Season3
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ブラド「林間合宿の場所が変わった?」
相澤「情報がヴィラン側に漏れていることを警戒しての処置だ。この事は学校内でも、上層部しか知らない。他言無用で頼む。生徒たちにもだ」
**
朝いつもより少し早く起きた私は合宿で必要な荷物の確認をしていた。
『タオルと、充電器と....』
事前にリスト化していた荷物の一覧表を見ながら忘れものがないか最終確認をしていた時、ふとの視界に銀色に光る物が映った。
机の上の小物入れに入れてあった焦凍くんが職場体験の買い物中に買ってくれた誕生日プレゼントのネックレスだった。
会っていなかった期間分まとめてらしいけど、それにしても、随分高いプレゼント。
けれど、焦凍くんからのプレゼントは私にとって心底嬉しかったしかけがえのない宝物。学校に行く時はもちろん、お風呂に入る時以外は肌身離さず付けていた。合宿につけていっても良いかな...。だけど私にとってこれは焦凍くんが背中を押してくれてるような、お守りのようなものでもあるから置いていく選択肢はハナからなかった。
『よし』
**
いよいよやってきた合宿当日。学校の校門前に停まっているリムジンバスの前に集合しているA組。その眼前には相澤の姿があった。
相澤「雄英高は、1学期を終え現在夏休み期間中に入っている。だが、ヒーローを目指す諸君らに安息の日々は訪れない。この林間合宿で更なる高みへ、プルスウルトラを目指してもらう」
「「「『はい!』」」」
バスに乗る前にトイレや積み荷などの出発前の準備時間に入り各々が自由気ままに合宿への意気込みをあらわにしていた。
麗日「デクくーん!ついに林間合宿の始まりだねぇ!」
緑谷「そ、そうだね!麗日さん!/////」
麗日「? どうしたの?あ....////////」
何故か2人共急に黙り、顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。
『(あそこ、何で2人して赤くなってんだろ?)』
と思ったら突然手を叩いて踊り出し無駄にテンションが高くなった麗日。
『お、茶子ちゃん....どうした...』
轟「さあ」
物間「え?何何、A組補習いるの?つまり期末で赤点取った人がいるってこと?えぇ?おかしくない?おかしくない?A組はB組よりずっと優秀なはずなのに、あれれれれー?」
バシッ
いつもの様に突如割り込んできて挑発をしてきた所に拳藤が手刀を入れ地に伏せさせられた物間。
拳藤「ごめんなぁ?」
拳藤と物間が出てきたのを筆頭にB組の面々がA組の前に姿を現した。
緑谷「あ、B組の!」
取蔭「体育祭じゃなんやかんやあったけど。ま、よろしくね!A組」
小大「うん」
拳藤「バス乗るよー?」
バスに乗り込むB組女子の後ろ姿を見ながら峰田がぶつぶつと呟き始めた。
峰田「A組だけじゃなく、B組の女子まで...選り取りみどりかよぉ!」
切島「お前ダメだぞ、そろそろ」
飯田「A組のバスはこっちだ!席順に並びたまえ!」
しかし、お決まりではあるが結局自由に好き勝手座ることになるA組。女子は女子同士で座っていくが7人いるため、1人は必然男子と隣同士になる。
『轟くん、女子1人余るから隣いい?』
轟「おう」
無事に全員乗り込み目的地に向かって動きだしたバス。
相澤「お前ら!1時間後に1回、バスを停車させる。その後、しばらく..」
上鳴「音楽流そうぜ!」
耳郎「莉紗、ポッキーいる?」
『ありがと、響香』
八百万「莉紗さん、私の持ってきたクッキーもどうぞ?」
『サンキュー、ヤオモモ。私甘納豆しかないけど食べる?』
耳郎「莉紗、好み渋いね」
八百万「私食べたことありませんわ?」
莉紗から甘納豆を受け取り、八百万が初めて食し何やら感動し、耳郎もなんだかんだパクパクと食っている。
『いる?好きでしょ?』
