Season3
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切島「じゃあ、今度は助けよう」
予想もしていなかった切島のその言葉に轟を除く、緑谷も他のクラスメイト達も驚愕した。
切島「実は俺と轟さ。昨日も来てて」
切島「あー!轟、なんでいんの?!」
轟「お前こそ」
切島「俺ぁ、その...なんつーか、ジッとしてらんねぇつーか」
轟「....そうか、俺もだ」
切島「轟、お前...その」
うっすら赤い轟の目元を見て察した切島。言葉をかけようとするも何を言っていいか分からず、言葉を詰まらせ俯く。そんな切島が何を言いたいのか分かった轟が静かに口を開いた。
轟「...大丈夫、っつったら嘘になる」
切島「そうだよな..ダメージ、でけーよな。悪りぃ、何て言ってやりゃいいかわかんなくて...」
轟「いや、ありがとな」
2人が緑谷の病室に行く途中..
オールマイトと警察が八百万と話してるところに遭遇したんだ。
八百万は、B組の泡瀬と協力しヴィランの1人に発信機を取り付けたとのこと。その受信機のデバイスを警察に渡した八百万。
飯田「つまり、その受信デバイスを八百万くんに作ってもらうと..」
轟と切島は静かに頷いた。
轟「だとしたら?」
飯田「グッ....」
轟と切島の言葉を聞いて飯田の頭には、保須での出来事が浮かんだ。
飯田「プロに任せるべき案件だ!俺達が出ていい舞台ではないんだ!!馬鹿者!」
切島「んなもん分かってるよ!!でもさ、何も出来なかったんだ!ダチが狙われてるって聞いてさ、何も出来なかった!しなかった!ここで動かなきゃ、俺ぁヒーローでも男でもなくなっちまうんだよぉ!!」
上鳴「切島!ここ病院だぞ?!落ち着けよ。こだわりはいいけど今回は..」
蛙吹「飯田ちゃんが、正しいわ」
切島「分かってる...みんなが正しいよ。そんなことは分かってんだよ!でも!なぁ、緑谷!まだ手は届くんだよ!助けに行けるんだよ!!」
緑谷「........」
芦戸「えっと、要するに...ヤオモモから発信機のやつ貰って、それ辿って自分らで爆豪と風舞の救出に行くってこと?」
切島「ああ」
轟「ヴィランは俺らは殺害対象と言い、爆豪と風舞は殺さず攫った。生かされるだろうが、殺されないとも言いきれねぇ。俺と切島は行く」
飯田「...っ?!ふざけるのも大概にしたまえ!!」
障子「待て、落ち着け。
切島の何も出来なかった悔しさも、轟の眼前で奪われた悔しさも分かる。俺だって悔しい」
複製口「だが、これは感情で動いていい問題じゃない。そうだろ?」
尤もな意見に、切島と轟も口を閉ざしたまま何も言わなかった。
青山「オールマイト達に任せようよ?林間合宿で相澤先生が出した戦闘許可は解除されてるし」
常闇「青山の言う通りだ。助けられてばかりだった俺には強く言えないが」
切島「でもさ!」
轟「自分が冷静じゃねぇのは分かってる。間違ってるってのも。けど、それでも俺は行く」
轟の揺らぐことのないその瞳にみんな飲み込まれそうになった。
蛙吹「みんな、爆豪ちゃんと莉紗ちゃんが攫われてショックなのよ。でも冷静になりましょ。どれほど正当な感情であろうと、また戦闘を行うというなら...ルールを破ると言うのなら、その行為はヴィランのそれと同じなのよ」
蛙吹の言葉に誰もが言葉を失った。
コンコンコン
「お見舞い中ごめんねぇ。緑谷くんの診察時間なんだけど」
瀬呂「い、行こうか?耳郎や葉隠の方も気になるし」
そしてA組の皆は病室を出ていった。
去り際、轟と切島が緑谷に今夜病院の前で待つと告げた。
**
切島と轟は病院の前で緑谷達を待っていた。
切島「八百万、どうだろうな..」
轟「まあ、いくら早っても結局あいつ次第..」
と、その轟の言葉を遮るように病院の正面入口が開いた。
切島「あ、来た」
八百万「.........」
八百万と一緒に緑谷も姿を現した。
轟「緑谷...」
切島「八百万、答え...」
八百万「...私は「待て」
八百万が口を開いたのを遮るように突如聞こえた声。皆が振り返るとそこには飯田がいた。
切島「飯田...」
緑谷「飯田くん...」
飯田「何で...よりにもよって、君たちなんだ...俺の私的暴走を咎めてくれた。共に特赦を受けたはずの君たちが...何で俺と同じ過ちを犯そうとしている?!あんまりじゃないか!」
切島「何の話してんだよ?」
飯田に詰め寄ろうとする切島を轟が肩を掴んで止めた。
飯田「俺たちはまだ保護下にいる。ただでさえ雄英が大変な時だぞ?君らの行動の責任は誰が取るのか...分かってるのか!!」
緑谷「飯田くん、違うんだよ!僕らだって、ルールを破っていいなんて..」
弁解しようと飯田に近づいた緑谷の言葉を遮るように緑谷を殴り飛ばした飯田。
飯田「僕だって悔しいさ!!心配さ!当然だ!俺は、学級委員長だ!クラスメイトを心配するんだ!爆豪くんや風舞くんだけじゃない!君の怪我を見て、床に伏せる兄の姿を重ねた!君たちが暴走したあげく、兄のように取り返しのつかない事態になったら...僕の心配は、どうでもいいって言うのか!僕の気持ちは..どうでもいいっていうのか....」
緑谷「飯田くん....」
轟「飯田...俺たちだって何も正面切ってカチ込む気なんざねぇよ」
飯田「?!」
轟「動こうとする俺たちの気持ちも、止めようとするお前の気持ちも風舞もよく分かるはずだ。だからこそ、あいつも戦闘ありきの救出は望まねぇ。
だから、戦闘なしで助け出す」
切島「要は隠密活動、それが俺ら卵に出来る...ルールにギリ触れねぇ戦い方だろ!」
八百万「私は轟さんを信頼しています。が、万が一を考え私がストッパーとなれるよう同行するつもりで参りました」
飯田「八百万くん?!」
切島「八百万!」
緑谷「...僕も、自分でも分からないんだ。手が届くと言われて、居ても立ってもいられなくなって..助けたいと思っちゃうんだ!」
飯田「...平行線か。ならば..
