Season1
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入学初日。
『眠い...』
私は無事に雄英に合格した。
入試から数日後ごくごく普通の白い封筒が一通届いた。
開封すると、中には電子チップのようなものが入っていてどうやって使うのか考えていると突然光だし、オールマイトが映った。
無駄にハイテク...。
そしてオールマイトが合否発表とか聞いてない。
実技のマラソンレースはレースの順位で振り分けた基礎ポイントに、個性の使い方や立ち回り方なども加点減点して採点されていたらしく順位=入試の通過順位ではないらしい。
その為、レースの順位は3位だった私だけど最終的には加点が多く減点がほとんどなかったらしく実技は1位通過だったそうだ。
しかし、オールマイトが小声で筆記がギリギリだったから勉学頑張れという応援の言葉を授かった。
何はともあれ、無事に合格した私は今日から雄英生。
**
兄弟の面倒を見ているから朝早くから行動する事も多いけど、元々朝が苦手な私。だけど、初日に遅刻はさすがにまずいだろうと思って早めに保育園に弟を預けに行き、早くも遅くもない時間に登校してきた。
周りを見渡せば、同じ制服を着た人達がゾロゾロと校内に入っていく。
始業の15分前に教室に入るともう既に半分以上の生徒が登校していた。
黒板に張られた席順表を見て自分の席を確認した。
『真ん中嫌だなー』
人に挟まれる席があまり好きじゃない私は憂鬱になりながら後ろを振り返ると紅白頭見えて、固まった。
『(同じクラス...か。避けようないから気まずいことこの上ない。ダメだ、やっぱどんな顔して会えばいいかわからない...)』
読書をしている焦凍くんは、まだ私が教室に入ってきたことに気づいていないようで動揺を周りに悟られないように自分の席に着いた。
教室の入り口の方でワイワイと騒いでるクラスメイトになるであろう人達が急に静かになったので入口に目をやると、教師と思わしき黒ずくめの男性が寝袋に入って寝転がっていた。
「「「「(な、なんかいる....)」」」」
相澤「担任の相澤消太だ。さっそくだが、これ着てグラウンド出ろ」
そう言って、先生が寝袋から出したのは青いジャージだった。
**
「「「「個性把握テストー?!」」」」
言われた通りにジャージに着替えてグラウンドに集合すると、聞かされたのは予想もしていなかった事だった。
麗日「入学式は?!ガイダンスは?!」
相澤「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出る時間ないよー」
相澤先生が色々と話しているけど焦凍くんが気になって右から左へ状態。
正直あんまり聞いていなかった。
相澤「実技試験のトップ成績は爆豪だったな。中学の時、ソフトボール投げ何メートルだった」
爆豪「67m」
相澤「じゃあ、個性使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。はよ、思いきりな」
そして、死ねー!!!という怒号と共に放り投げられたボールは705mを記録した。
『(何故....掛け声が死ね?)』
相澤「まずは自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
上鳴「705mって、マジかよ...」
芦戸「なにこれ~、面白そう!」
相澤「面白そう、か。ヒーローになるための3年間。そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?
よし、8種目トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し除籍処分としよう」
「「「「「はぁぁああ?!」」」」」
『..........』
【第一種目:50m走】
相澤「よし、次風舞。行け」
『(個性使っていいなら...まあ、有利でしょ。ダッシュウィンド!!)』
特訓の中で編み出したオリジナルの技、ダッシュウィンド。
自分の背から後方に向かって強力な突風を起こしその勢いを元に走り出し、自分の背中に向かって追い風を発生させ一気に加速することが出来る技。
風の力でゴールに向かって一直線に走り抜ける。
記録は、3秒18秒とクラス2位の成績。
『上出来かな』
【第2種目:握力】
『(腕相撲なら得意だけど、握力はなぁー...)』
そう言いつつも腕力は女子の中では高めだと思う。記録は56kgで女子の中で2位。
※ちなみに握力1位はプレス機を創造し機会の力を使った八百万で記録は1.7t。
【第3種目:立ち幅跳び】
今度は50m走とは違い、後方斜め下に向かって突風を起こして高く飛び上がった。
『真上に行き過ぎた...』
前ではなく真上に飛んでしまって記録が伸びなさそうだから、今度は50m走の時と同じように背後に突風を起こして飛距離を伸ばした。
これもクラス2位の成績だった。
よし、多分除籍はないはず...。何人除籍になるのか聞いてなかったけど。
【第4種目:反復横跳び】
『(個性で、工夫のしようがない....)』
諦めて、普通に反復横跳びをやった。
【第5種目:ボール投げ】
今度はボールを投げ放つ瞬間、ボールに突風を当て押し出した。
記録は894mでクラス3位の記録。
『もうちょっと強くすればよかったか..』
個性が活かせる種目が多くて助かった。全ての種目を終えて相澤先生が一括開示すると言い機械を用いてその場に液晶を映し出した。
1位八百万百
2位風舞莉紗
3位轟焦凍
4位爆豪勝己
5位飯田天哉
以下略
1位の八百万という女子は確か推薦入学でいた気がする。いかにも頭が良さそうで良いとこ出のお嬢様って感じ。
彼女の個性なのか次々と身体から種目に適した道具を生み出していた。ボール投げでは大砲でぶっ飛ばし、50m走ではバイクに乗り、握力ではプレス機で測定器を破壊する..でほぼ己の体使ってなかった。
相澤「ちなみに除籍はウソな」
シーン...