隣にいた轟に甘納豆の小袋を1つ渡した。
轟「サンキュ」
飯田「青山くん!走行中は座席に座っているんだ!」
自分が指示を出していることにすら気づかないほどガヤガヤと盛り上がる生徒達に小さくため息をついた。
相澤「.....;;(まあ、ワイワイ出来るのも今のうちだけだ)」
そう相澤が心の中で呟いた事など誰も知る由もなかった。
**
1時間後
途中休憩となり停車したバス。バスを降りて体を伸ばしたり、外の空気を吸ったりするA組。B組は何故か別ルートのようで近くには見当たらない。しかし、辺りを見回すとどう見ても峠の山中のただのパーキングエリア。尿意を催している峰田がトイレを探し慌てふためている。A組の面々がなぜこのような場所で停まったのか、B組は何故別行動なのかと口々に言った。
相澤「何の目的もなくでは、意味が薄いからな」
意味ありげに言われた言葉だがその相澤の言葉の意味が理解できずに一同ポカン。
峰田「トイレは...?」
「よお、イレイザー」
突然近くに停まっていた乗用車から派手なコスチュームの女性が2人が出てきた。
相澤「ご無沙汰してます」
マンダレイ「煌めく眼で、ロックオン!」
ピクシーボブ「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」」
『あ...』
轟「?」
突然小さく声をあげた莉紗に轟が不思議な顔で見た。
相澤「今回お世話になるプロヒーロー、プッシーキャッツの皆さんだ」
緑谷「~つ!!!連名事務所を構える4名1チームのヒーロー集団!!山岳救助を得意とするベテランのプロヒーローだよっ!!
キャリアは今年で12年にもなる、ドスッ」
般若のような顔をしたピクシーボブに顔を押さえつけられた緑谷。
ピクシーボブ「心は18!!心は?」
緑谷「.....18!」
切・上「「(必死かよ...;)」」
『流ちゃん...』
緑谷を押さえつけているピクシーボブの本名らしき名前を呼んだ莉紗。
ピクシーボブ「久しぶりだね、莉紗。小学生の時ぶりかにゃ?」
『んー、そうかな』
切島「風舞、知り合いか?」
『んーと..』「ピクシーボブ、ビルボチャートNO.5ヒーローウィンドリアの実の妹!つまり、風舞さんの伯母さんに当たるんだよね!?他にも、ウィンドリアの弟さんで 水 を操る個性のプロヒーロー"スプラッシュ"もウィンドリアの弟さん、そしてピクシーボブのお兄さんで、風、土、水と自然の摂理を操るネイチャーファミリーとして有名だよ!!」
目を輝かせながら莉紗が言うよりも早く解説を始めた緑谷。
『.....緑谷、詳しい解説、ありがとう』
自分が話す必要もなくなるほど詳細に話してくれた緑谷に若干引き気味の莉紗。そんな莉紗の横に轟がやってきた。
轟「あの人がそうなのか」
『うん、会ったの小さいころだから覚えてないでしょ?』
轟「ああ、あんまり」
相澤「お前ら、挨拶しろ」
「「「『よろしくお願いします!』」」」
マンダレイ「ここら一帯は私たちの所有地なんだけどね。あんたらの宿泊施設は、あの山の麓ね」
目視で確認出来ないほど遠い場所を指さすマンダレイ。
「「「遠っ!!」」」
麗日「え?じゃあ、何でこんな半端なところに...?」
蛙吹「これって、もしかして...」
砂藤「いやいや~?;」
瀬呂「ハハッ、バス...戻ろうか?なっ?早く...;」
上鳴「そうだな、そうすっか!;」
口田「うん!;」
皆が後ずさりしながらバスにゆっくり戻ろうとしている所にマンダレイが妖しい笑みを浮かべながら舌なめずりをした。
マンダレイ「今は午前9時30分。早ければぁ~、12時前後かしらぁ?」
切島「ダメだ、おい!」
芦戸「戻ろう!!」
切島「バスに戻れ!早く!」
マンダレイ「12時半までかかったキティは、お昼抜きねー!」
相澤「悪いね、諸君。合宿はもう始まってる」
一目散にバスに向かう1Aの前にピクシーボブが現れたその時。
『(まずいっ!!)』
ドゴォオッ!
