Season3
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仮免取得試験当日
試験会場《国立多古場競技場》
結局焦凍くんとの合体技は完成することなく仮免試験当日を迎えた。
バスを降りて相澤先生誘導のもと、会場に向かう途中喉が渇いた私はみんなに先に行っててもらって途中の自販機でお茶を買っていた。
『人多いなぁ..これ皆受験者かな』
お茶を自販機から取り出し飲みながら皆の元へ歩き出した。
「「プルス、「ウルトラ―!!」」」
いつもの校訓にいつもは聞こえたことのない声が混じっていた。
まだ目視で確認出来ない距離にまで聞こえてくるその声に私はどこかで聞き覚えがあった。
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轟「....?」
上鳴と切島がいつものように校訓を叫んだ時、2人の声をかき消すほどの尋常じゃない声量の声がかぶさってきた。
一同がそちらを見ると帽子をかぶったやたらデカい図体の男が立っていた。
「勝手によそ様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」
「あ、しまった!どうも、大変失礼致しましたぁああ!!」
お辞儀次いでに地面に思いっきり頭を叩きつけたデカい男。
上鳴「ヒィッ!なんだ、この...テンションだけで乗り切る感じの人は!」
相澤「(この男...)」
耳郎「待って、あの制服..!!」
爆豪「東の雄英、西の士傑...」
数あるヒーロー科の中でも、雄英に匹敵するほどの難関校である士傑高校。
イナサ「1度言ってみたかったっす!プルスウルトラ!!自分!雄英高校大好きっす!!雄英の皆さんと競えるなんて、光栄の極みっす!!よろしくお願いしまーす!!」
おでこから血を垂らしながら興奮したように叫んでいるイナサと呼ばれた男。
「あ、血...」
「行くぞ」
イナサと呼ばれた男以外の士傑の生徒達が続々と会場の中に入っていった。
『何かやかましいけどなんか....げっ..』
戻ってきた莉紗が先ほど円陣に乱入してきた男を見た瞬間究極に不快な顔をした。
イナサ「あ、いたいた!風舞!久しぶりっす!!」
『夜、嵐....』
上鳴「何々ー?風舞知り合い?」
芦戸「どういう関係?」
イナサ「自分、風舞とお付き合いしてましたー!!!!」
轟「え」
と、轟が反応したのと同時に莉紗からきついドロップキックが飛んできて今度は両鼻から血を流した。
『テメェさらっとホラ吹いてんじゃねーよ...』
葉隠「莉紗ちゃんの元彼ー?!」
瀬呂「お、轟のライバルってか?」
瀬呂の言葉に夜嵐の表情がほんのわずかに歪んだ。
『ちーがーいーまーすー!たまたま中学ん時に同じクラスになっただけの赤の他人ですー』
イナサ「相変わらず強烈な蹴りだな!!」
『あんた...雄英いないと思ったら士傑行ってたんだ』
イナサ「ああ!色々あってな!!」
「夜嵐!何してる!!」
イナサ「あ!はい!!すいやせん!!!じゃあな!風舞!」
夜嵐は他の士傑生と共に、会場の中に入っていった。
相澤「夜嵐イナサ..」
葉隠「先生も知ってるんですか?」
相澤「ありゃ、強いぞ」
『..........』
「「「え?」」」
相澤「昨年度、つまりお前らの年の推薦入試トップの成績で合格したにも関わらず何故か入学を辞退した男だ」
『辞退してたのか..雄英入るって騒いで入試会場で見かけたのに入学したらいないから落ちたのかと思ってたけど...まあ私が受かってんのにそんなわけないよな』
緑谷「え..じゃあ、1年?!
(ていうか、推薦トップの成績って...実力は轟くんや風舞さん以上?!)」
耳郎「私が受かってんのに...って。あの人莉紗より実力上ってこと?」
『うん。アホそうに見えるけど勉強も出来るしね、あいつ。
前に私の中学では既に推薦決まってた奴いたって言ったの覚えてる?それ、あいつのこと』
瀬呂「けど、雄英大好きとか言ってたわりに入学蹴るってのはよく分かんねぇな」
芦戸「ねぇ、変なの」
相澤「変でも本物だ。マークしとけ」
「イレイザー?イレイザーじゃないか!!」
会話に水を差すように相澤のヒーロー名を呼ぶ声が聞こえ、その声に覚えがあったのか相澤は引きつった表情を見せた。
「テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久しぶりだな!」
相澤「.......;」
緑谷「あの人は...」
「結婚しようぜ」
相澤「しない」
芦戸「あはっ♡」
「ぶっハハッ!しないのかよっ!ウケるー!」
突然お腹を抱えて爆笑し始める女性。
相澤「相変わらず絡みづらいな、ジョーク」
緑谷「スマイルヒーロー、Msジョーク!個性は爆笑!近くの人を強制的に笑わせて、思考・行動共に鈍らせるんだ!彼女のヴィラン退治は狂気に満ちてるよ!」
『ある意味、ね..』
現役のプロヒーローを目の前にして目を輝かせる緑谷に対し、相澤とジョークのやり取りの温度差に顔をひきつらせる風舞。
ジョーク「私と結婚したら、笑いの耐えない幸せな家庭が築けるんだぞ!」
相澤「その家庭幸せじゃないだろ」
ジョーク「ブハッ!」
蛙吹「仲がいいんですね?」
ジョーク「昔、事務所が近くでな!助け、助けられを繰り返すうちに相思相愛の仲へと「なってない」」
