Season3
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合宿3日目
それぞれ、個人がやることは昨日と変わっていない。ただ違うのは、補習組の5人の魂が今にも天に引っ張られるんじゃないかと言うくらい放心状態になっていること。
相澤「補習組!動き止まってるぞ」
首がカクカクと前に倒れて行った切島の頭を相澤の捕縛布が無理やり上を向かせた。
切島「っ!あ、うっす!」
芦戸「すいません...ちょっと眠くて...」
瀬呂「昨日の補習が..夜中の2時までやるとは....」
砂藤「朝は7時だし...」
相澤「だから言ったろ、きついって。個性の強化だけじゃない。何より期末で、露呈した立ち回りの脆弱さ。お前らが何故他のクラスメイトよりも疲れているか、その意味をしっかり考えて動け」
「「「は、はい....」」」
相澤「麗日、青山!お前らもだ。赤点こそ逃れたがギリギリだったぞ。30点がラインだとして、35点くらいだ」
麗日「え"っ?!」
青山「心外....」
相澤「気を抜くなよ、みんなもダラダラやるな。何をするにも原点を常に意識しとけ。向上ってのはそういうもんだ。何のために汗かいて、何のためにこうしてグチグチ言われるか常に頭に入れておけ」
『(原点....)』
緑谷「あ!そういえば、相澤先生。もう三日目ですが」
相澤「言ったそばからフラッと来るな」
緑谷「今回、オールマイ...ほかの先生方ってこないんですか?」
相澤「合宿前に言った通り、ヴィランに動向を悟られぬよう人員は必要最低限」
ラグドール「よって、あちきら4人の合宿先ね!」
相澤「そして、特に。オールマイトはヴィラン側の目的の1つと推測されてる以上、来てもらうわけにいかん。良くも悪くも、目立つからこうなるんだあの人は。...ケッ」
緑谷「(うわ、悪くもの割合がデカそう...;)」
ピクシーボブ「ねこねこねこ!それより、皆!今日の晩はね!クラス対抗、肝試しを決行するよ!しっかり訓練した後は、しっかり楽しいことがある!さあ、飴とムチ♪」
拳藤「あー、忘れてた...」
耳郎「怖いのマジいやだ〜.....」
ピクシーボブ「というわけで、今は全力で励むのだー!」
「「「イエッサー」」」
**
そして夕方...
爆豪がめちゃくちゃ手慣れた様子で食材を切っているのを麗日が興奮した様子で眺めていた。
麗日「爆豪くん、包丁使うのうまっ!意外やわ〜」
爆豪「意外ってなんだゴラァ!包丁に上手いも下手もねーだろ!」
上鳴「出た、久々に才能マン」
轟「俺にも教えてくれ」
『もっと時間と気持ちの余裕のある時にして...怒』
さっきから包丁での切り方を中心に料理を教えてほしいとめちゃくちゃ懇願してくる轟がしつこく、なだめながら無理やり隣のコンロで玉ねぎと肉を炒めさせた莉紗。
『轟くん!焦げるから手止めないで!』
轟「....おう」
切島「みんな、元気すぎ...;;」
野菜を炒め終わった轟がフライパンを莉紗に見せてきた。
轟「こんなもんか?」
『ん、オッケー。そしたら鍋に移して水入れに行こう』
轟が鍋を持って2人で洗い場に行き、食材の入った鍋に水を入れた。
『食材が全部浸るくらい水を入れて、これで火にかけるよ』
轟「分かった」
釜戸に鍋を持って行く途中、釜戸の前で薪を入れて作業している緑谷を見つけた轟が緑谷の方に近づいた。
『?』
轟「オールマイトに何か用でもあったのか?相澤先生に聞いてたろ」
作業をしている緑谷に声をかけた轟。
緑谷「ん、あーうん。洸太君のことで」
轟「洸太?誰だ?」
緑谷「えっ?!」
『ホントに周りへの認識薄いんだから....』
緑谷「あの子だよ、ほら...マンダレイの従兄弟の...あれ、またいない。 その子がさ、ヒーロー..いや、個性ありきの超人社会を嫌ってて僕は何もその子の為になることを言えなくてさ...オールマイトなら、何て返したんだろって思って。轟くんなら、何て言う?」
思い詰めたような表情の緑谷。
轟「場合による」
『いや....まあな』
緑谷「うん....そりゃ、場合によるけど...;」
轟「素性も分かんねぇ通りすがりに正論叩かれても煩わしいだけだろ。大事なのは、何をした...何をしてる人間に言われるか、だ。言葉単体で動くようならそれだけの重さだったってだけで。言葉には常に行動が伴う、と思う」
緑谷「........」
『....君、ホントに轟くん?』
轟「何だよ」
『ふふ、いやいや。その通りだと思うよ』
緑谷「....そうだね。轟くんの言う通り。通りすがりが何言ってんだって感じだ」
轟の言葉に気持ちがスッキリしたのか、笑顔を見せた緑谷。
轟「お前がそいつをどうしてぇのか知らねぇけど。デリケートな話しにあんまズケズケ首突っ込むのもアレだぞ。そう言うの気にせずぶっ壊してくるからな、お前意外と」
轟のその言葉に3人の頭の中には体育祭の時の出来事が浮かんだ。
『あ、ははは....苦笑』