突然目の前で、土が盛り上がったと思ったら崖下に放り出された1A。ピクシーボブが何をしようとしてるのか分かった莉紗は地面に向かって自身の個性の風を広範囲に出し自身やクラスメイト達の身体を浮かせるようにして落下の勢いを殺しうまく着地できるようにした。
緑谷「風舞さん。風で衝撃を無くしてくれたんだね」
『うん、何とかなって良かった』
麗日「ひょえ~..怖かった。莉紗ちゃんありがと~」
砂藤「助かったぜ..」
上鳴「風舞いて良かったぁ」
と、安心したのも束の間。
マンダレイ「おーい!私有地につき個性の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で、施設までおいでませ!この、魔獣の森を抜けて!」
緑谷「魔獣の森?!」
切島「何だ、そのドラクエめいた名称は!」
耳郎「雄英、こういうの多すぎだろ」
切島「文句言ってもしゃーねぇよ!行くっきゃねぇ!」
そう気合い十分で言う切島の横を峰田が物凄いスピードで通り過ぎ木陰に入っていった。すると峰田の目の前に大きな怪物が2体現れた。
上・瀬「「ま、魔獣だー!!」」
峰田「....あ」
峰田に向かって腕を振り上げた魔獣。
口田「鎮まりなさい、獣よ!下がるのです!!」
口田の言葉に反応はなく、魔獣は峰田に腕を振り下ろした。しかし、峰田が叩きつぶされる所を間一髪で、緑谷が峰田を抱え助けた。そして爆豪、飯田、轟、莉紗が真っ先に魔獣に向かっていった。
緑谷「(ワンフォーオール フルカウル!)」
轟が氷結を出し2体の魔獣の動きを封じた。
『竜巻旋風陣!』
莉紗が粘着糸で魔獣の1体を縛り上げ竜巻に巻き込みながら粘着糸ごと上空に放り上げた。そして、竜巻を解除し地面に向かって粘着糸を振り下ろすと魔獣は地面に叩きつけられ粉々に崩れた。
飯田「レシプロ、バースト!!」
爆豪「死ねやー!!」
そしてもう一体の魔獣の両腕を爆豪と飯田がそれぞれ破壊し..
緑谷「スマぁぁーッシュ!!」
緑谷が胴体部分を破壊し、現れた2体の魔獣は無事に倒すことが出来た。A組のみんなが沸き上がり5人の元に駆け寄った。
砂藤「あの魔獣を瞬殺かよ!」
瀬呂「やったな!」
峰田「やった...オイラやっちまった....泣」
切島「さーすがだぜ、爆豪!」
爆豪「まだだ!」
なにかまだ森の奥から近づいてくる気配を感じている莉紗。
『相当いるぞ、コレ....索敵班!周囲の状況確認を!』
莉紗の言葉に索敵能力に長けたクラスメイトが周囲の状況を確認し始めた。
上鳴「おいおい、何匹いんだよ...」
芦戸「どうする?逃げる?」
砂藤「冗談!12時までに施設に行かなきゃ昼飯抜きだぜ?」
八百万「なら!ここを突破して最短ルートで宿泊施設を目指すしかありませんわ!」
飯田「よし!行くぞ、A組!」
「「「「『おう!』」」」」
拳を上げて気合を入れたA組みんなの力(個性)を合わせて魔獣を倒しながら森の中を進んでいく。先陣の5人も、轟が氷結で動きを止めながらどんどん魔獣を倒していく。
爆豪「死ねぇ!」
『突風木枯らし!』
2人が個性で魔獣を壊していくとその横を轟が凍らせた地面を滑走していった。
爆豪「邪魔すんなよ半分野郎!!」
轟「してねぇ」
並んで走りながら爆豪が轟に突っかかる。
『仲良いんだか、悪いんだか....;』
順調に魔獣を倒していくものの、倒せど倒せど魔獣は次から次へと現れる。
『突風木枯らし!..っ!』
個性の連発で段々と痛んでいく腕。
莉紗は腕を抑えながら先へと進んでいく。
