Season3
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いよいよ、仮免取得試験が始まった。
観客席で一緒に試験の様子見ている相澤とジョーク。
ジョーク「しっかし21人とはなぁ。お前が除籍してないなんて珍しいじゃん。気に入ってんだ?今回のクラス」
相澤「別に」
ジョーク「ハッ八ッ!照れんなよ、だっせーなぁ!付き合おう?」
相澤「黙れ」
ジョーク「ハハハ、しっかし。それなら変な話だぜ?お前が、あの事を知らないわけがない」
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開始の合図と共に一斉に走りだした受験者。私達も素早く場所を移動した。この試験が始まった時になんとなく気づいてしまった悪い予感。
『緑谷、この試験...気づいてる?』
緑谷「うん、先着で合格なら同校で潰し合いはない。むしろ手の内を知った中でチームアップが勝ち筋」
『うん。それに私達は知られてる分圧倒的に不利』
緑谷「そうだね...みんな!あまり離れず塊で動こう!」
麗日「うん!!」
飯田「そうだな!」
ほとんどのクラスメイト達が賛同してくれた中、予想はしていた反論の声が聞こえた。
爆豪「ふざけんな、遠足じゃねぇんだよ!!」
正直爆豪が大人しく団体行動を取るわけないとは思ってはいたけど、怒鳴った爆豪は1人私達の元を離れて行った。
切島「ばっか!爆豪!!待て!!」
そんな爆豪を放っておけず切島も追いかけて行った。
緑谷「かっちゃん、切島くん..」
皆がその場を離れていった2人の後ろ姿を見つめていると予想していなかった人物からも爆豪と同じ言葉が聞こえた。
轟「俺も抜けさせてもらう。大所帯じゃ、かえって力が発揮出来ねぇ」
『え...ちょっと!』
私の制止の言葉も聞かずに行ってしまった焦凍くん。
元々団体行動は好まないとは言え、最近の焦凍くんは仲間と頼り頼られる関係性を持っていたし、この試験における自分達の状況を把握しているだろうからみんなで動いてくれると思っていた。そんな私の予想を裏切るように焦凍くんの姿は見えなくなっていった。
緑谷「轟くん!」
『もう..緑谷、ごめん。1人は心配だし私は轟くん追いかけるね』
緑谷「う、うん...そうだね、気を付けて」
この状況を理解してる緑谷も、止めることは出来なかったらしく困ったような表情でそう一言私に告げ、私もごめんと言って焦凍くんの後を追いかけた。
『ちょっと!』
轟「来たのか」
走るのはやめていたようで辺りを探りながら歩いてた焦凍くんに追いついたのは私が追いかけて5分程経った頃だった。
私がこっちに来るのが予想外だったようなその言葉に少しだけムっとした。
『1人で動くなんてバカじゃないの?気づいてないわけじゃないでしょ?』
棘のある言葉を投げかけてやるも気にした様子もなくこちらを見て
聞き返してきた。
轟「何がだ」
『この仮免取得試験。私達は圧倒的不利ってこと。私達は他校の個性も戦闘スタイルも弱点も何もわからない。でも向こうは違う。全国中継された雄英体育祭で私達のそれらは知られ、分析され対応策を練ってきてるはず』
轟「ああ、そうだな」
『私達にとって不利な個性持ちだって当然いるはず。その弱点を補う為にもクラスで団体行動取ってた方がいい..はずだったのに』
轟「さっきも言ったろ。大所帯じゃ動きにくい」
『焦凍くんの力が必要な場面もあるかも。仲間の力になろうとかないわけ?』
轟「仮免取ろうとしてるならハナから助けは求めねぇだろ。いつだって俺がいるわけじゃねぇ。その中で対応する能力がなきゃヒーローになんてなれねぇよ」
『そりゃ、そうだけど』
