Season2
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莉紗は慌ただしく帰宅の準備をして、バタバタと教室を出て玄関までやってくると急いで靴を履き替えた。
『(何も今日泊まりにならなくたって...)』
轟「り...風舞」
後ろから名前を呼ばれ振り返ると轟が立っていた。
『あ、おつかれさま』
轟「慌ててるな」
『ちょっとね。何かあった?』
轟「話しあるって言っただろ、帰りながら話そうと思って」
『あー...』
返答を渋ると、轟も靴を履き替えながら莉紗を見た。
轟「都合悪いか?」
『都合が悪いというか、親が2人共急に今日泊まりになっちゃって。今から急いで弟を保育園に迎えに行かなきゃいけないし今日は私が全部やらなきゃいけないし..
あ、じゃあうち来る?妹たち寝た後ならゆっくり聞けるから』
轟「ああ、お前が良いならそうする」
『じゃあごめん、悪いけどお迎え付き合って』
轟「ああ」
『でも冬ちゃんご馳走用意して待ってるんじゃない?』
轟「ああ、いや今日遅番だから寿司の出前にするって朝行ってたから連絡入れとけば大丈夫だ」
『そっか』
**
電車で2駅隣の駅で降りて徒歩10分の距離にある莉紗の弟が通う保育園にやってきた2人。
『うちの妹達に会うの初めてだよね?』
轟「そうだな」
『ちょっと待っててね』
保育園の中に入っていった莉紗。
轟が待つこと数分。
『お待たせ』
弟と一緒に轟の元に戻ってきた莉紗。
『寛ちゃん、この人焦凍くんって言うの。お姉ちゃんのお友達。ご挨拶は?』
寛太「..........睨」
莉紗の後ろに隠れギュッとしがみつきながら顔半分だけ出すと険しい表情で轟を見る寛太。
『......;
結構人見知りなんだよねぇ』
姉の後ろに隠れて鋭い目をしている寛太くん。
『3歳の弟の寛太(カンタ)だよ』
轟「轟焦凍だ、よろしくな」
寛太「...........」
『....苦笑
よし、買い物行こう』
**
寛太と共に再び電車に乗った私達。
まだ帰宅ラッシュの時間には少し早い為満員ではないものの座席はほぼ埋まっている為出口付近で立って寛太と手を繋いでいる私と寛太の隣に立つ焦凍くん。
寛太「ねね、おんもみたい」
訳:ねね(お姉ちゃん)、表見たい
『えー、今日腕痛いから勘弁してよ』
3歳にもなると車や電車が好きで、いつも一緒に乗ると外の景色を見たいと言ってくる。
座席に座ってるときには立膝になって座席の後ろの窓から見れるが立っている時には窓自体が少し高い位置になってしまうのでいつも抱っこをしてあげて見せていた。しかし、私の風の個性は使いすぎると発生元である腕のあちこちの筋線維がぶっちぶちになってしばらく痛みに悶えてしまう。今日は個性使いまくったうえに大技も連発したから今も結構腕にキテいる。そんな中黙って抱かれているはずのない3歳児を抱く気にならずにやり過ごそうとした。
轟「ほら」
寛太「!」
焦凍くんがひょいッと寛太を抱き上げると寛太は私に抱いてもらうよりも高い位置に目線が来ることを知ったのかその目が輝いた。ドアのガラスは結構高い位置にあり大きさもそれほど大きくないため160cmない私に抱いてもらっても窓の下辺から少し覗きこむ程度しか見えなかったのに私よりも20cm背の高い焦凍くんが抱くと全貌が見れることに大興奮。
寛太「たかーい!!」
『寛ちゃん、焦凍くんも疲れてるから少しにして』
寛太「やーだぁあ」
轟「俺は大丈夫だ。お前は腕に来てるんだろ」
『うん、ごめんね。焦凍くん、ご飯食べてくでしょ?何食べたい?』
轟「蕎麦」
『言うと思った。でも、昼も食べたでしょ』
轟「...まあ」
『さすがに違うものにしよ?』
轟「唐揚げ」
『ごめん、今から仕込む時間ないし時間足りなくて味染みない』
轟「肉じゃが」
『うん、だから味がちゃんと染みない』
轟「茶碗蒸し」
『わかってて言ってない?!』
ちなみに余談だが、このやり取りは5分続いた。
轟「....親子丼」
『んー、よしオッケー』
ようやくOKが出た。
轟「中学ん時も何回か作ってもらったけど、お前の親子丼結構好きだった」
『いやいや、じゃあそれ最初から出してよ笑』
共通の最寄り駅に着き、電車を降りた私達。
切符を出すのに改札で寛太を下ろした焦凍くん。
その後は私と手をつないで歩いていたけど駅を出ると...