轟「大丈夫か?」
莉紗の様子を心配した轟が莉紗の横について滑走した。
『腕にキテるだけ。大丈夫』
轟「腕貸せ」
『え?』
莉紗の腕を掴み冷気を出した轟。
轟「冷やした方が少しはマシだろ」
『いーや、大分良い。ありがと』
轟「おう」
**
PM5:20
ピクシーボブ「お、やーっと来たにゃ」
マンダレイ「随分遅かったねぇ」
1番最初に森から出てきたのは轟だった。その後に、莉紗や飯田、爆豪、緑谷が続き少し遅れて他のA組の皆も姿を現した。全員泥だらけになり轟は霜が下りてるし、莉紗や爆豪は腕が痛いのか抑え、飯田はマフラーから黒い煙を吐き出しながら足を引きずり、緑谷は虚ろな目をしている。他の全員ももれなくボロボロになり体中ガタが来ている様子でみんながみんな今にも昇天しそうなほど疲弊しきり地面に倒れ込んだ。
砂藤「何が3時間ですかー!」
マンダレイ「あー、それ。私たちなら、って意味。悪いね」
砂藤「実力差自慢のためか..やらしいな....」
切島「腹減った...死ぬー!」
ピクシーボブ「でも正直もっとかかると思ってた!私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった。
良いよぉ?君ら。特に...そこ5人!」
先陣切った緑谷達5人を指さしたピクシーボブ。
ピクシーボブ「躊躇の無さは経験値によるものかしら~?ペロッ」
突如舌なめずりしたと思ったら走ってきて莉紗を掴みポイっとそこら辺に捨てた。
『....は?』
ピクシーボブ「3年後が、たのしみ!ツバつけとこー!」
男子4人にホントにツバをつけようとしている。
緑谷「うわぁっ!」
爆豪「やめろっ!」
その様子を見ていた相澤が引きつった顔でマンダレイに尋ねた。
相澤「マンダレイ...あの人、あんなでしたっけ?」
マンダレイ「彼女焦ってるの、適齢期的なアレで」
緑谷「あっ!適齢期と言えば..ゴフッ」
デジャブと言うのか、緑谷の顔がまたしてもピクシーボブの手により押しつぶされた。
ピクシーボブ「と、言えば...って?」
『何で私飛ばされたんだろ?』
ピクシーボブが落ち着いた為立ち上がり轟達の元に戻った莉紗。
轟「大丈夫か?」
『うん』
緑谷「ずっと気になってたんですが、その子はどなたのお子さんですか?」
最初バスを降りた時からずっといる帽子をかぶった少年を指さし尋ねた緑谷。
マンダレイ「あー、違う。この子は私のイトコの子供だよ。洸太、ほら挨拶しな。1週間一緒に過ごすんだから」
緑谷「えっと、僕雄英高校ヒーロー科の緑谷。よろしくね」
そう言って洸太の元に行き握手を求めた緑谷だが、洸太が緑谷の股間を思いっきり殴った。
緑谷「?!△×◽︎...」
声にならない声をあげ悶えている緑谷。
飯田「緑谷くん!おのれ、従甥!!何故緑谷くんの陰嚢を!」
洸太「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねぇよ」
飯田「つるむ?!いくつだ君は!」
その様子を見ていた莉紗が何かを考え始めた。
『あのガキんちょどっかで見たような...』
爆豪「ハッ、マセガキ」
轟「お前に似てないか?」
『あ、それだ』
爆豪「あーっ?!似てねぇよ!つーかテメェ喋ってんじゃねぇぞ!舐めプ野郎!テメェもだクソアマ!」
轟「悪い」
『謝るんかーい..苦笑』
そんな5人を見てクラスメイトたちは思った。自分達以上に個性ぶっ放していたはずなのに何故こいつらはこんなに元気なんだ....と。
