Season2
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
第3試合
芦戸vs塩崎は、芦戸が塩崎の茨に追われて酸をばら撒きながら逃げ回るも逃げきれず拘束され一瞬で終わらされるという悲しい結果に。
そんな試合を見て緑谷お馴染みのぶつぶつ分析を始めた。
もちろん爆豪はイライラし、私を含めクラスのみんなは引きつった顔で緑谷を見た。
第4試合
飯田vs発目
サポート科の発目は、自身の作ったサポートアイテムを使用して参戦している。しかし、何故か飯田もサポートアイテムをフル装備。何でも発目に対等に戦いたいから使って欲しいと懇願されそのスポーツマンシップに心打たれたとのこと。
いざ、試合が始まると発目は何故かスピーカーマイクでアイテムの説明をしながら戦っている。
...というより逃げ回ってる?
結局10分程それらを続けた後、発目は自ら場外ラインを踏み越えた。
発目「はぁ、全て余すことなく見ていただけました」
ミッドナイト「は、発目さん場外!飯田くん2回戦進出!」
発目が自身の開発したサポ―トアイテムをサポート会社の人間に売り込むために飯田を利用したようでそれを知った飯田の頭から湯気を沸かせて怒っている様子に私は苦笑いした。
「俺に莉紗は必要ねぇ!」
試合を眺めているとふと先程焦凍くんが言った言葉が脳裏に浮かんだ。
おじさまが絡むと人が変わったように冷静さを失くすことがあるのを知っている。
だからさっきの言葉も、個性婚をちらつかせるような事を言ってきたおじさまへの怒りで咄嗟に出た言葉...
だと信じたい。
だけど本心なんじゃないかとも思ってしまう。私はこれまで焦凍くんに対し何もしてあげられてない。
焦凍くんが辛い時、苦しい時...私はただ見てただけ。
焦凍くんを守りたくて、助けたくて..支えたくてヒーローを目指した。
なのに、私と離れてる間に焦凍くんはおじさまとの確執や自分の運命と戦いこんなに強くなっていた。
対人戦闘訓練、USJ襲撃事件、そしてこの体育祭...。
それらは焦凍くんの強さを目の当たりにし、彼にとって私は必要じゃないと思わせるには十分だった。
焦凍くんにとって私は幼馴染というクラスメイト達からみれば少し特別な存在で一番近い存在であろう自覚はある。が、実際の所は離れている期間は一緒にいる時間よりも長い。
言葉を交わし、過去の理解を深めた今中学の時突き放された原因が彼にとって自分が必要なくなったわけではなく自分を守ろうとしてくれたが故の行動だと分かり和解出来た事で入学当初のようなよそよそしさやギスギスした感じはなくなったものの彼の人生にずっと寄り添ってきたわけではない分、焦凍くんの葛藤や怒りなどの感情の背景を知ってはいても踏みこめずにいる。
焦凍くんは、私が居ても居なくても何も変わらない。
私は、今まで通り接するだけ。
蛙吹「莉紗ちゃん、次じゃないかしら?」
ぼんやり考え事をしていた莉紗の意識は蛙吹によって引き戻された。
『...あ、うん』
蛙吹の言葉にハッとしたが落ち着いた様子を崩さずにバックヤードに向かった莉紗。
第5試合
マイク「立て続けにいくぜぇ!
