Season3
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場所は変わってTDL。
ジャージに着替えたA組とビッグスリー。
瀬呂「あの、マジっすか?」
通形「マジだよね」
天喰「インターンについては形式的に、こういう具合でとても有意義ですと語るだけで十分だ。みんながみんな上昇志向に満ちてるわけじゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない..」
峰田「え?」
切島「立ち直れなくなるって..」
波動「あーっ、聞いて知ってる!昔挫折してヒーロー諦めちゃって問題起こしちゃった子がいるの、知ってたぁ?大変だよねぇ、通形。ちゃんと考えないと、辛いよ。これは辛いよぉー?」
芦戸の角をいじりながら波動が話す。
常闇「待ってください。我々はハンデありとは言え、プロとも戦っている」
切島「そしてヴィランとの戦いも経験しています。そんな心配されるほど、俺ら雑魚に見えますか?!」
『(まあ、でも私達全員まとめて倒せる自信があるから言えるんだと思うけどね)』
通形「うん、いつどっから来てもいいよね。一番手は誰だい?」
切島「俺が、「僕、行きます!」
切島を遮って緑谷が名乗りを上げた。
切島「意外な緑谷?!泣」
相澤「お前ら、いい機会だ!しっかり揉んでもらえ!」
体育館の隅から声を上げた相澤。轟もその横から光景を見ている。
通形「問題児!良いね、君!やっぱり元気があるなぁ」
緑谷「(雄英トップの人...手合わせ願えるなんて願ってもない話しだ。雄英トップと今の僕..距離はどれ程か!)」
砂藤「近接隊は一斉に囲んだろうぜ!!」
切島「よっしゃー!!そんじゃー、先輩!せっかくのご厚意ですんでご指導よろしくお願いしまーす!!!」
『(まずはあの人の個性、見抜いてやる)』
緑谷が通形の間合いに飛び込んだ。
緑谷「!!」
緑谷が攻撃を仕掛けようとした瞬間に、通形のジャージが全て落ちてしまった。
耳郎「やぁぁぁっっ!!!//////」
瀬呂「今服が落ちたぞ?!」
通形「あ~!失礼、調整が難しくてね!」
慌てて服を着る通形を頭上から緑谷が襲った。
『(個性発動で、服が落ちる...?調整?)』
緑谷「(隙...だらけ!!)」
緑谷が通形に蹴りを入れたが...
緑谷「!」
緑谷の足が通形の体をすり抜けた。
緑谷に続いて、瀬呂のテープや青山のネビルレーザー、芦戸の酸で攻撃を仕掛けるも全て通形の身体をすり抜けた。
飯田「待て!いないぞ?」
攻撃した場所に通形の姿はなく、何故か後方で構えてた耳郎の背後から突如姿を飛び出した。
耳郎「ぎゃあーーーー!!!」
障子「ワープした?!」
砂藤「すり抜けるだけじゃねぇのか!」
切島「どんな強個性だよ!!」
『(すり抜けてるように見せかけてワープしてんのか...ワープしてるように見せかけてすり抜けてんのか...単純にすり抜けとワープの個性2つ持ちか。
けど、最初の緑谷の蹴りン時は間違いなくすり抜けだ。ってことは、すり抜けは必須か...
