Season2
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2回戦第1試合は轟の勝利で幕を閉じた。
轟の左側は熱によってジャージが燃え、轟の左側の身体が露出されていた。緑谷は、担架でリカバリーガールのところに運ばれ轟は自らの足でバックヤードへと向かった。
『!!』
莉紗は轟のもとへ行こうとすぐに振り返って観客席の階段を登り始めた。
エン「お前と緑谷には感謝せねばな」
莉紗の後から階段を登ってきたエンデヴァーは感謝、とはほど遠い皮肉染みた物言いをしてきた為莉紗はカチンときていた。
『......結構』
**
バックヤードに着くと、轟が自分の左手を見ながらステージからこちらに向かって歩いてくるところを見つけた。
『焦凍くん...』
轟は名前を呼ばれ左手をおろし顔を上げた。
「邪魔だ、とは言わんのか?」
『!』
背後から声が聞こえ莉紗が振り返るとエンデヴァーが満足気な顔で立っていた。
エン「左のコントロール、ベタ踏みでまだまだ危なっかしいもんだが、子供じみた駄々を捨ててようやくお前は完璧な俺の上位互換となった。卒業後は俺の元へ来い。俺が覇道を歩ませてやる」
『(もう...この人は、どうして一々焦凍くんの癪に障ることを....)』
これでせっかく落ちついていた轟がまたイライラしてしまう、と思い小さくため息をついた莉紗は庇うように轟の前に立った。
『おじさま、そういう言い方..』
轟「捨てられるわけねぇだろ」
エン「『?』」
轟「そう簡単に覆るわけねぇよ」
再び自分の左手を見ながらそう呟いた轟。
轟「ただ、あの時..あの一瞬は、お前を忘れた」
エン「『!!』」
轟「それが良いのか悪りぃのか、正しい事なのか...少し、考える」
『あ、ちょっ....』
静かに言葉を紡いだ轟は莉紗の手を引き、エンデヴァーの横を通り過ぎていった。
轟が莉紗の手を引いてようやく歩みを止めたのは試合前に2人で話していた倉庫の前だった。
轟「悪りぃ、こんな所に。お前もうそろ試合だよな」
『あ、うん..でも、その前に会っときたかったから大丈夫』
轟「...........」
『私.....
どっちでもいいと思うよ!』
轟「え...」
『そりゃ、このまま左を封じ続けるのは焦凍くんには多少不便やデメリットは生じるし、使えば今よりもっと無限に焦凍くんの可能性が広がるだろうけど。でも、最終的にどうなりたくてどんなヒーローになりたいか決めるのは焦凍くん自身だから。
私は、焦凍くんがどんな答えを出しても応援する。それは変わらない』
莉紗の放った言葉は轟にとって想像もしていなかった意外な言葉だった。思わず振り返ると彼女の瞳はゆらぐことのない決意と意志を秘めていた。
自分を咎めることなく、否定もせず、肯定もしない。ただ、応援するという彼女の想いに思わず莉紗を抱きしめた。
『!? しょ、とくん?』
轟「お前のおかげで、ずっと忘れてたもんを思い出した」
『え?』
轟「ありがとな」
右側は冷たいはずなのに、自分を抱きしめる轟の手があまりにも暖かくて莉紗は、抱きしめられたまま動けずにいた。
「3回戦、第2試合は塩崎vs飯田!スタート!」
『!!