腰にベルトがあっても変身しねぇぞ!ヒーロー科、青山優雅!」
青山「ボンジュールっ」
マイク「バーサス!こちらも予選4位、1位と好成績!けど、その涼しい顔はまだまだ底を見せてねぇだろ?!さすがは推薦入学者!ヒーロー科、風舞莉紗」
『...............』
轟の事で頭の中がいっぱいになっている莉紗。
どこか浮かない表情を浮かべるも、そんなことには気づかない周囲は、この体育祭を通して既に周知の事実となったウィンドリアの娘の戦いが見れる事に観客席は大いに沸いている。
蛙吹「莉紗ちゃん頑張って」
峰田「青山やっちまえー!格闘ゲームみたいに服が破れるくらいに倒せー!」
耳郎「クソかよ」
緑谷「青山君と風舞さんの対戦...2人の個性から考えると、青山君は遠距離からのレーザー攻撃を主体としてくるはず。
風舞さんは風の攻撃で攻防一体で詰めて隙を見せたところで粘着糸での捕獲が必勝パターン..やっぱり風舞さんが有利か」
瀬呂「いや、有利というか青山勝ち目ないだろ」
切島「風舞、個性も実力もうちのクラスのトップ3だからな」
上鳴「トップ3って爆豪、轟、風舞?」
切島「じゃね?」
蛙吹「莉紗ちゃんが青山ちゃんに負けるところなんて想像できないわ」
葉隠「莉紗ちゃん、頑張れ~!」
マイク「スタート!」
プレゼントマイクの開始の合図と同時に青山が早々レーザービームを頻発させて莉紗を追い回した。
『確か1秒以上射出したらお腹こわすんだっけ?』
青山のレーザー攻撃をかわしながら青山に聞いた莉紗。
青山「僕は戦略家だからねっ☆敵に塩は送らないよ」
『まあ別にそんなに必要ないから答えなくてもいいけど』
そう言って風を出して空中に飛んだ莉紗。
青山「出力、全か...えっ?」
出力全開、と叫んで特大のビームを放出しようとしたが体が何かに縛られたように動かせなくなった青山。
青山「何々?僕の体どうなってるの?」
あたふたしながらきょろきょろと辺りを見回わす青山。
『同じクラスなんだから察そうよ』
青山「も、もしかして君の個性の粘着糸を?いつの間に;」
『正解、肉眼で見えにくい細さにして張り巡らせといた。ベルトの部分は特に厳重に』
莉紗は肉眼で確認しにくい細さの粘着糸をビームから逃げ回りながら青山の周囲に蜘蛛の巣のように張り巡らせ、とどめに縛り上げたのだった。ベルトの部分はベルトを覆うように特に厳重に巻き付けている。
マイク「おーっっと!これは青山身動きが取れなくなってるぞー?!」
相澤「肉眼で見えにくい細さまで細くした粘着糸。それをなるべく一定の細さで逃げ回りながら張り巡らせていたようだな。大雑把な性格とは違って個性の使い方は繊細だな」
『(あの先公...悪かったな、大雑把な性格で)』
莉紗は今度は太い粘着糸を青山の身体に巻き付け青山の身体を投げ飛ばした。青山は、場外に放り投げられ、宙を飛んでる最中にズボンが脱げ情けない姿で地面に落とされた。
ミッドナイト「青山くん、場外!風舞さん2回戦進出!」
葉隠「さっすが莉紗ちゃん!我がA組のNO.1女子だ!」
芦戸「A組の女帝だ、女帝!」
峰田「クッソ...青山と風舞の個性が逆なら..」
耳郎「クソすぎだろ」
緑谷「勝敗予想は、予想通りだったけど...風舞さん、ほぼ粘着糸だけで勝ってしまった。使い方が限定されそうな個性だと思っていたけど、かなり汎用性があって発想次第で攻撃パターンに幅が広がるんだな...けど、風舞さんの勝ちの理由は個性だけじゃない。その身体能力。個性把握テストでも風舞さんは男子を押しのけて2位。それも風を活かせる種目ばかりじゃなかった事を考えると個性だけじゃない...元から身体能力が高いんだ!」
第6試合は八百万vs常闇。
マイク「攻防一体!ダークシャドウを従える黒き侍!ヒーロー科常闇踏影!
バーサス 万能創造!推薦入学とあって、その才能は折り紙付き!ヒーロー科 八百万百!」
どんな勝負になるかと周りは期待を寄せたが、決着はすぐについた。八百万が盾を創造したが常闇のダークシャドウの攻撃を盾で受けているうちにだんだん後方に押し出され気づくと場外ラインを超えていた。
ミッドナイト「八百万さん、場外!常闇くん2回戦進出!」
マイク「圧勝!まさに圧勝。常闇、これって最強の個性なんじゃねぇの?!」
八百万「そんな、何も..出来ず...何も..」
第7試合
鉄哲vs切島
暑苦しい2人の試合展開はまさしく暑苦しく、ひたすら拳で殴り合う。しかし、全く決着はつかずそのうち両者ダウンで引き分けで両者が回復した後、腕相撲などで決着をつけることとなった。
**
『ここにいたんだ、捜した』
自分の試合を終え、A組エリアには行かずに観客席の上の方で壁に寄りかかって試合を見ていた轟。
轟「...あぁ」
『落ち着いた?』
轟「元々落ち着いてる」
『あっ、そう....(よく言うわ)』
先ほどまであれほど怒り心頭だったのにも関わずにさらっと言う轟に怪訝な表情を浮かべながら心の中でぼやいた莉紗。
轟「クラスの奴らのところに行かなくていいのか」
『良いの』
轟「......」
1回戦最終、爆豪と麗日の試合が始まるようでプレゼントマイクの声が会場に響いた。
『お茶子ちゃん、もちろん応援はしてるけど...』
轟「勝つのは爆豪だろ」
『爆豪と焦凍くん相手なら私も勝てない』
轟「お前俺に何度も勝ってるだろ」
『それ個性なしの組手の話しでしょ』
轟「お前このまま進んだら爆豪と当たるだろ」
『分かってるよ..組み合わせ出たときからずっと戦法考えてる』
マイク「1回戦最後の試合!
