Season3
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翌日、担任の相澤が家庭訪問にやってきた。相澤は先に轟の家に向かっているらしく先程、轟から先生が来たことを知らせるLINEが来た。
中学の頃までは、家庭訪問や授業参観の類は冬美に任せっきりだったエンデヴァーこと轟炎上司だが、今回に限っては仕事に都合をつけて家にいるようだ。
莉紗は、弟の相手をしながらこれからの事について考えていた。もちろん寮に入ってこれまで通り轟や皆と切磋琢磨してヒーローを目指していきたい気持ちがあるがヴィランに誘拐され、直接的な被害にあってる分、轟より許可がおりるハードルが高いと思われたが昨日のあの口ぶりからすると莉紗の両親は許容するつもりなのだろう。
一方の轟は、以前と比べ若干棘が取れて丸くなったエンデヴァーだが息子をオールマイトを越えるヒーローにする野望は諦めてない。となると、雄英を中退させる選択肢となる入寮不容認はおそらくないだろう。
莉紗がそんなことをぼんやり考えていると、家のチャイムが鳴った為小走りで玄関に向かいドアを開けた。そこには、相澤だけでなくオールマイトと轟もいた。
『はーい。あ、オールマイトも一緒だったんだ』
オールマイト「こんにちは、風舞少女。神野事件について、ちゃんと謝罪と礼を言いたくてね」
『そっかー。ん?歩きで来たんですか?』
相澤「ああ、轟がすぐそこだって言うから車置かせてもらってな。本当に近いんだな」
『子供でも迷子になりそうにない距離でしょ?どうぞ』
お邪魔します、と告げオールマイトと相澤が靴を脱いだ。
『ごめん、来てもらったついでに寛ちゃんの相手してもらってていい?ちょうど今さっき突然イヤイヤ始まっちゃって...梨央も友達のところに行ってていないんだよね』
轟「ああ、分かった」
先生達を案内する役目を果たし、家に帰ろうとドアノブに手をかけた轟に申し訳なさそうに言った莉紗に轟は了承の返答を返しまるで我が家のように慣れた様子で家の中に入っていった。
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楓子「イレイザー、久しぶりね」
相澤「ウィンドリアさん、グルーガンさん。お久しぶりです」
『相澤先生、うちの親と顔見知りだったんだ』
相澤「この人達と顔見知りじゃないプロヒーローの方が少ないぞ。グルーガンさんには俺も新人の頃色々育ててもらったからな」
『へぇ』
昨日話し合いをして和解したとはいえこれまで積み重ねてきた確執が完全に晴れたわけではない父親が自分の恩師を育てたという事実にどこか違和感を感じている莉紗。
寛治「娘が世話になってるな」
楓子「オールマイトも、この間ぶりね」
オールマイト「先日は助けてもらったよ、ウィンドリア。本当にありがとう」
楓子「私もヒーローよ、お礼言われる事じゃないわ」
どうぞ、と促すとソファーに腰かけた相澤先生とオールマイト。
相澤「早速ですが、本題いいでしょうか?」
寛治「全寮制の話しだな」
相澤「それもありますが、まずは娘さんがヴィランの手に落ちてしまった学校側の不手際..改めてお詫びさせてください」
オールマイト「申し訳ない」
相澤「1度目のヴィラン襲撃から学校側としても警察や校外のプロヒーローの協力のもと様々な安全対策をして来ましたが今回、生徒達に直接的な被害が出てしまった事に対する最大の安全対策が全寮制でした。そして、生徒達自身に自衛の術、そして人々を守る術を身に付けられるよう全力で指導し、必ずや立派なヒーローに育ててみせますので今一度雄英に莉紗さんを預けてもらえないでしょうか」
立ち上がり、頭を下げたオールマイトと相澤。
楓子「ダメなんて言わないわ」
オールマイト「え、言わないのか?」
寛治「昨日意思確認はとってある。莉紗も焦凍もなんの迷いもなく入ると断言してきたよ」
楓子「イレイザー、私貴方はいい育成者だと思うわ。生徒をよく見てる」
相澤「はぁ..と、言いますと」
寛治「育成の匠なんぞと呼ばれた俺が自分の娘がどんな素質を持ってるのか、どんな思いでヒーローを目指しているのか全く知らなかったし見ようとしていなかった」
楓子「会見での貴方の言葉を聞いて、私達なんかよりも貴方の方がよっぽど娘を理解して、立派なヒーローに育ててくれる。そう思ったわ」
寛治「娘を、よろしく頼むよ。相澤くん」
楓子「よろしくお願い致します」
相澤「...必ず、立派なヒーローにして見せます」
**
莉紗と轟は轟の家まで相澤達に同伴して歩いている。
相澤「じゃあお前達。入寮日や引越しについては後日改めて連絡する。荷物はまとめといてくれ」
轟「分かりました」