ジョーク「いいなぁ!その速攻のツッコミ!弄りがいがあるんだよな、イレイザーは!」
相澤「ジョーク、お前がここにいるってことは」
ジョーク「そうそう!おいで、みんな!雄英だよ!」
ジョークの呼びかけにまたもや制服を着た集団が現れた。
「おっ!本物じゃないか!」
「スゴイよ、スゴイよ!テレビで見た人ばっかり!」
ジョーク「傑物学園高校2年2組、私の受け持ち。よろしくな」
真堂「俺は真堂、今年の雄英はトラブル続きで大変だったね」
緑谷の手を握りながら言う真堂に動揺してる緑谷。
真堂「しかし君たちは、こうしてヒーローを志し続けているんだね!素晴らしいよ!不屈の心こそ、これからのヒーローが持つべき素養だと思う!」
ウィンクして周りにキラキラしたオーラをかもし出しながら言う真堂。
緑谷「眩しい...」
上鳴「ドストレートに爽やかなイケメンだー」
真堂「その中でも、神野事件を中心で経験した爆豪くんと風舞さん」
爆豪「『あ?(は?)』」
真堂「君たちは特別に強い心を持っている。今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせて貰うよ」
『....笑顔がウソ臭い』
爆豪「ふかしてんじゃねーよ。セリフとツラが合ってねぇんだよ」
真堂「....フッ」
切島「こら!おめェ失礼だろ!!すみません、無礼で」
蛙吹「莉紗ちゃんも失礼よ」
『ごめんね、つい本音がポロッと』
耳郎「それも失礼」
真堂「良いんだよ、心が強い証拠さ!」
「ねぇ、轟君!サインちょうだい?体育祭かっこよかったんだぁ!」
轟「はぁ..」
『.........』
「やめなよ、ミーハーだなぁ」
「あんたも生風舞ちゃん見れるって騒いでたじゃーん!」
「な、言うなよ!そんなこと..///」
轟「.......」
相澤「おい、コスチュームに着替えてから説明会だぞ。時間をムダにするな」
「「「はい!」」」
耳郎「なんか、外部と接すると改めて思うけど...」
上鳴「やっぱ結構有名人なんだな、雄英生って」
ジョーク「! ひょっとして..言ってないの?イレイザー」
耳郎、上鳴の会話に何か気になることでもあったのかジョークがイレイザーに問いかけるもそれに答えることなく相澤も会場の中に入っていった。コスチュームに着替えて説明会の会場に向かうと見渡す限りの人でごった返しになっている。
緑谷「多いな..」
麗日「多いね...」
目良「えー、では、あれ。仮免のやつやりまーす。えー、僕..ヒーロー公安委員会の目良です。好きな睡眠はノンレム睡眠。よろしく...仕事が忙しくてろくに寝れない..人手が足りてなーい...ねむたーい。そんな心情のもと、ご説明させていただきます..」
『(めちゃくちゃオープンに疲れ見せてくるな...)』
緑谷「(疲れ一切隠さないな、大丈夫なのか..この人...;)」
目良「仮免のやつの内容ですが、ずばりここにいる受験者1541人。一斉の勝ち抜けの演習を行ってもらいます。
現代は、ヒーロー飽和社会と言われステイン逮捕以降ヒーローの在り方に疑問を呈する動きも少なくありません」
ステインの思想。
ヒーローとは、見返りを求めてはならない。自己犠牲のもとに得る称号でなければならない。それが、ヒーロー殺しステインの主張であった。
目良「まあ私個人としては、動機がどうであれ命がけで人助けしている人間に何も求めるな、は...現代社会において無慈悲な話だと思うわけですが...えー、とにかく対価にしろ義勇にしろ、多くのヒーローが救助・ヴィラン退治に切磋琢磨してきた結果、事件発生から解決に至るまでの時間は今、引くくらい迅速になってます。君たちは仮免許を取得しいよいよその激流の中に身を投じる。そのスピードについていけない者ははっきり言って厳しい..よって試されるのは、スピード。条件達成は、先着100名を通過としまーす」
『100人って..』
八百万「受験者は全部で1540人。合格者は5割だと聞いてましたのに..」
蛙吹「つまり、合格者は1割を切る人数ということね」
耳郎「ますます緊張してきたぁ....」
目良「まあ社会で色々あったんで、運があれだと思ってやらしてくださーい。で、その条件というのが、コレ。受験者はこのターゲットを3つ身体の好きな場所、ただし常にさらされている場所に取り付けてください。足裏や脇などはダメです。そして、このボールを6つ携帯してもらいます。ターゲットはこのボールが当たった場所のみ発光する仕組みで、3つ発光した時点で脱落とします。3つ目のターゲットにボールを当てた人が倒したこととします。そして、2人倒した人から勝ち抜きでーす。以上でーす」
『シンプルだけど、中々過酷なルール...』
轟「ああ」
目良「えー、じゃあ展開後ターゲットとボールを配るんで全員に行きわたってから1分後にスタートします」
轟「展開?」
その時大きな揺れと物音が聞こえ天井を見渡すと、屋根や壁が開いていき、USJのような演習場が姿を現した。
目良「各々苦手な地形、好きな地形あると思います。自分の個性を活かして頑張ってくださーい」
緑谷「(無駄に大がかりだな....;;)」
『ハリウッドか...
焦凍くん』
真っ直ぐ前を見据えた莉紗が轟の名を呼んだ。
『一緒に仮免、取ろ』
轟「おう」
仮免取得試験が今、始まる。
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