Season2
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『(焦凍くん、大丈夫かな...)』
轟の様子が気になった莉紗は立ち上がった。
麗日「莉紗ちゃん、どっか行くん?」
『ちょっと飲み物買ってくる』
麗日「行ってらっしゃい!」
莉紗は財布を手にし隣の麗日に声をかけるとバックヤードに向かった。
in 選手控え室2
コンコン
『焦凍くん?』
轟「莉紗か、おつかれ」
中の様子を見ると轟は自分の左手を見つめていたが、莉紗の声が聞こえ、彼女に視線を向け労いの声をかけた。
『....迷ってるの?』
轟「....どうするのがいいのか分からねぇ」
轟母「焦凍の...あの子の左側が、時折とても醜く思えてしまうの...」
『きゃあっ!』
緑谷「全力で、かかってこい!」
緑谷「きみの!力じゃないかっ!!」
『応援してるよ』
轟の頭の中には、色々な記憶が浮かんでいた。
轟「いつからだろう」
『ん?』
轟「緑谷と戦うまで、考えるなんてこと..考えもしなかった」
『え?』
バァンっ!!
突如勢いよく開いたドアの方を2人同時に見た。
そこには足でドアを蹴り飛ばしたのであろう体勢のまま固まってる爆豪がいた。
椅子に座ってる轟と近くに立ってる莉紗がいたことに驚いたようだ。
爆豪「あ?」
轟「『........』」
爆豪「アレ、何でテメェがここに...控え室..ここ2の方か、クソがっ!」
爆豪は乗り込んできた訳ではなくただ部屋を間違えただけと知り、自分の左手を再び見つめた轟。
爆豪「イラッ)
部屋間違えたのは俺だけどよ..決勝相手にその態度はおいおいおい...どこ見てんだよ、この半分野郎が!!!」
爆豪は轟が手を乗せているテーブルの上に手を叩きつけると爆破しテーブルを破壊した。
『(半分野郎って...)』
轟「それ..」
爆豪「あ?」
轟「緑谷にも言われたな。あいつ、無茶苦茶やって人が抱えてたもん、ぶっ壊しに来やがった。
幼なじみなんだってな、昔からあんななのか?緑谷は」
爆豪「っ?!
クッ、あんなクソナード...どうでもいいんだよ!!」
さらにキレた爆豪は今度はテーブルを蹴り飛ばした。
爆豪「うだうだとどうでもいいんだよ、テメェの家事情も気持ちも!!どうでもいいから俺にも使ってこいや!!左の炎!!そいつを上からねじ伏せてやる!!」
『どうでもいいけど物に当たんなよな、ガキじゃあるまいし』
爆豪「うるせぇ!クソアマ!何でテメェまでここにいんだよ!!おかげでムカつく顔2つで余計イラつくわ!!」
バタンっ!
言いたいことを言って思いっきりドアを閉めて行ってしまった爆豪。
轟「...お前にも、言われたな」
『え?』
轟「何見てんだ、って」
轟の言葉に莉紗は言葉を詰まらせ俯いた。しかし、数秒何かを考え込むと顔を上げ轟を見た。
『焦凍くん』
轟も名前を呼ばれて顔を上げ、呼んだ張本人を見た。
『今そんなに考えたってさ、たった1.2時間で答えが出るような問題なら今日まで抱えてないでしょ?』
轟「............」
『爆豪は怒るだろうけど...
焦凍くんのペースで戦えばいいと思うよ』
相も変わらず、轟を肯定も否定もせずまた追求するわけでもない莉紗。
轟「......莉紗」
『ん?』
轟「体育祭終わったら、話がある」
『うん?わかった』
轟「............」
『焦凍くん』
轟「何だ?」
『応援、してるから』
轟「.....行ってくる」
『うん、いってらっしゃい』
控室を出て行った轟を見送った莉紗。
まだ迷った顔はしていた。
けど、これは焦凍君にとってそんなに簡単に払拭できる問題じゃない。
ずっと見てた私には怖くて出来なかったことを緑谷がやってくれた。焦凍君の中の壁を壊して前に進む道を示し、きっかけを与えてくれた。
だから、私に出来ることは信じて、見守ることだ。
どんな時でも、私は焦凍君の味方でいる。
頑張って、焦凍君。今度は、私が見てるよ。
**
マイク「雄英体育祭も、いよいよラストバトル!!1年の頂点がこの1戦で決まる!!いわゆる、決勝戦!!
ヒーロー科、轟焦凍!!バーサス、ヒーロー科、爆豪勝己!!
