Season3
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雄英高校には多くのマスメディアが殺到し事件についてのコメントを求めた。
スナイプ「襲撃の直後に体育祭を行うなど、今までのような屈さぬ姿勢はもう取れません。生徒の拉致...雄英最大の失態だ。奴らは、爆豪、風舞と同時に我々ヒーローへの信頼も奪ったんだ」
根津「現にメディアは、雄英の批難で持ちきりさ。爆豪くんを狙ったのも、おそらく体育祭で彼の粗暴な部分が少なからず周知されていたからだね。もし彼がヴィランに懐柔されるとしたら、教育機関としての雄英はおしまいだ」
ミッドナイト「風舞さんは何故攫ったのかしら...」
スナイプ「個人的な何かか..もしくは」
マイク「もしくは?」
スナイプ「強さは見せつけたにせよ1位の爆豪の粗暴さ、2位の轟の不安定さが露呈した中、彼女は体育祭を通してみれば2人以上に技術面でも、精神面でも安定した戦いを見せた。もちろん順位が全てではないが1位の爆豪、3位の風舞。確かな実力を世間に見せつけた両名を拉致することで我々に対し生徒への防衛策がいかに無駄だったかということを証明しようとしたのではないか」
マイク「信頼うんぬんってことでこの際言わせてもらうがよ...今回で決定的になったぜ。
いるだろ、内通者」
「「!?」」
マイク「合宿先は教師陣とプッシーキャッツしか知らなかった!怪しいのはこれだけじゃねぇ。携帯の位置情報使えば生徒にだって」
ミッドナイト「マイク、やめてよ!」
マイク「やめてたまるか!洗おうぜ徹底的に!」
スナイプ「そういうお前は、自分が100%シロだという証拠を出せるか?ここの者をシロだと断言できるか?」
マイク「ぐぬっ...」
スナイプ「お互い疑心暗鬼となり、内側から崩壊していく。内通者探しは焦って行うべきじゃない」
根津「少なくとも私は君たちを信頼している。その私がシロだとも証明しきれないわけだが...とりあえず学校として行わなければいけないのは生徒の安全保障さ。内通者の件も踏まえ、兼ねてより考えていたことがあるんだ」
**
とあるバーのような場所に連れられた、爆豪と私。だけど、私は何故か別の場所に連れられた。
荼毘「そう睨むなよ、威勢がいいな」
嘲笑うように私を見ながら言う目の前の男は不気味さすら感じる。
『私に、何の用...』
荼毘「別に、ただ欲しかっただけさ」
『何を...』
荼毘「その上着」
『え?』
男が私を指さした。それが示すものは焦凍くんが貸してくれたぶかぶかの上着だった。
荼毘「随分大きそうだな。男もんか?」
『.....だったら何』
荼毘「あー、あいつのか。
轟焦凍」
『....っ.......』
荼毘「あいつとそういう仲か」
『違う、関係ないでしょ』
荼毘「あるんだよ。言っただろ?
...欲しかっただけって」
『........』
私の中の本能が感じた。ヤバいと...。とにかく逃げなきゃ。そう思った時だけど無機質なノック音が聞こえた。
黒霧「荼毘、死柄木弔が招集をかけています」
荼毘「チッ...」
連合内で話し合いがあると荼毘は、爆豪を連れてきて今この場所には私と爆豪だけがいる。この場所から、2人とも無事に逃げる手立てが思いつかない。向こうの個性を全員分把握してない上に、厄介なワープゲートがいる。あの死柄木弔の個性も危なすぎる。
だけど、私が囮になって爆豪を逃がすことなら出来るかも....。
焦凍くん、心配してるよね。
モヤに引きずり込まれる時の焦凍くん...。
すごく怯えたような、不安そうな顔してた。
あんな顔、初めて見た。
おじさまを怖がってた時とも違う...
でも...そんな顔させたのも、私なんだ。
謝るくらい、したかったな..
