Season2
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『(焦凍くん.....)』
会場は激しい戦いっぷりに今だ盛り上がっているが、緑谷と莉紗は複雑な想いで、裏へと運ばれていく爆豪と轟の様子を眺めていた。
全ての種目を終え、爆豪と轟が目を覚まし次第表彰式を始める事なった。クラスの友人達が立ち上がり、露店行こうや、トイレ行こうなどと思い思いに観客席から移動して行った。
耳郎「莉紗ー」
麗日「莉紗ちゃん!莉紗ちゃんも露店行こ?」
葉隠「パトロール中のプロヒーロー見れるかもよっ!」
女子達はみんなで出店を見に行くようだ。
『あ、私知り合いが見に来てるから会って来る』
麗日「そんなんやね!じゃああとで!」
芦戸「風舞、表彰者なんだから遅れるなよ〜?」
『分かってるよ』
女子達を見送って莉紗はバックヤードに向かった。
**
保健室
『失礼しまーす』
リカバリー「なんだい、あんたも怪我かい?」
『あ、いや。2人大丈夫かなって』
リカバリー「爆豪はミッドナイトの個性で眠ってるだけさね。今さっき少しだけ活性したからもうすぐ起きる。
轟は軽い脳震盪を起こしたみたいだけどね、問題なさそうだよ」
『良かった..』
リカバリー「あんたここにいるつもりかい?」
『2人が目が覚めないことには体育祭も終わらないし』
リカバリー「じゃあ私は職員室に行きたいから少し席を離れるよ。爆豪は起きたらそのまま返していいさね。轟が起きたり他の生徒が来たら職員室まで電話しとくれ」
『わかりました』
リカバリーガールがいなくなり1人小さなため息をつく。
2人が寝てるベットから少し離れた処置用ベンチに座りボーッとしていると布が擦れる音が聞こえた。
爆豪「ん...」
爆豪がもぞもぞと布団の中で動き、そのまま体を起こした。
爆豪「あれ、俺何で...あっ?!クソアマ..テメェなんでここに!」
そう言ってる最中爆豪は隣のベッドに寝てる人物の存在に気づいたようで怪訝な表情をした。
爆豪「ハッ!半分野郎の見舞いか!ガキじゃあるまいし」
『て、わけじゃ...あんた達目覚めないと体育祭締められないし』
爆豪「そうかよ、だったら首根っこ捕まえてでも起こせやクソが!!」
爆豪はベッドから乱暴に飛び降りると、寝起きから気分悪りぃとご立腹で出て行った。
『しばらく機嫌悪そうだなぁ、爆豪...』
爆豪がいなくなった保健室はシンと静まり返って私は焦凍くんの寝ているベッド横に置いてある丸椅子に座り焦凍くんの顔を見つめた。
『(爆豪との戦いの間ずっと迷ってて、それでいてどこか悲しげな表情をしてた....
焦凍くんにとって簡単に解決出来る問題じゃないし、簡単に答えなんて出るはずない。私に出来ることなんて今の私の頭じゃ思いつかない。けど..焦凍くんが私を必要とすれば私はいつだって力になる。私は....)
私は、いつだって焦凍くんの味方だよ』
そう小さく呟いて轟の右手を握った莉紗。
そして、今度は左手に粘着糸を巻いた。
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轟side
轟「ん...」
目が覚めたら保健室のベッドにいた。俺はどれくらい寝ていたのか皆目見当もつかない。体育祭はどうなった?
轟「........」
何故だか、うっすらと右手が暖かい気がする。
温かみの残る右手を眺めてるとドアが開く音がした。
リカバリー「あー、起きたのかい。ほれ、これ食べな」
轟「..どうも」
リカバリー「問題なさそうだね、あんたも帰っていいよ」
轟「はい」
リカバリー「そういやあの子も先に戻ったよ」
轟「あの子?」
リカバリー「あんたと同じクラスの風舞莉紗。あんた達の様子を見に来てたさね」
轟「........」
リカバリーガールの話しを横耳に入れながら、ベッドから降りようとした時に左手の違和感に気づいた。
轟「粘着糸....」
**
保健室を出てバックヤードを歩く。右手に残る温かみは莉紗の手だったんだな。
あいつが残していった左手の粘着糸。あいつなりの後押しだ。あいつが今日何度も伝えてくれたこと。
"応援してる"
緑谷の言葉で左を使おうとした俺の頭の中に憎いクソ親父の顔や、絶望したお母さんの顔、不安な顔をする莉紗や俺に傷つけられた幼い莉紗の姿が浮かんだ。その瞬間、左を使うことが酷く怖いと感じた。
最後まで俺は左を使うべきなのかどうか迷って、けどちゃんとした答えなんか出なくて。結局情けねぇ試合にしちまった。それでもあいつは...
