Season4
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私は学校を公欠しておじさまに連れて行ってもらい役所に個性届を提出した後エンデヴァー事務所にインターン活動にやってきた。
エンデヴァー「改めてよく来たな、莉紗」
『よろしくお願いします』
エンデヴァー「今回は焦凍が来れないからお前も来ないと思っていた」
焦凍くんにくっついてきてると思われていたのか、私。
『職場体験の時は別に焦凍くんが来るからついてきてたわけじゃないですよ。今回も、ただひたすら実戦経験積みたかったので』
エンデヴァー「そうか..お前なら経験を積めば必ず立派なヒーローになれる」
『...ありがとうございま、す?』
私、褒められた?何かすごい意外すぎてポカンとしてしまったけど私のそんな表情にもエンデヴァーは気にする様子を見せない。
エンデヴァー「そうと決まれば、早速パトロールに行くぞ。コスチュームに着替えろ」
『はい』
私はエンデヴァーと一緒に街のパトロールに繰り出した。
ヒーローオタクの緑谷いわく、多くのヒーロー事務所は活動ジャンルや場所を絞ってそれに合わせてヒーローを揃える事務所がほとんどだがエンデヴァー事務所は活動ジャンルを問わない。
救助、災害、事件、事故、ヴィラン退治...どんな事にも対応する為に多種多様なヒーローが在籍しているために多ジャンルの経験を積むには持ってこいの場所なんだとか。
つまりそう言った背景が、オールマイトをも常に凌駕し続けていたエンデヴァーの圧倒的な依頼達成数に繋がっているのだろう。
エンデヴァー「お前は希望する活動ジャンルはあるか?」
『いえ、なるべく多くの事が出来るようになりたいかなって』
エンデヴァー「そうか、その思考はウチに適任だ。
我が事務所は、災害救助、民事刑事事件、事故、ヴィラン退治どんな場所にもトラブルがあれば駆けつける。それ故にどんな状況でも対応する多岐に渡る対応技術や知識に加え、判断能力も必要になってくる。生半可では務まらんぞ」
『..望むところです』
私の覚悟を確認したのだろう。
気迫を込めて言ったおじさまの言葉に私も負けじと返した。
エンデヴァー「まあおそらくお前はある程度は培われているだろうがな」
『? 何でですか?』
エンデヴァー「あのグルーガンの事だ。お前の特訓に派遣していたサイドキック達もただその時手が空いているからと言う理由でランダムに送っていたわけではなかろう。奴は学生時代から他者の潜在能力や弱点を見抜く能力に長けていた」
『..............』
エンデヴァー「莉紗..いや、ウィンディ。早速事件だ」
『え?』
そう言うや否やおじさまは走り出した。
私も遅れまいとダッシュウィンドを放ちおじさまを追いかけた。
『(個性の性質上私の方が速く走れるはずなのに、全然追いつかない...)』
職場体験の時にはある程度私達に合わせて動いていた為そのスピードを体感することが出来なかったけど、今実感する。私が出せる最高速度をダッシュウィンドを用いて出しているはずなのにエンデヴァーの背中は全く近づく気配がない。
『(炎の噴射圧だけであんなスピード出せるもんなのか...しかも、今何を察知して事件を感知したの?)』
ようやくエンデヴァーの動きが止まってその場所に目をやると車が1台横転している光景があった。
『(これを、あの距離から察知したの?)』
職場体験の時はある程度範囲を絞ったうえでの活動だったのにも関わずエンデヴァーのその事件への嗅覚には感服していたけど、今回はその時の比じゃない。
心底思う。
NO.1は伊達じゃない。
オールマイトの引退でNo.1になれたわけじゃない。
この人も、ちゃんとNo.1としての才覚がある。
結局その事故は、軽自動車がわき見運転をした際に自転車にぶつかりそうになって急ブレーキをかけながらハンドルを急に切ってしまい横転したために後続者が急ブレーキをかけその後ろの車が玉突きしてしまった事故だった。
エンデヴァー「よし、後は警察に任せて俺たちは引き続きパトロールだ」
『エンデヴァー、さっき何を察知して事故を嗅ぎ付けたんですか?』
エンデヴァー「車の急ブレーキの音の後に衝撃音が鳴り、人の動きが変わった。この場合は大抵事故だ」
