Season3
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1-Aのハイツアライアンスの共有スペースでは皆が集まって談笑し、束の間の休息を味わっていた。
耳郎「明日から普通の授業だねぇ」
八百万「ヒーローに休息はありませんわ」
砂藤「しっかし色々ありすぎたなー」
常闇「一生忘れられない」
『(こんな休息の時間でも、焦凍くんと一緒に過ごせない....。
3ヶ月..予想してたよりは短かったけど。私耐えられるのかなー...)』
麗日「莉紗ちゃん、どうかしたん?」
ぼんやり考え事していた所を麗日の声で現実に引き戻された莉紗。
『え?あ..や、別に』
芦戸「轟とケンカでもしたー?」
ニヒルな顔を浮かべ肘でツンツンしてくる芦戸。
『してませんー』
葉隠「莉紗ちゃんと轟くん、ケンカとかするのー?」
『え...あー、ケンカ?んー...ゼロじゃないけどあんまりした事ない、かな』
耳郎「逆にどんな事でケンカすんの?」
『えー....何でだったかなぁ。確かケガしたの黙ってて、あろう事か放置してたから私が一方的に怒ったような気がする』
麗日「莉紗ちゃんが怒ることが多いの?」
『んー、そうだねぇ』
葉隠「最初の頃はともかく、最近の轟くんの雰囲気だと怒るイメージないねぇ!」
芦戸「確かに!入学したての頃はいっつも近寄るなオーラ出てたけど!」
耳郎「体育祭の後くらいからは温厚なイメージだよね」
蛙吹「轟ちゃんも雰囲気変わったけど、莉紗ちゃんも変わったわね」
轟の話しが突然自分の話題に変わり目を丸くさせた莉紗。
『え、そう?』
八百万「確かに、莉紗さんも雰囲気が随分柔らかくなりましたわ」
耳郎「入学した頃は話しかけにくい雰囲気あったよね」
葉・芦「「わかるー!」」
『ウソこけよ、アンタら。透なんて、透って呼んでよ〜って来てたじゃん』
葉隠「えへへ〜」
耳郎「まあ、それは言いすぎだけど」
麗日「最初の頃は莉紗ちゃんもあんまり自分から話しかけにいかんタイプやったね」
葉隠「クール&ビューティー!」
『私そんな尖ってた?』
「「「それなりに~」」」
『...んー』
**
仮免のための圧縮訓練や仮免試験の疲れからか今日は早めに部屋に戻って休息に入る人が多かった。
自分も疲れてる気はしてたけど、何かしてないと寂しい気持ちに押しつぶされそうになるから、久しぶりの休息の時間という事もあり趣味の海外ドラマ鑑賞をするのに共有スペースのテレビでチャンネル占領していた莉紗。
その内ドラマに夢中になって、気づけば共有スペースには誰もいなくなっていた。
『ふぅー...これもあと1シーズンで終わりかぁ』
合宿後、入寮するまでの休みの間に一気見したシリーズの最終回がちょうど放送しているのを知りテレビにかじりつき、見終わった頃には夜の23時になっていた。
轟「莉紗?」
身体をのばしていると突如背後から聞こえた声に後ろを振り向くと焦凍くんが立っていた。
『? あ、焦凍くん』
轟「まだ起きてたのか?」
『あ、うん。見たいドラマあって』
轟「あんま夜更かしすんなよ、疲れ取れねぇぞ」
喉が渇いていたのか、冷蔵庫からお茶ポットを取り出しコップに注ぐと一気に飲み干した焦凍くん。
『...ふふ』
轟「? 何だ?」
『ううん。焦凍くん、母親みたいなこと言うなぁって』
轟「お前に言われたくねぇよ」
『そだね』
思ったよりもいつも通り接することが出来た、と思っていたのも束の間。焦凍くんが急に黙り込み、心なしかその表情も気落ちした様子だった。
轟「.....ごめんな」
突然投げられた謝罪の言葉。
『え、何が?』
轟「帰ってからずっと元気ねぇの、俺のせいだろ」
いつも通り振舞ってたつもりだったのにホントに焦凍くんって私の事よく見てくれてるよなー。
『そんな事、ないよ』
轟「悪りぃ」
『焦凍くん、私なら大丈夫だよ』
落ち込んだ様子を見せないよう笑顔でそういうと焦凍くんの表情が少しだけ歪んだ。
轟「莉紗...」
