Season3
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
男子棟2F
緑谷「わああぁぁぁぁあっ?!ダメダメダメっ!ちょ、ちょ!待っ...」
緑谷の悲痛な制止もむなしく、強行突破されたその部屋は...
「「「おおおっ!!」」」
麗日「オールマイトだらけだー!オタク部屋だ!」
緑谷の部屋、棚から壁から一面オールマイトで埋め尽くされている。
緑谷「憧れなんで....恥ずかし////」
上鳴「やべー、なんか始まりやがった...」
瀬呂「でもちょっと楽しいぞ、これ」
続いて常闇部屋
常闇「ふん、くだらん」
ドアの前で腕を組んで立ちはだかる常闇を芦戸と葉隠が無理やり押し退けた。
芦・葉「「黒っ!怖ー!!」」
常闇「貴様ら...」
切島「このキーホールダー、俺中学の時買ってたわ!」
十字架のキーホールダーを手にして言う切島。
葉隠「男子ってこういうの好きなんだね」
常闇「出ていけ...」
緑谷「ハッ?!剣だ...かっこいい..」
常闇「出ていけー!!」
青山部屋
「「「「眩しい!!」」」」
青山「ノンノン、眩しいんじゃなくて....
ま・ば・ゆ・「思ってた通りだ~」
『目がチカチカする』
芦戸「想定の範疇を出なーい!」
青山の言葉を遮った葉隠。みんなももはや興味を失せたと言わんばかりに退散した。
麗日「楽しくなってきたぞー?!あと2階の人は...」
キョロキョロと辺りを見ると...
峰田「入れよ...すげーの見せてやんよ..!」
ドアから顔を半分出して怪しげな顔をして手招きしている峰田。
『見る価値無し』
葉隠「3階行こ」
男子棟3F 尾白部屋
麗日「うお~!普通だ!」
葉隠「普通だ!すごーい!」
芦戸「これが普通という事なんだね!」
『あんた達超失礼...』
尾白「言うことないなら、良いんだよ...?泣」
飯田部屋
芦戸「難しそうな本がズラーっと...さすが委員長!」
麗日「メガネクッソある!」
棚に並ぶ大量のメガネにお茶子が吹いた。
飯田「何がおかしい!激しい訓練での破損を想定してでな!」
上鳴部屋
「「「チャラい!」」」
耳郎「手当り次第って感じだな..」
上鳴「え~?!良くねぇ?!泣」
口田部屋
部屋の中にいるウサギに女子の目が輝いた。
「「「ウサギいるー!可愛い!」」」
何故か飯田のメガネをかけてきてるお茶子と芦戸。
莉紗以外の女子たちはウサギと戯れていた。
轟「.......zz」
『轟くーん?寝たら?』
轟の顔の前で手を振った莉紗。
轟「.....いや、大丈夫だ」
今にも夢の中に落ちそうな轟に、苦笑いを浮かべた莉紗。
緑谷「(なんか、競い始めてる...?)」
上鳴「ていうかよ、釈然としねぇ」
尾白「ああ、奇遇だね。俺もしないんだ、釈然」
常闇「そうだな」
青山「僕も」
峰田「男子だけが言われっぱなしってのは、変だよな。お部屋、披露大会っつったよな?なら、当然!女子の部屋も見て決めるべきじゃねーのか?!誰がクラス一のインテリアセンスの持ち主か、全員で決めるべきじゃなんじゃねーのかぁ?!」
女子による容赦ない舌剣が、男子の競争心に火をつけた。
芦戸「いいじゃーん!!」
耳「『え』」
全く興味のない者すら巻き込んで、第一回A組ベストセンス決定戦が今、始まる....良いのか?果たして、良いのか??
