Season2
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
食事を終えてグラウンドに戻ってきた轟と莉紗。
『ん..?』
クラスメイトの女子たちが異様な姿で棒立ちしているのが目に入り何事かと思い近づきそっと声をかけた。
『...どうした、みんな』
八百万「だ、騙されたんです..。レクでこれを着なきゃいけないと...」
泣きながら弁明してくる八百万の様子を見て全容を察した莉紗。
『峰田と上鳴のクズコンビだな』
そう呟きながら指から粘着糸を出すと犯人である2人の首に粘着糸を巻き付け締め上げた莉紗。
峰上「「っぐ!ごほっ..っ!」」
切島「おーい、風舞。2人死にそうだぜ」
『むしろクタバレ』
本気で2人が昇天しかける直前で糸を緩めた莉紗。
峰田「風舞!手加減って知らねぇのかよぉっ!!」
上鳴「マジで死ぬかと思った...」
『...ふざけたクズ野郎にそんなん必要ないでしょ』
冷たい視線でさらりと言うもんだから、犯人の2人だけでなく爆豪と轟を除くクラスの男子全員が同じことを思った。
「「「「「(こいつだけは敵に回しちゃいけねぇ...殺される)」」」」」
...と。
八百万「何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうのでしょうか...」
座り込んで本気で落ち込む八百万の背中をポンポンして励ます麗日。
耳郎「アホだろこいつら!」
葉隠「まあ、本戦まで気張っててもしょうがないしさ!」
『(焦凍くんのところに行っててよかったかもね、私)』
──────
マイク「さあ!みんな楽しく競い合おうレクリエーション!!これが終われば最終種目進出4チーム、総勢16名からなるトーナメント形式!1vs1のガチバトルだー!!!」
プレゼントマイクのアナウンスに会場が沸き上がる。
切島「最終種目はサシでのトーナメントか。毎年テレビで見てた舞台に立つんだ!」
芦戸「去年トーナメントだっけ?」
瀬呂「形式は違ったりするけど、毎年サシで勝負し合ってるよ。去年はスポーツチャンバラしてたはず」
ミッドナイト「それじゃあ組み合わせのくじ引きしちゃうよ!組が決まったらレクリエーションを挟んで開始します。レクに関しては進出者16名は参加するもしないも個人の判断に任せます。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。んじゃ1位のチームから「あの!すみません..」
進行するミッドナイトを遮るように手を上げて引き留めたのは尾白だった。
尾白「俺、辞退します」
その言葉にそこにいた全員が驚きの声をあげた。
緑谷「尾白くん!なんで?!」
飯田「せっかくプロにみてもらえる場なのに...」
尾白「騎馬戦の記憶...終盤ギリギリまでほぼぼんやりとしかないんだ。多分、奴の個性で..」
その言葉に緑谷が見たのは、体育祭前A組に宣戦布告しにきていた普通科の心操人志だった。
尾白「チャンスの場だってのはわかってる。不意にするのも愚かなことだってのも..。
でもさ!みんなが力を出し合って争ってる場なんだ。こんなわけわかんないまんまそこに並ぶなんて..俺には出来ない」
葉隠「気にしすぎだよぉ、本戦でちゃんと成果を出せばいいんだよ!」
芦戸「そんなこと言ったら、私だって全然だよ?」
尾白「違うんだ...俺のプライドの話しさ...俺が、嫌なんだ。
あと、何で君らチアの格好してるんだ?何で風舞だけ着てないんだ?」
女子「「「.......」」」
『(逆に浮いてんのか、私)』
「B組の庄田二連撃です。僕も同様の理由で棄権したい。実力以前の前に何もしていない者があがるのはこの体育祭の趣旨と相反しているのではないだろうか」
切島「クッ...何だこいつら!男らしいな!!」
マイク「何か妙なことになってるな..」
相澤「ここは主審ミッドナイトの采配がどうなるか...」
ミッドナイト「そういう青臭い話しはさ.....
