Season3
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目視で確認出来る距離に見える黒い煙。
『あれは...黒煙?』
尾白「まさか、山火事?」
私達が遠くの黒煙に意識を取られていると突如ピクシーボブの体が浮かび、何かに引き寄せられるように私達の元から離れていき地面に叩きつけられ気を失った。
「飼い猫ちゃんは邪魔ねぇ」
『流ちゃん!』
私達の目の前には不敵な笑みを浮かべ意識を失った流ちゃんの頭を鷲掴みにしている2人のヴィランがいた。
峰田「な、なんで..?万全を期したはずじゃ...なんで、ヴィランがいるんだよおおっ!!」
緑谷「ピクシーボブ!!」
ピクシーボブの元に走り出そうとする緑谷の前に虎さんとマンダレイが立った。
マンダレイ「ヤバい...」
緑谷「?!洸太くん!」
『?!』
切迫した表情で一言呟いたマンダレイは、突如起こった目の前の非常事態を全員に知らせる為にテレパスを送っていた。
<皆!ヴィラン2名襲来!他にも複数名いる可能性あり。動ける者はただちに施設へ!会敵しても、決して交戦せず撤退を!>
スピナ「ご機嫌よろしゅう、雄英高校!我らヴィラン連合!開闢行動隊!」
尾白「ヴィラン連合?!なんでここに...」
マグネ「この子の頭、潰しちゃおうかしら?どうかしら?ねぇ、どう思う?」
『クッ...』
オネエ口調のその男は流ちゃんの頭を掴むその手に力を入れた。
虎「させぬわ、この!」
スピナ「待て待て!早まるな、マグネ。虎もだ!落ち着け。生殺与奪は全て、ステインの仰る主張に沿うか否か..」
緑谷「ステイン..!?」
飯田「奴の思想にあてられた連中か!」
スピナ「あぁ、そう。俺は...そう、お前!君だよメガネくん!保須市にてステインの終焉を招いた人物。申し遅れた...俺はスピナ!彼の夢を紡ぐ者だ」
虎「何でも良いがな、貴様ら...その倒れてる女ピクシーボブは最近婚期を気にし始めててなぁ。女の幸せ掴もうって、いい年して頑張ってたんだよ...そんな女の顔傷モンにして、男がヘラヘラ語ってんじゃないよ!!」
スピナ「ヒーローが人並みの幸せを夢みるかー!」
マンダレイ「虎!指示は出した!他の生徒の安否はラグドールに任せよう!あたしらは2人でここを抑える!
みんな行って!いい?決して戦闘はしない事!委員長引率!」
飯田「承知しました!行こう!」
飯田の掛け声と共に、広場にいたメンバーが施設に向かって走り出した。
『緑谷?』
緑谷が険しい顔で一点を見つめたまま動かない。
飯田「緑谷くん!」
緑谷「先に行ってて!マンダレイ!僕、知ってます!」
『緑谷...まさか、洸太を?』
緑谷「うん」
『....マンダレイ!私が一緒に行きます。単独より2人行動の方が逃げるにしても助けを呼ぶにしても対処のしようがある』
マンダレイ「....分かった!頼んだわね!」
緑谷「『はい!』」
私と緑谷は頷き合い、彼がいるであろう山の方に向かって走り始めた。
**
私と緑谷は洸太を救出しに山の中へ入ろうとした時に辺りの様子がおかしい事に私は気づいた。
『待って緑谷、見て。森の中』
緑谷「え?...あ!ガス...?」
さっきの広場からは確認出来なかった薄紫色の煙のようなモヤが森の中に漂っている。
『もしこれが有毒ガスなら...ヤバい!』
緑谷「森の中にはいるみんなは...!」
『ごめん、緑谷。別行動だ..』
緑谷「まさかガスの中に?!」
『私なら風でガスを吹き飛ばしながら進める。もう既にガスにあてられた人だっているかも...助けなきゃ』
緑谷「......そう、だね。気をつけて」
『緑谷も、ね』
緑谷「うん」
私は緑谷と互いの無事を祈りながらその場で別れ森の中に入った。風で周辺のガスを吹き飛ばしながら進む。
急げ!突然の山火事にヴィラン襲撃、そしてこのガス。考えたくはないけど、被害が0とは思えない。既に負傷者が出ていてもおかしくない。
助けなきゃ...私の個性なら助ける事が出来る!