相澤「茶番はいい。バスから荷物下ろせ。部屋に荷物を運んだら食堂にて夕食、その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さ、早くしろ」
**
そして夕食の時間。
目の前に並ぶたくさんのご馳走に皆が目を輝かせて次々と口に運ぶ。
瀬呂「へー!じゃあ女子部屋は普通の広さなんだな!」
耳郎「男子は大部屋なの?」
芦戸「見たい!ねぇねぇ!後で見に行っていい?」
瀬呂「おう!来い来い!」
切島「美味しい!米美味しい泣」
上鳴「五臓六腑に染み渡る...泣
ランチラッシュに匹敵する粒立ち!いつまでも噛んでいたい!ハッ!? 土鍋?」
切島「土鍋っすか?!」
ピクシーボブ「あー。つーか、腹減りすぎて妙なテンションになってんね。まあ、色々世話焼くのは今日だけだし。食べれるだけ食べな」
切・上「「あざーす!」」
『から揚げ...塩味だね』
轟「ああ、悪くねぇ」
『同感』
向かい同士に座った2人がいつも食べるから揚げとの違いと両方の良さを噛み締めながらから揚げを味わった。
続いて風呂の時間。
峰田「まあまあ、飯とかはね。ぶっちゃけどうでもいいんすよ。求められてんのってそこじゃないんすよ。その辺、分かってるんすよオイラ。求められてんのは....この壁の向こうなんすよ」
腰にタオルを巻き、男女風呂を隔てる壁の前で腰に手を当て呟く峰田。
緑谷「1人で、何言ってんの?峰田くん」
峰田が壁に手をついて耳を澄ますと女子がキャッキャと騒いでいるのが聞こえた。
峰田「ほら~、いるんすよ。男女の入浴時間ズラさないなんて、事故。そう、これはもう事故なんすよ」
上鳴「お前、まさか.../////」
飯田「峰田くん!やめたまえ!君のしていることは、己も女性陣も貶める恥ずべき行為だ!」
峰田「やかましいんすよ。壁とは...」
悟りを開いたような表情で飯田からの制止とあしらっていたと思ったらもぎもぎを貼り付けて壁を登っていく峰田。
峰田「超えるためにある!!プルスウルトラ!」
そして、壁を登りきろうとしたその時洸太が顔を覗かせた。
洸太「ヒーロー以前に、人のあれこれから学び直せ」
そう言って峰田をたたき落とした洸太。
峰田「クソガキー!!」
そして壁の下から峰田を止めようと声をはりあげていた飯田の顔面に峰田のお尻が落ちてきた。
蛙吹「やっぱり峰田ちゃん、最低ね」
芦戸「ありがと洸太くーん!」
洸太が、声をかけられて後ろを振り向くと裸の女性がたくさんいて鼻血を吹き出すと後ろに倒れて男子風呂の方に落下してしまった。
『洸太!』
粘着糸を出し捕まえようとしたがあと一歩届かず男子風呂の方に落ちていった洸太。緑谷の「危ない!」という声が聞こえた為、粘着糸を番台のある通路まで伸ばし貼り付け一気に縮めた。そしてその通路から男子風呂の方に顔だけを覗かせた。
『緑谷ー!洸太大丈夫?!』
緑谷「大丈夫!って、風舞さん!い、いくら顔だけだからって..そんな、堂々と!////」
轟「.........」
『あー、ごめんごめん!峰田吊るそうと思ってさ。けど、やっぱ楽しみは後に取っとく!覚えとけよー、峰田』
笑みを浮かべ親指を下向きにした莉紗に峰田と多少の下心を覗かせた男子達の背筋が凍った。
「「「(俺知ーらね...)」」」
峰田「俺の人生、終わった....」
案の定、お風呂上がりにこってりと莉紗を筆頭とする女子に絞められた峰田はぐったりとしていた。
**
そして消灯時間。A組女子部屋では..