そんな事を考えているとふと隣から聞こえた声。
その声は怒りに満ち溢れているようにも聞こえた。
爆豪「おい、クソアマ」
『........』
爆豪「何だそのムカつくツラはよぉ..あぁっ?!テメェここで死ぬ気かよ」
『....囮くらいにはなるよ』
爆豪「ケッ、んなシケたツラしか出来ねぇ奴囮にもなんねぇよ」
『........』
爆豪の言葉の意図が、よく分からない。
爆豪「デクもテメェも半分野郎も、ぶっ潰して完膚無き1位を取る。だから勝手にくたばろうとすんじゃねぇよ!」
『...励ましてくれてる?』
爆豪「ちげーわ、クソ!!テメェがくたばって半分野郎に逆恨みされても気分悪りぃんだよ!!
大体、テメェ半分野郎に会いてぇって顔してるくせに囮になるって言ってることと顔が合ってねぇんだよ!!」
『そんな顔....してる?』
爆豪「鏡でテメェのツラ見ろや」
爆豪の言葉で、再び私の頭の中に彼の顔が思い浮かんだ。
『...上着、返しそびれちゃった』
爆豪「なら自分で半分野郎に返せ」
焦凍くんに借りたって言ってないのに...。察しの良い爆豪のいつもの憎まれ口も今は何だか心地が良い。
このシャツ、焦凍くんの匂いがする。
焦凍くんに包まれてる気分になる。
何でだろ...さっきまで、死に際のことばかり考えてたのに。
頭の中、焦凍くんの顔ばっかり浮かんでくる。
今、すごく焦凍くんに会いたい。
何か、これじゃ私焦凍くんのこと....。
あーあ、今気づいちゃったな。
私、好きなんだ。焦凍くんの事...。
いつからこんな気持ちに....こんなに好きになってたんだろう。
爆豪「んで、諦めてくたばんのか死ぬ気でここ突破すんのか。テメェはどうすんだ」
さっきまで勝手にくたばんなとか言ってたくせにね。
そうだ。こんなとこで、諦めてどうする...ヒーローになったらこんなピンチいくらでもある。
それに、伝えなきゃ。気づいた、この気持ち...
伝えたい。
『爆豪...ありがとう』
**
弔「俺らのことを盛大に宣伝してくれてホントありがたいよ。なあ?そう思わないか?爆豪勝己くん、風舞莉紗さん」
最初に入ったバーに連れてこられた私達。近くに置いてあるテレビは今回のヴィラン連合襲撃によるニュースと雄英批判でもちきりのようだ。
弔「もう一度言うが、ヒーロー志望の爆豪勝己くんと風舞莉紗さん。俺の仲間にならないか?」
さっきからこればかり。意地でも私達を取り込もうとしている連合。だけど、私達の気持ちは決まっている。
『何度聞いたって答えは同じ』
爆豪「寝言は寝て死ね」
そんな中、バーカウンターの上に無造作に置いてあるブラウン管テレビの画面には根津校長と黒いスーツを身にまとい、髪もセットしているブラドキング先生と相澤先生が映っていた。
記者たちの前で、今回の件の謝罪会見を行っているようだった。
先生たちの謝罪に対し、容赦なく問い詰めるメディア。
弔「不思議なもんだよなぁ。何故ヒーローは責められてる?奴らすこーし対応がズレてただけだ。誰にだってミスの1つや2つある。お前らは完璧でいろって?現代ヒーローってのは、硬っ苦しいなぁ...爆豪くんよ」
スピナ「護るという行為に対価が発生した時点で、ヒーローはヒーローでなくなった。これがステインのご教示」
弔「人の命を金や自己顕示に変換する言いよう...それをルールでぎちぎちと守る社会。敗北者を励ますどころか、責めたてる国民。 俺たちの戦いは問い。ヒーローとは、正義とは何か。この世界が本当に正しいのか、一人一人に考えてもらう。俺たちは勝つつもりだ。君も、勝つのは好きだろ?」
爆豪「.......」
言葉を返すでもいつものようにキレ倒すでもなくただただ死柄木を鋭い眼光でにらみつける爆豪。
弔「荼毘、拘束外せ」
荼毘「は?暴れるぞ、こいつ」
弔「いいんだよ、対等に扱わなきゃな。スカウトだもの。それに、この状況で暴れて勝てるかどうか分からないような奴らじゃないだろ?雄英生」
荼毘「...トゥワイス、爆豪外せ。風舞莉紗は俺が外す」
トゥワイス「は、俺?!嫌だし」
荼毘「外せ」
トゥワイス「もう嫌だー」
Mr「強引な手段だったのは謝るよ。けどな、我々は悪事と呼ばれる行為に勤しむ暴徒じゃねぇってのを分かってくれ。君たちを攫ったのは偶々じゃねぇ」
弔「ここにいる者...事情は違えど、人に、ルールに、ヒーローに縛られ苦しんだ。爆豪くん、特に君ならそれを..」
ボコッ!