『ちょっと距離置くだけで会えなくなるわけじゃないんだから。私も、焦凍くんが来てくれるまでにやらなきゃならない事があるし』
轟「やらなきゃならない事?」
『..秘密。私は、大丈夫だよ』
轟「莉紗...。
3ヶ月後、必ず仮免取る」
『うん、焦凍くんなら大丈夫だよ』
誰もいない共有スペースで、そう誓い合った私達。
焦凍くんは、ランニングからさっき戻ってきたらしくシャワーを浴びに来たところだったみたいで、風呂入ってくると大浴場に向かっていった。
再び静かになった部屋で一人ふーっと息を吐くとなんだか人の気配がする気がした。
『誰かいる?』
答えが返ってくるかはわからないがとりあえずそう問いかけてみた。
麗日「り、莉紗ちゃん...」
物陰から出てきたのはお茶子ちゃんだった。
『あ、お茶子ちゃん...』
麗日「ごめん..盗み聞きするつもりなかったんやけど。話し、聞いちゃって」
『..そっか。ううん、大丈夫』
麗日「莉紗ちゃん...嫌なら無理に言わなくてええから。
轟くんと、距離を置くって、別れるってことなん?」
静かに聞いてきたお茶子ちゃんの声が2人しかいない静寂の空間にやたらと響いた。
『...うん』
麗日「何で...とか、聞いていいんかな」
『....轟くんなりにヒーローを目指す為のケジメなんだよ』
麗日「試験、落ちちゃったこと?」
『単に落ちたって事じゃなく...落ちた理由が理由でね。
試験中に夜嵐と揉めてすべき事をやり遂げられなかったから。
それに今までの自分の生き方とか、後悔したり向き合いたい事が多いみたい。
そういう清算しなきゃならないものを中途半端にしたまま私と同じ土俵には立てないし、立っちゃいけないとも思ってるんだよ。
だから、仮免補講中に全部清算しようとしてるの』
麗日「いつ...2人は戻れるん?」
『轟くんが仮免取れたら、かな。多分』
麗日「莉紗ちゃん...大丈夫?そんなん、莉紗ちゃんが辛いんやない?」
心配そうな表情で私を見るお茶子ちゃん。
『寂しいけど、大丈夫だよ。今までもね、色々あって何度も離れてるからさ』
寂しいとか、ないわけじゃないけど。でも、悲観はしていない。
絶対焦凍くんは3ヶ月後には迎えに来てくれるから。
麗日「莉紗ちゃん....
私で良かったら、話聞くから!寂しいと思ったら、私と一緒にお菓子パーティしよ!!」
グッと唇を噛み締めて必死に私を励まそうとしてくれるお茶子ちゃんの目から何故か涙が溢れていた。
『何で、お茶子ちゃんが泣くの?』
麗日「だって...莉紗ちゃんが..グスッ、我慢して、ヒック...泣かへんからやぁ...」
泣きながら言うお茶子ちゃんに少しびっくりしたけどそんなお茶子ちゃんの優しさが嬉しくて、そして救われて...心配させないように笑って呟いた。
『ありがとう』
私の言葉にお茶子ちゃんは、止まりかけていた涙がまた溢れてしまった。
まるで自分の事のように泣いてくれる友達がいる。
そんな友達がいる事は幸せな事だって心から思える。
そう。私も焦凍くんも、子供の頃は寄り添える相手がお互いしかいなかった。だから、お互いの存在に依存し執着していた部分がある。
それが私たち自身の弱さにもなっている。その弱さを認識したからこそ、焦凍くんは私と離れる事を選んだ。
でもこの3ヶ月の別れは、焦凍くんだけじゃない。
私にとっても強くなる為に必要な時間だ。
辛くないわけじゃない。
でも、不安はない。
私にも焦凍くんにも、今はたくさんの仲間がいる。
だから乗り越えられる。
だから、焦凍くん。私は大丈夫だよ。
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麗日side
何か飲みたくて共有スペースに下りてくると誰かの話し声が聞こえた。息を潜め物陰からそっと覗くと莉紗ちゃんと轟くんが話していた。
お邪魔かな、と思ってその場を退散しようとすると聞こえてきた言葉達に驚愕した。
『ちょっと距離置くだけで会えなくなるわけじゃないんだから。私も、焦凍くんが迎えに来てくれるまでにやらなきゃならない事があるし』
距離を置く?莉紗ちゃんと轟くんが?
