Season5
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「莉紗」
クリスマスというイベントが終わろうとしている、12月25日の夜。時計はまもなく22時を指そうとしていた。
みんなで片付けをしている時後ろから聞き慣れた声で名前を呼ばれた。
『なに?』
サンタの格好をしながら洗い物の皿を持ちながら、そう聞いて来たのは昨日彼氏になった(戻った)轟焦凍。
轟「片付け終わったら暇か?」
『うん、どうしたの?』
轟「話したい事ある」
いつもとあまり変わらない様子で話しがあると言う焦凍くんに改まった話し?と、疑問が沸いたけど、純粋に2人になれるならなんだって良いやと片付けが終わった後焦凍くんの部屋に行く事を約束して手早く片付けに取り組んだ私。
***
コンコンとドアを叩くとすぐにノブを回す音が聞こえ焦凍くんが姿を現した。
轟「終わったのか?」
『うん、お待たせ』
轟「いや、洗い物任せて悪りぃ」
『大丈夫、焦凍くんに任せたらお皿割るもん』
からかうように言うと焦凍くんはバツが悪そうに頬を掻いて私の肩に手を回し部屋の中に誘導した。
中に入るとつい先日ネットで買ってくれた私専用の座椅子と、お揃いの湯呑みが準備してあった。
『準備万端だね。話しってなに?』
轟「話しは特にねぇんだが...」
『え?』
轟「ただ、一緒に居てぇと思った」
話しがあると言うのは単に2人になる為のただの口実だったみたいで、みんなにはインターンの事で話しがあると言ってきたらしい。
インターン先のプロヒーローとはいえ内輪の話しになるとかなんとかって。
隣同士に置かれた座椅子に座ると焦凍くんは急須を持って来て湯呑みに私の好きなお茶を淹れてくれた。
『そっか。まあ私もせっかくのクリスマスだから2人で過ごせたらと思ってたから嬉しいよ』
轟「....そうか」
少しだけ口をつぐんで俯き加減になった後、隣に座る私を抱きしめた焦凍くん。
轟「..好きだ、莉紗」
急に囁かれた愛の言葉に、私も焦凍くんの照れが移ったみたいで焦凍くんの背中に手を回しその広い胸に顔を埋めた。
するとふわりと香る焦凍くんの匂いに心地よくなり額を擦りつけると焦凍くんが不思議そうに私の名前を呼んだ。
『焦凍くんの匂い、落ち着く』
轟「シャンプーだろ?」
『んー、多分違うと思うけど。同じシャンプー使ってもこの匂い』
轟「体臭か?」
『....また、萎える表現使うね』
間違いではないんだろうけど、言葉選びでこうにも感じ方が違うものとは。
轟「...俺も」
『ん?』
轟「俺も好きだ。お前の匂い」
『そうなの?』
轟「ああ、石けんみたいな」
『....それこそシャンプーの匂いじゃん』
確かに私のシャンプーは"ほのかに香るフローラルソープ"って香りだけど....。
部屋来て5分足らずで私は何度ツッコミを入れたことやら。
焦凍くんと居ると本当に飽きない。
『焦凍くん』
轟「ん」
『インターン、頑張ろうね』
轟「ああ、そうだな。けど」
私の言葉に同調してくれたけど、どこかもの言いたそうな顔を浮かべた焦凍くん。
『ん?』
轟「あんま親父と仲良くすんなよ」
『..?ヤキモチ?』
轟「これがそうなのか?」
質問を質問で返してくる焦凍くん。
『私に聞かれても...』
ホントに飽きない。
それからしばらく焦凍くんと体を寄せ合い手を握られながらお喋りをしたり、目が合うとどちらからともなくキスをしたり久しぶりの2人きりの時間を噛み締めるように過ごしていると焦凍くんが急に「あ」と声を出した。
『どうしたの?』
轟「そば食いてぇ」
『唐突...乾麺あったかなあ』
2人で部屋を出て、キッチンのある共有スペースに向かうとそこは真っ暗闇。
時間はまだ20時過ぎたばかりだと言うのに、みんなもう寝たんだろうか?