爆豪がトゥワイスを殴り飛ばすと、死柄木にむかって個性をぶっ放した。死柄木の顔についていた手が床に転がり間髪入れずに私は強い突風を起こした。
爆豪「黙って聞いてりゃダラッダラとよぉ...馬鹿は要約出来ねぇから話が長ェ。要は嫌がらせしてぇから仲間になって下さい、だろ。無駄だよ。俺はオールマイトが勝つ姿に憧れた。誰が何言ってこようが、そこはもう曲がらねェ!」
『私だって、支えたい人がいる。そのためにヒーロー目指した。あんた達の事情なんて関係ない!そこは、どうやったってブレないんだよ!』
緊迫した雰囲気が漂う中、画面の中ではそして、未だに続く雄英の記者会見。互いに警戒を解くことはないけど、おそらく爆豪も向こうも、そして私もテレビに耳を傾けた。
記者[生徒の安全、と仰いましたがイレイザーヘッドさん。事件の最中、生徒に戦うことを促したそうですね。意図をお聞かせください]
相澤[私どもが状況を把握出来なかったため、最悪の事態を避けるべくそう判断しました]
記者[最悪の事態とは?26名もの被害者と、2名の拉致は最悪と言えませんか?]
相澤[私があの場で想定した最悪とは、生徒が為す術なく殺害されることでした]
根津[被害の大半を占めたガス攻撃、敵の個性から催眠ガスの類だと判明しております。拳藤さん、鉄哲くんの迅速な対応のおかげで全員命に別状はなく、また生徒らのメンタルケアも行っておりますが、深刻な心的外傷などは今のところ見受けられません]
記者[不幸中の幸いだとでも?]
根津[未来を侵されることが、最悪だと考えております]
記者[攫われた爆豪くん、風舞さんについても言えますか?
雄英高に優秀な成績で入学した爆豪くんは体育祭優勝。また中学時代ヘドロ事件で強力なヴィランに単身抵抗を続け経歴こそタフなヒーロー性を感じさせますが、反面決勝で見せた粗暴さや表彰式に至るまでの態度など精神面の不安定さも散見されています。もし、そこに目をつけた上での拉致だとしたら?言葉巧みに彼を拐かし、悪の道に染まってしまったら?未来があると言いきれる根拠をお聞かせください]
相澤はメディア側からのあからさまな挑発に対して、立ち上がり頭を下げた。
相[......爆豪勝己の粗暴な行動については教育者である私の不徳の致すところです。ただ、体育祭での一連の行動は彼の理想の強さに起因しています。誰よりもトップヒーローを求めもがいている。あれを見て隙と捉えたならヴィランは浅はかであると私は考えております]
記者[......では、風舞さんについては如何でしょう?トップヒーローウィンドリアと育成の匠であるグルーガンを両親に持つ肩書きも環境も恵まれた少女。雄英を推薦入学、体育祭でも3位入賞、実力と結果を残したうえ、体育祭を通して冷静さと安定性を保持し続けた将来性。そんな彼女の才能に目をつけ攫ったのだとすれば?それほど優秀な次世代がヴィランに引き込まれても未来があると?]
