Season3
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オールマイトから発せられた聞き覚えのない名前に2人は疑問符を浮かべ顔を見合わせた。
『ナチュラリウム?』
相澤「お前ウィンドリアさんの母親の話し聞いたことないのか?」
『え、母の方のおばあちゃん?なんの?』
相澤「お前の祖母は、ナチュラリウムというヒーロー名で活躍していた正真正銘のプロヒーローだ。
オールマイトが子供の頃トップヒーローだったらしい。まあ、俺がヒーロー目指した頃にはもう引退してたから、俺も話を聞いたことがあるくらいなんだが」
オールマイト「ナチュラリウムの個性は"自然"。五大元素を扱う事が出来る個性だ。ナチュラリウムも火・水・土・風・雷を扱うことが出来た。しかし、ウィンドリアや君の叔父にあたるスプラッシュも伯母のピクシーボブもその中の1つしか扱えない。つまり、ナチュラリウムの"自然"の個性はナチュラリウムがたまたま5種類扱えたというだけで、5種類扱えることが個性というわけではない」
『なんか難しいような、そうでないような...』
轟「つまり、ナチュラリウムの子に当たるウィンドリアや他の兄弟は"自然"という個性を遺伝していることにはなるが、あくまで操作できるのはその中の1つの性質だけということですか?」
オールマイト「ああ、そうだ。
ウィンドリアは"風"、
ピクシーボブは"土"、
そして、スプラッシュは"水"」
相澤「そして、ウィンドリアさんが"風"を操作する人だから、"風"を扱うお前もてっきり"風"だと思っていたが、本質は違うのかもしれない」
轟「でも、小学校入学時の個性検査ではちゃんと"風"って言われてなかったか?」
『言われた』
オールマイト「ナチュラリウムがどういう形で五大元素の性質を操作できるようになったのか...同時なのか、それとも発現時期はバラバラだったのかわからない。しかし、これははっきりさせておく必要があると思うよ。少なくとも現段階で、水と土は前兆が出てるようだし」
『でも、おばあちゃん北海道に住んでるから..』
相澤「まずはウィンドリアさんに相談してみろ」
『やっぱりか...』
相澤「何だ?」
『いや..』
オールマイト「早い方がいい。自分から連絡しにくいなら私からしよう」
『あー..いや、大丈夫です。今電話かけてきます』
そう言ってそそくさと携帯を持って職員室を出た莉紗。
轟「風舞もナチュラリウムと同じように5種類扱えるかもしれないってことですか?」
相澤「それは分からん。例えば火に関して言えばお前やエンデヴァーさんは火を生み出す個性だがこの"自然"個性は自然界に存在する無限有数の物質を利用し火を作り出す個性。根本的に発動機序が違うんだ。ナチュラリウムの"自然"個性は、超人社会になってからの歴史をさかのぼっても稀有な個性だ。それがどう遺伝していくかはウィンドリアさん達3人しか歴史がない。5種類扱えるのかもしれないし、限定的に2、3種類だけなのかもしれん。
ナチュラリウムからの子への遺伝は全員発現されているようだが、その下となると風舞自身の兄弟は今のところあいつ以外はみんな"風"を発現していない所を見ると、そもそも"自然"という個性は遺伝しにくい、あるいは発現しにくい個性なのかもしれん」
オールマイト「先ほども言ったように"自然"の個性は希少価値が高い。風舞少女にナチュラリウムの個性が発現した事が認知されれば再びヴィランに狙われ、危険になる可能性が高い。今後彼女がこの個性を扱っていくことになるかは彼女自身が決める事でわからないが。少なくとも彼女が決断するまでは轟少年も、この4人の中だけの秘め事として留めておいてくれ」
轟「分かってます」
---------
和解したとは言え電話で話す事はほとんどなかった。
気は進まないがそうも言ってられない私は母に電話をかけた。
『もしもし』
楓子《あら、莉紗。珍しいわ、どうしたの?》
『最近私の体に異変があって。身に覚えがないのに、手が水浸しなってたり土だらけになったり...。先生に相談したらおばあちゃんの個性じゃないかって言われて』
楓子《..確かに、聞く限りおばあちゃんの個性だわ。分かった、おばあちゃんに連絡して聞いてみる》
『お願い....ふぅ』
自分の個性がこの年になってから実は違うかもしれない。