真夜中かと勘違いするほどの静寂と暗闇の中、手探りでキッチンの電気を探りパチッとスイッチを入れたその時。
パンっ!パンっ!とか弾けるような音が立て続けに鳴り響いた。
『え...?』
麗日「莉紗ちゃん!お誕生日!」
「「「おめでとう!!!」」」
紙吹雪やらスパンコールやらが宙をひらひらと舞う中響いた友人達の声。
目の前に書かれた"Happy Birthday"の文字。
突如繰り広げられた光景に唖然としていると透が私の肩を掴んで前後に揺さぶり始めた。
葉隠「莉紗ちゃんったら、誕生日教えといてよ~!」
耳郎「轟から相談されなきゃ知らないで過ぎるところだったじゃん」
『相談?』
相談とは何事なのか。わけも分からずその話題の張本人に目をやると、いつものポーカーフェイスを変えることなく口を開いた。
轟「お前の誕生日近ぇから祝いたかったけど外出出来ねーし、どう祝ったら良いかみんなに相談した」
『別にそんなの気にしなくて良かったのに』
蛙吹「莉紗ちゃんが産まれた日だもの。皆でちゃんとお祝いしたかったのよ」
切島「おーよ!他の奴の祝い事には風舞、全力で準備頑張ってくれてたしな!」
緑谷「おめでとう、風舞さん!」
『あ、ありがとう』
予想もしていなかったサプライズに少しばかり動揺してしまったのはみんなには内緒だ。
麗日「莉紗ちゃん、はい!これは女子から!」
お茶子ちゃんから渡されたのは可愛らしく包まれたプレゼント用のラッピング袋。
『ありがとう』
それを受け取り綺麗に結ばれたリボンを解いて中を見ると、そこには普段あまり着ることのない可愛らしいパステルカラーのAラインワンピース。
芦戸「デートの時に着なよ!」
葉隠「轟くん絶対メロメロになっちゃうよ~!」
『うわ、魂胆がめちゃくちゃ嫌なやつ...』
飯田「風舞くん!これは男子からのプレゼント受け取ってくれ!」
『ありがとう』
緑谷「まあ、男子からと言っても何を買ったら良いか分からなくて女子が考えてくれたんだけどね」
男子からのプレゼントは白いダッフルコートだった。
上鳴「ちゃんとかっちゃんも入ってるからな!」
『嘘やん、絶対その爆豪偽物じゃない?』
爆豪「んだとクソアマ?!入ってねぇーわ!ボケ!誰がテメェなんかにプレゼントなんかすっか!!」
『あー、ハイハイハイ』
女子のプレゼントのワンピースに合わせなさいと言わんばかりの男子からのプレゼント。
女子が選んだのなら納得だ。
瀬呂「そういや、轟は個別で渡すみたいで入ってないぜ」
『個別?そうなんだ』
少し離れた場所で飯田や緑谷と話している焦凍くん。
葉隠「轟くんったらクソロマンチストか〜!」
芦戸「もしや、婚約指輪か!」
三奈の言葉に女子達がざわつき始めた。
八百万「まあっ!!おめでとうございます莉紗さん!」
麗日「結婚式絶対呼んでね!」
耳郎「ウチ、余興に歌うよ」
『...憶測で盛り上がるのやめてくれる?』
**
誕生日パーティーの片付けは主役はやらなくていいとかなんとかでさっさと部屋に戻れと言われたから焦凍くんの部屋に向かった。
ドアをノックすると、すぐに開けてくれた。
轟「早かったな」
『主役は片付けしなくていいんだってさ』
轟「そうか、悪りい。俺もさっさと戻ってきちまった」
『居てもどーせ似たような事言われて追いやられるよ。面白がってたし』
轟「?」
片付けは良いから早く行きなよー!とか、
婚約発表待ってるよ!とか。
まあ焦凍くんに余計な事吹き込んでくれそうだからむしろさっさと退散して来てくれて良かったのかも。
『それで、何か用があったんでしょ?』
轟「あぁ。これ、渡そうと思って」
そう言って焦凍くんが差し出して来たのはシルバーに黄緑色のストーンがついたリングだった。
小さめサイズに見えるそのリング。
『ピンキーリング?』
轟「何が良いかわかんねぇから女子達に聞いた。最初ネックレスって言われたが、もうあげてたからコレが良いんじゃねぇかって」
『そっか』
轟「幸せになるチャンスを掴む、的な意味があるんだろ?」
『そうなんだ。ごめん、わたしもそういうの詳しくないからなぁ』
轟「そうか。...お前には、幸せになって貰いてぇから」
そう呟いた焦凍くんの表情はどこか少し暗かった。
『え?』
轟「たくさん傷つけたし、不安にもさせといてこんな事言うのも都合良いかもしれねぇけど」
昔の事、今でも気にしてるのかな...。
焦凍くんのせいじゃないのに。
『焦凍くん...。なんか、分かってないみたいだけどさ』
轟「なんだ?」
『私焦凍くんと居れたらそれで十分幸せだよ?』
轟「え」
そう、やりがいのある育児やマネージャー業で忙しない日々は過ごしていたから退屈はしなかった。だけど心が満たされる事はなかったし、今みたいに大変だけど楽しくて仕方ないって感情も湧かなかった中学時代。
それはきっと焦凍くんがいなかったから。
焦凍くんが私の日常から居なくなってから私の日常は何の音もせず、何の色味もなかった。
『焦凍くんがいたら、それだけで私十分なんだ』
轟「莉紗...。
ありがとな、一緒に居てくれて」
『私は出来ればずっと居させてもらいたいなあ』
轟「居てくれんのか?」
『焦凍くんにもういらないって言われない限りは』
轟「じゃあ、ずっと一緒だな。お前の事いらなくなる事なんてねぇ」
出来ることならこれからの未来も
一緒に歩き続けていけたらいい。
私が夢を叶えるところ、焦凍くんが夢を叶えるところを隣で見届け合いたい。
私達の夢を応援するように、私の小指がキラキラと光り輝いている。
**
翌日
芦戸「風舞〜!プロポーズの言葉は?」
葉隠「子供は何人希望〜?」
耳郎「余興何歌って欲しい?」
『マージでその冷やかしウザい』
麗日「轟くんから何もらったん?」
『いや、女子からアドバイスして貰ったって聞いてるんですけど』
蛙吹「轟ちゃんたら、正直ね」
『正直と言うかあいつ嘘つけないのよ』
八百万「莉紗さん、お幸せに!」
芦戸「式は呼んでよ〜!」
『あー、はいはい!どうもどうも!』
....一生続くのかな、この冷やかし。
終われ