言いたいことは分かる。分かるけど、私達はまだヒーローじゃない。不十分な所も多い。それを補いながらみんなで切磋琢磨しこれまでも逆境を乗り越え強くなってきたその過程が確かにある。その中で、それを言うのはあまりにも冷たすぎやしないか。
轟「それに、向こうは緑谷や八百万が残ってる。敵が対策を立てて来てようがあいつらがいれば対応可能だろ」
『.......』
分かってる。焦凍くんの言葉に他意はない。緑谷とヤオモモはクラス屈指の頭脳持ち。戦略を立てる事に突飛した能力がある策略家だ。2人が一緒にいれば、確かに大抵の事には対応出来ると思う。それは分かってる。分かってるけど...。
『...じゃあ、その緑谷なりヤオモモに』
口にした友人の名前。
そして自分で気づいたドロドロとした感情。
こんな大事な試験が始まったと言うのに私は何を考えてるんだろ。
焦凍くんの口から出た、緑谷やヤオモモの名前と信頼の言葉。
2人がいれば大丈夫と言わんばかりの絶対的な信頼。
子供の時から、私がヒーローを目指すその根底は焦凍くんだ。
焦凍くんを支えたくて、守りたくて、頼られたくてヒーローを目指した私にとって2人に向けられたそれは、まさに自分が目指し喉から手が出るほどに欲しくてたまらなかったものだ。
それを当たり前のように向けられた2人に対して、羨ましい気持ちと同時に妬ましい気持ちも湧いてきた。
まして、ヤオモモの個性"創造"のその万能さは将来焦凍くんを支えるには十分すぎるほどの個性だ。
ヤオモモは期末試験の時に、私や焦凍くんと比べて結果を残せていないと言っていた。体育祭以降、ずっと自信を持てなかったって試験の後のお昼ご飯の時にこっそり私に話してくれたのも記憶に新しい。けど、焦凍くんならともかく私と比べるなんてヤオモモは自分を卑下しすぎだ。
私と違ってヤオモモの頭脳はクラスでも絶対的な存在。
同じ推薦入学でも成績優秀な2人と、いつも赤点ギリギリを免れていたくせに何とか推薦枠を勝ち取った私とでは雲泥の差だ。
そもそも学科の成績悪いのに何で推薦枠取れたのかも今だに不思議なくらいだ。
テスト勉強だって、私に教えてばかりの焦凍くん。私には焦凍くんに教えることは出来ないけど、ヤオモモとならお互いに苦手な部分を教え合い補い合うことも出来るだろう。
それにヤオモモは美人だし、スタイルもいいしお転婆気質な私と違っておしとやか。純日本人嗜好の焦凍くんにはぴったりなヤマトナデシコじゃないか。2人が並ぶと身長のバランスも良くてまさに美男美女。どう見てもお似合いの2人だ。
あれ、私こんな卑屈な性格だったっけ。こんな時に何ヤオモモに嫉妬してんだろ。バカみたい...。
1人そんなことをもやもやと考えていると、名前を呼ばれているのに気づいた。
轟「おい、莉紗」
『.....何』
轟「何か怒ってんのか?」
『普段鈍いくせにそういうのは気づくんだ』
あーもう、何でこんな可愛くないこと言うんだろ私。
轟「そりゃ分かるだろ、お前の事は。ずっと見てんだから」
『....っ、! そんな、見てない...でしょ。中学別だし...』
轟「? そういうのは時間じゃねぇと思うが」
何の気なしにこういう事言うからホントに焦凍くんはタチが悪い。焦凍くんの何気なく発する言葉達が私の心をかき乱していく。
『確かに人数多すぎると動きにくくなるってのは分かるけど。
わざわざ危ない橋渡って1人にならなくても...。
焦凍くんは体育祭で他の人より良くも悪くも目立ってる分きっちり対策講じられてるはずだよ。焦凍くんにとって相性の悪い個性持ちぶつけてくる事だって予想出来る。
せめて1人になるんじゃなくてさ、ヤオモモと緑谷を筆頭に雄英2分化を提案してどっちかと一緒に動いた方が良かったんじゃない?