あんなに仲良かったのに..。すれ違いとは無縁そうなくらいお互いの事理解し合ってて...。
轟「やらなきゃならない事?」
『..秘密。私なら、大丈夫』
轟「莉紗...
3か月後、必ず仮免取る」
『うん、焦凍くんなら大丈夫だよ』
3か月後..?
2人、別れるん?でも、なんか..2人の話しぶりは期間限定みたいにも思えるし...。
それに、2人共納得し合ってる感じ。
2人に、何があったんだろう...
そんな事を考えているとふと、人の気配に気づいたのか莉紗ちゃんの声が聞こえた。
『誰かいる?』
問いかけてはいるものの誰かがいると確信しているようで、ごまかせないと思い私は正直に姿を見せた。
麗日「り、莉紗ちゃん...」
『あ、お茶子ちゃん...』
麗日「ごめん..盗み聞きするつもりなかったんやけど。話し、聞いちゃって」
『..そっか。ううん、大丈夫』
麗日「莉紗ちゃん...嫌なら無理に言わなくてええから。
轟くんと、距離を置くって、別れるってことなん?」
静かに聞いたはずなのに私の声が2人しかいない静寂の空間にやたらと響いた。
『...うん』
麗日「何で...とか、聞いていいんかな」
『....轟くんなりにヒーローを目指す為のケジメなんだよ』
麗日「試験、落ちちゃったこと?」
『単に落ちたって事じゃなく...落ちた理由が理由でね。
試験中に夜嵐と揉めてすべき事をやり遂げられなかったから。
それに今までの自分の生き方とか、後悔したり向き合いたい事が多いみたい。
そういう清算しなきゃならないものを中途半端にしたまま私と同じ土俵には立てないし、立っちゃいけないとも思ってるんだよ。
だから、仮免補講中に全部清算しようとしてるの』
麗日「いつ...2人は戻れるん?」
『轟くんが仮免取れたら、かな。多分』
麗日「莉紗ちゃん...大丈夫?そんなん、莉紗ちゃんが辛いんやない?」
『寂しいけど、大丈夫だよ。今までもね、色々あって何度も離れてるからさ』
2人の間に今まで何があったのかは知らない。何度離れても今日まで一緒にいた2人は結果的に、きっといろんな障害を乗り越えてきたんだろうな。
2人は信頼し合ってて理解し合ってて、そして強い絆で結ばれてるのは私にもわかる。
お互いを見る目も優しくて、穏やかで...
あぁ、この2人。ホントにお互いのことが大切なんやなって思う。
だからこそ、全てを受け入れたような莉紗ちゃんの姿が見ていて心が痛くなった。
麗日「莉紗ちゃん....
私で良かったら話、聞くから!寂しいと思ったら、私と一緒に、お菓子パーティしよ!!」
一人じゃないよって伝えたかっただけなのに、目からは涙が溢れてきた。辛いのは莉紗ちゃんなのに...。
『何で、お茶子ちゃんが泣くの?』
麗日「だって..莉紗ちゃんが..グスッ、我慢して、ヒック...泣かへんからやぁ...」
泣きながら言う私に、莉紗ちゃんは一瞬驚いた顔をしたもののすぐに困ったように笑った。
莉紗ちゃんはそんな私に、ありがとうと言った。その言葉にまた涙が出てそれから5分くらい私は泣き続けた。
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