芦・葉「「恋バナターイム!」」
『隙ありゃ始めるね』
葉隠「だって、気になるんだもーん!莉紗ちゃんと轟くんの関係!」
『また?前も言ったじゃん』
芦戸「その時は何もなくても...後日恋心に気づくかもしれないじゃん?!」
『あのねー..(これ、この先も聞かれ続けるのか...?)』
耳郎「まあ、でも確かに莉紗と轟ってたまにそういう雰囲気出てるよね」
『そういう雰囲気って?』
葉隠「うんうん!恋人同士みたいな空気の時あるよ!」
『えー?気のせいじゃない?』
麗日「ホントに何もないん?」
『うん』
芦戸「でもただの幼なじみじゃないっしょ?」
『...?というと?』
葉隠「体育祭の時なんかさ!クールな莉紗ちゃんが必死で轟くんの為に声張り上げてたもんね!特別な人であることには間違いないはず!」
『特別....。んー、まあそれはそうだけど』
芦・葉「「来たコレ!!」」
『でも恋愛感情とかではないし...』
蛙吹「轟ちゃんも、莉紗ちゃんにはとても柔らかい表情して接してるわ」
八百万「期末の演習でご一緒した時、私思いましたの。お2人はとても信頼しあっていて、絆を感じました。素敵ですわ」
『んー.....』
耳郎「(莉紗、本気で悩んでる。マジで自覚ないんだなぁ。絶対本人たちが気持ちに気づいてないだけだと思うんだけど)」
『そういう皆はどうなの?恋事情』
芦戸「麗日ー!」
麗日「えぇっ?!うち?」
葉隠「好きな人いる?」
麗日「いないいないいない!/////
そういう2人はいるん?」
芦・葉「「いなーい!」」
『いないんかい』
結局恋バナの話しは好きな男性のタイプに話題が変わり最終的に好きな芸能人の話しになり盛り上がってみんなが寝たのは日付が変わる頃だった。
『ふぅ...』
皆にあれやこれやと聞かれて考えてるうちに目が冴えてしまった莉紗。何故か自分ばかりが話させられていた為喉が渇き自動販売機に飲み物を買いに来た。
『よぉ~いお茶がない...仕方ない、土座衛門でいいか』
「莉紗?」
自販機からお茶を取り出していると名前を呼ばれ、視線を横にズラすと紅白頭の幼馴染が立っていた。
『焦凍くん、こんな時間まで起きてるの珍しいね?』
轟「ああ、寝付けなくてな」
『そっか、はい』
今しがた買ったばかりのお茶を轟に渡した莉紗。
轟「悪い」
『ううん、枕変わったから寝れないんでしょ?』
再び自販機にお金を入れて同じお茶を買った莉紗。
轟「だな」
『うちに初めて泊まった時は寝れてた気がするけどなぁ』
体育祭後に莉紗の部屋で妹や弟達と並んで寝た日の事を思い出しながらお茶を口に含んだ莉紗。
轟「ああ、あれは多分お前がいたからだろ」
『..え?』
轟「やっぱお前が一緒の空間にいると落ち着く気はする」
『そっか。小さいころはいっつも一緒に寝てたしね』
轟「ああ、そうだな」
『まあ、その気持ちは私も少しわかるなー。私も何だかんだ焦凍くんといる時が一番落ち着くし』
轟「そうか」
他意はないお互いの言葉。しかし、同じ気持ちでいた事にお互い気恥ずかしくも嬉しく思い微笑みあった。
『さ、明日起きれなくなるから早く寝なきゃ』
轟「ああ、そうだな」
『じゃあおやすみ、焦凍くん』
轟「ああ、おやすみ」
明日から本格的に始まる強化訓練を想像し、必ず強くなるという思いと覚悟を胸にお互い部屋へと戻っていった。
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