好み!!庄田!尾白の棄権を認めます!」
「「「「(好みで決めた...)」」」」
ミッドナイト「となると...2名の繰り上がり出場者は、騎馬戦の5位の拳藤チームからになるけど..」
拳藤「そういう話なら騎馬戦でほぼ動けなかった私らより、最後まで頑張って上位キープしてた鉄哲チームじゃね?」
鉄哲「拳藤...」
拳藤「なれ合いとかじゃなくてさ、普通に」
鉄哲「おめぇら...泣」
『(可愛い顔してサバサバしてるというか、イケメンな子だな)』
葉隠「(あの子莉紗ちゃんっぽい!)」
耳郎「(莉紗に似てるな、あの人)」
麗日「(莉紗ちゃんに似て下手な男子よりイケメンな子だな〜)」
ミッドナイト「それでは、鉄哲と塩崎が繰り上がって16名!!」
そしてそれぞれくじを引き、組み合わせが決まった。
心操 vs 緑谷
轟 vs 瀬呂
塩崎 vs 芦戸
飯田 vs 発目
風舞 vs 青山
常闇 vs 八百万
鉄哲 vs 切島
麗日 vs 爆豪
切・鉄「「またか!かぶりすぎだろ!!」」
常闇「全力でいく」
八百万「の、望むところですわ!」
青山「メルシー、僕が相手で残念だったね!」
『ホント、見せ場なく終わりそうで残念だよ(色んな意味で)』
緑谷「(1回戦の第一試合か。轟君も勝ったら、もう..)」
轟「(意外と早かったな...来いよ、緑谷。この手で倒してやる)」
そして、レクリエーションを挟んでいよいよ本戦、第一試合が始まる。
A組は轟とこれから対戦する緑谷を除き、観客席で一塊になってみていた。
上鳴「相手の心操ってやつ、普通科のやつだよな?」
葉隠「A組に宣戦布告来てた人だよね」
尾白「.............」
マイク「決勝トーナメント第一試合。ヒーロー科、緑谷出久!
バーサス!
普通科、心操人志!
ルールは簡単!相手を場外に落とすか、行動不能にする!あとは、参ったとか言わせても勝ちのガチンコだ!!」
プレゼントマイクの開始の声と共に、何故か緑谷の表情が怒りに満ち心操の元に走り出したと思ったら、突然動きが止まった。
尾白「ああー!せっかく忠告したってのに!!」
麗日「デクくん...」
飯田「一体どうしたというんだ...」
マイク「緑谷!開始早々完全停止!!アホ面でびくともしねぇ!心操の個性か?!」
相澤「だーからあの入試は合理的じぇねぇって言ってんだ」
マイク「え?なに?」
相澤「2人の簡単なデータだ。個人戦になるから簡単にまとめてもらっといた。心操、あいつヒーロー科の実技試験で落ちてる。普通科も受けてたのを見ると、想定済みだったんだろう。あいつの個性は相当に協力なものだが、実技試験は仮想ヴィランとの戦闘。物理攻撃力を持つ個性の受験者が有利な内容だった。心操じゃ、そりゃポイント稼げねぇよ」
ピクリとも動かなかった緑谷が今度は突然場外に向かって歩き始めた。
麗日「デクくん、どうして?!」
飯田「このまま場外に出たら試合に負けてしまうぞ!」
『...操られてる?』
尾白「ああ、奴の個性だ。おそらく奴の問いかけに応えたら洗脳される」
『そんな強個性が普通科に眠ってるのもおかしな話しだ』
切島「まあでも一般入試は仮想ヴィランとの戦闘だったから、洗脳系の個性は不利だよな」
そんな話をしていると今度は突然緑谷の周りに爆風が起こった。
何事かとみなが緑谷を見ると、場外ラインぎりぎりで踏みとどまっていた。
飯田「緑谷くーん!!!」
麗日「よ、良かった!!!」
心操の表情が歪み、観客席までは聞こえないがぽつりぽつりと何かを緑谷に話していることだけはわかった。
心操「あつらえ向きの個性に生まれて望む場所に行ける奴はよ!!!」
緑谷は心操の懐まで飛び込むと、心操の体を押し場外に押し出そうとしていた。しかし、心操もそれを妨害して逆に緑谷の体を場外ラインに向かって押し返す。緑谷の足が場外ラインに到達してしまう、そう思った瞬間..