中学時代はちょっとした有名人、堅気の顔じゃねぇ。ヒーロー科爆豪勝己!
バーサス!
俺こっち応援したい...ヒーロー科麗日お茶子!」
爆豪「お前浮かす奴だな、丸顔」
麗日「まるっ...」
爆豪「引くなら今引けよ、痛ぇじゃ済まねぇぞ」
麗日「.............」
マイク「第8試合スタート!」
麗日は開始の合図と同時に爆豪に向かって走り出した。
麗日「引くなんて選択肢ないから!」
爆豪「じゃあ死ね」
そして、爆豪が右手で爆破を起こした。辺りは爆破による煙で視界0となった。
爆豪「片付けてやる」
そして、煙の中に見えたジャージに爆破をした爆豪。
しかし..爆豪の手の下にはジャージの上着だけがあった。
爆豪「?!」
そして、煙の中から飛び出し爆豪の背後から手を伸ばした麗日。
しかし、爆豪の反応速度の方が早く麗日は真正面から爆破を受けた。
それからしばらく、麗日が攻めて爆豪が迎撃の攻防を繰り返し、麗日の体はボロボロになっていた。
「さっきの変わり身が通じなくて自棄を起こしている」
「なあ、止めなくていいのか?」
「大分クソだぞ?」
「見てらんねぇ」
「おい!それでもヒーロー志望か!そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放り出せよ」
「女の子いたぶって遊んでんじゃねぇ!」
「そうだそうだ!」
体育祭を見に来ていたプロヒーローたちが爆豪に野次を飛ばし、ブーイングを始めた。
『...外野がうるさい』
轟「そうだな」
『ヒーローに女も男もあるかよ....』
そう思ったのは莉紗だけじゃないようで、相澤がマイクで怒気のこもった声で話し始めた。
相澤「今遊んでるっつったのプロか?何年目だ!シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ!帰って転職サイトでも見てろ。爆豪は、ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろ。本気で勝とうとしてるから手加減も油断も出来ねぇんだろうが!」
『対面にいる爆豪ならともかく、観客席から見ててあれに気づかずブーイングって。プロのくせに情けないというか、恥ずかしいというか..』
そう、麗日は低姿勢で常に爆豪に突っ込み爆豪の打点を下に集中させ武器を蓄え続けた。空高く浮かび上がった瓦礫の数々。絶え間ない突進と爆炎で視野を狭めそれの存在を爆豪に悟らせなかった。
麗日「勝ーーーーつ!!」
麗日が個性を解除すると共にとんでもない量の破壊されたステージの破片が落ちてきた。
しかし...
ばぁぁぁぁっん!!
爆豪「デクの野郎とつるんでっからなぁ、テメェ。なんか企みあるとは思ってたが」
麗日「い、一撃って....」
マイク「爆豪!!会心の爆撃!!!」
『チートめ...』
苦笑いしながら言う莉紗に轟は表情を変えず試合の行方を見ている。
轟「........」
麗日は目の前で自分の最大の策を易々攻略され絶望を感じたが、諦めず立ち上がった。
爆豪「フッ..いいぜ、こっからが本番だ!麗日ー!!!」
基本、人の名前を呼ばない爆豪が麗日の名前を呼んだ。それはつまり、爆豪が麗日を自分の敵として認めたということだ。
麗日が再び爆豪に立ち向かうため振り返ったその時。麗日は足元がもつれ地面に倒れこんだ。
そして、静かに意識を失った.....
マイク「麗日ダウン!!!」
ミッドナイト「麗日さん、行動不能!2回戦進出爆豪くん!」
『次..緑谷とだね』
轟「.....ああ」
少し何か考えた末にそう言って動き出した轟。踵を返し、バックヤードに向かっていった。
『頑張って』
小さく呟いた莉紗の声は誰の耳にも届かずに空へと消えていった。
マイク「1回戦が一通り終わった!小休憩挟めたら次行くぞー!!」
ちなみに、切島と鉄哲の暑苦しい腕相撲の結果は激闘の末、切島が勝ったのだった。
.