風が使えなくなる訳ではないだろうが、影響はあるのか。
いろいろなことが考えさせられて、不安でないと言えばウソになるけど何とかその不安を押し隠すように私は職員室に戻った。
轟「おばさん、何て?」
『おばあちゃんに聞いてみるって』
相澤「ひとまずウィンドリアさんに預けて、今日は一旦寮に帰れ。風舞、何か分かったら学校に連絡してほしいってウィンドリアさんに伝えてくれるか?」
『分かりました』
職員室を後にした私と焦凍くん。
轟「何かすげーことになってんな」
『この年になってから実は貴方の個性は違うものでしたって、内心結構動揺しない?』
轟「まあ..気持ちは分かる」
『何かあったら相談乗ってね』
轟「おう」
『でも、ホントに水と土の性質使えるようになったらかなり戦闘スタイルに幅が出る気がする』
轟「そうだな、おばあさんの事今まで聞いた事なかったのか?」
『ヒーローやってたことすら聞いたことなかったよ。長期休みには結構長いこと滞在してたのに』
轟「お前がそんな長い事いなかった記憶にねぇ」
『轟家と疎遠になってからだよ、行くようになったの。小学校低学年を1人で日中家に置いておくのはさすがにマズイと思ったのか。親はおばあちゃん家に私たち置いてってその後帰る日まで放置だけどね。去年までは長期休みの恒例だった』
轟「そうか。お前がヒーローになる事は?」
『中3の夏休みで行った時に言ったよ。雄英受けるって。でもその時も何も言ってなかった』
轟「言っても良さそうなもんだけどな」
『言いたくないのかな?』
轟「オールマイトの口振りだと結構実績ありそうだったけどな」
『ごめんね、貴重な訓練の時間割いて』
轟「気にすんな、大事な事だろ」
そう言って私の頭に手を置いて優しく撫でた焦凍くん。
『ん...///』
ホントに焦凍くんのこういうのに弱いな、私...。
**
圧縮訓練を開始してから4日が経った頃...。
サポート科の友人たちに呼ばれ工房に向かった。
不二「やあ、風舞」
『うぃっす。出来た感じ?』
乾「完璧だ。風舞の個性を両方とも最大限活かせる。
まず、この手首のサポーターは衝撃緩衝効果が不随されている」
指先が露出したグローブタイプの白いサポーターをはめてみた莉紗。
『ん?意外と生地薄い...』
乾「フィットセルα-B-NFという素材で靴の中敷きなどにも使われる衝撃吸収材だ。連続気泡かつ細密構造をしているから高い衝撃吸収力を備えかつ、通気性に優れていて、また湿気などの水分により加水分解しないため耐久性に優れている。その為戦闘の際のコスチュームに向いている生地なんだ」
『?』
乾「そしてサポーターの両手の甲の所に小さな突起がついてるだろう。それはポインターになっている。そして、このコンタクトレンズをつけてみてくれ。ちなみに、眼科医の協力の元作成しているため医療上の安全は保障されている」
『私もうコンタクトなんだけど...』
乾「風舞の視力に合わせた度が入っているから外して問題ない」
渡された通りコンタクトレンズを両目に装着した。
『(なんか、すごい大事になってる...。てか何で私の視力知ってんだ)』
乾「手首の所にあるスイッチを押してみてくれ。右手は右目、左手は左目のポインターと連動していて、スイッチを入れるとコンタクトレンズにスコープが表示される。そしてポインターからそのコンタクトレンズでしか見えないレーダーが表示され狙いを定められるようになっている」
『すご...』
乾「粘着糸の狙いは、敵に悟られないようにそれで定められるはずだ。次にこれだ。肘のサポーターをつけてみてくれ」
手のサポーターと同じようなデザインとなっている肘のサポーターも両方装着した。
乾「素材は手のサポーターと同じだ。
肘の方には通気口と中に小型のファンが内臓されている。羽なしの扇風機と同じ原理でその通気口から風が発生される。
風力は6段階で上腕内側にあるダイヤルで風力調整をしてくれ」
試しに風を出してみたが、小型とは思えない申し分ない風が吹いて出てきた。
『すっごいな...完璧』
不二「乾が張り切って徹夜してたよ」
乾「実際に使ってみて感想を聞かせてくれ」
『ありがとう、今度お礼するにご飯奢るね』
-------
圧縮訓練を開始して4日が経過し必殺技が出来上がってきた者が続々と出てきた。そこにオールマイトがまたもや、様子を見にやってきた。