『先生、ありがとう』
相澤「んぁ?」
『会見の時の言葉...まさかあんな風に思われてたとは思わなかったし。信じてくれて、嬉しかった』
相澤「...お前は、堂々としているが自信に満ちてるわけじゃない。かと言って内向的でも自分に自信がないわけでもないのに大事なところで他者に委ねて頼るところがある。主にこいつにな」
轟を指さして言った相澤。
轟「........」
相澤「会見で言ったこと、俺は間違いだとは思ってないよ。
だが、残念だがお前は。まだ俺に課題の克服を証明できてない。轟に頼りすぎんな」
『はい』
相澤「お前も、あんま頼らせすぎるなよ」
轟「...善処します」
オールマイト「風舞少女、轟少年。他のクラスメイト達が劣ってると言いたいわけじゃない。だが、君たちは間違いなく学生としてはトップクラスの力を持ってる。その事に対する誇りと自信、そしてそれだけの力を秘めていることへの恐怖をバランスよく持つことが大事だ。良いね」
轟「『はい』」
そして、まだまだ回る所が控えていると相澤とオールマイトは次の場所に車を走らせた。
『焦凍くん...』
轟「なんだ」
『期待に、応えたいね』
轟「...ああ、そうだな」
『寮、どんなところだろうね』
轟「ああ、畳..じゃないだろうな」
『確実にね』
轟「ぜってー、落ちつかねぇ。畳持ってくかな」
『いやいや、もうそれ結構バカだよ苦笑』
轟「フローリングって落ちつかなさそうだ」
『うん、分かるけどね。親戚の家フローリングだったんだけど泊まった時なんか落ち着かなかった』
轟「だよな。戻って荷物まとめるか」
『うん...って、私もしかして必要なもの結構焦凍くんのところにあるかも』
轟「ああ、生活拠点こっちだったからな」
**
そして、日は流れ...
『おはよ』
轟「はよ、行くか」
『ん』
いつもと変わらない景色
いつもと変わらない通学路
いつもと変わらない学校
違うのは、今日からここが家だということ。
雄英敷地内、校舎から徒歩5分
築3日の学生寮。ハイツアライアンス
ここが新たな私達の家だ。
相澤「とりあえず1年A組、無事にまた集まれて何よりだ」
瀬呂「みんな、入寮の許可下りたんだな」
葉隠「ふぁ〜私は苦戦したよ...」
耳郎「普通そうだよね...;」
尾白「2人はガスで直接被害にあったもんね」
蛙吹「無事集まれたのは先生もよ、会見を見た時は居なくなってしまうのではないかと思って悲しかったの」
麗日「うん...」
相澤「俺もびっくりさ、まあ色々あんだろうよ。
さて、これから寮について軽く説明するがその前に1つ。
当面は合宿で取るはずだった仮免取得に向けて動いていく」
砂藤「そういやあったな、そんな話」
芦戸「色々起こりすぎて頭から抜けてたわ」
相澤「大事な話しだ、よく聞け。いいか?
切島、八百万、轟、緑谷、飯田。この5人はあの晩、あの場所へ爆豪・風舞救出へ赴いた」
相澤の言葉に、当事者である5人だけでなく入院していた耳郎、葉隠以外のクラスメイト達もバツが悪そうな表情を浮かべた。
そして、それは爆豪と莉紗も同じだった。
相澤「その様子だと、行く素振りは皆も把握していたわけだ。色々棚上げした上で言わせてもらうよ。オールマイトの引退がなけりゃ俺は、爆豪、風舞、耳郎、葉隠以外全員除籍処分にしてる」
相澤の言葉に、A組が全員が息を飲んだ。
相澤「行った5人はもちろん、把握しながら止められなかった12人も理由はどうあれ俺たちの信頼を裏切った事には変わりない。
正規の手続きを踏み、正規の活躍をして信頼を取り戻してくれるとありがたい。
以上、さあ。じゃあ中に入るぞ、元気に行こう」
「「「いや、待って..行けないです...」」」
爆豪が突然、上鳴の首根っこ捕まえて草陰に入っていった。
すると、何故か上鳴がアホになって出てきた。
爆豪「切島」
爆豪が切島の名前を呼ぶと、1万円札を5枚切島に渡した。
切島「え?!これ何?!カツアゲ?!」
爆豪「ちげー、俺が下ろした金だ。小遣いはたいたんだろ」
切島「あ....」
爆豪の言葉に切島は、小遣いをはたいて暗視鏡を買ったことだと分かった。
切島「おめぇ、俺が暗視鏡買ったのどこで聞いて...」
爆豪「いつまでもしみったれられっと、こっちも気分悪りぃんだ!いつもみてぇにバカさらせやっ!」
そう言って、爆豪は寮の中にさっさと入っていった。
『爆豪....』
おそらく爆豪の中にも、莉紗が思ってることと同じ思いがあるのだろうと察した。
"自分のために、みんなが無茶をした"
という思いが。
切島「みんなすまねぇ!!詫びにもなんねーけど、今夜はこの金で焼肉だー!!」
『(でも切島のあの明るさは色々と救われるな..)』
いざ皆で寮の中に入ってみると...