どんなに情けなくてかっこ悪いところを見せても。あいつだけは味方でいてくれる。
この粘着糸はそう伝えてくれたんだ。
早く顔見て大丈夫って言ってやろう。
そして、ちゃんと自分の口で言わねぇと。
"ごめん"
と
"ありがとう" を。
そして、俺は前に進むためにきちんと過去を清算する。
もうあいつに...
莉紗にあんな顔、させねぇように。
**
試合が終わって1時間後..
爆豪と轟が目を覚まし、表彰式が始まった。
結局表彰式前に莉紗と話せなかった轟。
先生達にも呼ばれてしまったため仕方なく学校が終わってから話すことにした。
フィナーレの音楽、そして花火と共に白煙の中から現れた1位~3位の表彰台。
3位に莉紗
2位に轟
そして、1位には...両手を拘束され括りつけられ合金マスクをつけられている爆豪が動かせない身体をめちゃくちゃに動かして暴れていた。
その姿に一同ドン引き
峰田「うわぁ...」
耳郎「何あれ...」
切島「起きてからずっと暴れてんだと。しっかし、締まんねぇ1位だな」
『..........;』
隣で暴れる爆豪の姿に莉紗も苦笑いをする。
ミッドナイト「3位には風舞さんともう1人、飯田くんがいるんだけどちょっとお家の事情で早退になっちゃったので、ご了承くださいなっvv」
蛙吹「飯田ちゃん、張り切ってたのに残念ね...」
ミッドナイト「それではメダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのは、もちろんこの人!」
オールマイト「ハーッハッ八!!」
派手なオールマイトの登場に会場中が沸き上がる中メダルの授与が始まった。
オールマイト「風舞少女、おめでとう!強いなぁ君は。個性の使い方が抜きんでて際立っていたぞ!」
『ありがとうございます』
軽くお辞儀をしてメダルをかけてもらった莉紗。
オールマイト「しかし、どの種目でもどこか1歩引いてしまってる瞬間が見受けられた。実力差の前で、自分では勝てない...などと思っていないかい?」
『..........』
オールマイト「身体能力も個性も、君は男子にも引けを取っていない。ヒーローを目指してく中では、時にはもっと自信を持って自分を誇示することも大事だぞ」
オールマイトはハグをして、背中をぽんぽんと叩いた。
『はい!』
オールマイト「轟少年、おめでとう」
轟にシルバーのメダルがかけられた。
オールマイト「決勝で左側を収めてしまったのは、ワケがあるのかな?」
轟「...緑谷戦できっかけをもらって、わからなくなってしまいました。貴方が奴を気にかけるのも、少しわかった気がします。
あなたのようなヒーローになりたかった。ただ、俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ..ダメだと思った。清算しなきゃならないものが、まだある」
『!!
(焦凍くん....)』
オールマイト「うん、顔が以前と全然違う」
オールマイトは轟にもハグをした。
オールマイト「深くは聞くまいよ。今の君なら、きっと清算出来る」
轟「...はい」
オールマイト「さて!爆豪少年!..おお、これはあんまりだ..」
オールマイトは爆豪の口を塞いでるマスクをはずしてやった。
オールマイト「選手宣誓の伏線回収、見事だったな!」
爆豪「オールマイトぉぉ......」
オールマイト「ん?」
爆豪「こんな1番...何の価値もねぇんだよ!!世間が認めても、自分が認めなきゃゴミなんだよ!!」
『(おじさまに負けず劣らずの上昇志向だな....)』
オールマイト「うん、相対評価にさらされ続けるこの世の中で、不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。(顔こぇぇ..;;)
メダルは受け取っとけよ、自分の傷として。決して忘れぬよう」
メダルをかけられるのを全力拒否する爆豪の口に無理やりひっかけたオールマイト。
オールマイト「さあ!今回の勝者は彼らだ!しかしみなさん、この場にいる誰もがここに立つ可能性はあった!ご覧になった通り、競い高め合い、先へと進んでいくその姿!ヒーローは確実に、目を伸ばしている!!
ってな感じで最後に一言!みなさんご唱和ください!せーの!」
「「「「Plus ultra!!!」」」」
オールマイト「おつかれさまでしたー!!」
シーン.......
「「「そこはPlus ultraでしょーがオールマイト!!!」」」」
オールマイト「いや、疲れたかなって....」
**
相澤「おつかれー。つーことで、明日明後日は休校だ。体育祭をご覧になったプロヒーローから指名もあるだろうが、それはこっちでまとめて休み明けに発表する。ドキドキしながらしっかり休んでおけ」
「「「「はい!!」」」」
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