**
in施設
補習組を施設に送り届けていた相澤。ブラドキング、物間と合流し今日の補習について話していたその時だった。
<皆!ヴィラン2名襲来!他にも複数名いる可能性あり。動ける者はただちに施設へ!会敵しても、決して交戦せず撤退を!>
相澤「?! ブラド!ここを頼む!俺は生徒の保護を!」
ブラドの返事を聞く間もなく、相澤が施設を飛び出すと目の前には青く燃える森と黒煙が視界にはいった。
荼毘「邪魔はしないでくれよ」
突如相澤の背後に気配なく近づき、青い炎を放った顔中継ぎ接ぎの男。
荼毘「用があるのはお前らじゃない...プロヒーロー。心配が先に立ったか?イレイザーヘッド」
捕縛布で建物の柱にぶら下がり青い炎を避けた相澤。
荼毘「まあ、プロだもんな」
そう言って再び炎を出そうと、手のひらをかざした荼毘。
相澤「出ねぇよ」
相澤が捕縛布で荼毘を拘束し引き上げると顔面を膝蹴りし地面に叩きつけた。
相澤「目的、人数、配置を言え!」
荼毘「何で?」
相澤「こうなるからだよ」
そう言って荼毘の左腕を後ろに引き骨を折った相澤。
相澤「次は右腕だ。合理的に行こう。足までかかると護送が面倒だ」
荼毘「焦ってんのかよ、イレイザー」
抹消が解除され炎を出そうとした荼毘だが、右腕も左腕同様相澤の手によって折られてしまった。
ドォォォンッ!!
相澤「何だ?!」
飯田「先生!!」
相澤が自分を呼ぶ声が聞こえた方に視線をやると飯田、尾白、峰田、口田がいた。
相澤「お前ら!」
飯田たちに意識が向いた隙に相澤の捕獲から抜け出した荼毘。
荼毘「さすがに雄英の教師を務めるだけはあるよ、なあヒーロー。生徒が大事か?守りきれるといいなぁ。また会おうぜ」
荼毘は不敵の笑みを浮かべそう言うと泥になって消えていった。
相澤「中に入っとけ!すぐ戻る!」
飯田達にそう告げて走り出した相澤。どこに向かうべきかなど分からない。だが、動かなくては生徒達が危ない。その一心で走り続ける相澤。
緑谷「先生!」
洸太を救出し、背中におぶって施設に向かって走っている緑谷が相澤を見つけ声をかけた。
相澤「緑谷?!」
その緑谷の姿は傷だらけでボロボロ。戦闘をした事は火を見るより明らかであった。
緑谷「先生...良かった。はぁはぁ..大変なんです!伝えなきゃならないことがたくさんあるんです!」
相澤「おい..」
緑谷「とにかく僕、マンダレイに伝えなきゃならないことがあって。洸太くんをお願いします!」
相澤「おいって!」
相澤がいくら声をかけても聞いていないのか、聞こえていないのか一方的に話すのをやめない緑谷。
相澤「(こいつ...ハイになってやがる)」
緑谷「お願いします!!「待て!緑谷!」
相澤の返事など聞く耳持たずに..いや、相澤が何かを言おうとしてることにすら気づいておらず声をあげて走り出そうとする緑谷を止めた相澤。
相澤「そのケガ..またやりやがったな?保須でのことを忘れたのか!」
緑谷「っ..けど!」
緑谷の頭の中には保須で面構に言われた規則が頭に思い起こされた。
相澤「だから、マンダレイにこう伝えろ」
緑谷に伝言を渡した相澤は洸太を抱き抱えて施設に向かった。
荼毘「なあ、ヒーロー。生徒が大事か?守りきれるといいな」
相澤「(あの言い草は完全に生徒がターゲット。ならやむを得ないだろう。生存率の話だ。自衛の術を。後で処分受けんのは、俺だけでいい!