だからって、スピードもバケモンか!)』
通形を避けながらも通形の動きを観察する莉紗。
『(遠距離から攻撃してくることはない。つまり、あの人自身は直接攻撃が主体。
直接攻撃をするってことはその瞬間だけは、実体を捕まえられるって事...)』
飯田や緑谷のスピードでも攻撃を当てることが出来ない。その間に、A組の生徒達は通形に攻撃を仕掛けるも全く掠ることも出来ず逆に通形に腹部を殴られて、1人...また1人とうずくまっていく。
通形「パワー!!!」
一瞬で、中遠距離部隊が一網打尽にされた。
相澤と共にその様子を眺めていた轟もその光景に目を見開いた。
相澤「通形ミリオ。あの男は俺の知る限り、最もNo.1に近い男だ。プロも含めてな」
轟「一瞬で半数以上が...あれが、No.1に最も近い男...」
相澤「...お前行かないのか?No.1に興味がないわけじゃないだろ」
轟「俺は仮免取ってないんで」
相澤「(丸くなりやがって..)」
通形「遠距離がまだ1人いるようだけど、あとは近接主体ばかりだよね!」
切島「何したのかさっぱりわかんね!!」
麗日「すり抜けるだけでも強いのに、ワープとか!」
尾白「それってもう...無敵じゃないですか!」
通形「よせやい!」
緑谷「何かからくりがあると思うよ。すり抜けの応用でワープしてんのか...ワープの応用ですり抜けてるのか...」
『私が思うにワープじゃないと思うよ』
麗日「え?」
『すり抜けも、多分近からずも遠からず...な気がする。
まだ確信は持てないから根拠は言えないけど。とにかくどっちにしろ向こうも直接攻撃なら、攻撃する瞬間だけはすり抜けさせず実体である必要がある。その瞬間のカウンターを狙っていけばあるいは..』
そう話しながら、莉紗が通形の体に目視で確認出来ないくらい細くした粘着糸を粘着させた。
緑谷「うん、僕もそう思う。何してるか分かんないなら、分かってる範囲で仮説を立てて。とにかく勝ち筋を探っていこう」
切島「おー!謹慎明けの緑谷とスリートップ風舞スゲェぇ!!」
通形「だったら探ってみなよ!」
そう言ってA組に向かって走ってくる通形をジッと観察する緑谷と莉紗。
するとその時、通形の姿が突如消えてズボンだけが地面に落ちた。
そして、通形に取り付けていた粘着糸は何故か地面にくっついた。
『(やっぱりか!この局面で..)』
緑谷「(現れるとすれば...)」
緑谷「『ここ!!』」
2人は同時に後ろを振り返った。緑谷は通形の顔面に目掛けて蹴りを、莉紗は右手の拳に風を纏わせて通形に向けて突き出した。
通形「(反応じゃない?!俺がここに現れるのを、予測した?!)
だが!必殺!!ブラインドタッチ目つぶし!」
緑谷の蹴りも莉紗の拳も通形の体をすり抜けて、緑谷の目に向かって指を突き刺した。緑谷は思わず目をつぶるも通形の指は緑谷の顔面をすり抜けた。
そして、そのままくるりと体を回転させ莉紗に目掛けて回し蹴りを放ちながら緑谷の腹部に拳をねじ込んだ。
莉紗は顔面に足が当たりそうになるギリギリで避け、通形の背後に回り込むと0距離で竜巻をぶつけたがやはり竜巻もすり抜け気づくと間合いに通形がいた。
『クッ!』
すぐに反応してダッシュウィンドで空中に逃げ込みそのまま浮遊した莉紗。
通形「ほとんどがそうやってカウンター画策するよね!!」
再び姿を消して、残りの近接メンバーの腹部にも拳をねじ込んでいった。
通形「パワー!!!」
気づけば莉紗以外のメンバーは腹を抑えて床にうずくまってしまっている。
通形「さあ、残りは君一人だよ」
自身の足元に竜巻を出し、竜巻の上に乗るようにして浮かぶと空中で下を眺める莉紗。
轟「あいつ...空中浮遊できるようになってたのか」
相澤「珍しいな、お前が知らない事あんの」
轟「そうですか?」
相澤「(何だ、喧嘩でもしたか...?)」
『(焦凍君とヨリ戻した時に、驚かせようと思って浮遊できるようになったの黙ってたのに....)』
通形「そこに居ても俺に攻撃加えられないよね」
『それはお互い様ですよねー。空中に居られちゃ手も足も出ないでしょうから』
通形と話しながら、倒れたクラスメイト達を自身の風で端の方に移動させた莉紗。
『轟くーん、私の風の被害に遭わないようにみんな守ってあげてー』
轟「? 分かった」
通形「何かするつもりだね!!」
『ええ、先輩と違って私はこっからでも攻撃できるんで!』
莉紗は通形に向かって体育館全体に広がる旋風 春疾風を放った。
※旋風 春疾風(センプウ ハルハヤテ)...渦の高さを低くし、直径を広範囲にした竜巻。
莉紗が風を放った瞬間に、通形はまた姿を消した。
『出てきたら竜巻に巻き込まれますよー。
竜巻すり抜けても第2陣待ってるんで』
通形「してやられたよね!