やば!次だ、行かなきゃ!』
轟の温もりを感じ心が休まる気がしてしばし轟の腕の中に閉じ込められたままでいたが、プレゼントマイクのアナウンスに我に返り慌てて轟から離れた莉紗。
轟「次、誰とだ?」
『常闇』
轟「何か勝ち筋あんのか?」
『うん、2つ程策は練ってある。
何がなんでも爆豪と当たって、あいつボコボコにしなきゃなんないからさぁ』
満面の笑みを浮かべているもののその額には青筋がたち、拳をポキポキ鳴らしながら言う莉紗に轟はフッと小さく鼻を鳴らし莉紗の頭にポンと手を乗せた。
轟「今度は俺が見てる」
『......っ///
うん!』
轟のその行動に少し気恥しく感じたが、それより轟の言葉が嬉しかった莉紗。
第2試合の塩崎vs飯田の試合は開始早々レシプロバーストを発動した飯田に塩崎のツルが全く反応出来ずあっという間に場外に押し出されてしまい、飯田の勝利となった。
そして、第3試合
風舞vs常闇
マイク「風舞vs常闇スタート!」
常闇「ダークシャドウ!」
ダークシャドウ「あいよっ!」
『(ダークシャドウの今までの動きを見ているとダークシャドウ自体が分裂したりするところは見てない。と、なるとまず1つ目の策は...)』
莉紗は走り出し、ステージの外周より3mほど内側をステージの形状に沿って走り出した。
瀬呂「風舞、速攻で竜巻出して来ると思ったけど攻撃しなかったな」
上鳴「なんか作戦あんのか?」
切島「あいつも意外と頭脳プレーしてくるからなぁ、なんかあっかもな」
ダークシャドウが背後から迫ってくる。それを見て背後に竜巻を出し、ダークシャドウが自分へ接近してくるのを妨害した。
『(ダークシャドウの本質が影であるなら、影の割合が少なくなる真昼間の今はダークシャドウの力は十分ではないと考えるのが妥当...ダークシャドウを伸ばして遠距離で行動をするにも限界があるかもしれない。まずはそこを見極める!)』
その読み通り、ダークシャドウはただ外周に沿って莉紗を追うのではなく常闇の背後に来るとそのまま背後を通過して追うのではなく一旦常闇の元に戻ってから再び追ってきた。
『(やっぱり伸ばせる距離に限界があるんだな...なら!)』
今度は走りながら連続で竜巻を5つ繰り出しダークシャドウの四方から4つの竜巻を、そして常闇の元に1つの竜巻で攻め込んだ。
ダークシャドウは全ての竜巻をいなした後すぐさま常闇の元に戻り常闇に迫った竜巻もいなし飛ばした。
『(けど、このステージ場程度なら余裕で動き回れてる。
なら、やっぱこれしかない!)』
常闇の対面で足を止め対峙した莉紗。
すぐさま、粘着糸を出し常闇に向かって飛ばしたがダークシャドウが伸びてきてそれを防いだ。
『(ダークシャドウは物質じゃないから粘着しない...つまり巻き付けて捕獲も叶わないってわけね)』
粘着糸がダークシャドウに効かないことを悟った莉紗は今度は両手を振り上げた。
『突風 木枯らし!!』
強い強風がステージ上を襲った。
『旋風 春疾風!』
強風がおさまらないうちに、ステージの1/3は覆ってしまうであろう風が常闇のいる場所を中心に渦をまくように吹き荒れた。
そしてその中で小さな竜巻をいくつも出して常闇とダークシャドウに向け解き放った。
ダークシャドウが風であおられながらも向かってくる竜巻をいなしていると....
常闇「!!
しまった!」
常闇の体の自由が奪われた。
吹き荒れる風や竜巻に意識をとられ隙が出来たところを粘着糸を竜巻の動きに合わせて目立たないように常闇に接近させていた。
『捕獲..』
そして粘着糸の長さを短くすると、収納されるメジャーのように勢いよく常闇に向かって莉紗の身体が近づいていった。ダークシャドウが常闇の元に戻ろうとする所に再び小さな竜巻をいくつか出しダークシャドウが戻るまでの時間を稼ぐと次いで、常闇の間合いに入った瞬間にいつも自分を加速させる用途で使っているダッシュウィンドをぶつけて、場外へ力づくで追し出した。
ミッドナイト「常闇くん場外!