こんなワケも分からんまんま、やられんなよ!卵共)」
**
その頃広場では依然、マンダレイと虎がヴィランと交戦していた。
スピナがマンダレイに武器を振り下ろそうとしたところを...。
緑谷「スマァァッシュ!!」
緑谷がスピナの武器を蹴り飛ばした。
緑谷「マンダレイ!洸太くん、無事です!」
マンダレイ「君!何で1人?!」
緑谷「相澤先生からの伝言です!テレパスで伝えて!!」
**
緑谷と別れて時間が経ったような気がするのに未だまだ誰とも遭遇できていない。
『(ガスの発生源を探ったほうがいいか...?いや、まずはみんなの安全確認だ)』
風を出し自分の周りのガスを吹き飛ばしながら進んだ。
肝試しの進行ルートを逆走ししばらく進むと大きな物音が聞こえた。風を出すのを一旦止め、息を止めながら静かに進むと何やら黒く大きな影が見える。それに、見覚えのあるクラスメイトがその影に追われているのを見つけた。
『障子!』
自分とこちらに向かって走ってくる障子の周囲のガスを風を吹き飛ばした。
障子「風舞か!」
私は障子と合流し、一緒に影から逃げた。
『何があったの?てか、あれってまさか...』
障子「ああ、ダークシャドウだ。ヴィランと遭遇し、俺の複製腕を切り落とされたのを見て常闇の怒りに同調しダークシャドウが暴走した。音に反応している」
『...じゃあとりあえずこっちから気を逸らさせないと』
障子「出来るか?」
試しに竜巻を何個か出し自分達の反対方向に飛ばした。竜巻が木を倒しながら進んでいく際に発生させる物音につられ、ダークシャドウが離れていった。
障子「風舞、1人か?」
『うん、森の中にガスが見えたから』
障子「そうか」
『けど、あのガスおかしい』
障子「何がだ?」
『ガスって不規則に浮遊するものなのに一定の方向に渦を巻くように浮遊してる。今この場所にガスが流れてきてない』
障子「確かに、ヴィラン側の個性か?」
『十中八九ね。障子、複製腕で負傷者がいないか捜索を!』
障子「ああ、分かった。だが、俺達は戦えない、ヴィランと敵対したら..」
< A組、B組総員!プロヒーロー、イレイザーヘッドの名において戦闘を許可する!! >
頭の中に響いたその声は間違いなくマンダレイのテレパスだ。
『戦闘を許可...それほど深刻な状況ってことか』
障子「どうする?」
『障子は、周囲に警戒を払っていて。常闇を置いていけない。ダークシャドウをなんとかしないと...』
<ヴィランの狙いの1つ、判明!狙いは生徒の、かっちゃん!かっちゃんはなるべく戦闘は避けて!単独では動かないこと!分かった?!かっちゃん!>
これからどうすべきか考えてるところに再びマンダレイのテレパスが頭の中に響いたがその内容に私は血の気が引いた。狙いが爆豪?生徒が狙いだなんて....
障子「爆豪?生徒が狙いとは....」
『敵の狙いが爆豪なら、合流したい所だけど。爆豪のペアって何組目だっけ?』
障子「轟と爆豪は俺たちの次だった」
『轟くんと爆豪ペアか。戦闘能力クラストップの2人がペアなら、どうにでもなりそうか...』
戦闘センスもあり頭もキレる2人がペアならなんとかなるか..そう思っていた時に遠くで燃える青い炎が私の目に映った。
『?!違う...逆だ。結構マズイ』
障子「どういう事だ?」
『この森の中で炎が木に燃え移りでもすれば、一気に袋のネズミになる。まして今周囲はガスにまみれてる..ただでさえ動ける範囲は極めて限定的。
つまり、ヴィランと遭遇しても轟くんの左の炎と爆豪の爆破はかなり局所的にしか使うことは出来ないから戦闘力は半減以上。轟くんの氷結だけで対処しなければならない。まして、そんな中で敵の狙いが爆豪だなんて...追い込まれてる』
障子「早いところ合流したいが、常闇を置いては行けない」
『光があればダークシャドウを...
