
麗日「~っ、緊張してきたぁ..!」
蛙吹「探偵業のようなことから警察との協力。知らないことだらけ」
波動「ね、不思議だね!」
リューキュウ「そうね、こういうのって学校じゃ深く教えてくれなくて新人時代苦労したよ」
切島「プロはみんな落ち着いてんな」
ウィンドリア「緊張してる?」
様々な反応を示す友人達をぼんやり眺めていた私に母さんが聞いてきた。
『思った以上に落ち着いてる』
ウィンドリア「そっか。度胸があるのは私譲りね」
『そうなの?』
ウィンドリア「お父さんは炎司くんに負けず劣らずの強面顔のくせに結構臆病なんだよね」
『へぇ』
ウィンドリア「...あんな怖い思いした娘をこんな場所に連れてきて、酷い親だと思うよね」
『...........』
ウィンドリア「でも、本気でヒーローを目指す莉紗に私達がしてあげられる事って経験させてあげる事くらいだから。
ちゃんと、守るよ。もちろん。親として」
以前とは違う母さんの表情。
昔は見せたことの無かった、心配そうな...どことなく不安そうな表情。
冷たく見下ろす顔しか見たことがなかった。だからこそ本当に変わったんだ、と実感する。
『.... 選択肢を与えただけでしょ。私は、自分の意志でここにいる』
ウィンドリア「莉紗....ありがとう」
「ヒーロー!多少手荒になっても仕方ない。少しでも怪しい素振りや反抗の意思が見えたら素早い対応を頼むよ。相手は仮にも今日まで生き抜いた極道共。くれぐれも気を緩めずに各員の仕事を全うして欲しい」
警察達がヒーロー側に向けて右手で敬礼をした。
「突撃開始時刻は、マルハチサンマルとする!!総員、出動!」
そして、時は進み突撃開始時刻となった。
八斎會組長宅前に警察とヒーローの連携チームが集合。
「礼状読み上げたらダーッと行くんで、速やかにお願いします」
ロック「しつこいな、信用されてねぇのか」
ファット「そういう意味やないやろ、意地悪やな」
『あのヒーロー、ホント性格悪』
ウィンドリア「こらこら...苦笑」
ロック「そもそもよ、極道なんてコソコソ生きる日陰者だ。ヒーローや警察見て案外縮こまっちまったりしてな」
ドォンっ!!
突如響いた大きな物音。
警察が、インターホンを鳴らして突入しようとしたところに人とは思えない程の巨体の男がドアをぶち破って出てきた。
ドアの近くにいた警察たちが吹き飛ばされ、それを相澤は捕縛布で、緑谷がフルカウルで咄嗟に抱き止め、莉紗は粘着糸で吹き飛ばされた警察を保護した。
ウィンドリア「案外そうでもないわよ。誇り持って極道世界で生きてる奴らもいるからね」
「何なんですか?朝から大人数で」
多くのプロヒーローや警察に囲まれているにも関わらず、焦る様子もなく呟く大男。
ロック「おいおいおい!待て待て!勘づかれたのかよ!!」
大男は拳を振り上げると辺りには突風が吹くほどの衝撃波が伝わった。
リューキュウ「離れて!」
リューキュウが個性を発動しドラゴン化し大男の拳を取り押さえた。
リューキュウ「とりあえず、ここに人員を割くのは違うでしょ。彼はリューキュウ事務所で対処します!みなさんは、今のうちに!」
ウィンドリア「リューキュウ!頼んだわよ!」
リューキュウ「ええ!」
ウィンドリア「莉紗...いえ、ウィンディ!行くわよ!」
『はい!』
先に突入していった警察やヒーローたちを追うようにウィンドリアと莉紗も走って中に入っていった。
しばらく走っていると、サーナイトアイが通路の途中にある掛け軸の前で立ち止まった。そこにおいてある花瓶をどかし、板敷を順番に押さえると隠し扉が開いた。
「何じゃーテメェらぁああ!!」
扉の中から3人の男が飛び出してきた。
センチ「バブルガール!!1人頼む!!」
センチピーラーが触覚で2人を捕獲し、バブルガールが1人の男をシャボン玉で目つぶししてそのまま取り押さえた。
バブル「追ってこないよう大人しくさせます!先行ってください!すぐ合流します!」
サー「行くぞ!」
サーナイトアイを筆頭に隠し扉の中に入りひた走った。
しかし、飛び出した先は行き止まりだった。
「行き止まりじゃねぇか。道、合ってんだよな?」
ロック「説明しろ!ナイトアイ!」
通形「俺、見てきます」
切島「ルミリオンさん!待って!またマッパに..」
『気にするとこそこ?』
天喰「大丈夫、ミリオのコスチュームは奴の毛髪から作られた特注の繊維だ。発動時、同時透過するように作られている」
通形は行き止まりの壁を透過して壁の先を確認した。
通形「壁で塞いであるだけです!ただ、かなり厚い壁です」
ロック「治崎の分解して治すのはこういう事も可能か」
ファット「小細工を」
『けど、分かりやすいトラップ残してくれてるな』
緑谷「うん、来られたら困るって言ってるようなもんだ」
切島「そうだな。妨害出来てるつもりなら、めでてぇな!!」
『緑谷、切島!3人で一点集中!』
緑谷「うん!」
切島「おう!」
3人がそれぞれの必殺技で壁の破壊に取り掛かった。
緑谷「シュートスタイル!」
切島「烈怒頑斗裂屠!!」
『旋風拳!!』
3人のパワーが壁の中心付近に集中し、一発で壁を破壊することが出来た。
ロック「ちったぁやるじゃねぇか」
ファット「先越されたわぁ」
通形「進みましょう」
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