中は、想像以上に豪華で広い。
相澤「学生寮は1棟1クラス。右が女子、左が男子と分かれてる。ただし1階は共同スペースだ。食堂や風呂、洗濯などはここで行う」
葉隠「お〜!!」
瀬呂「中庭もあんじゃーん!!」
芦戸「広っ、キレー!ソファー!」
麗日「ご、豪邸やないか〜」
『んー、こうしてみると轟くん家が規格外なデカさだと実感するね』
轟「お前ん家も似たようなもんだろ」
『面積はうちの方が大分小さいよ?平屋じゃない分、部屋の数が同じだけで』
峰田「聞き間違いじゃないかなぁ...?風呂、洗濯が共同スペース...?ゴクッ...夢か!」
相澤「男女別だ。お前、いい加減にしとけよ」
峰田「はい...」
相澤「部屋は2階から、ワンフロアに男女各4部屋で5階建。1人1部屋、エアコン、トイレ、冷蔵庫、クローゼット付きの贅沢空間だ」
緑谷「ベランダもある!すごーい!!」
八百万「我が家のクローゼットと同じ位の広さですわね..」
麗日「豪邸やないかいっ!」
相澤「部屋割りはこちらで決めた通り、各自事前に送って貰った荷物が部屋に届いてるから。とりあえず今日は部屋作ってろ。明日、今後の動きを説明する。以上、解散」
「「「はい!先生!!」」」
2階
男子→右から峰田、緑谷、青山、常闇
女子→なし
3階
男子→右から口田、上鳴、飯田、尾白
女子→右から葉隠、空室、空室、耳郎
4階
男子→右から障子、切島、爆豪、空室
女子→右から芦戸、空室、空室、麗日
5階
男子→右から、空室、砂藤、轟、瀬呂
女子→右から、蛙吹、風舞、空室、八百万
みんなぞろぞろと部屋造りのために自室にこもり始めた。莉紗も部屋に入り、荷解きを始めた。
『んー、カラーボックスもう1つくらい持ってくればよかったかな...
てか、生地足りないかも...いや。作る時間ないか?』
1人ブツブツ言いながら片付けを進め、一息ついた時にはもう夜だった。
『あ...』
最後に開けた服の入った箱からは、林間合宿で轟に借りた上着が入っていた。
『あ、洗ってアイロンかけてあと返すだけにしといたのに忘れてた...』
忘れないうちに返そうと莉紗は、轟にLINEを送った。
莉紗【今部屋?】
焦凍【部屋。どうした?】
莉紗【合宿の時に借りてた上着返そうと思って。今届けていい?】
焦凍【持ってろ。昔のやつだからもう着れねぇんだ。元々お前用に持ってきた】
莉紗【あ、そうなんだ。分かった、ありがとう。貰っとくね】
そんなやり取りで、結果的に上着は莉紗がそのまま譲り受けることになった。
『.....私用に持ってきたって、何でだろ?』
疑問には残ったが、どうせ轟焦凍という男の事だ。深い意味は無いのだろうと勝手に納得して共同スペースへと向かった。
下に下りると、そこそこ人数の男子が集まっていた。
上鳴「経緯はあれだが、共同生活ってワクワクすんなー!」
飯田「共同生活...これも、協調性や規律を育むための訓練!」
切島「気張るなー!飯田!」
そこへ、既に荷解きが終わっていたのか莉紗以外の女子がキラキラした空気感を漂わせながらやってきた。
芦戸「男子!部屋できたー?」
上鳴「ああ!くつろぎ中!」
芦戸「あのね!今女子で話してて🎵」
葉隠「提案なんだけど🎵」
芦戸「お部屋披露大会しませんか?!」
緑・峰・常「「「え.....」」」
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