Season2
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轟side
芦戸「みんな...ヒック、合宿のみやげ話..楽しみにしてるぅ..から..グスッ」
緑谷「ま、まだ分かんないよ?!どんでん返しがあるかもしれないよ?;」
瀬呂「よせ、緑谷。それ口にしたらなくなるパターンだ....」
上鳴「試験で赤点とったら林間合宿行けずに補習地獄....そして俺たちは実技クリアならず。
これでまだ分からんのなら貴様の偏差値は猿以下だー!!」
演習でクリアできなかった上鳴と芦戸が泣き喚いている。緑谷は励まそうとしてんのかわからねぇが、緑谷の言葉に上鳴は発狂のあまり緑谷に目潰しをしていた。
瀬呂「落ち着け、嘆くな!分かんねぇのは俺もさ。
峰田のおかげでクリアしたけど寝てただけだ。とにかく採点基準が明かされてない以上は「同情するなら何でも色々くれー!」
瀬呂が言い終わる前に上鳴が嘆いた。
『まあ希望持つだけならタダだしさ』
上鳴「風舞ー!お前、何で演習優等生なんだよー!」
そう言って莉紗の肩を掴み揺さぶる上鳴。
『は?』
上鳴「お前も赤点仲間になろうぜぇー!!泣」
莉紗に泣きながら抱き着く上鳴。
『あのねぇ...;』
轟「.......」
莉紗に抱き着く上鳴と、それを拒否しない莉紗。何故だかわからないがそれを見て妙にイラついた。
切島「ん?..おい!轟!」
ボーッとしていたようでふと、切島に名前を呼ばれたのに気づき我に返った。
轟「何だよ」
切島「何教室で火ぃ出してんだ!あぶねぇって!」
轟の左手に灯る炎見て切島が叫んだ。
轟「....あ」
峰田「あ、じゃねぇよ!!お前教室で個性の練習してんじゃねぇよ!!」
瀬呂「お前の個性何かあったらシャレになんねぇから!」
『......?』
ガラガラっ
相澤「予鈴が鳴ったら席に着け」
シーン...
だが既に全員着席済み。
相澤「おはよう。今回の期末テストだが、残念ながら赤点が出た。したがって林間合宿は....
全員いきます」
満面の笑みで言う相澤。
切・芦・砂・上「「「「どんでん返しキター!!」」」」
切島「行っていいんすか?!」
芦戸「ホントに?!」
相澤「ああ、筆記の方は0。
実技は切島、上鳴、芦戸、砂藤..あと瀬呂が赤点だ」
瀬呂「えっ?!やっぱり.....確かに合格したらクリアとは言ってなかったもんなぁ....」
相澤「今回の試験。我々ヴィラン側は生徒に勝ち筋を残しつつどう課題と向き合うかを見るよう動いた。でなければ、課題うんぬんの前に詰むやつばかりだったろうからな」
尾白「本気で叩き潰すと仰っていたのは?」
相澤「追い込むためさ。そもそも、林間合宿は強化合宿。赤点取ったやつこそ、ここで力をつけなきゃならん。合理的虚偽ってやつさ」
「「「「(合理的虚偽ー!!!)」」」」
飯田「またしても、やられた....さすが雄英だ...!しかし、2度も虚偽を重ねられると!信頼に揺らぎが生じると!!」
相澤「確かにな、省みるよ。ただ、全部ウソってわけじゃない。
赤点は赤点だ。お前らには別途補習時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残っての補習よりきついからな」
「「「ズドーン.....」」」
