Season2
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緑谷の拳がステインの頬に、飯田の足がステインの体に入った。
ステインの動きが止まった隙に体に粘着糸を先程よりも太くして巻き付けた莉紗。
轟「奴の動きを止めた、チャンスだ」
炎をまとわせた轟。
ステインが緑谷に殴られた時に手から離してしまった刀を空中で口でキャッチし頭を大きく動かし飯田に向かって振り下ろした。その切っ先をかろうじて避けた飯田。
飯田「お前を倒そう!今度は犯罪者として!」
ステインの腕から足まで粘着糸を巻き付け付け終わった莉紗。
『全身捕獲!』
轟「畳かけろ!」
轟が炎をステインに向かって放った。
そして飯田が追撃の如くステインの頭頂部に向かって踵を振り下ろした。
完全に動きが止まったステイン。そこに轟の炎がステインを包んだ。熱に弱い莉紗の粘着糸は粘着性が落ちただの糸と化した。落下の際には重力で解けていき、ステインの体は自由になってしまった。
緑谷と飯田が受身を取れずにいたところを莉紗が風で包み着地の衝撃を和らげた。
轟「立て!まだ奴は...!」
再び技を出そうと構える轟だが、氷結の上でぐったりとして動かないステイン。
緑谷「さすがに、気絶してる..っぽい」
轟「ハァ...じゃあ拘束して通りに出よう。風舞、拘束し直してくれ」
『うん』
緑谷「念の為武器を全部外しておこう」
轟「そうだな」
武器を全て外し、莉紗が粘着糸でステインを拘束した。
緑谷「ネイティブさん、動けますか?」
ネイティブ「ああ、大丈夫だ!」
ネイティブは緑谷を背負った。
緑谷「あ、あの..!」
ネイティブ「足、怪我してるんだろ?これくらいはさせてくれ」
緑谷「あ、ありがとうございます..」
飯田「轟君!やはり、俺が引く!」
轟「お前腕グチャグチャだろ」
『轟君も腕やられてたでしょ。私引くよ』
轟「大丈夫だ」
ネイティブ「悪かった..プロの俺が、完全に足でまといだった」
緑谷「1対1でヒーロー殺しの個性だと、もう仕方ないと思います。強すぎる」
轟「4対1の上にこいつ自身のミスがあってギリギリ勝てた。多分焦って緑谷の復活時間が頭から抜けてたんじゃねぇか?ラスト飯田のレシプロはともかく、緑谷の動きに対応がなかった」
『ホント....何とかなって良かったよ』
飯田「........」
ネイティブ「さて、早くそいつを警察に」
「な、何故お前がここに!」
5人での会話を遮るように突然老人の声が聞こえた為声の方に視線をやると反対側の歩道に黄色いコスチュームの小さいお爺さんがいた。
緑谷「あ、グラントリノ!」
「新幹線で座ってろって言ったろ!」
緑谷の顔面に思いっきり足型を付けたグラントリノ。
『どこのお爺さん?』
轟「誰?」
緑谷「ぼ、僕の職場体験の担当ヒーローグラントリノ。でも何で?」
グラントリノ「いきなりここに行けと言われてな。まあよう分からんが、とりあえず無事なら良かった」
緑谷「グラントリノ、ごめんなさい...」
立て続けに聞こえてきた様々な声。
「この辺りだ!」
「エンデヴァーさんから応援要請を承ったんだ、が...」
プロヒーローが続々と集まってきた。
「子供...?酷いケガじゃないか。今すぐ救急車を呼ぶから!」
「お、おい...こいつ...」
拘束され、気を失ってるステインを見てプロヒーロー達が目を見開いた。
「まさか...ヒーロー殺し?!」
「なに?!」
「すぐ警察にも連絡だ!!」
**
「歩けるか?」
緑谷「支えて頂ければ、なんとか...」
「君達は?」
轟「俺は軽傷です。でも飯田が...」
『轟くん、それ軽傷とは言わない。この人も後ろの飯田も腕をやられてます。私はかすり傷くらい..』
轟の右腕と後方にいる飯田を指差しプロに伝えた莉紗。
飯田「3人とも..」
飯田が後ろから3人に声をかけた。
3人が、飯田を見ると飯田は3人に向かって頭を下げていた。
飯田「僕のせいで、傷を負わせた!本当にっ..すまなかった!
