Season4
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夏服からすっかり冬服に衣替えも終わる秋口。
世間では祝日の今日、本来ならば学校は休み。
だが、ヒーロー科のみ午前中だけ座学のみだが、授業があった。
相澤「じゃあ今日はこれで終わりだ」
帰りのHRも終わり、皆それぞれが寮へと戻っていった。
職員室へ戻ろうと廊下に出た相澤を追いかけた莉紗。
『相澤先生』
相澤「ん?あー、お前はこれからウィンドリアさんが迎えにきて家に外出だっけな」
『です。はい、許可証』
相澤「どうなんだ?ナチュラリウムさんの個性。大分使えてんのか?」
『"土"に関しては実戦レベルで使えてますよ。仮免試験でも対人で通用しましたから』
相澤「そうか。ま、授業に影響しない程度に頑張れよ」
『はい、それで個性届ってどうしたらいいんですか?』
相澤「ああ、それなら先に個性検査を受け直してきてもらいそこで個性診断書を受け取り役所に提出。つまりは検査を受けないことには始まらん」
『そうですか』
相澤「いつ行くか決めたのか?」
『確か個性検査は週末でも大丈夫なんですよね』
相澤「そうだ」
『じゃあ土曜日午後から行ってきます』
寮に帰って一度着替え、母さんから学校についたという連絡が来た為校門まで向かった。
母「早かったね?」
『準備して待ってたからね』
母「そっか、じゃあ行こうか」
『ん』
おばあちゃんが個性の特訓をつけてくれる為わざわざ北海道から顔を出しに来てくれていると連絡を受け、外出許可をとって母の迎えの元実家に帰るところだ。
『あー、寛太が焦凍くん焦凍くんうるさそう...』
母「どうしたらあの人見知り寛太があんなに懐いたの?」
『さー..なんか寛太には合ってたんじゃない?会って30分後にはもうべったりだったもん』
母「不思議な事もあるねぇ」
『電車で抱っこ抱っこせがまれたのを私が断って焦凍くんが抱っこしただけなんだけどね』
母「へぇ」
『でも冬ちゃんも焦凍君ほど速くなかったけど、2,3時間で懐いてた』
母「冬美ちゃんも焦凍ちゃんも優しいからね。それならなっちゃん(※)にもすぐ懐きそうだね」
(※)なっちゃん...夏雄
『どうかな。夏くんも慣れるまで人見知りする人だから、寄り添い合うのに時間かかりそう』
神野事件の後。
すぐに家族らしくは無理..とは言っていたけど、それでも言葉を交わさない事には何も変わらないと知っている私。
今まで業務連絡以外に言葉を交わした事もなかった。顔を見るのも嫌だったため緊急時以外は基本ホワイトボード、緊急時はメールでやり取りをしていた。
だけど和解以降は、最初は寛太や梨央がこんな時はいつもどうしてたか..好きなものは何か?2人がハマってる事は?など兄弟たちのことで母から問い合わせの連絡が来るようになった。
それに返していると、寛太や梨央の日常の様子を伝えてくるようになり寛太がブロックで作ったロボットや、描いた絵、梨央が公園で逆上がりを練習している様子などの写真や動画などが送られてくるようになった。
離れていても2人の成長を見てあげれるのが嬉しくて密かに楽しみに待っているなんてことは死んでも絶対言わないけど。
入寮してからそんなやり取りをメールでしているうちに気づくと、自然と何気ない会話を母とこうしてできるようになっていた。
寛太「しょーとくんは?!」
案の定焦凍くんは何でいないんだっ!とご立腹の寛太王子。
『焦凍くんも忙しいの』
寛太「しょーとくんとあそびたいっ!!」
『無理なもんは無理なの。ワガママばっか言うならもう焦凍くん連れてきてあげないからね!』
寛太「ねねきらーい!!」
そう言って走って部屋に逃げ込んだ寛太。
『もう、絶賛イヤイヤワガママ反抗期小僧め...』
梨央「でも、寛ちゃん。普段お姉ちゃんたちいないときはねねちゃんねねちゃん言ってるよ?」
『何そのツンデレ..』
祖母「莉紗、来たのかい」
おばあちゃんがリビングから登場し、梨央が空気を読んで寛太の部屋に相手をしに行った。ホントにあの子は出来すぎてて逆に心配になる。
『おばあちゃん。わざわざありがとね』
祖母「どうせ暇な年寄りだからね。そんで、進展は?」
『まあ、土は何とか実戦レベルまで使いこなせるようになった。水も使いこなせるようにはなってきたけど、戦闘中にどう活かすかにぶち当たってる』
祖母「その辺は滝男に聞くといいさ」
