Season3
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『よし、無事通過だね』
轟「ああ、お前。"自然"の個性、思ったより仕上がってる」
『ホント?』
轟「ああ、こんな短期間でよく仕上げたな」
『焦凍くんに褒められると素直に嬉しいな』
轟「他のも使えるようになったのか?」
『水はね。発動自体は問題なく出来るようになったけど実戦でどう使うか迷子中でまだ取り込んでない』
轟「じゃあ後は火と雷か」
『.....今のところ前兆っぽいのないからなぁ。焦凍くんも圧縮訓練の成果どう?』
轟「…左右の同時発動、まだ練習足りねぇな。動きが鈍る」
自分の両手を交互に見ながら言う轟。
『左のブランク長いからねぇ、年季が違うもん仕方ないよ』
轟「まあな」
2人が会話をしながら歩いていると身体に取り付けられたターゲットが同時に鳴り通過者は控室に移動してください、という音声が流れた。
『無駄にハイテク..』
轟「行くか」
『だね』
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2人はANTE ROOMと書かれた部屋にやってきた。
轟「! 結構いるな」
『そだねー』
2人はターゲットとボールを返却して会場に戻ってきた。
夜嵐「マジっすか!自分もスタンプマン好きっすよ!!彼は熱いヒーローっす!」
遠くからひと際大きく興奮した声が聞こえそちらを見ると士傑高校の夜嵐イナサが他の受験者と話していた。
『相変わらず声デカいしうるさいなー』
轟「莉紗、あっちの椅子空いてるぞ」
『あ、うん』
2人は長椅子に腰かけた。
轟「あいつ、推薦だったよな?」
『うん』
轟「推薦なら、入試ん時に会ってるはずだが」
『うん、私見てたけど思いっきり絡まれてたよ?』
轟「..覚えてねぇ」
『マジかよ…あ、あっちにドリンクコーナーある。なんか飲み物取ってくるね』
轟「ああ、頼む」
莉紗の背中を見送り轟が夜嵐を見ていると、夜嵐も轟に気づいたらしくこちらを見たがその表情がほんの一瞬だけそれまで見せていた夜嵐の表情とは思えないほど鋭く敵意を向けた表情だった事に轟は疑問を浮かべた。
『焦凍くん?難しい顔してどうしたの?』
思いふけている轟に問いかけた莉紗。
轟「...いや、何でもねぇ」
『そう?はい、お茶。お饅頭もあった』
轟「ああ、サンキュー」
それからしばらく2人で待機していたが、クラスメイトは一向に姿を見せず気づけば通過者は70人を超えていた。
轟「クラスの奴ら来ねぇな」
『やっぱ個性知られてるアドバンテージはデカいかな..あ』
そんなことを話していると、八百万、蛙吹、耳郎、障子がやってきた。
八百万「轟さん、莉紗さん!通過していたのですね」
蛙吹「さすがね」
耳郎「他のみんなは?」
轟「来てない、1番最初が俺らで次はお前らだ」
障子「そうか、まだか」
『クラスで動いてたんじゃないの?』
八百万「それが、傑物学園の方の個性で分断されてしまって…」
耳郎「残り30人..」
蛙吹「みんな通過できるといいんだけど..」
『信じて待とう』
耳郎「ちょっと莉紗」
にやにやしながら耳郎が莉紗の元にやってきて小声で話しかけてきた。
『ん?』
耳郎「轟と2人でどうだったのさ?」
『どう?』
耳郎「何か進展とかなかったの?」
『はぁ?あのねー、試験中にどうもこうもあるか』
突然振られた話題にふいっとそっぽ向いた莉紗。
耳郎「元カレ出現で三角関係かー?」
明らかに面白がっている耳郎にキッと睨みをきかせた莉紗。
『響香ぁぁ....睨』
2人がそんなバトルを繰り広げていると八百万の声が聞こえた。
八百万「皆さん、よくご無事で!心配していましたわ!」
上鳴「ヤオモモ~!ご無事よ、ご無事。つーか早くねぇ?みんな」
障子「俺たちもついさっきだ。轟と風舞が早かった」
耳郎「爆豪も絶対もういると思ってたけど、なるほど。上鳴が一緒だったからか」
上鳴「はぁ?!ちょっとお前そこ直れ!!」
蛙吹「お茶子ちゃん、ターゲットを外すキーが奥にあるわ。ボールバックと一緒に返却棚に戻せって」
麗日「ありがとう、梅雨ちゃん!」
轟「A組はこれで12人か」
緑谷「あと9人...」
八百万「アナウンスは、残席は18人」
『全員で、通りたいね...』
緑谷「うん...」
[はい、ここで一気に8名来ました。残席は10名です!]