怒りで、何も...見えなく、なってしまっていた...」
涙を溢れさせながら必死に言葉を紡いだ飯田。
緑谷「...僕もごめんね。君があそこまで思い詰めてたのに..全然見えてなかったんだ。友達なのに...」
全ては自分の責任で緑谷が謝罪をする理由などあるはずもないのにも関わらず、逆に緑谷に謝罪された事が飯田の心には堪え、必死に溜め込んでいた涙を流した。
飯田「...っ、クッ...」
轟「しっかりしてくれよ、委員長だろ」
『インゲニウムはそんなしけたツラしないでしょー?』
いつもと変わらない口振りで言葉をかける2人の気遣いに飯田は涙を拭き、キリリと眉を上げた。
飯田「...っ、うん」
ヒーロー殺しとの戦いは、時間で言えばほんの10分ほどだった。
だけど、4人にとってはものすごく長い戦いのように感じていた。
グラントリノ「!? 伏せろ!」
「「『?!』」」
グラントリノの叫びに皆が辺りを見回すとどこから飛んできたのか突然飛行する脳無が視界に入った。
緑谷「『!?』」
何故脳無が..と考える猶予もないままに緑谷と莉紗が脳無に捕まった。
『え...?』
緑谷「ちょ!」
轟「莉紗!緑谷!」
飯田「緑谷くん、風舞くん!」
脳無の足で拘束されている2人。
『クッ...(粘着糸で羽を固定して緑谷を風で包んで...)』
頭の中で現状をどうするか決め、粘着糸を出そうとしたその時突然脳無の動きが止まり地面に向かって落下していった。
莉紗は街頭に粘着糸を巻き付けぶら下がり緑谷を風で受け止めようとしたが、既に緑谷は視界からいなくなり自分も粘着糸をまだ出していないにも関わらず何故か浮遊感を感じた為周囲を見回した。
「「『!!』」」
自分のお腹に何かが巻きついてる感じがあり、背後を見ると気を失っていたはずのステインが何故だか緑谷を足で踏み、莉紗の腹に腕を回し抱き、反対側の手で脳無の頭に刀を突き刺していた。
ステイン「粛清対象だ」
緑谷は恐る恐る後ろを振り返ると、ステインが確かにそこに立っていた。
ステイン「全ては、正しき社会の為に...」
「何故ひとかたまりで突っ立っている!」
突然の状況に皆が困惑している中、聞こえた猛々しい声。声の主に目をやると、そこにはエンデヴァーがいた。
エンデヴァー「こっちにヴィランが逃げてきたはずだ」
「あちらは、もう?!」
エンデヴァー「多少手荒になってしまったがな。して...あの男はまさかの」
緑谷と莉紗を抑えているステインを見て言うエンデヴァー。
ステイン「エンデヴァー....」
エンデヴァー「ヒーロー殺し!」
ステインを見た瞬間に、獲物を見つけたハンターのようにニヤリと笑い腕に炎をまとわせたエンデヴァー。
グラントリノ「!? 待て!轟!」
ステインは緑谷の上から足を下ろし、掴んでいた莉紗を離すとゆっくり立ち上がった。
ステイン「偽物は、正さねば」
「「「!?」」」
ステインの殺気に気圧され、子供の4人はおろかそこにいるエンデヴァーを含むプロヒーロー達までもが足が竦んで動けなくなった。
ステイン「誰かが、血に染まらねば!
ヒーローを正さねば!