こんな不利な状況下、2人みたいな人材は必要だよ』
轟「言いたい事は分かったが、それなら問題ないだろ」
『は?何で?』
突然の問題ない発言に私の眉がピクリと動いたのが自分でもわかる。
今、私の話しを聞いてどこをどう聞いたら問題ないと思うんだろう。
轟「何でって...お前が来ただろ?」
『...は?』
轟「正直お前はこっち来るだろうと思って頭数に入ってた」
『...はぁ?』
轟「最初から1人で動くつもりではいなかったって事だ」
『............』
轟「それにお前の言う必要な人材とか言う話しなら、お前が来た時点で問題ないだろ。それで俺の事追いかけてきたんじゃないのか?」
『あ、や....え?』
轟「第一、俺は1人で動くとは言ってねぇ」
『そ、れは...確かに言ってない、けど....』
完全に焦凍くんのペース。
単純な私は、さっきまでバカみたいにヤオモモ(と緑谷)に嫉妬して不貞腐れてたのに、焦凍くんから紡がれる言葉の数々にあっという間にそんな気持ちがどこかに飛んで行った気がした。
『焦凍くんの中で私、ヤオモモや緑谷と同格なの..?』
轟「? お前も分析とか作戦立案得意だろ?」
『....バカ』
こんなことですぐ機嫌を直してしまう私は、ホントに大の着くほど単純バカだと思う。
轟「?」
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ジョーク「可愛いクラスなら生徒達に言ってやれば良かったのに。毎回まず最初に行われる、雄英潰しのことを」
そう、生中継される雄英体育祭で雄英側の個性や戦闘スタイルは周知され対策を練ってきている他校がそろい踏みで雄英をつぶしに来るのはこの仮免取得試験では毎回恒例となっている。
相澤「雄英潰し..あいつらに言ってやらない理由はないが、結局やることは変わらんからな。ただ乗り越えていくだけさ。ピンチを覆していくのがヒーロー。そもそもプロになれば、個性晒すなんて前提条件。悪いがウチは他より少し先を見据えている」
そうして2人の視線の先では早速始まった名物がモニターに映し出された。緑谷や莉紗の予想通り、緑谷たちの元に他校が一気に集まってきた。なんとか他校からのボールの嵐を力を合わせて全て掻い潜る事が出来た。
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探索に走っていた轟と莉紗が突如身体に伝わる揺れを感じ足を止めた。
『ん?』
轟「揺れてる..」
『地震?』
轟「いや、誰かの個性だろうな」
『皆大丈夫かな』
轟「行くぞ」
『ん』
その時会場内にアナウンスが流れた。
《うぉおっ?!脱落者120名…1人で120名を脱落させて通過したー?!えー、さてちょっと目が覚めてまいりました。ここからどんどん来そうです。みなさん早めに頑張ってくださーい》
『1人で120名って…マジか』
轟「よっぽどすげぇ範囲攻撃持ってるのか」
『焦凍くんでも無理じゃない?120は...』
轟「どうだろうな」
2人は気配を出さないように敵の様子を伺いながら工場地帯に入ってきた。様々なパイプ管やタンクが密集していて死角が多い為ひとまずこれからどう動くか話し合う為にタンクの影に隠れた。
轟「他の奴らはどこも10人以上のチームを組んで動いてやがる」
『そりゃそうだよ、だから言ったじゃん』
轟「…こっちから仕掛けてもいいが不利な個性持ちがいると厄介だしな」
『それも私最初に言ったよ。あの時戻ってたらまだ間に合ったのに..』
轟「今日は随分根に持つな」
『そういうわけじゃないけど..』
轟「他の奴らがぶつかり合って双方の人数が減った所を襲うってのが理想的な状況だが」
その時再びアナウンスが流れた。
《えー、結構状況が動いています。現在通過者50名..ああ53名。続々出てます。2人以上脱落させた者もいるため脱落は230名。そして今54人目出ました、あと半分切った早く、ほれー》
『悠長に待ってられないな』
轟「ああ、動くか」
『うん』
2人は顔を見合わせ頷き、敵を探しにその場を動きだした。
工場地帯の中を走っていると2人目掛けてボールが数個飛んできた。轟は炎で、莉紗は風で敵のボールをいなした。