緑谷「負けられないんだー!!!!」
緑谷が心操を背負い投げをした。
地面に叩きつけられた心操の足が場外ラインを超えた。
ミッドナイト「心操くん場外!緑谷くん、2回戦進出!!」
『(次は焦凍くんの試合か。
トーナメント遠くてよかった。焦凍くんには絶対勝てないもんなー。個性なしの組手なら勝てるけど...焦凍くん、大丈夫かな)』
──────
轟「(緑谷が勝ったか..)」
轟はステージに向かうためにバックヤードを歩いていた。
轟「邪魔だ」
角を曲がるとエンデヴァーが壁によりかかって立っていた。
エン「醜態ばかりだな、焦凍」
エンデヴァーの言葉を無視して再び歩き始めた轟。
エン「左の力を使えば障害物競争も騎馬戦も圧倒出来たはずだろう」
轟「..............」
エン「いい加減子供染みた反抗をやめろ。お前にはオールマイトを超えるという義務があるんだぞ。分かっているのか?兄さんらとは違う。お前は最高傑作なんだぞ」
轟「.....それしか言えねぇのか、テメェは」
歩みを止めることなく、怒りのこもった一段と低い声で言う轟。
轟「お母さんの力だけで勝ちあがる...戦いでテメェの力は使わねぇ」
エン「今は通用しても、すぐ限界が来るぞ」
エンデヴァーの言葉を無視してバトルステージに向かう轟が足を止めた。
轟「それと、莉紗に関わんな」
エンデヴァーの方を見ることもなく、低音ボイスをさらに低くし怒気の籠った声色で言うと今度こそステージに出ていった。
エンデヴァー「.......」
**
マイク「お待たせしましたー!!続きましては、こいつらだ!優秀!優秀なのにぬぐい切れぬその地味さはなんだ?!ヒーロー科、瀬呂範太!」
瀬呂「ひっでぇ」
マイク「バーサス!
予選2位、1位と強すぎるよ君!推薦入学者の実力は伊達じゃないってか!同じくヒーロー科 轟焦凍!」
轟「............」
『ん?(焦凍くん...様子が変だ)』
麗日「どうしたの?莉紗ちゃん」
『...何でもない』
俯き加減で表情は見えないが、彼をまとう空気が先ほど自分と話していた時と違うのに気づいた莉紗。
マイク「最終種目第二試合!レディー」
瀬呂「ま、勝てる気はしないんだけど」
マイク「ゴー!!」
瀬呂「っつって、負ける気もねぇ!!」
開始と同時に両手からテープを出し轟に巻き付けた瀬呂。
両腕ごと巻かれたため両腕を塞がれた轟。瀬呂はそのまま場外に向けて轟を引っ張った。
マイク「場外狙いの不意打ち!?この選択はこれ最善じゃないか?!」
上鳴「マジ?!瀬呂やる~」
芦戸「マジ?轟負ける?」
麗日「ちょ、莉紗ちゃん。これ、まさかの優勝候補の轟くん負けるんちゃうー?!」
目の前で起こった意外な展開に麗日が思わず隣にいた莉紗の腕を掴んで言った。
『瞬殺ブッパが出来る個性持ちを相手に、何かをさせる前に先手を打つ..瀬呂の奴、良い選択だよ』
峰田「お前は地味'sの鏡だぞー!」
『相手が轟君じゃなきゃ瀬呂の瞬殺だったね』
麗日「え、あれでも瀬呂くん勝てない?」
『轟くんは足元からも氷結出せるでしょ。今、足はフリー』
莉紗がそういうや否や、地響きがなり会場全体を覆ってしまうほどの巨大な氷塊が現れた。
轟の体に巻き付いていた瀬呂のテープも氷漬けにされ、轟が力を入れると簡単に壊れ轟の体は自由になった。
瀬呂「や...やりすぎだろぉ...」
ミッドナイト「瀬呂くん...動ける?」
瀬呂「動けるわけないでしょ...痛ぇ」
ミッドナイト「瀬呂くん行動不能!轟くん2回戦進出!!」
轟が瀬呂の元に近づき氷を溶かし始めた。
轟「すまねぇ、やり過ぎた...イラついてた」
会場には瀬呂に対するドンマイコールが響いていた。
.