ナレーションby緑谷出久
芦戸「えっとじゃーあ、誰がクラス1のインテリアセンスの持ち主か、部屋王を決めるって事で!」
耳郎「部屋王..?!」
尾白「別に決めなくてもいいけどさ...」
芦戸がノリノリになったことで、部屋王を決める為全員の部屋を見て回ることになった。
その向こうで峰田がしてやったりの顔をしているのに莉紗は気づいた。
『(峰田のヤロウ....そのうちぜってーぶっ潰す)』
轟「(.....ねみぃ)」
男子棟4F
麗日「男子棟4階に住んでるのは、爆豪くんと切島くんと、障子くん..だよね」
飯田「爆豪くんは?」
切島「ずっと前に、くだらねー先寝るって部屋行った。俺も眠い..」
葉隠「じゃあ切島部屋!」
芦戸「ガンガン行こーぜ!」
『(あの2人テンション高いなー...)』
切島部屋
切島「どうでもいいけど、多分女子にはわかんねーぞ。
この漢らしさは!!」
大漁と書かれた旗や、サンドバックがぶらさがっていていかにも、漢部屋!という感じだった。
芦戸「..うん」
葉隠「彼氏にやって欲しくない部屋ランキング2位くらいにありそう」
麗日「熱いね!暑苦しい!」
切島「ほらな...泣」
『その旗いいなぁー』
大漁とかかれた、船にかかげられてそうな旗を見てボヤいた莉紗。
切島「お?!意外な援軍!」
轟「お前ああいうの好きなのか?」
『好き、というかサブちゃんって感じしない?』
上鳴「サブちゃん...?」
切島「って...」
『北谷三郎』
轟「お前、そんな好きだったか?」
『いや、好きってわけではないけど(かと言って嫌いではないけど)』
芦戸「次、障子!」
複製口「何も面白いものはないぞ」
障子部屋
見事に布団と机のみしか置いていず。
芦戸「けふ〜。面白いものどころか...」
轟「ミニマリストだったのか」
複製口「まあ幼い頃からあまり物欲がなかったからな」
峰田「こういうのに限ってドスケベなんだぜ」
布団の隙間を探し始める峰田を放置して次に向かった一行。
芦戸「次は」
葉隠「1階上がって5階男子!」
芦戸「瀬呂からだ!」
瀬呂「マジで?全員やんのか?」
瀬呂部屋
中はアジアンテイストに仕上がったおしゃれ部屋になっていた。
「「「おー!」」」
芦戸「エイジア〜ン」
麗日「素敵〜!」
耳郎「瀬呂、こういうのこだわる奴だったんだ!」
瀬呂「へっへ、ギャップの男瀬呂君だよ!」
葉隠「次々!」
八百万「次は轟さんですわね(クラス屈指の実力者..!)」
芦戸「(クラス屈指のイケメンボーイ!)」
葉隠「(クールな轟くんの部屋...ちょっとドキドキ...!)」
轟「さっさと済ましてくれ、ねみぃ」
轟部屋オープン
「「「なっ!?!?和室だ?!」」」
中は畳が敷き詰められ、窓はふすまに替えられていて、ドアは引き戸になっていて壁も他のみんなとは明らかに違う和風な柄。和風の家具を置いた...ではなく1から10まで和風に改造され、完全に和室と化していた。
『(こいつマジで持ってきたのか...ってか、畳に留まってないし...。呆れ通り越して羨ましいわ....)』
上鳴「造りが違くなくね?!」
轟「実家が日本家屋だからよ...フローリングは落ちつかねぇ」
上鳴「理由はいいわ!!」
峰田「同日即リフォームってどうやったんだ?!お前!!」
轟「....頑張った」
葉隠「大物になりそう!」
砂藤「イケメンのやる事は違ぇなぁ...」
『轟君が特殊なだけだと思う....』
芦戸「じゃあ男子最後は?!」
砂藤「...俺」
砂藤部屋
砂藤「ま、つまんねぇ部屋だよ」
切島「轟の後は誰でも同じだぜ」
尾白「ていうか、良い香りするの...これ何?」
明らかにお菓子作ってましたと言わんばかりの材料が乱雑に置かれている。