八百万「A組は..」
耳郎「あと、9人のまま。これ全員はもう無理かな..」
全員が、落ち着かない様子でそわそわして他のメンバーを待つこと10分..
アナウンスで徐々に通過人数がカウントされていく。
[5名!続々と、この最終盤で一丸となった雄英がコンボを決めて通っていく!!]
『え?雄英..?』
轟「大丈夫そうだな」
『うん、良かった』
[そして0人!!100人!今埋まり、終了ですっ!!]
上・切「「よっしゃー!!!!」」
麗日「雄英全員、一次通っちゃったー!!!」
瀬呂「すげぇ!こんなんスゲェよ!!」
蛙吹「ケ、ケロ~」
緑谷「良かった..」
障子「ああ」
待機していた皆がホッと肩を撫でおろした。
相澤「全く冷や冷やさせてくれる。戻ったらもっと鍛えんとな」
ジョーク「ぶはっ!嬉しいんだろ?喜べよ!」
相澤「怒ってる」
ジョーク「足がルンルンしてるぞ?」
相澤「してない」
ジョーク「ぶはははっ!!」
一次試験、全員で突破することが出来た雄英1年A組。しかし、休む間もなくアナウンスが流れた。
[えー、一次試験を通過した皆さん。これをご覧ください]
モニターに映し出されたのは先ほど1次試験を行ったフィールド。
緑谷「フィールドだ」
麗日「何だろうね?」
何が映し出されるのかと皆がモニターを注視していると、突然フィールドのあちこちで爆発が起こりフィールドが破壊されていく。
「「「「(何故?!)」」」」
モニターを見ていた誰もが引くくらい激しい破壊。
緑谷「こ、これは...」
『これって、まさか...』
轟「.........」
[次の試験でラストになりまーす。皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます]
上・峰「「バイスランダー?」」
葉隠「バイスタンダー!現場に居合わせた人の事だよ。授業でやったでしょー?」
『(やったっけ...?)』
八百万「一般市民を指す意味でも使われたりしますが..」
[一次選考を通過した皆さんは仮免許を取得していると仮定し、どれだけ適切な救助を行えるか試させていただきます]
障子「ん?人がいる..」
砂藤「なっ!?老人に子供..?!」
峰田「危ねぇ!何やってんだ!!」
[彼らは、あらゆる訓練において引っ張りだこの要救助者のプロ。
Help us company、略してH.U.Cの皆さんです!]