**
放課後になり帰る準備をして轟の机に向かった莉紗。
『さっきどうしたの?』
轟「さっき?」
『何か火出してたでしょ』
轟「あー..よくわかんねぇ」
『? 珍しいね?そういうの』
轟「そうか?」
『うん、まあ何でもないならいいんだけど。帰ったら荷物まとめないとね』
轟「ああ。明日お母さんのところに行くけど、お前も行くか?」
『いいの?』
轟「この前一人で行った時、お母さんがお前は今日はいないのかって言ってきた」
『そっか、じゃあ行く』
尾白「まあ何はともはあれ、全員で行けてよかった」
飯田「1週間の強化合宿か」
緑谷「結構な大荷物になるね」
上鳴「俺、水着とか持ってねぇや。色々と買わないとな」
葉隠「あ、じゃあさ!明日休みだし、テスト明けだしってことでA組みんなで買い物行こうよ!」
上鳴「うぉー!良い!何気にそういうの初じゃね?」
皆で買い物に行く話しでクラスが盛り上がってるのを轟の支度を待ちながら聞いていた莉紗。
切島「爆豪、お前も来い!」
爆豪「行ってたまるか、かったりぃ」
緑谷「轟くん、風舞さんも行かない?」
轟「休日は見舞いだ」
『私も、ごめんよ』
峰田「ノリが悪りぃよ!空気読めよKY共!」
芦戸「あ!クラス全員でLINEグループ作ろうよ!」
切島「お、いいな!」
葉隠「ナイス名案♪」
切島「おい、爆豪「やってたまるか、クソモブ共」
瀬呂「揺らぎねぇな、あいつ」
芦戸「風舞、轟!明日行かなくても今後のためにグループ入ろう!」
轟「グループ?」
『いいよ、誰か私に招待送っといて。轟くんに招待送っとく。グループ入ったら全員に申請送るね』
※女子は既に全員登録済かつ女子グループがある。
芦戸「ラジャー!」
**
『あ』
帰路を轟と歩いているとスマホが鳴った為、画面を開くと"チーム1A"と言う名前のグループLINEから招待が来ていた莉紗。
轟「さっき言ってたグループってやつか?」
『うん、今招待送るね』
莉紗はグループに参加すると、轟にグループへの招待を送った。今度は轟のスマホが鳴り画面を開いた。
轟「これを押せばいいのか?」
『そうそう』
横目でちらりと轟のスマホ画面を見て返答すると、自分のスマホへ視線を戻しグループのメンバー一覧から男子達の名前を選択し友達登録申請を送り始めた。
轟「色々あんだな」
『そうだね、いい加減覚えたら?』
こういう物に轟は疎く、雄英入学したばかりの頃には冬美と莉紗の携帯と自宅の電話番号しか入っていずかろうじて電話帳に電話番号を登録するやり方だけは分かっているようだが、その他の機能については自宅でこつこつ莉紗から指導を受けて覚えてる最中。
そもそもLINEも中学の時にはアプリすら入っていなかった為莉紗が無理やりインストールしユーザー登録までして莉紗と冬美を友達登録してくれたのだ。今のやり取りはLINEメインにはなったが登録などのオプションの使い方はまだ覚えていなかった。というより、使い方は教えたが友達登録の実践の機会がなかった為活用出来なかった。
轟「使う機会なかったからな」
『どこの誰さ、授業聞いてりゃ赤点はないっつったの。使う機会なくても1回聞いたら覚えれるでしょ?』
轟「....なるほどな」
『いや、感心してほしいわけじゃない』
再び莉紗がスマホの画面に視線をやると...