よーし!これにて、終わり!!」
どこか遠くの方から聞こえる声。
辺りを見回しても通形が出てきた様子はない。
『......』
通形の姿を探すと、突然ドアがバンっ!と大きな音を立てて開いた。見るとそこには通形の姿が。
『...外まで出るのは卑怯じゃないですか?』
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通形「ギリギリ、ち〇ち〇見えないように努めたけど。すいませんね、女性陣!と、まあ。こんな感じなんだよね」
腹部へのダメージが大分和らぎなんとか動けるようになったため整列したA組の前にビッグ3が立った。
緑谷「わけわからず...風舞さん以外腹パンされただけなんですが..」
通形「俺の個性、強かった?」
瀬呂「強すぎっす!!」
葉隠「ずるいよ!!」
芦戸「すり抜けるし、ワープだし!!轟や風舞みたいなハイブリッドですかー?!」
通形「いや、1つ!」
緑谷「え、1つ?」
波動「はーい!私知ってるよ?個性!ね、ね、言っていい?」
通形「ダーメ!」
波動「えーっ...」
通形「風舞莉紗さん。君、僕の個性どう思う?」
名指しで突如振られた莉紗は少し考え込んだ後に答えた。
『...使いずらそう』
緑谷「風舞さん、何の個性か分かったの?」
『多分、なんとなく...』
通形「言ってごらん?」
『先輩自身の身体を透明にするのかな。実体がなくなるような個性には間違いないと思う。ワープは多分、その個性を発動しながら空間の中を移動していたんじゃないかな..と思いました』
通形「んー、まあ100点ではないけど8割は合ってるから大体合格でいいかな?
俺の個性は透過なんだよね!彼女が言ったようにワープと言ったあの移動は推察された通り、その応用さ!」
緑谷「どういう原理でワープを?」
通形「全身個性発動すると、俺の身体はあらゆるものをすり抜ける。あらゆる..すなわち地面もさ」
麗日「あ、じゃああれ..地面に落っこちてたってこと?」
通形「そう、地中に落ちる。そして、落下中に個性を解除すると不思議なことが起こる。質量のあるものが重なり合うことは出来ないらしく、弾かれてしまうんだよね。
つまり、俺は瞬時に地上に弾かれてるのさ。これがワープの原理。体の向きやポーズで角度を調整して、弾かれた先を狙うことが出来る」
芦戸「ゲームのバグみたい」
蛙吹「攻撃は全て透かせて、自由に瞬時に動けるのね。やっぱりとても強い個性」
葉隠「莉紗ちゃん、何で分かったの~?」
『分かったっていうか...最初の緑谷の攻撃がすり抜けた時に、任意の対象、その時なら緑谷の身体をすり抜けさせる個性なのか先輩自身の体をすり抜けさせる個性なのかの2択で絞って考えてたの。
けど、服が脱げたって事は少なくともその時は先輩自身の体をすり抜けさせてるんだって考えた。
だから、ワープもすり抜ける事で本来逃げ込めない空間に入っただけじゃないかって思ってね。
途中で先輩の身体につけていた粘着糸が、先輩が消えた瞬間に先輩から外れて地面にくっついたから先輩の体をすり抜けさせるほうかなって確信した感じ。
任意の対象をすり抜けさせる個性だとすると、対戦相手にそれを使ったトラップもして来ないし、こっちの武器や物理攻撃をすり抜けるさせてる感じもなかったから』
轟「(相変わらずあいつの分析力、スゲェな...)」
通形「良く見抜いたね!」
『でも、私は使える気しないです』
麗日「莉紗ちゃん、個性コントロール上手いから出来そうな気もするんやけどなぁ」
『個性が強いんじゃなくて透過の個性を使いこなしてる通形先輩が強いんじゃないかなーと私は思うけど』
緑谷「え?」
通形「その通り!強い個性にしたんだよね」
『透過してるときって、体の感覚あるんですか?』
通形「君、察しが良いね!
そう、個性発動中は肺が酸素を取り込めない。吸っても、透過しているからね」
そこまで聞いて、A組は透過の個性の真理に気づいた。
通形「同様に鼓膜は振動を、網膜は光を透過する。あらゆるものがすり抜ける。それは、何も感じることが出来ず、ただただ質量を持ったまま落下の感覚だけがある、ということなんだ。分かるかな?そんな感じだから、壁一つ抜けるにしても、片足以外発動。もう片方の足を解除して接地。そして、残った足を発動してすり抜け。簡単な動きにもいくつか工程がいるんだよね」
上鳴「急いでるときほどミスるなー俺だったら..」
峰田「おまけに何も感じなくなってるんじゃ動けねぇ」
あまりの複雑さに、2人共顔色が興ざめしてきた。
『そして、落下中は全身感覚がないからはじき出される方角とか勢いとか全部勘とか予測でやんなきゃいけないんですよね?』
通形「そ!案の定俺は遅れた。ビリッケツまであっという間に落っこちた。服も落ちた。この個性で上に行くには、遅れだけはとっちゃダメだった。さっき彼女が言った予測。周囲よりも早く!時に欺く。何より予測が必要だった!