母「滝男かー。今、海自※付きの直属ヒーローだからなぁ。ほぼ海の上だと思う」
※海上自衛隊
『なら、必殺技とかその辺は学校に相談しようかな』
祖母「火と雷はどうなんだい?前兆は」
『あー....』
祖母「ん?」
『や、それが...全く』
祖母「進展ほぼなしかい」
『雷は多分1回まぐれでも出来たら出来ると思うんだけどね』
祖母「火はダメそうかい」
『うーん..今の所は』
土と水を使いこなせるようになったとは言え、これにはおばあちゃんも困った顔をしていた。
祖母「まあこればっかりは、私も6年かかった事だからねぇ。そんなにすぐ出来るとは思っちゃいないけど。まあ、たった1か月かそこらで2つの属性マスターしたのはかなり順調さ」
『全部使えたら便利なんだけどなぁ』
祖母「それだけじゃないんだよ」
おばあちゃんの声色が変わったのにびっくりした私がおばあちゃんを見ると今までとは違う真剣な表情をしていた。
『え?』
祖母「5つの属性全てを使いこなせるようになった暁には更に次のステップに進めるのさ」
『次のステップ?』
祖母「そう。そして、それこそがこの"自然"個性の真骨頂。私も完璧に使いこなす事は出来なかったんだけどね」
『...すごい気になる』
祖母「まあ、まずは小さくてもいいから火と雷も出せるようになったらだ。話はそれからさ」
『うん、分かった』
祖母「もう隠居して暇な年寄りだ。2つが使えるようになったら連絡しな。またこっち来てあげるから」
『ありがと、おばあちゃん』
その後、おばあちゃんに少し特訓に付き合ってもらって私は学校へと戻った。
**
それから数日後
相澤「ヒーローの職場に出向き、その活動に協力する職場体験の本格版、ヒーローインターンですが昨日職員会議で協議した結果校長をはじめ、多くの先生が"やめとけ"という意見でした」
シーン....
「「「「えぇぇええぇっ?!」」」」
切島「あんな説明会までして?!」
上鳴「でも、全寮制になった経緯から考えりゃ..そうなるか」
バァン!!
爆豪「ざまぁっ!!」
自分が参加出来ないからとインターンが実施されないことに満足げな表情の爆豪。小っちゃい奴...。
『器ちっさ..』
葉隠「参加出来ないからって...」
相澤「...が、今の保護下方針では強いヒーローは育たないという意見もあり方針として、インターン受け入れの実績の多い事務所に限り、1年生の実施を許可するという結論に至りました」
シーン....
爆豪「...怒 クソがぁっ!!!」
『だから器小さいって...』
おじさまの所、普段学生受け入れてないって煎香さん※が言ってたけど...インターンダメかな。NO.1の所なんだけど。
※茶汲 煎香...エンデヴァーの秘書
放課後、エンデヴァー事務所でのインターンについて聞くために職員室に出向いていた。
『相澤せんせー』
相澤「何だ、風舞」
机の上に積み上げられた書類と睨めっこをしている相澤先生。
『インターンの事で聞きたい事が』
相澤「何だ?」
『職場体験に引き続き、エンデヴァー事務所にインターンお願いしようかと思ったんだけど。エンデヴァーの秘書の人が普段学生受け入れてないって言ってたからインターン実績あるのかなって思って』
相澤「ああ、あの人は見ないみたいだな」
『あの人は?』
相澤「エンデヴァー事務所は毎年、職場体験もインターンもちゃんと受け入れてるぞ。ただ、学生を見るのはサイドキックのヒーローばかりでエンデヴァーさんが見たことはないらしい。今年は、お前や轟は例外だったんだろ」
『あ~、そういう事』
いいのかプロがそれで..。よっぽど焦凍くん以外は見たくなかったんだな。
相澤「エンデヴァー事務所に依頼するなら別段問題はないぞ」
『分かりました』
相澤先生との話しを終え職員室を出て教室に戻ろうと廊下を歩いていた時。
「あ、風舞さん!」
急に名前を呼ばれ振り返ると緑谷と通形先輩が一緒にいた。
『緑谷、通形先輩?』
通形「風舞さん。良かったら君も、来ないかい?サーナイトアイの事務所」
『サー...誰?』
緑谷「オールマイトのサイドキックだったヒーローだよ!」
『へぇ』
通形「俺から緑谷くんを推薦しようと思ってね。今からサーの所に連れて行こうと思うんだけど、君もサーが好きそうだなって思うんだよね」
『好きそう?』
通形「うんうん、君の考察や分析力に加え、君の戦闘スタイル。