上を見上げるとタンクの上に人の姿。色々な色の忍装束を着た連中が10人立って2人を見下ろしていた。
「やるやる~。さすがは雄英体育祭準優勝と3位。轟くんと風舞さんだっけ?しっかし、たった2人で行動するなんてすごいねぇ、余裕ありまくり~」
「でもさ~、2人はまずいっしょ」
「2対10だよ?どうすんのー?」
轟「助かる、捜す手間が省けた」
2人は臨戦態勢を取り、個性の不明な敵との戦法を頭の中で練っていた。
「クク、格好いいねぇ」
4人の敵が2人に向かってボールを投げつけてきた。
『突風 青嵐!』
莉紗の出した突風がボールをいなし、また吹き荒れる強い風に相手は思わず目を瞑り飛ばされないよう必死に耐えている所に轟の氷結が相手の足を捕らえた。
「な、動かねぇ!」
轟「お前ら、本当に体育祭見てたのか?」
『結構派手に個性使ってたのに随分無防備だね』
「もちろん見てたよ!!」
そう言ってリーダーらしきセンターに立つ赤装束の男が何やら金属の部品らしきものを投げてきた。
その部品は途中で大きくなり轟達に向かって飛んできた。
轟「『?!』」
莉紗が竜巻を起こし金属を押し返そうとするものの予想以上の重量に竜巻で軌道を少し変えたくらいに留まった。轟がすぐに氷壁を出して金属を阻んだ。
轟「物を大きくする個性か..」
『私の風が通らない…』
「まだまだー!!!」
敵は続けていくつも金属部品を投げてきた。途中で大きくなった金属が轟の氷壁をじわじわと壊していく。
轟「最大を出すか..」
『いや待って、最大はこっちの視界も遮る。他の奴らの個性が分からないうえ、他にも仲間がいる可能性がある以上それは危ない..』
轟「ならどうする....?!」
いくつも投げつけられた金属にいよいよ氷壁が破壊された。
氷壁が壊れたところに再び金属部品が投げられ今度は炎で応戦した轟。しかし、溶けるどころか全く何の手ごたえもなく2人はその場を駆けて金属を避けた。
轟「全部溶かせないにしても、全く影響がないだと?!」
『耐熱性ってわけね…』
敵は、金属で足を拘束している氷結を壊し自由になった。
「言ったっしょ?轟くん、風舞さん。いくら雄英生だからってたった2人で動くなんて..余裕ありすぎだってーの」
轟「なら!」
轟は直接的に向けて炎を放ったが、2人の敵が水と泥で轟の炎を打ち消した。
「今粘着糸出してるところかい?!」
轟が応戦している隙を見て、莉紗は目視で確認しにくい細さまで細くした粘着糸を敵に飛ばしたがやはり生中継でその個性を使用している所を見られていた分警戒されていたようで莉紗が粘着糸を飛ばそうとしたそのモーションを見て敵も動いた。
金属を投げ続けてくる中、増強型の個性持ちもいるようで力づくでパイプ管を破壊し投げつけてきた。金属とパイプ管の激しい応酬に守りに徹して攻めあぐねている2人。轟が一旦氷壁で時間を稼いだ。
轟「炎には水、氷には物理攻撃…物理攻撃は莉紗の風も通らねぇ上に粘着糸にも警戒態勢ばっちりだ」
『しっかり対策練ってきてやがるね。私の個性何も使えてないし』
轟「とりあえず一旦退くぞ」
『おっけー』
轟が火力を上げて炎を放った。
「ムダだって!!」
敵も泥と水で轟の炎に応戦したが近くにあったタンクにその攻撃が当たったのか突然爆発し辺りは白い煙に包まれた。そこに莉紗が右腕を大きく振り上げた。
『突風 青嵐!!』
得意技を繰り出し、視界不良の中さらに強い風で動きを止めさせている隙に2人はその場から撤退した。
なるべく敵から距離を取るべく入り組んだ工場地帯の中を走っている2人。
『焦凍くん、さっきの爆発...』
轟「ああ、試験会場にこんな工場を使ったのはヒーロー公安委員会の意図だろう」
『建物や地形の特性を活かして戦えってってことね』
轟「おそらくな」
『焦凍くん、火ちょうだい』
轟「ああ、どうするんだ」
『こうする』
形になり始めていたが実践レベルには到達していないコンビ技。手のひらサイズの小さな竜巻を作り轟の火を巻き込み自分達が向かう方向とは違う方向に投げ飛ばした莉紗。
「いたぞ!」
敵の声が聞こえたが、自分達ではなく今しがた火を纏った竜巻を追うように声が離れて行った。