そうか!』
障子「おい!誰か近づいてくるぞ!」
『ヴィラン...?』
障子「いや...緑谷だ!」
障子の言った通り緑谷が私達の方に向かって走ってきた。
しかし、その音にダークシャドウが気づき緑谷に向かって攻撃しようとしてきたのを障子が緑谷を抱え脇道に逸れた。
緑谷「?!しょ、障子くん!」
障子「その重傷...もはや動いていい身体じゃないな。友を助けたい一心か。呆れた男だ」
緑谷「今のって...」
障子「ああ。ヴィランに奇襲をかけられ、俺が庇った。しかし、それが奴が必死で抑えていた個性のトリガーとなってしまった」
緑谷「?!...まさか」
障子「ああ、ここを通りたいならまずはこれをどうにかしなきゃならん!」
常闇「俺から...離れろ!死ぬぞ!」
緑谷「と、常闇くん!!」
闇が深いこの夜の最中、常闇はコントロールの難しいダークシャドウを何とか抑えていたがヴィランの襲撃に合い、攻撃を受けそうになった常闇を障子が庇い複製腕を切り落とされた。
複製出来るとは言え、友人を傷つけられた事に常闇の心が怒りに支配されその怒りにつけ込んだダークシャドウが心を乗っ取り暴走を始めてしまい、常闇自身制御が出来なくなってしまった。その結果、音や動くものに反応し、攻撃をするだけのモンスターと化していた。
常闇「俺のことは...いい!他と合流し....他を救い出せ!静まれ、ダークシャドウ!」
障子「ダークシャドウの弱点は光。火事か施設の方向へ誘導すれば鎮められるはずだ。緑谷、俺はどんな状況下であろうとも苦しむ友を捨ておく人間になりたくはない。お前は爆豪が心配で、その体で来たのだろう?まだ動けるというなら俺がダークシャドウを引き付け、道を拓く!」
緑谷「待ってよ、施設も火事も距離がある。そんなの障子君が危ない!」
障子「分かっている、助けるという行為にはリスクを伴う。だからこそ、ヒーローと呼ばれる」
『障子!緑谷!離れて!』
私がこえをかけると障子が緑谷を抱えてその場を離れた。ダークシャドウの横を通り過ぎるように同程度の大きさの竜巻を出すと音や動きに反応するダークシャドウはその竜巻を追っていった。
緑谷「風舞さん!」
『今私の竜巻を追っていってる。けど、さっきから試してるけど竜巻じゃ長くは時間稼ぎ出来ないみたい』
障子「どうする、俺と常闇を助けるか。爆豪の元へ駆けつけるか。お前はどちらだ?緑谷」
緑谷「クッ....ごめん、障子くん」
その緑谷の表情は何やら悔しそうだけどそれは絶望的な表情じゃない。つまりこの顔。緑谷の性格から考えたらきっと..
『そんなん、どっちも助けるに決まってる。そうでしょ?緑谷』
障子「何?」
緑谷「うん!」
『爆豪か轟くん、どっちかいれば火でダークシャドウを静められる。だからダークシャドウを2人のところに誘導すればいい』
緑谷「風舞さん....」
緑谷「障子くんの複製腕や風舞さんの竜巻で本体に攻撃が向かないよう、誘導する。風舞さんの言う通り、誘導先はかっちゃんだ。爆破でダークシャドウを静められる。どちらか選ばなきゃいけないなら、僕はどっちも助けたい!」
『よし、やろう』
障子「お前達がそう言うなら...分かった、やろう」
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