聴覚に感服すべきなのか、空気を読む鋭さに感服すべきなのか...。
エンデヴァー「さあ、行くぞ」
『はい』
だけどそこまで空気読めるのに家庭内の空気は読めなかったものか...。
結局その日は、8時間の活動のうち13件のトラブル対応を経験した。
エンデヴァー「今日はこれくらいにする」
『ありがとうございました』
エンデヴァー「学校まで送ろう」
『あー、でもどっかで買い物したいんで』
エンデヴァー「買い物?」
『夜ご飯、今日は買って行こうかなって』
エンデヴァー「そうか...」
そう私が答えるとエンデヴァーが悩む素振りをした。
エンデヴァー「..お前が良ければ、だな」
『?』
エンデヴァー「飯を食いに行かないか?お前と話したいことがある」
突拍子もなく言われたその言葉は意外過ぎる言葉だった。
けど、私を焦凍くんの個性婚の相手にしたがっていたわけだし私がどんな人間なのか焦凍くんにふさわしいかどうか見定めようとしているのかもしれない。
『話したい事...それいい話し?悪い話し?』
エンデヴァー「良いか悪いかは...そうだな。お前がどう思うか、だが。まあ、何だ。昔話だ」
昔話...と言われて自分の予想が外れたけれど、改まって昔話をするには私とエンデヴァーの間には良い思い出なんか無さすぎる。
けれど、何故だろう。気まずそうに聞くエンデヴァーが、どこか言いにくい話しをするときの焦凍くんに見えて断るのも忍びなく思えてしまった。
『いい、ですけど』
エンデヴァー「そうか、何が食べたい。お前が食べたいものを食わせてやろう」
『んー....あ。お寿司』
エンデヴァー「ああ、なら美味い寿司屋がある」
**
エンデヴァーに連れられ来たのは絶対に一般人が立ち入れなさそうなVIP御用達という雰囲気の寿司屋だった。
だって入り口で金色の会員カードっぽいの出してたし、無駄に全席個室だし。
エンデヴァー「好きに頼んでいい」
『はーい』
轟家の経済力は知ってるし、No.1ヒーローにそう言われたら遠慮なんて出来ない。これを逃したらこんなところでお寿司を食べるなんて絶対経験できないから私は遠慮せずアワビやら中トロやらズワイガニやらお高めネタに、ガリサバやトロタクやら少し渋いチョイスの細巻きや塩辛やらエビのお吸い物やらカニの外子の醤油漬けのような飲兵衛のようなサイドメニューを頼んだ。
エンデヴァー「お前、中々好みが親父臭いんだな」
『女子高生に親父臭いは失礼ですー。否定はしないけど』
エンデヴァー「ああ、すまない」
『で、話しって何ですか?』
エンデヴァー「ああ...その、だな。学校は、楽しいか?」
絶対に本題ではないだろう誤魔化したような話しぶりだったがとりあえず話しを合わせた莉紗。
『え?んー、そうですね。クラスみんないい奴らばっかだし、楽しいですよ』
エンデヴァー「そうか。...焦凍は、学校でどんな感じだ?」
『え?あー、そう言うことか。おじさま。学校での焦凍くんの事聞きたかったんだ』
エンデヴァー「あ、いや。それもあるが...」
『?』
エンデヴァー「昔の事を、お前に謝らなければと思ってな」
『昔の事?』
エンデヴァー「残っているだろ。俺が付けた火傷の痕」
『...あー。そのことですか』
エンデヴァー「ああ、それに俺はお前にも何度も手をあげた。お前は焦凍を守ろうとしてくれていただけなのに、申し訳ない事をしたと今は思ってる。すまなかった」
『まあ、別に大丈夫です。昔の事だし』
エンデヴァー「...正直不思議だった。お前がウチに来た事」
ああ...冒頭の焦凍くんが居ないからってそういう意味だったのか。
『まあ...私情挟めば来なかったですよ。焦凍くんもそうだろうけど。けど、私も焦凍くんもヒーローになるための最善を考えた時にやっぱおじさまの所が最善って思ったんです』
エンデヴァー「そうか...」
『...焦凍くんは、体育祭の後から変わりました』
エンデヴァー「変わった?」
『それまでは人を寄せ付けなかったし、私のことも含めて仲間とかクラスメイトはまるで眼中なしで意識下にも置いてなかった感じで』
入学したばかりの頃は必要以上に会話すらしようとしなかったし、あまり目も合わせてくれなかった。
他者の存在を鬱陶しがるわけではなかったけど必要ともしていなかったしクラスメイトにどんな個性持ちがいるかと言う事にすら興味すら、持っていないような感じだった。