寛太「だっこー!」
『寛ちゃん、ちゃんと歩いて』
轟「ほら、こっちのが高いぞ」
駄々をこね始めた寛太を頭上に持ち上げ、肩車をした。
『焦凍くんも疲れてるんだから無理しなくていいよ?寛ちゃん今イヤイヤ期の反抗期でワガママ盛りだから全部聞いてたらキリないし』
轟「大丈夫だから気にすんな」
そう言って私の頭に手のひらを乗せた焦凍くん。
初めてじゃないのに、何だか気恥ずかしくなって視線を逸らした。
寛太「たかいたかーい!!」
**
スーパーで買い物を済ませ、莉紗の家に来た3人。
『ごめん、お風呂入れてくるからちょっと寛ちゃん見ててもらってもいい?』
轟「ああ」
急いでお風呂場に行き、浴槽を洗いお湯を張り始めリビングに戻ると衝撃の光景が目に入った。
『え...』
寛太「ちょーとくん、ほんよんで!」
訳:焦凍くん、本読んで
焦凍くんの足の間に座り、焦凍くんに寄りかかるいわゆるラッコ座りで本を読んでもらってる寛太。
『(あの人見知りがもうあんなべったりくっついてる?!もう懐いたの?!)』
いつもは遊んで攻撃をかわしながら食事の支度をしているのでまあ、作業が進まない。だけど、今日はスムーズに進む...!と、少し感激した私。焦凍くんに相手してもらってる間に食事を作り始めた。
**
お湯の入り具合を確認しに行き、洗濯機を回しリビングに戻ってきた私はプラレールで遊ぶ寛太に声をかけた。
『寛ちゃん、もうちょっとでお風呂入るよ』
寛太「しょーとくんとはいる」
訳:焦凍くんと入る
『いやいや、ダメだから(ちゃんと名前言えるようになってる)』
寛太「やぁあだ!!しょーとくんとはいる!」
轟「俺はいいけど」
『うちに焦凍くんの着替えないよ?蒼(ソウ)兄も家出てるから兄の服もないし』
轟「家取りに行ってくる」
『わざわざ...』
轟「お前食事の準備終わってねぇだろ」
『まあそうだけど...』
轟「寛太、散歩行くか?」
寛太「さんぽー!」
『な、なんか...がっつり子守りさせて..ごめんね?』
轟「気にすんな。俺の荷物もこっちに置いてっていいか?」
『あー、うん。それはいいよ。私もそっちに置かせてもらってるし』
轟「寛太、靴履けるか?」
寛太「はけるー!」
轟「じゃあ行ってくる」
寛太「ねね、いってまあーす」
訳:行ってきまーす
すっかり焦凍くんに懐いた寛太は手をつないで轟家に荷物を取りに行くという用事の散歩に出かけた。
『ま、まあ..焦凍くん家、徒歩5分の距離だし散歩にはちょうどいいけど。よし!!』
開放的な空間で食事の支度が出来ることに感動し、料理を再開した莉紗。
**
2人が散歩に出かけて15分後..