"チーム1A"は既に盛り上がっていた。
そこに莉紗もメッセージを送った。
【男子、申請送ったから承認よろしくー。あと、みんな轟くんに申請送ってあげて】
と呟くと、すぐさま【了解!】や【おう!】など、様々な返事が返ってくる。
轟「なんか.....悪くねぇな、こういうの」
そういう轟の表情はあまり変わらないが、どこか嬉しそうに見えた莉紗。
『うん、なんかいいよね』
**
翌日2人は、冷のお見舞いに行く為ケーキを買いにケーキ屋にやってきた。
轟「莉紗、どれがいい?」
ショーケースを眺めている莉紗に轟が問いかけた。
『私の好みで決めてもダメでしょ』
轟「お前、お母さんの好み知ってるか?」
『いや、わからん』
轟「ならお前の好みで選んでも同じだろ」
『んー、そっか。じゃあ...モンブランと、ショートケーキかな。焦凍くんはチーズケーキ?』
轟「? 何で分かった?」
『焦凍くんが洋菓子ってチーズケーキしか食べてる記憶ないもん』
轟「そうだったか?」
2人で選んだケーキを持って病院にやってきた2人。轟の外見が印象に残りやすいのか轟冷の末子が来た印象が強いのかナースステーションで面会簿に記名をしようとした時看護師から「あら、轟さんの息子さん」と声をかけられた。
轟「どうも」
「今日は娘さんもご一緒ね」
『(あ、私娘だと思われてるのか)』
轟「はい」
『(はい、って...苦笑)』
記名を終えた2人は病棟の中に入り冷の病室に向かった。
中に入ると、冷は以前あった時よりも穏やかな表情で2人を迎え入れその顔色は幾分血色が良いように見えた莉紗。持ってきたケーキを別に買ってきた紙皿に乗せて冷の前に並べた莉紗。
『冷さん、どれがいい?』
冷「あら、選んでいいの?」
『うん、もちろん』
冷「じゃあ...ショートケーキにしようかな?」
『ん』
迷う事なくショートケーキの皿を手にした冷。
『冷さん、ショートケーキが1番好き?』
冷「私はケーキなら何でも好きなの」
『そっか。すぐ決めたから好きなのかと思った』
冷「ん?焦凍はチーズケーキで莉紗ちゃんはモンブラン選ぶかなと思ってね。2人とも子供の時はケーキと言ったらそればっかだったから」
そう言ってくすくすと穏やかに笑った冷。幼少期の自分達の好みを覚えていてくれた事に心が暖かくなった2人は照れ臭そうに笑みを浮かべた。
『あ、そう言えば私スタッフから娘だと思われてるの?』
先程ナースステーションで言われた言葉に沸いた疑問を思い出したように口にした莉紗。
轟「ああ、そういやこの前1人で来た時も今日は妹は一緒じゃないのかって聞かれて妹って誰だ、と思ってた」
『えー...妹...』
少し不服そうな莉紗が唇を尖らせた。
冷「そうなんだ、ごめんね。勘違いされちゃって」
『ううん、私は全然大丈夫だよ。私にとっては冷さんはお母さんも同然だし』
冷「莉紗ちゃん...」
莉紗のその言葉に冷が切ない表情を浮かべた。
それは、親に放っておかれていた彼女の幼少期を思ってなのか。
それとも、辛い思いをさせてきた彼女が自分を親のように慕っている事に対してなのか。そんな冷の表情に気づいた莉紗。
『あ、そうだ!あのね、冷さん。私達来週から1週間林間合宿なんだ』
冷「まあ、合宿?」
轟「ああ、だから来週は来れねぇかも」
冷「いいのよ、気にしなくて。合宿大変そうだけど、頑張ってね」
『うん、ありがと』
冷「そういえば莉紗ちゃん?」
何かを思い出したように莉紗の名を呼んだ冷に、莉紗もフォークを咥えたまま冷を見た。
『ん?』
冷「先週、焦凍1人で来たでしょ?」
『うん?』
冷「焦凍ったらね、莉紗ちゃんが居ないのをいいことに莉紗ちゃんの話しばっかりするのよ?」
クスクスと笑いながら言う冷に轟がお母さん、と横槍を入れようとするが冷は気に止めず話し続けた。
『私の話?何の話しするの?』
冷「えーっとね、冬美がいない時は身の回りのことを莉紗ちゃんにやってもらってる事とか。莉紗ちゃんの作るご飯が美味しいとか....兄弟の面倒見てる莉紗ちゃん見てたらいいお母さんになりそうとか....」
『へぇ...』
パシっ
轟「お母さん...もういいだろ」
轟が自分のいない所で自分の事をそんな風に言っていたのか、と意外そうな相槌を打つと轟が珍しく動揺した様子で莉紗の後ろから彼女の両耳を塞いだ。