『だけど、緑谷が焦凍くんの心の分厚い壁を壊して視界を開けてくれたから。
体育祭の後からは、焦凍くん自身からもみんなに歩み寄るようになって。入学した時のみんなの中の焦凍くんのイメージは常にピリピリして近寄りがたいイメージだったのに今じゃ温厚で滅多に怒らなさそうなイメージに変わってるんですよ』
エンデヴァー「....お前に対してもそうだったのか」
『入学当初は特に必要以上に近付いてほしくない感じだったから。
おじさま、一時期私と焦凍くんに将来個性婚させるつもりだったでしょ?』
エンデヴァー「ああ、そんな事考えていた時も....あったな」
『焦凍くんもそれに気付いたから私に近づかなくなって。中学の時もおじさまにこっそり隠れてお邪魔してた時もそれが原因で私と関わるのやめたから』
エンデヴァー「そうだったのか」
『まあ将来はともかく、今は好きで焦凍くんといるんで結果的にはおじさまの思うようになってるかもだけど』
エンデヴァー「すまなかった..」
『まあ、大丈夫。昔のことよりこれからの方が大事なんで』
先ほどまでは気まずそうな表情をしていたおじさまが、今度は仕事中のような真剣な表情をしていた。
エンデヴァー「お前が本気でプロヒーローを目指して俺のところに来た以上、俺もお前を学生としてでも友人の娘でもなく1人のヒーローとして見て扱う」
『望むところです』
エンデヴァー「それとな....」
『ん?』
エンデヴァー「無理しないで、昔みたいに話していいぞ」
『?...あ、敬語の話しですか?』
エンデヴァー「ああ」
『もしかして崩れてました?』
エンデヴァー「ああ、別に良いんだ」
『何か他所々しいなぁとは思ってたんですけど、じゃあなるべく敬語やめます』
エンデヴァー「ああ、そうしてくれ」
『おじさま』
エンデヴァー「なんだ」
『何かご飯食べに来てからNo.1ヒーローの威厳なくなってる』
悪戯な笑みを浮かべて言う莉紗にエンデヴァーはバツが悪そうな表情を浮かべた。
『学校での焦凍くんの事教えてあげるから、またお寿司奢ってねおじさま』
エンデヴァー「! ああ、いくらでも食わせてやる。ところで莉紗」
『はい?』
さっきせっかくキリっとした表情に戻ったのにまた気まずそうに視線をきょろきょろとさせたおじさまが何か言いたそうにしている。
エンデヴァー「焦凍と好きで一緒にいると言っていたが....その...お前と焦凍は交際しているのか?」
『.......』
ヤバ。
『いえ。今の所はそういうのはないです』
エンデヴァー「そうなのか?」
『....はい』
...ウソは言ってない、よね。
今は、別れてるし。
**
エンデヴァー事務所でのインターン活動と学業の並行は中々にハードではあるし、公欠で授業を抜ける日もあるから、補習を設けてもらうとはいえ授業に追いつくのが大変。
この前は、焦凍くんが私に救命救急学や応急処置の実技などを聞きたいという名目で私も勉強を教えてもらったけどそもそも焦凍くんは私と距離を置きたいんだから、いの1番に焦凍くんに勉強を教えてもらいに行くのもどうなのかと思いなるべく焦凍くんには頼らずヤオモモや前の席の爆豪に聞くことにした英語の授業後の昼休み。
『ねぇ、爆豪』
爆豪「あぁっ?」
『さっきの授業のさ。完了形の継続と進行形だけどさ。違いがよくわかんなかったんだけどどういうこと?』
爆豪「んで俺がテメェに教えなきゃなんねーんだ、クソアマ」
『そっか、爆豪もわかんなかった「あっ?!わかるわ、このクソアマ!!教え殺してやっからノート貸せや!」
『サンキュー』
「「「(風舞って爆豪の扱い上手いよな....;)」」」
そんなこんなで爆豪は憎まれ口を叩きながらもちゃんと教えてくれるのだが、爆豪も中々に教えるのが上手い。
ヤオモモも焦凍くんも教え方は上手いが、みんなそれぞれ特徴があって。
ヤオモモは補足事項もきっちり説明に入れてくれる。
焦凍くんはとにかく教え方が丁寧。かなり事細かに教えてくれる。
爆豪は要点だけを簡潔に教えてくれる。
教え方上手い人にも三者三様だね。
そんな事を考えているとふと爆豪が口を開いた。
爆豪「つーかテメェ半分野郎に聞きゃ良いだろ」
『え、あー...うん。そうだね』