来い、来てみろ偽物!俺を殺していいのは、本物のヒーロー...オールマイトだけだぁ!!」
その気迫に腰を抜かすプロヒーローもいた。息をすることすら忘れてしまう気迫、命を握られている感覚、逃げられない絶望感...誰もが動けずにいたその時
カタンっ
ステインの腰元から落ちたナイフの音が響いたと共に先程までの殺気が消え、皆が呼吸を取り戻した。
そして、ステインは立ったまま微動だにしなくなった。
「気を...気を失っている?」
飯田と轟も思わず腰を抜かせその場に座り込んだ。
ステインを後ろから見ていた緑谷と莉紗も唖然とし動けずにいた。
轟「....っ、おい!莉紗!」
『しょ...しょう、とくん』
未だに唖然としている莉紗に轟が自分を奮い立たせ立ち上がり駆け寄った。
轟「緑谷もお前も..大丈夫だったか?」
緑谷「うん...大丈夫」
『私も....』
飯田「2人とも、無事でよかった」
後から聞いた話では、この時ヒーロー殺しは折れた肋骨が肺に刺さっていたそうだ。誰も血を舐められてなんかいなかった。なのに、あの場であの一瞬....ヒーロー殺しだけが...
確かに相手に立ち向かっていた。
**
ヒーロー殺しとの戦いの後、4人は大事をとって保須総合病院に入院することとなった。本来男女別であり、莉紗だけは病室が別になるはずだったがヒーロー殺しや脳無による被害はそれなりに大きく急に病床が埋まってしまい、1番軽傷で唯一1日様子を見て退院出来そうだった為4人同じ病室となった。
その為、せめても..と看護師達の気遣いから三段の引き出しに、ついたてがついている本来有料の個室で使っている家具を2つ設置して目隠しを作ってくれた。
元々ベッド毎にカーテンがついてる為目隠しは十分できるため着替えも一々別の場所に移動しなくても良くなってありがたかった。
『(でも、喋る時わざわざこの家具を掻い潜って出てこなきゃいけないの不便だなぁ)
そして椅子がない...』
轟「ほら」
座って話そうとしたものの面会用椅子が見当たらなく思わずボヤいたが、ベッドから足を下ろして腰掛けていた轟が少し横にズレて自分の隣をポンポンと叩き座るように促した。
それ以降、莉紗は横になって休んだり寝る時以外は轟のベッドに腰掛けて過ごしていた。
ヒーロー殺しとの戦いから一夜明け。
轟「寝られたか?緑谷」
緑谷「うん、あんまり...」
轟「だろうな、俺もだ」
『.............』
4人とも命あっての賜物。互いの無事を喜ぶべき所だろうが、色々と思う所があり重い空気が漂う。
緑谷「冷静に考えると、スゴいことしちゃったね」
轟「そうだな」
緑谷「あんな最後見せられたら、生きてるのが奇跡だって思っちゃうね」
『思うじゃなくて、奇跡だよ。奴、殺そうと思えば殺せてたはず』
緑谷「そうだよね」
轟「ああ、俺らはあからさまに生かされた。あんだけ殺意向けられて、なお立ち向かったお前はすげーよ。
救けに来たつもりが、逆に救けられちまった。わりぃな」
轟は自分の腕を見たあと、飯田に向かって言った。
飯田「いや、違うさ。俺は...」
ガラガラ
グラントリノ「おお、起きてるな。けが人共」
話しを遮るように病室に入ってきたのは、緑谷の職場体験担当ヒーローのグラントリノと飯田の担当ヒーロー マニュアルだった。
緑谷「グラントリノ!」
飯田「マニュアルさん...」
グラントリノ「小僧、お前にはスゴいグチグチ言いたい。だが、その前に来客だぜ」
そう言って入口を見たグラントリノ。
皆が入ってくる人物に注目すると...