砂藤「あー!いけねぇ!忘れてた、だいぶ早く片付いたんでよ。シフォンケーキ焼いてたんだ。みんな食うかと思ってよ。ホイップがあるともっと美味いんだが...食う?」
「「「食うー!!」」」
女子達がハート乱舞で駆け寄っていった。
上・峰「「模範的意外な一面かよー!」」
麗日「美味〜い、ふわふわ〜」
葉隠「ボーノ、ボーノv」
芦戸「瀬呂のギャップを軽く凌駕した!」
八百万「素敵なご趣味をお持ちですのね、砂藤さん。今度私の紅茶と合わせてみません?」
砂藤「....おー、こんな反応されるとは/////
まあ、個性の訓練がてら作ったりするんだよ。甘いもん買ったら高いし」
轟「お前食いつくと思った」
『や、ご飯食べたばっかだし』
轟「女子は飯とは別だと思ってた」
『食後のこの時間に食べるのは罪悪感が...』
轟「.....?」
『気にしないで良いよ』
葉隠「男子は以上!次は私たちだね!」
耳郎「嫌だなー、マジで全員やるの?大丈夫?」
芦戸「大丈夫でしょー!多分」
耳郎「恥ずいんだけど..」
女子棟
耳郎部屋
さまざまな楽器が置いてあった。
上鳴「思ってた以上に楽器楽器してんなー!!」
葉隠「耳郎ちゃんはロッキンガールなんだね!」
麗日「これ全部弾けるの?!」
耳郎「まあ、一通りは...」
上鳴「女っ気のねぇ部屋だ!」
青山「ノン、淑女!」
青山と上鳴はきっちり耳郎のイヤホンジャックに制裁されました。
耳郎「次行こ、次」
葉隠「次は私!葉隠だ〜!」
葉隠部屋
ピンクベースのお手本通りの女子らしい部屋。
上鳴「お、お〜普通に女子っぽい。ドキドキすんな...」
峰田「プルスウルトラ..」
タンスの前で匂いを嗅ぐ峰田。
葉隠「正面突破かよ!峰田くん!」
そんな峰田を莉紗の粘着糸が全身顔までぐるぐる巻きに捕獲した。
芦戸「次はあたしだ!じゃーん!可愛いでしょうが!」
芦戸部屋
ゴスロリっぽい部屋になっていた。
麗日部屋
麗日「味気のない部屋でございます〜」
本当にごく普通の部屋という感じ。
尾白「なんか、こう...あまりにも普通に普通の女子部屋見てると背徳感出てくるね...」
常闇「禁断の花園」
『何言ってんの?』
緑谷「次は、蛙吹さん...」
瀬呂「そういや、梅雨ちゃんいねーな」
麗日「あー、梅雨ちゃんは気分が優れんみたい...」
上鳴「優れんのは仕方ないなぁ。優れた時にまた見せてもらおうぜ!」
『(梅雨ちゃん、なんか元気なかったもんな。大丈夫かな...)』
女子棟5階
上鳴「じゃあ、風舞...は最後にして」
『なんで?』
上鳴「なんとなく、お前トリって感じ?」
『意味不明』
切島「じゃあ次は八百万か!」
八百万「それが...私、見当違いをしてしまいまして..みなさんの創意あるお部屋と比べて少々手狭になってしまいましたの」
八百万部屋
部屋の半分近くをベッドや家具が占領している。
上鳴「でけ!狭っ!どうした八百万?!」
八百万「わ、私の使っていた家具なのですが...まさかお部屋の広さがこれだけとは思っておらず...」
緑・麗「「(お嬢様なんだね....)」」
上鳴「よし、最後トリ!」
『なんなの一体...』
八百万「(クラス屈指の実力者...!)」
芦戸「(クラス屈指の美少女!)」
葉隠「(ドライな莉紗ちゃんのお部屋!)」
※デジャブ
『別に面白いもんないからね』
風舞部屋
轟ほどの和室ではないにしろ、ゴザが敷いてあり座椅子、湯飲みなど和テイストな小物や、桐箪笥なども置いてありいかにも昔のおばあちゃんの部屋という感じの古風な雰囲気漂う部屋。
上鳴「お前も和風かよ!」
『いや、畳が良いのは否定しないけど私あそこまでしてないよ!