緑谷「...なんか、すいません;;」
飯田「君達!手が止まってるぞ!!最高の肉じゃがを作るんだ!!」
『...煮込むか』
轟「...おう」
**
肉じゃがもまずまずの出来栄えで皆でペロリと完食した。
洗い物をしていた為か、今日は風が少し強い為か。夜になるにつれ肌寒く感じまだ勢いよく燃える釜戸の前で手を温めていた莉紗。
轟「寒いのか?」
『ん?んー、山の中だと意外と夜は冷えるんだね。洗い物したせいかもだけだけど。でも大丈夫』
轟「上着羽織って来いよ」
『いや、寒いパターンを想定してなかったから長袖持ってきてないんだー』
轟「普段やたら準備いいくせに、持ってこなかったのか」
『ただでさえ荷物多いからさ。外にいる時は基本ずっと訓練して暑いかと思ってたし夜は外出る事ないと思ってたんだ』
苦笑いして言う莉紗。
『ちょっとお湯でも沸かして温かい物飲んでくるよ』
轟にそう告げ、鍋に水を入れ沸かすため離れた莉紗。
ピクシーボブ「さて腹も膨れた、皿も洗った!お次はー?」
芦戸「肝を試す時間だー!!」
切・瀬・上「「「よっしゃー!」」」
相澤「その前に、大変心苦しいが補習連中はこれから俺と授業だ」
芦戸「...ウソだろー?!Σ」
相澤「すまんな、日中の訓練が思いのほか疎かになってたんでこっちを削る」
そして、辺りには補習組の悲痛な雄叫びが響いた。
ピクシーボブ「はい、というわけでおどかす側先行はB組、A組は2人1組で3分置きに出発。ルートの真ん中に名前を書いた御札があるからそれを持って帰ること。おどかす側は直接接触禁止で、個性を使ったおどかしネタを披露してくるよ!」
虎「より多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!」
耳郎「やめてください、汚い」
『せめて失神にしてください』
鋭くツッコんだ2人。
飯田「なるほど...競走させることでアイディアを推考させ、その結果個性に更なる幅が産まれるというわけか!さすが、雄英!」
『(そこまで考えられてるわけじゃないと思うけどなー)』
ピクシーボブ「くじ引きでパートナーを決めるよ!」
くじ引きの結果...
1組目 障子、常闇ペア
2組目 轟、爆豪ペア
3組目 耳郎、葉隠ペア
4組目 八百万、青山ペア
5組目 麗日、蛙吹ペア
6組目 尾白、峰田ペア
7組目 飯田、口田ペア
8組目 緑谷、風舞ペア
爆豪「おい、尻尾.....変われ!」
峰田「青山ぁ...オイラと変わってくれよぉ....」
ペアが決まり色々なリアクションが飛び交う中莉紗は緑谷の元に行った。
『緑谷、よろしく』
緑谷「あ、う...うん...よろしく...」
『....もしかして苦手?』
緑谷「うん...得意じゃない、というか..結構苦手...」
『そっか、顔青いもんね』
顔を真っ青にして震える緑谷に苦笑いを浮かべた莉紗。
『大丈夫、私ホラー全然いけるほうだし。何より、オバケ出てきても私と緑谷の個性ならオバケもぶっ飛ばせるって』
笑って言う莉紗に緑谷が苦笑いした。
緑谷「いや...男前過ぎるよ、風舞さん...;;」
『温かいお湯入れてきてあげるから飲んで落ち着きな?』
緑谷「うん、ありがとう」
緑谷の元を離れ、かまどの前にしゃがむと再びお湯を沸かしにきた莉紗。突如肩からカーキ色の何かが掛かり後ろを振り返った。
『...焦凍くん?』
そこにいたのは轟で、肩にかけられたソレは轟の長袖の前開きシャツだった。
『え...わざわざ部屋に取りに行ってくれたの?』
轟「上着持ってきてねぇんだろ?寒いならそれ着とけ」
『あ、りがとう.....』
かけてくれたシャツに腕を通した莉紗。
『ん、暖かい..』
轟「...今日、いつもと違うな」
『え?』
轟「髪」
いつもは普通に髪を下ろしているが今はバレッタで上半分だけを後ろでまとめているのだ。
『あー、調理の時は邪魔であげてたんだけど首元少し寒かったから下ろしたんだ』
轟「似合うな、そういう髪型も。家では縛ってることの方が多いもんな、お前」
『そーだねぇ、お風呂の時以外ポニーテール多いよね』
轟「あっちも似合うけど」
『なに、どうしたの?急に、褒め殺し?』
轟「いや、別に」
『ふーん?行こうか、始まっちゃうから』
轟「おう」
そして肝試しが始まった。
静かな森の中に悲鳴が響き渡っている。
ピクシーボブ「じゃ、5組目!ケロケロッピー、麗日レディーGO!」
森の中から絶えず悲鳴が聞こえる中6組目が出発しようとする直前...
『ん?
(なんか、匂う....)』
緑谷「あれは...」
『え?』
緑谷の言葉に緑谷の視線の先を見ると黒い煙が遠くの方に見えた。
飯田「何か、燃えているのか?」
尾白「まさか山火事?」
『爆豪...じゃないよね?爆発音聞こえなかったし』
荼毘「さあ、始まりだ...」
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