相澤「君らの個性を最大限引き出す為の合理的虚偽」
それを聞いて断末魔を上げた最下位の緑谷と、麗日、飯田。
八百万「あんなのウソに決まってるじゃない、ちょっと考えればわかりますわ」
「「「「(気づかなかった...)」」」」
『(聞いてなかった...)』
相澤「これにて終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類があるから目通しとけ」
**
自宅に帰るのがとても憂鬱な気分だけと帰らないわけにもいかないので重たい足をなんとか動かして帰宅しようと学校を出た。
轟「なあ」
聞き覚えがありすぎる声が後ろから聞こえて振り返ると案の定、焦凍くんが立っていた。
『あ、何?』
轟「名前、呼ばない方がいいのか?」
『あー、なんか面倒くさそうだし..』
轟「そうか、じゃあ俺も苗字で呼ぶようにする」
『あ、うん。
個性の使い方、上手くなったね。バリエーションも豊富になってて』
轟「いや...お前も風の使い方上手くなってんな」
気まずさをどうにか払拭したくて話題を切り出すと焦凍くんは案外普通に話してくれて安心した。
『雄英入るのに死ぬ気で特訓したからね。改めて同じクラス、よろしくね』
轟「ああ..じゃあな」
そう言って私の横を通り過ぎていく焦凍くん。
中学は学校違ったから知らなかったけど、雰囲気大分変わったなぁ。
他人に対しての近づくなオーラが....。
察知してか、周りもあんま話しかけに行ってないし。
でも案外普通に話してくれたなぁ。
嫌われたんだと思ってたけど...時間が解決してくれるってやつかな。
そんなことを考えながら帰路を進んでいたためか、いつもよりもあっという間に家に着いてしまった。
父「莉紗、雄英初日はどうだった」
『別に、話すようなことない』
父「しっかりやれよ、お前には立派なヒーローになってうちの事務所に来てもらわなきゃならないんだ」
『来てもらわなきゃって何。私が行く場所は私が決める。勝手に決めないで』
母「よそ様から見て恥ずかしくないようにしなさい」
『...っ』
父とは何かとこんな感じで言い合いになるのが日常的になっていた。
母もほぼ黙ってみてるだけで、たまにこうやってトドメの一言をさしてくる。
私が母の個性を発現して父と母が英才教育を始めてからというものの家の中は私にとって苦痛の場所でしかなかった。
しかし、子供の身で行く当てなんてないから仕方ないからいるだけ。
唯一の救いは、妹や弟の存在。
平日の昼間は私も学校があるし、親が居るときは顔も合わせたくないからほぼ部屋に閉じこもり。
だけど、2人が早番の朝や共に帰りが遅くなる夜、それから週末は基本的に2人共に通しでの勤務。朝早くから深夜近くまで..泊まりがけのことも多いから保育園のお迎えや家事育児は私がやることになる。そう言う日は、妹や弟と思いっきり遊んであげられる。
その場合の必要なやり取りは基本ホワイトボード。緊急時は(熱が出て迎えが必要とか急遽泊まりになったとか)はメールが来る。返事はしないけど。
あいつらが、私のことを事務所を継ぐ為の道具のようにしか見てないのが手に取るようにわかる。
だから、私はヒーローになってもあいつらの事務所なんか絶対行かない。
私は、あいつらすら足元にも及ばないヒーローになってやるんだ。
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