サーが気に入りそうなタイプだよ。インターンの行先決まってないならどうだい?」
『あ、私の中ではもう決めてたんですけどまだ連絡してないだけで。多分大丈夫だと思うんですけど..』
通形「そっか、残念だ!じゃあ断られたら推薦してあげるから言ってね」
『ありがとうございます』
緑谷は通形先輩のインターン先に行くのか。
私ものんびりしてらんないな。
**
その日の夜。緑谷は無事にサーナイトアイ事務所でインターン活動をすることに決まったようで、共有スペースでは緑谷のインターン決定の話題で盛り上がっていた。
麗日「インターン先決まったんだ!良かったね、デクくん!」
芦戸「スゴイじゃん!」
飯田「おめでとう、緑谷くん!」
緑谷「ありがと」
飯田「俺もうかうかしてられないな」
上鳴「それにしてもホントすげぇよ、緑谷!」
瀬呂「ああ!何たってあのサーナイトアイの事務所だもんな!」
切島「通形先輩の推薦だって?!」
砂藤「よくやったな!」
緑谷「へへへ..あ、風舞さんは職場体験に引き続きエンデヴァー事務所に志願するの?」
『ん?うん、そのつもり』
瀬呂「知人のコネ特権有効活用してんな、おめぇ」
『失礼な、ちゃんと指名貰ってたからね?』
上鳴「轟より先に行くのかよ!」
『気にしてんだから言わないでよそれ』
轟「また差広げられちまったな。早く追いつかねぇと」
爆豪「ケッ」
麗日「学校側から、ガンヘッドさんインターンの実績が少ないからダメやって言われた」
蛙吹「私も、セルキーさんの所に行きたかったわ..」
切島「フォースカインドさん..インターン募集してねぇんだもん」
瀬呂「つーか元から敷居が高いんだよ...」
上鳴「インターンの受け入れ実績のあるプロにしか頼めないからなぁ」
尾白「仕方ないよ、職場体験と違ってインターンは実戦。もし何かあった場合...「プロ側の責任問題に発展する」
声が聞こえた方に視線をやると相澤先生が立っていた。
上鳴「相澤先生!」
相澤「リスクを承知の上でインターンを受け入れるプロこそ本物。常闇、その本物からインターンへの誘いが来てる。九州で活動するホークスだ」
上鳴「ホークス?!ヒーローランキング3位の?!すげー!」
相澤「あと風舞。お前にはホークス、エンデヴァー、ジーニストと現トップ3全員から声がかかった」
『え?』
緑谷「風舞さんすごいよ!!」
『え、あ...』
相澤「誰の所に行くかはお前が決めろ」
『あ、はい』
切島「さすがうちのトップ3だな~」
上鳴「やっぱ風舞には勝てねぇわ~」
皆に囃し立てられるのを横耳で聞きながら私はどこに行こうか迷っていた。
ジーニストの個性は私の粘着糸と似てるから粘着糸の個性伸ばしにはベストかもしれないし、速すぎる男ホークスは最近出来るようになった浮遊の個性やダッシュウィンド改良のアドバイスを貰えるかも...。
Tulululu...
迷った挙句結局のところはひたすらに実戦経験を積んでいきたいと思った私。依頼成功件数が現役時代のオールマイトをも凌駕し続けているエンデヴァー事務所が一番良いと思い、エンデヴァー事務所にお願いしようと決め、早速おじさまに電話をかけた。(連絡先は職場体験の時に焦凍くんに反対されてるのを躱しながら交換していた)
[もしもし、莉紗。お前から連絡が来るとは思ってなかったぞ]
『忙しいところごめんなさい』
[いや。どうかしたか]
『インターンのお誘いありがとうございます。それで、お願いしようと思って』
[ああ、お前と焦凍なら歓迎する]
『ありがとうございます』
[では早速明日お前のインターンを受け入れる為の手続きを進めるぞ]
『はい!』
おじさまと電話を切り一つ息を吐いた。
...焦凍君にも一応伝えといたほうがいい、よね。
善は急げじゃないけど、私は焦凍君にLINEを入れた。
【インターン、おじさまの所にお願いしたよ】
ちょうどスマホを見ていたのかすぐに既読がつき、返信が返ってきた。
【そうか、良かったな】
【うん、焦凍くんも仮免取ったらおじさまのとこでしょ?】
【そのつもり】
【補講頑張ってね】
【おう】
良かった、今更だけどおじさまの所に行くの嫌がられたらどうしようかと思ったけど。
インターン先も決まり、焦凍くんへの報告も終えひとまず肩の荷が少し降りた私はひと時の休息にお風呂に入ることにした。
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