俺も連れて行け」
**
俺たちは八百万の受信機を頼りに新幹線に乗って神奈川県神野区にやってきた。
緑谷「ここが神野区...!」
轟「人多いな..」
切島「この町の何処かに奴らがいるのか!
さあどこにいるんだー!!」
そう言って大声で走り出す切島を八百万が小声で咎めた。
八百万「ここからは用心に用心を重ねませんと!私たちヴィランに顔を知られてるんですのよ?!いきなり襲われる可能性も考慮に入れませんと」
飯田「しかし、このままでは偵察もままならんが...」
切島「じゃあどうすんだよ」
八百万「そこで私、提案がありますのよ」
そう言って顔を赤らめた八百万が指さしたのは何でも売ってるディスカウントショップ。ドンキ・オオテだった。
数十分後
青いスーツにいかついグラサンをかけた緑谷。
緑谷「オラァ!」
俺は促されるままに白のブラウスに黒のベストを着て、黒髪のウィッグを着けた。
轟「なるほど、変装か」
ピンクのパーティードレスを着てハートの形をしたグラサンをかけた八百万。
八百万「そういう事ですわ」
何故かちょび髭と蝶ネクタイにサスペンダーをつけて、オールバックの髪型にした飯田。
飯田「この格好はなんだ?」
そして、髪を下ろして髪と同色の赤いスーツを着た切島。
切島「あーとで教えっから」
緑谷「オラァ!コラァ!」
切島「ちげー!もっと顎でクイクイやんだよ!」
八百万「夜の繁華街、子供がうろつくと危ないですものね」
いわゆる変装する為に、街の雰囲気に合った服や装飾品を購入した俺たち。
轟「八百万、創造で作ればタダだったんじゃねぇか?」
八百万「そ、そそそそれはルール違反ですわ!私の個性で好き勝手作りだしてしまうと、流通が...そう!国民の1人として、回さねばなりませんもの、経済を!」
轟「そうか」
切島「(ドンキ入りたかったんだな.....このピュアセレブ)」
八百万「みなさん、目的地はこちらの方角です」
「わ、雄英じゃん!」
街の人の声に俺達は一瞬肩を竦めた。
素性がバレたかと思ったが、そうではなく街中の大型ヴィジョンに映った映像を見て言っていたのだと気づいたのはそのすぐ後。
その画面には、根津校長とブラドキング、そして相澤先生がスーツを着て会見を開いている生中継の映像だった。
[それではこれから、雄英高校謝罪会見の1部をご覧下さい]
緑谷「相澤先生...」
八百万「校長先生も」
相澤[この度、我々の不備からヒーロー科1年生28名に被害が及んでしまったこと。ヒーロー育成の場でありながら敵意への防御を怠り、社会への不安を与えたこと..謹んでお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした]
そう言って3人が頭を下げた。
切島「メディア嫌いの、相澤先生が...」
[読売テレビです。雄英高校は今年に入って4回、生徒がヴィランと接触していますが今回生徒に被害が出るまで各ご家庭にはどのような説明をされていたのか、また具体的にどのような対策をしていたのかお聞かせください]
緑谷「(体育祭の開催以来から、雄英の基本姿勢は把握してるはずなのに...言わせるのか...) 悪者扱い、かよ」
根津[周辺地域の警備強化、校内の防犯システムの再検討。強い姿勢で生徒の安全を保証する、と説明しておりました]
「あ?何言ってんだ、こいつら。全然守れてねぇじゃん」
「ヒーローを育ててる学校が、ヴィランにやられるか?普通」
「何の保証だよ、保身の間違いじゃねぇの?」
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