瀬呂「要救助者のプロ?」
蛙吹「いろんなお仕事があるのね」
尾白「ヒーロー人気のこの現代に、則した仕事かもね」
[H.U.Cのみなさんは傷病者に扮して被災現場の全域にスタンバイ中。皆さんにはこれから彼らの救助を行ってもらいます。なお、今回は皆さんの救出活動をポイントで採点していき演習終了時に基準値を超えていれば合格としまーす。10分後には始めますので、トイレ等済ませといてくださいねぇ]
『神野区の時のような状況を..。自分が救出されていたあの状況を、今度は自分が...』
フィールドを見つめ、目の前のモニターに広がる光景に精神を落ち着かせる莉紗。
『(大丈夫...落ち着けば出来る。応急処置はナースレイ※に特訓してもらった)』
※ナースレイ...グルーガン事務所所属のサイドキック。治癒系個性を持ち、救助や応急処置のスペシャリスト。
10分の準備タイム中。
深呼吸をしふと隣を見るといたはずの轟がおらず辺りを見渡すと麗日が何やら思い悩んだような表情を浮かべているのが気になった莉紗。
『お茶子ちゃん、大丈夫?』
麗日「え?あ、莉紗ちゃん!う、うん?何が?!」
『なんか、悩んでる?』
麗日「な、なーんにも悩んでへんよ?!」
麗日の様子は明らかにおかしかったが、士傑高校が爆豪のところに向かって歩いてきた為そちらに意識を向けた。
全身毛で覆われている男が爆豪の名前を呼んだ。
「肉倉....糸目の男が君の所に行かなかったかい?」
爆豪「ああ、のした」
「やはり..色々無礼を働いたと思う。気を悪くしたろ。アレは、自分の価値基準を押し付ける節があってね。何かと有名な君を見て暴走してしまった。雄英とは良い関係を築き上げていきたい、すまなかったね」
轟「(良い関係...しかしあの顔は)
おい、坊主の奴」
士傑高校がその場を立ち去ろうとした所を轟が坊主こと、夜嵐を引き留めた。
『轟くん...?』
突如夜嵐を引き留めた轟を不思議に思い轟を見た莉紗。
轟「俺、何かしたか?」
夜嵐「ほぉー?」
夜嵐の元に近づいた轟に鋭い眼光を飛ばす夜嵐。それまで人懐っこく、テンション高らかに話していた夜嵐とは全く異なる低く敵意を向けるような声色。
夜嵐「いやー、申し訳ないっすけど。エンデヴァーの息子さん」
轟「?」
夜嵐「俺はアンタらが嫌いだ。あの時よりはいくらか雰囲気変わったみたいっスけど、アンタの目はエンデヴァーと同じっス」
明らかな轟への挑発に莉紗が2人の間に割り入った。
『夜嵐。試験中にケンカ売るとか余裕じゃん』
夜嵐「風舞、アンタは....」
割って入った莉紗を見た夜嵐の眉がピクりと動いた。
「夜嵐!どうした」
夜嵐「何でもないっすー!!!」
声色がいつもの夜嵐に戻り、走って他の士傑生を追っていった夜嵐。
轟「(親父の、目...?)」
緑谷「轟くん...」
『あいつの言う事なんて気にしなくていいよ』
轟「...ああ」
ああ、とは言ったものの気にしてるのか考えてるのかどこか上の空な轟の様子に莉紗の心には不安が立ち込めた。と、そんな時。
ジリリリリ...と、突如非常ベルが鳴った。
[ヴィランにより大規模テロが発生。規模は○○域全域、建物の倒壊により傷病者多数]
耳郎「これって...」
蛙吹「演習のシナリオね」
耳郎「え、じゃあ?!」
蛙吹「始まりね」
[道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ]
演習シナリオの放送が流れながら、会場は再び展開した。
[到着するまでの救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮を執り行う。1人でも多くの命を救いだすこと。それでは、スタート!]
開始のアナウンスと同時に受験者たちが一斉に走り出した。
『採点とは言ってたけど、採点基準や合格ラインは一切不明か』
轟「わからん以上は訓練通りにやるだけだ」
『うん』
飯田「とりあえず一番近くの都市部ゾーンへ行こう!なるべくチームで動くぞ!」
「「「おう!!」」」
クラスが団結してるのをよそに、案の定、爆豪は単独で動くべくみんなとは違う方向に走っていった。
芦戸「爆豪、また!?」
『もうほっとこう。最悪切島いるならそこまで悪いようにはならないと思うし』
諦めたような様子ではぁ、とため息を吐きクラスメイト達を宥める莉紗。
芦戸「ん~、そうだね!」
蛙吹「いくら演習とは言え、ひどい状況ね」
尾白「みんな!落ちてくる瓦礫に気を付けて!」
緑谷「?!」
緑谷が突然足を止め振り返った。
緑谷「子供の声が!」
声が聞こえる方に向かうと、青い帽子をかぶってヘッドフォンを逆さにぶらさげている少年らしき人物がいた。
『ケガしてる!少年、止血するね。避難所まで歩けそうかな?』
莉紗は少年に駆け寄り、止血と全身状態の確認をした。
「助けてぇっ!!おじいちゃんが!潰されてー!!」
緑谷「えぇっ!?大変だ!どっち!?」
「お前、何だそれっ!減点だぁ!!」
さっきまで泣いていた少年が突然いかつい顔で緑谷にツッコんだ。
緑谷「『え....』」
「まずー!私が歩行可能か確認しろよー!呼吸の数もおかしいだろ?!頭部の出血もかなりの量だぞ!!仮免持ちなら被害者の状態は瞬時に判断して動くぞー?!」
『(なるほど...)』
緑谷「(この演習..huc自身が採点するのか..!!)」
「こればかりは訓練の数が物を言う。視野広く、周り見ろ!