オールマイト「その後、どうだい?」
相澤「ようやくスタイルを定め始めた者もいれば、既に複数の技を習得しようとしている人もいます」
常闇はダークシャドウをその身にまとい足りないフィジカル..近接をカバーした。
爆豪は岩に向かって手のひらから一直線に向かってレーザーのように起爆をする"A・P・ショット"を習得していた。撃った岩はドリルで穴を開けたかのように貫通していた。
オールマイト「爆豪少年は相変わらずセンスが突出しているな」
相澤「ええ。センスで言えば、あいつも..」
相澤が次に見た先には莉紗がいた。
『...ハァッ!神風旋風陣!』
横倒しの細い竜巻がいくつもエクトプラズムの分身に襲いかかる。
エクトプラズム「ウム、上出来ダ。コノ威力ナラ実戦デモ通用スルダロウ」
『ありがとうございます』
オールマイト「相変わらず器用だね、あの子は」
相澤「はい、ナチュラリウムの個性も毎晩特訓してるようです」
オールマイト「そうか...あれを習得してしまえばさらに真価が問われるだろうね。どちらかというと、素質として..」
相澤「大丈夫じゃないですかね、あいつは。ドライに見えて結構強くなることに貪欲ですし、意外と負けず嫌いです」
オールマイト「....君、普段風舞少女には特に辛口だけど実はそれ期待の裏返しだね?」
相澤「....違います」
爆豪「お、おい上!!」
2人が話していると、突然爆豪の慌てた声が聞こえ上を見ると爆豪が壊した岩がオールマイトの頭上に落ちてきた。
緑谷「スマーッシュ!!!」
そこに緑谷が瞬時に地を蹴り、飛び上がると体よりも大きな岩を右脚の蹴りだけで撃ちくだいてしまった。
爆豪「!!」
緑谷「(オールマイトの必殺技は基本的に拳。ワン・フォー・オールを授かった僕もそうあるべきだと、無意識のうちに決めつけていた。とてもシンプル!単純すぎて気づきすらしなかった。腕が不安なら、足をメインに!ワン・フォー・オール フルカウル シュートスタイル!!)」
オールマイト「...正解だ」
緑谷がオールマイトに駆け寄った。
緑谷「大丈夫でしたか?!オールマイト!」
オールマイト「ああ!」
相澤「(ほぉ...)」
緑谷の新スタイルに友人たちが興奮しながら駆け寄ってきた。
上鳴「何だ?!緑谷!サラッとすげぇ破壊力出したな!」
切島「お前パンチャーだと思ってた!」
緑谷「上鳴くん、切島くん!破壊力は発目さん考案のこのソールのおかげだよ。飯田君に体の使い方を教わって、スタイルを変えたんだ。方向性を変えただけでまだ付け焼刃だし必殺技と呼べるほどのもんじゃないんだけど」
オールマイト「いーや、多分付け焼刃以上の効果があるよ。こと、仮免試験ではね」
相澤「オールマイト、危ないんであまり近寄らないように」
オールマイト「いや、失敬。爆豪少年、すまなかった」
爆豪「チッ、気ぃつけろや!オールマイト!!」
オールマイト「.......」
『緑谷の破壊力やっばい...』
麗日「ホンマやね..」
莉紗と麗日も緑谷の蹴りの威力に唖然としていると轟が近くに来た。
轟「お前もコスチューム変えたんだな」
『あ、うん。サポートアイテム入れてみた。轟くんもなんかアイテム入れたの?』
轟「ああ」
「そこまでだ!A組!!」
突如TDL内に響いた声。その主の方を見ると、ブラドキング率いるB組が立っていた。
ブラド「今日は午後からB組がここを使わせてもらう予定だ!」
緑谷「B組...」
ブラド「イレイザー、さっさと退くがいい」
相澤「まだ10分弱ある、時間の使い方がなってないなブラド」
物間「ねぇ知ってる?仮免試験って半数が落ちるんだって。
君ら全員落ちてよ!」
緑谷「..........」
上鳴「つか、物間のコスチュームあれなの?;」
拳藤「個性がコピーだから、変に奇をてらう必要はないのさ...って言ってた」
上鳴「てらってねぇつもりか.....;;」
常闇「しかし彼の意見はもっともだ。同じ試験を受ける以上俺たちは孤独。つぶし合う定めにある」
相澤「だからA組とB組は別会場で申し込みしてあるぞ」
物間「ハ...」
ブラド「ヒーロー資格試験は、毎年6月・9月に全国3か所で一律に行われる。同校生徒でのつぶし合いを避けるため、どの学校でも時期や場所を分けて受験させることがセオリーになってる」
物間「ホッ...