今、スタート!」
轟は先制で、巨大氷結を繰り出した。
しかし、爆豪は爆破で次々と氷を破壊していくも轟の氷結の方が早く氷塊の中に爆豪を閉じ込めた。
マイク「轟いきなりかましたーーー!!爆豪との接戦を嫌がったか?!早速優勝者決定か?!」
緑谷「瀬呂君戦ほどの規模じゃない!一撃を狙いつつ、次を警戒した?」
『それもあるだろうけど、冷静な時はあんなん出さないと思うよ?あそこまでやる意味がないし』
苦笑いしながら隣で呟く緑谷に言った莉紗。
緑谷「あ、まあそうだよね」
その時、大きな物音と共に会場全体でリズミカルな揺れを感じた。
轟「...............」
峰田「なんだぁ?この音...;;」
蛙吹「爆豪ちゃんの仕業ね」
轟にだんだんと音が近づいてくると思ったら、突然氷塊が木っ端みじんになりそこから爆豪が出てきた。
轟「クッ」
轟はすぐ後方へ下がった。
瀬呂「爆発で氷結を防いでもぐらみたいに掘り進んだのか!?」
上鳴「んな、けったいな...!!」
爆破で自分との威力を詰めてきた爆豪に向かって轟は右手を構えた。
爆豪「強ぇ個性な故に、攻め方が大雑把だ!!舐めてんのか?バーカ!!」
爆豪は空中で方向転換し轟の右手を避けると轟の髪の毛をわしづかみにして自分は着地をするとそのまま爆破を1回発動して轟を投げ飛ばした。
轟は自分の落下地点に氷結をだして滑るようにして受け身を取るとそのまま自分の進行方向に氷結を出し続けて滑走移動した。
マイク「轟氷結で場外を回避!!楽しそう~!!」
爆豪が右手を伸ばして飛びついてきたため轟は左手で爆豪の右手を掴んだ。
エン「左を使え!使えー、焦凍!!」
轟爆「「『!!!!』」」
轟は迷ったあげく、左の炎は出さずに爆豪の体を放り投げた。
『(もうおじさまはホント、余計な横やり入れるんだから...少し黙っててよ)』
轟を煽るエンデヴァーに内心イライラしている莉紗。
受け身を取り着地した爆豪。
爆豪「ざけんなよ...俺じゃ力不足かよ」
相澤「左側をわざわざ掴んだり、爆発のタイミングだったり..研究してるよ。戦う度にセンスが光ってくな、あいつは」
マイク「ほうほう」
相澤「轟も動きは良いんだが、攻撃が単純だ。緑谷戦以降どこか調子が崩れてるな」
爆豪「テメェ、コケにすんのも大概にしろよ。ぶっ殺すぞ!!!」
轟「!!」
爆豪「俺が取んのは完膚なき1位なんだよ!!舐めプのクソカスに勝っても取れねぇんだよ!デクより上に行かねぇと意味ねぇんだよ!!勝つつもりもねぇなら俺の前に立つな!何でここに立ってんだ、クソが!!!!」
『ヒーローになりたいん、だよね?』
「俺だって、ヒーロに....!!」
轟「..............」
『...?轟、くん?』
轟「(悪りぃ、爆豪..緑谷と戦ってから自分がどうすべきか、自分が正しいのかどうかわかんなくなっちまってんだ...)」
緑谷「轟くん!!負けるな!がんばれ!!!」
轟「!!」
轟が声のする方に視線をやると必死な表情の緑谷と、不安そうな表情をして試合の行く末を見ている莉紗の姿が目に入った。
轟「(緑谷、莉紗...。
ちくしょう。あいつに、莉紗に...あんな顔、させたくねぇのに...!)」
轟の体の霜が少しずつ溶けて行き轟の左顔面が炎を帯びた。
爆豪「(そうだよ!俺の前に、ここに立つ以上勝つ為だけに頭回してりゃいいんだよ!!)」
爆豪が爆破を繰り返し体を回転させ轟に接近した。
轟も爆豪に向けて炎を帯びた左手をかざした。
轟「...............」
しかし、真っすぐ伸ばした手から力が抜け轟の左側を覆っていた炎が姿を消していった。
爆豪「ハウザー、インパクト!!!!」
そんなことにも気づかない爆豪は攻撃を止めることもなく轟を直撃した。
マイク「あぁあ!麗日戦で見せた特大火力に勢いと回転を加えた!まさに、人間榴弾!!轟は緑谷戦で見せた超爆風を見せなかったようだ!!勝敗の行方は、果たして!!」
辺りは煙幕に包まれ視界0となったが、だんだんと煙が晴れてきて最初に見えたのは爆豪だった。
着地が上手くいかなかったのか、地面に突っ伏してる。
爆豪「.......は?火ぃ、消しやがった!!」
そして、轟は自身の氷結の上に横たわり意識を失っている。
爆豪「は?おい、おい!!!」
爆豪は走って轟のもとに駆け寄り気を失っている轟の胸ぐらをつかんだ。
爆豪「ふざけんなよぉっ!!意味ねぇって言っただろうが、クソが!!こんな1位なんて、こんなの!!........」
爆豪が突然気を失った。そう、ミッドナイトの個性で眠らせたのだ。
ミッドナイト「轟くん場外!よって、爆豪くんの勝ち!!!」
マイク「以上で全ての競技が終了!!今年度、雄英体育祭1年優勝は...A組、爆豪勝己!!」
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