救出・救助だけじゃない消防や警察が到着するまでの間、その代わりを勤める権限を行使し、スムーズに橋渡しが行えるよう、最善を尽くす。ヒーローは人々を助けるため、あらゆる事をこなさなきゃならん。
何より、あんた。私達は怖くて痛くて不安で堪らないんだぜ?かける第一声が"え?大変だ!"じゃダメだろ」
緑谷はhucの言葉にオールマイトの姿を思い出した。
どんなピンチでも笑顔を絶やさず、決め台詞を口にし、戦い、人々を救出する。見ている者の心に安心感をもたらす平和の象徴。
オールマイトは意味なく笑顔でいたわけじゃない。
平和の象徴として、みんなを安心させるために笑顔でいたのだ。
その意味を痛感した緑谷は自分の顔をパチンと叩いた。
緑谷「だい、じょうぶ!!」
「....ぇええぇん!!あっちで、おじいちゃんが!!」
緑谷「大丈夫さ、必ず助けるよ」
『JCS1-Ⅰ、出血量現状目視で100~150ml。橈骨動脈触知良好だから血圧は保ててそうだけど、出血が続けばレベル低下の可能性もあるから止血しながら早急に救護所まで連れて行く』
芦戸「わお、風舞お医者さんみたーい!」
緑谷「僕が救護所まで運ぶから、みんなは先に行ってて!」
飯田「よし!」
『緑谷、頼んだよ。頭動かさないようにね』
緑谷が少年を抱き上げ救護所に向かって走り出した。
他のA組一行は都市部に分かれて向かって走っていった。
そこでは他校が既に救助活動を行っていた。自分達よりも1年以上長い訓練経験があるためやはり判断も行動も迅速で慣れている様子だった。
『障子、響香。救助者がいないか周囲の確認を』
障子「ああ」
耳郎「分かった!」
八百万「みなさん!こちらも早く動きましょう!意識はあります。おじいさんです!」
倒壊した建物の瓦礫の中から老人の声が聞こえた。
麗日「瓦礫が邪魔だ、浮かしてどかす!」
八百万「お待ちください」
走って瓦礫に向かう麗日を八百万が止めた。
八百万「周囲をもっとよく見てください。壁部に隣の建物が倒れかかり偶然バランスが保たれている状態ですわ。うかつに動かすと崩壊する恐れがあります」
麗日「そうか!いかん..」
八百万「壁を支える支柱を作ってから救助を!組むのに時間を要してしまいますが」
瀬呂「そこは俺らに任せとけ!」
砂藤が瓦礫や八百万の創造した鉄筋を持ち上げ、瀬呂がテープで固定した。
八百万「麗日さん!」
麗日「うん!バランスに作用しない瓦礫をどかして道を作る!」
「(完璧ではないものの、中々やるじゃないの)」
瓦礫にはさまれていたhucのおじいさんが心の中でそっと評価していた。
耳郎「あっちの川の方からも声が聞こえる!」
『よし、向かおう』
障子「既に何人かはそうだがバラけた方がよさそうだ。少数編成で動こう」
蛙吹「なら、私は莉紗ちゃんと得意な川の方に行くわ」
轟「俺も行こう」
葉隠「私も!」
尾白「よし、俺たちも!」
芦戸「おう!口田!要救助者、動物を使って探せる?」
芦戸の問いかけに口田はうんうんと頷いた。
障子「俺も捜そう」
飯田「よし、状況によっては他校ともコミュニケーションをとりより多くの命を救わん!」
「「「「『おう!』」」」」
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