爆豪「ハッ、何だ喧嘩でもしとんか」
『いや、喧嘩はしてないけど...轟くん、仮免講習で忙しそうだし』
わざわざ自分たちの近況をここで話すのも、と思い誤魔化すように言った。
爆豪「あぁっ?!俺もテメェらと違って忙しいわ!舐めとんか!」
『あ、そーだ。あんたも仮免講習あったね』
爆豪「テメェ、シバいたろか...」
『あはは、ごめん』
爆豪も仮免講習があるのを忘れていた私は苦笑いしながら謝ると爆豪から舌打ちが聞こえた。
爆豪「チッ、シケたツラして気分悪りぃ。いつもみてぇにムカつくツラ晒せや」
『...爆豪って何だかんだ励ましてくれるよね』
爆豪「励ましてねぇわ!!むしろクタバレや!」
爆豪はそう言って机を乱暴に蹴り教室から出ていった。
『(素直じゃないなぁ...)』
轟「............」
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芦戸「爆豪どったの?あれまた喧嘩?」
翌日、顔中傷だらけの爆豪を見て芦戸が疑問を口にした。
上鳴「女子は見てねぇのか?轟も見てみ?」
上鳴に促され轟を見ると、爆豪に負けず劣らず顔中傷だらけになっている轟。
芦戸「ひょー!!イケメン台無し!どうしたのさ!」
上鳴「仮免講習がスパルタだったみてぇだよ」
芦戸「体育会系だね!」
爆豪「コッソコソうるせぇんだよ!!!」
『コソコソはしてないだろ...』
そこへバタバタと騒がしく教室に入ってきた飯田。
飯田「授業が始まるぞ!麗日くんと梅雨ちゃんくんがまだ来てないが?!」
八百万「公欠ですわ、委員長」
耳郎「男子も、切島いなくね?」
瀬呂「あれ、聞いてね?3人共インターン先決まったんだよ」
耳郎「マジで?あれ?そういや莉紗、今日インターンは?」
『今日は放課後から』
瀬呂「結局エンデヴァーの所にしたんだっけ?」
『うん、やっぱどんな依頼も経験出来るし』
峰田「なぁなぁ、インターンどうだった?」
峰田がインターンについて緑谷に問い詰めているが緑谷がボーッと自分の世界に入って何か考えこんでいる。
『(緑谷、どうしたんだろ...今日ずっとボーッとしてるけど)』
緑谷の様子を気にしていると、スマホがぶるぶると震えた。
確認すると母からメールが来ていた。
【今日放課後エンデヴァー事務所で話しあるから迎えに行くね】
『(話あるのはいいとして...エンデヴァー事務所?エンデヴァー事務所とグルーガン事務所がチームアップでもするの?でもそれにしては私に話がある理由が..)』
考えた所で分かるわけがないと開き直り莉紗はわかった、と一言返信した。
**
エンデヴァー「莉紗、来たか」
放課後エンデヴァー事務所に来た私は、サイドキックの人からエンデヴァーは所長室にいると聞き所長室にやって来た。
既に母も到着していて2人で話しをしていたようだった。
ウィンドリア「莉紗、待ってたよ」
『話しって何?』
エンデヴァー「グルーガン事務所にサーナイトアイからチームアップ要請が来たらしい」
『サー...誰?』
ウィンドリア「オールマイトのサイドキックだった人だよ」
『(ん?オールマイトの...あれ?それって緑谷のインターン先)
へぇ、それで?』
ウィンドリア「チームアップの要請理由が、指定ヴィラン団体。死穢八斎會の調査、及び包囲。ヴィラン連合に繋がるかもしれない案件よ」
『ヴィラン、連合?』
ウィンドリア「それでね、莉紗の戦力を買って、派遣って形で一緒に連れて行こうかと思って」
『私、連合に狙われて攫われた経緯あるのに大丈夫なの?』
ウィンドリア「今回の案件には多くの事務所が携わる。ファットガムやチャート10のリュウキュウもね。プロヒーローの目は多いわ。それにあなたの個性と能力ならきっと役に立つと思ったから」
エンデヴァー「最終的にやるかどうか決めるのはお前だ。今回の案件に参加するならば、我が事務所からの派遣という形で手続きを進める」
『....やる』
ウィンドリア「うん、莉紗ならそう言うと思ったよ。じゃあ詳細や動く時はまた連絡するね」
『分かった』
エンデヴァー「案件に関連する場合以外では引き続きウチでインターン活動を行ってもらうぞ」
『はい』
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