『時間稼ぎ』
轟「なるほどな」
『焦凍くん』
轟「何だ」
『私が思うに、あの物理攻撃に対して私の風が通ってないけど多分それたまたまだと思う』
轟「どういうことだ?」
『多分、あいつら焦凍くん対策はしてるけど私対策はしてない気がする』
轟「何でそう思う?」
『もしかしたら対策が思いつかなかっただけってのもあるかもしれないけど。物理攻撃以外、私の風への対策らしい対策がなかった。現に突風攻撃は全部有効で奴らの足止めができている。粘着糸に至ってはおそらく対策を講じてないから厳重警戒しているみたいで1人だけ終始ずっと私を注視してる奴がいた。私が粘着糸を使おうとした時もそいつが一番初めに動き出したから』
轟「なるほどな」
『おそらく、奴らのあの口ぶりはフェイクで焦凍くんが1人で動くだろうと踏んで最初から焦凍くんしか狙ってなかったんだと思う。そこに私がくっついてきていたのがおそらく奴らの想定外だったけど、幸いにも体育祭では私も対戦回数が多かった分個性や戦闘スタイルを中継で目にする機会が多かったから焦凍くん対策に私への対策も分かる範囲で練りこんだっていう感じじゃないかな』
轟「確かに、そう言われれば合点がいくな」
『てことで、私は実戦練習』
轟「使っていいのか?」
『相澤先生とオールマイトには見てもらって許可取ってる。仮免試験は試験中の様子が公にさらされるわけではないし、実戦レベルには達してる。体育祭の時にはなかったものを使うから初見殺しにはなるだろうからやってみろって。どこまで通用するのか、そろそろ試してみたくてね』
莉紗の言葉を聞いた焦凍くんが小さく頷いた。
轟「よし、じゃあ本物を探すぞ」
『爆発タンクのこと?』
轟「ああ、あるはずだ。タンクの中にも本物が」
轟は近くのタンクに氷結で穴を開け中身を確認していった。
しかしそれは意外にも早く見つかり4つ目のタンクで本物を見つけた。
轟「莉紗、ここに誘い込むぞ」
『うん』
タンクの前にある看板に火をつけた轟。
そして、敵がその火につられタンクの前にやってきた。
視界が段々と晴れて行き敵の目に映ったのは燃えている看板1つだった。
「クソ!図られた!!」
建物の上で待機していた轟がタンクに向けて炎を放つとタンクが爆発し敵がその衝撃で飛ばされた。
そこに莉紗が回転速度を上げた改良版の竜巻を放ち敵を巻き込んだ。
すると、突然竜巻が消え、上空から地面に向かって突風が吹き敵を地面に叩きつけた。
竜巻に巻き込まれぐらぐらと揺れる視界と、地面に叩きつけられた衝撃で敵は満身創痍。
「グッ…あの野郎共無茶苦茶..!」
轟「やっぱ委員会も、さすがに爆発の威力は抑えてたな」
「テメェ!..?!土の壁?いつの間に、誰の個性だ..?!」
気づくと敵たちの背後に土の壁が立ちはだかっている。
『私だよ』
莉紗は祖母から受け継いだ”自然”の個性である”土”を使ったのだ。
『竜巻乱舞!!』
今まで同時に出せる竜巻は片手につき1つ、計2つまでだった。
しかし、林間合宿の時に同時に出せる竜巻を増やせたら…と思っていたのをきっかけに同時発動できる竜巻を増やす為の特訓を日々行っていてエクトプラズムとの圧縮訓練の残り日数で完成させ両手から2つずつ計4つの竜巻を同時に起こすことが出来るようになった。
そして必殺技として十分な効果があるとエクトプラズムからのお墨付きをもらい、技名をつけたのだ。
まだ方向操作は不十分な為1人1人に的確に当てることはできないが数名を竜巻で背後にある壁に叩きつけ粘着糸で土壁に固定させた。
「クッソ..何だ、この技は..」
『新技、だよ!!』
竜巻が当たらなかったリーダーらしき赤い装束の男。粘着糸で捕縛し土の壁ごとエクトプラズムとの特訓で習得した新技...もう一つの必殺技をお見舞いした。
『旋風拳!!』
竜巻を纏った拳は敵の腹部にねじ込まれ敵は気を失った。
『ちょっと、対人で実際使ってみたかったんだよ』
轟「悪いな、落ちるわけにはいかねぇんだ」
2人は敵のターゲット全てにボールを当てた。
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