相澤[....風舞莉紗という生徒は、周囲の人間のために自分が何をすべきか...自分がどうあるべきかそれを考え行動出来る。それが彼女の最大の武器でありヒーローとしての素質だと私は考えております]
記者[根拠になっておりませんが?!感情論ではなく、具体策はあるのかと伺っております]
根津[我々も手をこまねいてるわけではありません。現在、警察と共に調査を進めております。我が校の生徒は必ず取り戻します]
『相澤先生...』
先生がそんな風に思ってくれていた事は知らなかった。
授業でも体育祭でも期末でも....評価らしい評価をしてもらった事がない。
私の実力がまだまだ及んでいないからだと思ってた。
だから相澤先生が私に対してそんな事を思っていたのは心底意外だった。
爆豪「ハッ、言ってくれるな...雄英も先生も。そういうこった!クソカス連合!!」
爆豪も多分気づいてる。あれだけ大掛かりな襲撃かち込んで成果は私達2人だけで言質(げんち)も取れてる。こいつらにとって私達は、利用価値のある重要人物。心に取り入ろうとしてる以上、引き込めないからと安安と殺しはしないだろうけど、USJの時から見て分かっている死柄木弔の不安定さ。こいつらの方針が変わらないうちに脱出しないと。
爆豪「言っとっけど俺らァまだ、戦闘許可解けてねぇぞ!!」
『その通り』
マグネ「自分の立場よく分かってるわね、小賢しい子..!」
荼毘「いや、馬鹿だろ」
トガ「..刺しましょうv」
Mr「その気がねぇなら懐柔されたフリでもしときゃいいものを。やっちまったなぁ」
爆豪「したくねェもんは嘘でもしねェんだよ、俺ァ」
『(バカ...)』
爆豪「こんな辛気くせェとこ、長居する気もねぇ!!」
弔「お父さん...」
黒霧「いけません!死柄木弔!!落ち着いて!」
死柄木が鋭い眼光を爆豪達に向け、2人も来る!と構えた...
弔「手を出すな、お前。
こいつらは...大切なコマだ」
そう言って黒霧を制止させた死柄木。
そして床に落ちた手首を拾い、顔に装着した。
トガ「弔くん、荼毘くんが勝手に莉紗ちゃん連れてきたことは怒らないんですねぇ?」
『(私は連合の目的じゃなかった..?)』
弔「この女も、価値はある。
出来れば少しは耳を傾けて欲しかったなぁ。君とは分かり合えると思ってた..爆豪くん」
爆豪「分かり合うだァ?ねぇわ」
弔「...仕方ない。ヒーロー達も俺らの調査を進めていると言っていた。悠長に説得してられない」
そして死柄木は、「先生、力を貸せ」と言って後ろを向いた。
『?!』
爆豪「先生..?テメェがボスじゃねぇのかよ、シラケんな」
弔「黒霧、コンプレス..また眠らせてしまっておけ」
Mr「はぁ、ここまで人の話を聞かねぇとは...逆に感心するぜ」
爆豪「聞いて欲しけりゃ土下座して死ね!」
『(考えろ、今この場での最善を...!!
爆豪が最大火力でぶっ飛ばそうにも、ワープ野郎が邪魔すぎる。
どうにか隙作って後ろのドアからの脱出が一番最善。
爆豪がぶっ飛ばして私の風でワープ野郎を吹き飛ばせばいけるか...いや、それより私が粘着糸で捕獲出来るやつ捕獲し、最大風力で隙作って爆豪にドア破壊させるか...けど、その後は?逃げ切れるのか...1人でも取りこぼせば終わりだ...)』
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