そして、その予測を可能にするのは経験。経験則から予測を立てる。長くなったけれど、これが手合わせの理由!
言葉よりも経験で伝えたかった!インターンにおいて、我々はお客ではなく一人のサイドキック。プロとして扱われるんだよね。それはとても恐ろしいよ。プロの現場では、時に人の死にも立ち会う。けれども怖い思いも辛い思いも、全てが学校じゃ手に入らない一千級の経験!
俺はインターンで得た経験を力に変えて、トップを掴んだ!ので!怖くてもやるべきだと思うよ!!1年生!!」
『(1人のサイドキックとして...)』
緑谷「(経験を、力に...!!)」
通形が話し終わると突如沸き上がった拍手。
尾白「話し方もプロっぽい」
八百万「1分で終わる話を、ここまでかけてくださるなんて..!!」
上鳴「お客かー、確かに職場体験ではそんな感じだった」
耳郎「危ない事はさせないようにしてたよね」
瀬呂「インターンはそうじゃないってことか..」
飯田「仮免を取得した以上、プロと同格に扱われる..」
麗日「うん!」
砂藤「覚悟しとかなきゃな!」
切島「上等だ!」
葉隠「そうだよ、私達プロになるために雄英入ったんだから!!」
障子「そうだな」
常闇「上昇あるのみ」
口田「プルスウルトラ」
皆が思い思いに決意を口にしている様子を見ていた轟の表情にもまた、強い決意がうかがえた。
轟「(早く仮免とらねぇと...置いてかれちまう)」
相澤「そろそろ戻るぞ、挨拶!」
「「「「『ありがとうございました!!』」」」」
自身の教室に戻っている途中のビッグ3。
波動「ねぇねぇ、ムダにケガさせるかと思ってたけど。知らなかったでしょ?全員ケガなしで、偉いなーと思ったの今!!」
通形「いや、しかし危なかったんだよね。ち〇ち〇「誰か面白い子いた?気になるの、不思議~」
通形「最後列の人間から倒していく。俺の、対敵基本戦闘だ。件の問題児くん。俺の初手を分析し、予測を立てた行動だった。
それに、風舞さん。俺の個性を見抜いたその分析力。そして、何より俺の攻撃を全て予測し交わしてた!
サーが好きそうだ!」
**
爆豪「オラァア!!!ゴミがあるなら持ってこいやぁあ!!!」
寮に戻った1A。そして何故かゴミ集めに奮起していた爆豪。
切島「爆豪!頼む!」
爆豪「オウっ!!」
常闇「こっちも頼む」
爆豪「よこせや!」
上鳴「俺も!」
瀬呂「俺も!」
峰田「オイラも~」
みんな漏れなくパンパンに膨らんだごみ袋を爆豪の元に持ってきた。
爆豪「溜めこみすぎなんだよ!!!このクソども!!」
『お前はどこぞの姑か』
そう言ってポイっと爆豪に小さなゴミ袋を投げ飛ばした莉紗。騒ぐ爆豪をよそに共有スペースのソファーで談笑している女子たちの元に行った。
芦戸「くぅっ!!通形先輩のビリケツから、トップってのはロマンあるよねぇ~」
葉隠「うんうん!」
蛙吹「インターンに行くのが楽しみになってきたわ」
『でも行けるかどうかわからないし』
麗日「どうなんだろうね?1年はまだ様子見って言ってたけど」
八百万「とりあえず、相澤先生のGOサイン待ちですわね」
『(インターン...か)』
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治崎「見るからに不衛生だな。ここが拠点か?」
トゥワイス「あぁ?!いきなり本拠地連れてくかよ!面接会場ってとこ」
治崎「勘弁してくれよな、随分埃っぽい。病気になりそうだ...」
トゥワイス「安心しろ!中の奴らはとっくに病気だ」
古びた倉庫のような場所にたどり着いた2人。大きなドアを開けると中にはヴィラン連合が勢ぞろいしていた。
トゥワイス「連れてきたぜぇー!!話してみたら意外と良い奴でよ、お前と話しさせろってよ。感じ悪いよなぁー!」
治崎「コホッ、コホッ...」
死柄木「とんだ大物連れてきたな、トゥワイス」
治崎「........」
卵たちが本物のヒーローに一歩近づいたように...
悪意もまた、暗がりの中を進み続けていく
次を託された者と、次を託され野に放たれた者とが出会うのは...
そう遠くない未来だ...
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