風舞さん、3回戦進出!」
常闇「完敗だ」
『これ防がれたらちょっとやばかったよ』
「さっきの轟もすごかったけど。こっちも凄いな...」
「さすがウィンドリアのお嬢さん!」
「ほんとに学生かよ、現場出てるって言われてもびっくりしねーぞ!」
「ホントにこの前まで中学生だったのかよ...」
「個性の使い方が半端なくうめぇよ!」
轟に負けず劣らず観客席で見ていたプロヒーロー達の評価も高いものだった。
峰田「こっちは圧勝かよ....」
蛙吹「常闇ちゃんのダークシャドウも凄いと思ったけど、やっぱり莉紗ちゃんも強いわ」
瀬呂「推薦は伊達じゃねぇってか..」
4回戦の爆豪vs切島の戦いは切島はひたすら肉弾戦。
爆豪が爆破で攻撃してくるも切島の硬化の個性の前ではちょっとやそっとの爆破では意味をなさなかった。
切島「へっへっ!効かねぇっての!この爆発三太郎が!」
爆豪「クッ....(よろけもしねぇ。さすがに硬ぇだけじゃねぇな)」
そこからしばらくは切島の猛攻に爆豪が防戦に入っていた。
『あ、いた!』
試合を終え、観客席の最上にいる轟の元にやってきた莉紗。
轟「おう。勝ったな」
『ん、あれダメだったら危なかったかも』
轟「お前...」
『ん?』
轟「風と粘着糸の同時コントロール上手いよな」
『そう?どうしてもコントロールがあまくなっちゃう自覚あるんだけど』
轟「見ててそんな気にならねぇけど」
『そっか、良かった。次爆豪となのに全く策思いついてない。今結構手の内出してきちゃったからなぁ』
轟「あいつも結構頭キレるからな」
『それね。轟くんは、爆豪対策考えてる?』
轟「...お前、負ける気か?」
『..ってわけじゃないけど、勝ちのイメージが沸かないんだよね』
轟「場外まで一気に飛ばしてやれば?お前、今日まだ最大出してないだろ」
『....何で私の最大知ってるの?』
轟「知ってるわけじゃねぇけど..中学ん頃、放課後特訓してる時に今日よりデケェの出してただろ」
『そうだっけ?』
そんな会話をしていた2人だが、轟が突如思い詰めたような表情を浮かべ、気になった莉紗。
すると轟がか細い声を出した。
轟「....莉紗」
『ん?』
轟「悪かった」
『え?』
轟「さっき...ひでぇ事言っただろ」
『え、さっき...?あ、あー、ううん!焦凍くんの怒りバロメーター振り切っちゃったが故だと思ってたから大丈夫だよ。どうせ試合前におじさまに何か言われてたんでしょ?』
一瞬何の話しか分からずポカンとした莉紗だったが、数秒考えた後思い当たる出来事を思い出し、苦笑いした莉紗。
『でも、まあ実際焦凍くん何でもこなせちゃうしね。必要ないのはないよね』
悲観的にではなく、明るく言う莉紗に轟の表情が歪んだ。
轟「莉紗..『次、飯田と頑張って!』」
そう言って轟の肩をポンと叩くとその場を離れてしまった莉紗。
轟「.............」
自分の元を離れていく莉紗の後ろ姿を見つめた轟。
マイク「おぉーっ!爆豪再びのカウンター!なんだぁ?!さっきと違って効いてる?!」
爆豪「テメェ、全身バキバキに気張り続けてんだろ。その状態で速攻仕掛けてじゃいずれどっか綻ぶわぁあっっ!!」
そして高火力の爆発を連発し、切島は硬化で何度か凌いだが....持続時間や受けれるダメージの限度があるその個性は爆豪の連発爆破で段々と効力を失い...
爆豪「トドメだァァ!!」
特大の爆破をもろ受けた切島は失神しゆっくりと倒れて行った。
爆豪「俺と持久戦やらねぇってのもわかるけどな」
ミッドナイト「切島くん、戦闘不能!爆豪くんの勝利!!」
マイク「これでベスト4が出揃った!!」
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