『ねぇ、痛いんだけど...』
轟「..悪りぃ」
冷「クスクス、2人は本当に仲良しね。昔を思い出すわ」
『え..?』
轟「お母さん...」
2人は冷の言葉に内心驚いた。
冷が昔の話を笑ってしたからだ。
冷は追い詰められ我が子を傷つけてしまうほどに心を病んでしまった。そんな昔を思い出すのは、直接的な辛い思い出じゃないにせよ辛いハズなのに今笑って過去の話しをしようとしている。そんな冷に2人は、この人も確実に前に進んでいるという希望を感じどちらともなく笑顔が浮かんだ。
その後もしばらく3人で話し込んでいると...。
<お食事の時間です。配膳が必要な方はそのままお部屋でお待ちください>
昼食のアナウンス放送が流れた。
『あ、ご飯の時間..冷さん、私とってくるね』
冷「ありがとう、莉紗ちゃん」
冷のマグカップを手にして病室を出ていった莉紗。
冷「本当にあの子は気が利く子だわ」
轟「おせっかい焼きなんだ、あいつ」
冷「いいお嫁さんになりそう」
轟「意外と家庭的だからな」
冷「ふふ、強くて優しくて家庭的だなんて。莉紗ちゃん学校で人気あるんじゃない?」
轟「さあ..確かに体育祭の後からやたら声はかけられてるみてぇだが」
冷「莉紗ちゃん他の人に取られたら焦凍も淋しいわね?」
轟「? 何でだ?」
冷「んー、そのうち分かるんじゃないかしら?」
轟「?」
2人がそんなやり取りをしていると莉紗が昼食の乗ったお盆にデイルームの給茶機でお茶を入れたマグカップを乗せて戻ってきた。
『冷さん、お昼は三色丼だって』
冷「ありがとう、莉紗ちゃん」
轟「三色丼....」
テーブルに置かれたひき肉とほうれん草と玉子が盛り付けられた色合いの良いグラデーションをじっと眺めた轟。
冷「どうしたの?焦凍」
轟「莉紗」
『ん?』
轟「俺も今日これ食いてぇ」
『何で私に言うの?』
轟「今日姉さん会議」
『あー、今日飯にありつけない子なのね』
轟「何だそれ」
『じゃあ私も今日育児の日だからご飯うちでいい?』
轟「ん」
『じゃあ帰り買い物して帰らなきゃ』
目の前で繰り広げられるまるで恋人同士のような会話に冷は微笑んだ。
轟「じゃあお母さん。また来る」
『じゃあね、冷さん!』
冷「うん、ありがとう2人とも。合宿頑張ってね」
**
『そういえばずっとバイブってたなー』
病院を出て思い出したようにそう呟いてスマホを見た莉紗。
『うわ、さすがグループLINE...』
1AのグループLINEの通知が47件溜っていたのを見て苦笑いを浮かべた。
轟「スゲェな」
『恐ろしいわ..』
しかしLINEを開き一番古いメッセージを見るとそれは想像していた会話とは全く違った。
『緑谷が...死柄木弔と接触した?!』
轟「どういう事だ...」
どうやら爆豪、轟、莉紗以外のA組メンバーで行ったショッピングモールでそれぞれ行動していた最中緑谷が死柄木弔と接触したようでそれを遠くから見つけた麗日がグループLINEでみんなに知らせ集合をかけクラスの誰かが警察に通報したようだ。どうやら、緑谷も他のクラスメイトも無事だったようでその結果を知り二人は安堵した。
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そして、日は流れ1学期終業式..
入学式からの体力テスト、戦闘訓練、ヴィラン連合の襲撃、体育祭、職場体験、保須事件..そして期末テスト。
あまりに濃密だった雄英高校の前期課程が終わり、夏休みが始まる。
だからといって、浮かれてる場合じゃない。
備えなければならない。
迫り来る悪意に....
ホンモノのヒーローになるために。
自分達に立ち止まる時間は...許されてなどいない。
Dr「いやに嬉しそうじゃないか、先生。ヴィラン連合が着実に仲間を増やしているからかね?」
AFO「違うよ、ドクター。死柄木弔が信念を抱いたことにさ。その信念に賛同する者達こそがヴィラン連合には必要なのだ。全ては彼に決めさせる。助けを呼ぶなら当然助ける。そうなった時の準備はしている。彼が次の....僕となるための」
悪意もまた確実に、何かを備えようとしていた。
→NEXT Season