直接手を下せないのが残念だ!!アハハ」
切島「ホッ...っつったな」
上鳴「病名のある精神状態なんじゃないかな」
緑谷「.......;」
『何なのあいつ』
轟「さあ」
瀬呂「どの学校でも...か。そうだよな、普通にスルーしてたけど、他校と合格を奪い合うんだよな」
緑谷「しかも僕らは、通常の習得課程を前倒ししてる」
相澤「そして、1年の時点で仮免取るのは全国でも少数派だ。つまり、君たちより訓練期間の長く、未知の個性を持ち洗練されてきた者たちが集うわけだ。試験内容は不明だが、明確な逆境であることには間違いない。意識しすぎるのも良くないが、忘れないようにな!」
「「「「はい!!」」」」
**
その日の夜..。
共同スペースのソファーに女子が集っていた。
芦戸「ふぇ~...毎日毎日大変だ~」
葉隠「圧縮訓練の名は伊達じゃないね」
八百万「とはいえ、仮免試験まで1週間もないですわ」
葉隠「ヤオモモは必殺技どう?」
八百万「う~ん...やりたいことはあるのですがまだ身体が追いつかないので少しでも個性を伸ばしておく必要がありますわ」
葉隠「梅雨ちゃんは?」
蛙吹「私は蛙らしい技が完成しつつあるわ。きっと透ちゃんもびっくりよ」
葉隠「莉紗ちゃんは?」
湯呑に入ったお茶を飲んでいる時に突如振られた莉紗。
『私?うーん...』
耳郎「莉紗さ、必殺技2つ目に入ってなかった?」
『あー、うん。でも、絞れてなくてあんま進んでない』
芦戸「絞れてないって、候補みたいなのいくつもあるの?」
『うん。今のところヴィジョンは2、3個ある』
葉隠「すごーい!何かさ、莉紗ちゃんと爆豪君だけ3歩進んでる感じだよね!」
芦戸「才能コンビはレべチだねぇ~」
葉隠「お茶子ちゃんは?」
麗日「..........」
パックジュースのストローを口にくわえたまま返答のないお茶子に蛙吹が肩を叩いて呼んだ。
麗日「うわぁぁ!!えっ?!」
蛙吹「お疲れのようね」
麗日「い、いやいやいや!疲れてなんかいられへん!まだまだこっから!」
芦・耳「「?」」
麗日「な、はずなんだけど...最近、ムダに心がざわつくんが多くてね...」
芦戸「恋だ!!」
麗日「?!えっ、何?!故意?!濃い?!鯉?!知らん知らん...////」
芦戸「お相手は緑谷か飯田?!一緒に居ること多いよねぇ!」
麗日「ちゃうちゃう!!///」
顔を隠しながら首を振ってる麗日の身体が何故か宙に浮いた。
芦戸「(浮いた...?)」
『(何故浮いた...)』
葉隠「誰ー?!どっちなの?!」
耳郎「ゲロっちまいなー?自白した方が罪軽くなんだよ?」
麗日「違うよ!ホントに!私そういうのホントにわからんし」
蛙吹「無理に詮索するのは良くないわ」
八百万「えぇ、それより明日も早いですしもうお休みしましょう?」
芦戸「えぇぇ?!やだー!もっと聞きたい!!何でもない話しでも、恋愛に結び付けたい!!!」
『(言ってる事滅茶苦茶..)』
莉紗が心の中で芦戸の言葉にツッコミを入れていると突然葉隠が叫び出した。
葉隠「あるじゃないか、良いネタが!」
『(嫌な予感...)』
芦・耳「「あ!」」
芦・葉・耳「「「幼馴染コンビ!」」」
『やっぱり...』
芦戸「どうなの?!最近!」
葉隠「進展あった?!」
『え、(次暴露しちゃおうとは言ったものの....かなり言いにくいな、この空気)』
耳郎「え、まさか...」
『まあ...』
芦・葉「「付き合ったー?!」」
『...一応』
芦・葉「「キタコレー!!!」」
恋バナ大好きコンビが両手を広げて大興奮。
芦戸「部屋王の時明らかに雰囲気変だったもーん!!」
葉隠「いついつ?!」
芦戸「どっちから告白したの?!」
『...黙秘権』
芦戸「風舞そりゃないよー!」
葉隠「いつからだけ教えて~!」
『..入寮するちょっと前』
芦戸「私もどっちから告白したのか教えて!」
『うーん...向こう、かな』
耳郎「轟って告白するイメージない」
蛙吹「というより、轟ちゃんは恋愛のイメージがないわ」
芦戸「風舞は特別なんだよー!だって、あいつ風舞以外の女子に自分から絡みにいかないじゃん?」
『まあ、それは...言っても幼馴染だし』
葉隠「いつもポーカーフェイスでクールな轟くんも莉紗ちゃんにすっごい優しい顔してるときあるもんね♪」
「「「「ある」」」」
八百万「轟さんが、本当に莉紗さんを信頼してらっしゃるのが伝わって来ますわ」
『.....もう、いいですか』
耳郎「照れんなって」
そう言ってニヤニヤしながら肩にポンと手を置いてきた耳郎の頭をバシッと叩いてやった莉紗。
その後も、女子たちからの質問攻めは深夜まで続いた。
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