バタンっ
轟「悪りぃ、遅くなった」
ドアの音が聞こえて、玄関に向かうと焦凍くんと寛太が帰ってきていた。
『何かあった?』
轟「姉さん帰ってきてて捕まった」
『あー、なるほど』
轟「今度うちにも連れて遊びに来いって」
『あ、うん!わかった』
梨央「ただいまー」
そこに、妹の梨央も帰ってきた。
『あ、梨央おかえり』
梨央「ん?」
焦凍くんを見て不思議そうな表情をする梨央。
『あ、この子妹の梨央で小学校2年生。梨央、この人轟焦凍くん。前に話してたねねちゃんの幼馴染』
梨央「あーっ!こんばんは!妹の梨央です!」
轟「こんばんは、姉と違って礼儀正しいな」
『...おい?』
轟「風呂入んのはいいが、洗うのどうすんだ?」
『あ、中にシャンプーハットかかってるからそれ頭につけてあとはただ普通に洗うだけだよ。梨央、ごめん。焦凍くんに寛ちゃんのシャンプーとか教えてあげもらっていい?』
梨央「いいよー、お兄ちゃんこっちだよ」
轟「おう、寛太入るぞ」
寛太「ちゃっぽー!」
『タオル脱衣場のかごに2枚入ってるから、悪いけどよろしくね』
轟「おう」
いつもお風呂に入るのにも激しいバトルを繰り広げているのにも関わらず、焦凍くんの言葉に素直についていく寛太。
『あれ、あの子こんなに手のかからない子だったっけ?』
**
梨央「お姉ちゃん、何で寛ちゃん人見知りしてないの?」
お風呂場から戻って来た梨央が目を丸くして私に聞いてきた。
『いや、わかんない。最初会った時は普通に警戒してたはずなんだけど、電車の中で抱っこしてもらってからなんか心開いたのか気づいたら懐いてたの』
梨央「へぇ~」
お風呂場から楽しそうに騒いでる寛太の声が聞こえてきた。
『まあいいことだよね』
梨央「うん!」
『あ、母さんと父さん今日泊まりになったって。明日の夕方くらいに帰ってくるかもって言ってた』
梨央「は~い」
**
寛太「ねねー!!」
『おかえり、ご飯だからお姉ちゃんに髪拭いてもらって』
寛太「おねちゃーん」
梨央「おいでー」
梨央が寛太の髪をバサバサとタオルで拭いている近くで私は焦凍くんに声をかけた。
『ごめんね、ありがとう。助かったよ』
轟「ああ、大丈夫だ。いい経験した」
『ふふ、前向きだね』
その後、私も梨央とお風呂に入り4人で食事をとった。
梨央「お母さん達ともこんな風にご飯食べることないから楽しいね!」
『梨央...そうだね』
轟「............(莉紗....?)」
ご飯も終わり、イヤイヤ期の寛太の歯磨きも何とか終えPM21時...
すっかり焦凍くんが大好きになった寛太はもっと焦凍くんと遊ぶと駄々をこね、寝るときも「しょーとくんとねる!」と暴れふためき、見兼ねた焦凍くんも一緒に寝かしつけに入った。
私と焦凍くんの間に梨央と寛太を寝かせて、中々寝るモードに入らない寛太をなんとか寝かしつけること1時間。
**
『はぁ、やっと寝たぁ..』
轟「おつかれ」
『焦凍くんこそ、お疲れ様。なんかめちゃくちゃ手伝わせてごめんね。疲れたでしょ』
轟「いや。けど、危うく寝るとこだった」
『それね、寝かしつけあるあるなんだよ 笑』
轟「梨央はお前に似てしっかりしてんな」
『そう?』
轟「いや」
『ん?』
轟「お前よりしっかりしてるか」
『おい...
でも、本当にありがとね。もう、すっごく助かった!』
轟「役に立ったなら良かった」
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