単にフローリングに傷ついたら嫌だから1枚かませるのにゴザ敷いただけ』
轟「..あー、ゴザの手があったか」
『...気づきなよ』
瀬呂「ん?これ、ミシン?」
テレビの前に置いてあるローテーブルとは別に端の方に机と椅子がありそこにはミシンや布、アイロンなどが置いてあった。
『あー、うん』
上鳴「お前裁縫すんの?」
『するよ、趣味だから』
瀬呂「男勝りな風舞から...」
上鳴「裁縫というまさかの...」
切島「家庭的女子っぽい趣味...」
切・上・瀬「「「ギャップすげー」」」
『お前ら歯食いしばれや..怒』
轟「そういやこの前何か作ってたな、バッグとか帽子..」
『まあ、ほぼ弟と妹のものだけどね』
葉隠「すごーい!!」
**
共同スペースに集まった一同。
芦戸「えー、皆さん。投票はお済でしょうか?自分への投票はなしですよー?それでは、爆豪と梅雨ちゃんを除いた第一回部屋王暫定1位の、発表です!!」
『え、まさか第2回もやんの..?』
芦戸「風舞、今そういうツッコミいらない」
『あ、はい...』
ドキドキドキ...
芦戸「得票数5票!圧倒的独走単独首位を叩き出した、その部屋はー?!砂藤力道!!」
砂藤「はぁ?!」
芦戸「ちなみに全部女子票~。理由は、ケーキおいしかったぁ...だそうです!」
『部屋関係ねぇし』
上・峰「「お前、ヒーロー志望が贈賄してんじゃねぇ!!」」
砂藤「知らねぇよ!!」
上鳴「ん?あれ、でも5票..?」
切島「梅雨ちゃんいねぇから今女子は6人...」
瀬呂「砂藤のケーキにつられなかった女子がいるってことか...」
今までの流れから、全員その1人にピンときて視線を集めた。
『あー..うん。私食べなかったからね』
瀬呂「お前誰に入れたんだ?」
『轟くん』
轟「俺?」
『あそこまでガチで和室にしてくれたらもう入れるっきゃないでしょ』
轟「あー。まあ、俺もお前にした」
『え...どうも』
何故かほんのり照れくさがる2人の雰囲気に周囲がやきもきし始めた。
峰田「ちきしょう、この幼馴染コンビうぜー...」
上鳴「もうさっさと付き合っちまえよ!」
瀬呂「つーか、そもそも付き合ってねぇのが信じらんねぇって!」
轟「『............』」
わざわざ自分達から、付き合ってますと言うのも微妙で変な空気感になってしまった2人。
芦戸「え、何そのリアクション..」
葉隠「もしかして...?」
上鳴「もしかしてお前ら?!」
『いや、待て..』
轟「..終わったか?寝ていいか?」
近くにいた緑谷と飯田に確認した轟。
付き合ってる疑惑で質問攻めになった場を堂々と莉紗に丸投げしようとしている薄情な奴。
飯田「うん、ケーキを食べたので歯磨きを忘れずにな!」
緑谷「終わるまで待ってたんだ」
『こらー!』
そうして莉紗に全てを託し男子棟に向かって歩き始めた轟。
麗日「あ、轟くん!ちょっと待って!」
轟「...?」
麗日「デクくんと飯田君も...それに、切島くん、八百万さん..ちょっといいかな?」
『(このメンバーは...)』
呼ばれた5人は、麗日に連れられ寮の外に出て行ってしまった。
残された莉紗は周りの雰囲気に嫌な予感しかしなかった。
『さ、シャワー浴びよ』
逃げるように着替えを取りに部屋に戻っていく莉紗。
芦戸「あー!風舞逃げた!」
葉隠「相変わらずクールandビューティーだなぁ莉紗ちゃんは!」
耳郎「何それ」
-------
切島「麗日、どこに..」
寮の外に出るとそこには、蛙吹が立っていた。
麗日「あのね、梅雨ちゃんがみんなにお話ししたいんだって」
蛙吹「私、思った事は何でも言っちゃうの..でも、何て言ったらいいのかわからないときもあるの。病院で私が言った言葉、覚えてるかしら..」
皆の脳裏には、蛙吹の言葉が思い浮かんだ。
"ルールを破ると言うのなら、その行為はヴィランのそれと同じなのよ"
緑谷「....うん、覚えてる」