『....犬?』
グラントリノ「保須警察署署長の面構犬嗣さんだ」
緑谷「(つ、つらがまえ...署長?!)」
緑谷以外の3人が立ち上がったのを見て緑谷も立ち上がろうした。
面構「ああ、かけたままで結構だワン」
緑谷「(わ、ワン?!)」
『(リアル犬のお巡りさんだ...)』
面構「君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね」
轟「あ、はい
(署長がわざわざ...何だ?)」
『(良い予感はしない...)』
面構「逮捕したヒーロー殺しだが、火傷に骨折と中々重傷で、現在厳戒態勢のもと治療中だワン」
「「「『..........』」」」
面構「雄英生徒なら分かってるとは思うが、超常黎明期警察は統率と規格を重要視し、個性を武に用いないこととした。そして、ヒーローはその穴を埋める形で台頭してきた職業だワン。
個人の武力行使、容易に人を殺められる力、本来なら糾弾されて然るべきこれらが公に認められているのは先人達がモラルやルールをしっかり遵守してきたからなんだワン。資格未取得者が、保護管理者の指示なく個性で危害を加えたこと、例え相手がヒーロー殺しであろうともこれは立派な規則違反だワン」
轟「.....」
署長が何を言わんとしてるのか、段々と分かってきた4人。
そして、その中でも轟の表情が微かに歪んだのが隣にいた莉紗には確かに見えた。
面構「君たち4人及び、プロヒーローエンデヴァー、マニュアル、グラントリノ。この7名には厳正な処分が下されなければならない」
轟「...待ってくださいよ。飯田が動いてなきゃネイティブさんが殺されてた。緑谷が来なければ、2人は殺されてた。誰も、ヒーロー殺しの出現に気づいてなかったんですよ?!規則守って、見殺しにするべきだったって『ちょ、轟くん...』」
ヒートアップし、署長に詰め寄りそうな轟止めようと轟の左腕を掴んだ莉紗。
面構「結果オーライであれば、規則なんか有耶無耶で良いと..?」
轟「!...人を、助けるのがヒーローの仕事だろ!」
面構「..だから、君は卵なんだ。全く良い教育をしてるワンね。雄英も、エンデヴァーも」
轟「クッ..この犬!」
『ちょ、轟くん!落ち着いて!』
いよいよ頭に血が登り署長に詰め寄ろうと前に出てった轟の前に出て両手で轟の体を押し返し莉紗が本気で止めに入った。
飯田「やめたまえ!尤もな話だ」
グラントリノ「まあ、待て。話しは最後まで聞け」
轟「........」
面構「以上が、警察としての公式決定だ。んで、処分うんぬんはあくまで公表すればの話しだワン」
『え?』
面構「公表すれば、世論は君らを褒めたたえるだろうが処罰は免れない。一方でここで汚い話...公表しない場合、ヒーロー殺しの火傷の痕からエンデヴァーを功労者として擁立してしまえるワン。幸い、目撃者は極めて限られている。この違反はここで握りつぶせるんだワン。
だが、君たちの詠嘆と功績も誰にも知られることはない。どっちがいい?1人の人間としては、前途ある若者の偉大なる過ちにケチを付けたくないんだワン」
親指を立てお茶目に言った面構署長。
マニュアル「まあどのみち監督不行届で俺は責任取らないとだしな」
飯田「....申し訳、ございませんでした」
マニュアルの元に行き、頭を下げた飯田。マニュアルは責める様子もなく笑って飯田の頭に軽くチョップを入れると、分かったら二度とするなよと一言だけ告げた。
『ご迷惑おかけしました』
緑谷「すみませんでした」
轟「よろしく、お願いします」
面構「大人のズルで、君たちが受けていたであろう賞賛の声はなくなってしまうが、せめて..共に平和を守る人間として、ありがとう」
そう言って、署長は4人に頭を下げた。
轟「...最初から言ってくださいよ」
バツが悪そうに視線を逸らしながら言った轟。
緑谷「轟くん...」
『...クスッ 賞賛の為にやったわけじゃないです。ただ、助けたい一心で...だから、守ってくれてありがとうございます』
逆に署長に頭を下げた莉紗。
そんな彼女に並び、他の3人もありがとうございましたと頭を下げた。
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