蛙吹「心を鬼にして、辛い言い方をしたわ...」
涙をうかべ俯いていく蛙吹に駆け寄り背中をさすった麗日。
蛙吹「それでもみんな、行ってしまったと今朝聞いて..とてもショックだったの...止めたつもりになってた不甲斐無さや...いろんな嫌な気持ちが溢れて、なんて言ったらいいのかわからなくなって...みんなと楽しくおしゃべり出来そうになかったのよ...でも、それは、とても悲しいの...」
緑谷「!!」
涙をあふれさせながら言う蛙吹にみんなの心も罪悪感で溢れた。
蛙吹「だから、まとまらなくても..ちゃんとお話しして、またみんなと楽しくおしゃべりしたいと思ったの...ぐすっ...」
麗日「梅雨ちゃんだけじゃないよ。みんなすんごい不安で..拭い去りたくて。
だから、部屋王とかやったのもきっと..デクくんたちの気持ちを分かってたからこそのアレで...だから、責めるんじゃなく..あれ?何て言っていいか、ムズイけど..。
とにかく!またみんなで笑って、頑張っていこう!!ってやつさ!」
切島「梅雨ちゃん!!」
蛙吹「ケロ...?」
切島「すまねぇ!!話してくれてありがとう!!」
八百万「蛙吹さん!」
飯田「梅雨ちゃんくん!!」
轟「蛙吹、すまねぇ...」
緑谷「あす...梅雨ちゃん!」
切島「もうぜってぇしねぇから!!」
八百万「私もです...」
飯田「約束する!」
皆が色んな思いを抱え、元のヒーローを目指してがむしゃらに頑張っていた日常に戻そうと努力していた...。
**
蛙吹との話しを終えて部屋に戻ってきた俺は、莉紗はもう寝たかと考えながら部屋の中に入った。すると見慣れた後ろ姿がそこに居てその背中に声をかけた。
轟「...?莉紗?」
何故か莉紗が俺の布団に寝転がり俺の枕を抱きしめてぼーっとしていた。
『..あ、おかえり』
轟「堂々と男子棟に来たな」
『ハハ、幼馴染の特権?』
轟「そうか。どうかしたか?」
『ん?いやー..みんなで共同生活、楽しみだけど...2人の時間なくなりそうだなー..って。考えたら、何か無性に一緒に居たくなって...』
轟「.........」
『焦凍くん?』
こんな事を好きな奴に言われて平然としていられるわけもないが、そう話す莉紗の表情は何だか寂しそうに見えたから何とか抑えて隣に座った。
『ごめんね、急に押しかけて』
轟「...押しかけてっつーか、お前の方が先にいたけどな」
『あ、不法侵入だ』
轟「...けど」
小さく笑ったその顔は無理をしているようにも見えた。
俺は莉紗の頭を抑えると顔を近づけ、軽く唇を合わせた。
轟「...お前、男の部屋に来てそういう事言うのはズルくねぇか?」
『え、ずるい?』
轟「ズリぃよ。もう俺らはただの幼馴染じゃねぇんだぞ」
『ごめん...』
轟「...俺は、別にバラしたっていい」
『うん、私もいいかな。どうせ隠してたって何かと冷やかされてるし』
轟「言っただろ、言わせときゃいいって」
『..そだね。今度聞かれたらぶっちゃけちゃう』
轟「おう」
『そういえば、アレの特訓どうする?』
主語がない問いかけだが、俺はすぐにコンビ技のことを言っていることがわかった。
轟「やりに行くか?」
『うん、早く完成させたい』
轟「けど、体育館の使用許可取らなきゃなんねぇか」
『あ、そっか。じゃあ今日は無理か』
轟「明日からだな」
『明日許可取ろっか』
轟「そうだな」
『じゃあ、戻るね』
ゆっくりと立ち上がった莉紗。見送る為俺も一緒に立ち上がった。
轟「ああ」
ドアの方に歩いていく莉紗の背中を見て帰したくない気持ちに襲われ咄嗟に莉紗の腕を掴んだ。
莉紗がびっくりして俺の名前を呼ぼうとしたのも構わずに自分の腕の中に閉じ込めた。
『...焦凍くん?』
轟「やっぱ帰したくなくなった」
『...ごめんね?』
轟「もう少しこのままで」
『...うん』
5分くらいだっただろうか...俺はしばらく莉紗を抱きしめ、キスをしてやった。
.