Season5
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『ん...』
差し込む朝日が眩しくて思わず顔を歪めた。
ゆっくり目を開けると目の前には綺麗な焦凍くんの寝顔があった。
昨日、恋人に戻って1つになった私達。
そのまま焦凍くんの部屋に泊まったから居て当たり前なんだけど、起きたら焦凍くんがいる。それが嬉しくて幸せで。
堪らなくなった私は、焦凍くんの首に腕を回してギュッと抱きついた。
轟「ん、莉紗....?」
私が抱き着いた事で起きてしまった焦凍くん。
寝ぼけた声を出しているけど、ちゃんと腕を回して抱きしめ返してくれるのが嬉しかった。
『ごめん。起きたら焦凍くんがいるの嬉しくて抱き着いちゃった』
轟「え...」
焦凍くんは私の言葉を聞いて目を丸くした。
何で?と思ったその時、何故か私の額にデコピンを食らわせて来た。
『いたっ..』
轟「朝からそういう事言うのやめろ」
『何で?ホントの事なのに』
轟「だからだろ。朝から襲われてぇなら良いけど」
つまり、何だ。
さっきの私の言葉は焦凍くんの中で煽り認定だったって事か。
そんなつもりはなかっただけに焦凍くんにそんな破廉恥な解釈をされている事に一気に羞恥心が沸き上がった。
『そ、そんなつもりで言ったんじゃないからね?!/////』
慌てて弁解すると焦凍くんがふにゃっと柔らかく笑って、私の頭にポンと手を乗せた。
そんな些細な仕草に私の心臓はまた鼓動を速めた。
**
起きるにはまだ大分早い時間だったけど、一緒に男子寮から共スぺに戻ったらどんな冷やかしを受けるか分かったもんじゃないから私は先に自分の部屋に戻った。
スマホを充電しないで寝たから、今のうちに充電をしようと差込口にケーブル挿そうとした時、1件の新着メッセージが来ている事に気づき確認すると相手は、おじさまだった。
"今後インターン活動が再開した際は、また来るか?"
との確認のメッセージだった。
もちろん、No.1の所で学べるならそれ以上にありがたい話しはない。
"受け入れてもらえるならお願いします"
そう返事を返すと、おじさまから"わかった"と一言だけ返事が来た。
おじさまとのやり取りを終え、身支度を整えていたら活動するのに良い頃合いになって来た為、共有スペースに降りた。
早起き組がちらほらいて挨拶を交わし自分の朝食の準備を始めた。
アナ「仮免取得から僅か30分後にプロ顔負けの活躍。今回は見事ヴィランを撃退した、雄英高校ヒーロー科1年A組の轟焦凍くんと爆豪勝己くんにお話しを伺いたいと思います」
シーン....
アナ「...お二人は、普段から仲良く訓練されてるんでしょうか?」
爆豪「そう見えんなら、眼科か脳外科行った方が良いぜ?」
轟「仲は良いです」
爆豪「あぁっ?!適当こいてんじゃねぇぞ?いつテメェと仲良くなったんだゴラァ?!」
轟「仮免補講で2人一緒に居る事多かったろ」
爆豪「何だそのシステムは!!」
轟「システムってのは何だ?」
爆豪「知らねェよっ!テメェも脳外科行けや!」
正午過ぎ、昨日ヴィラン討伐をした2人に、メディアが取材にやってきていて私達はカメラに映らない場所で存在感を消してその様子を眺めていた。
取材を受ける2人の様子に飯田もお茶子ちゃんも緑谷も唖然としている。
『仲良しのハードル低すぎだろ...』
**
12月下旬。2学期終了も目前に迫っていた。
先日、爆豪と焦凍くんが受けたインタビュー映像が全国放送されるって事で皆でスマホの動画サイトで探すとさっそくアップロードされていて、映像を見てみた。けど....。
瀬・上「「ブワッハッハッ!!」」
『見事に爆豪カットされてるねぇ...』
1時間も取材を受けていたのに粗相すぎる対応をした爆豪のシーンが見事にカットされていてほぼ焦凍くんへの取材みたいになっている。
爆豪「使えや...怒」
麗日「ある意味守ってくれたんやね...」
八百万「もう3本目の取材でしたのに」
耳郎「仮免試験の高評価が台無し」
そんな騒がしい朝を過ごし、私達は気持ちを切り替えて今日の特別授業を受ける事になった。
教室に入って来たのはMtレディ。
Mt「今日行うはメディア演習。現役美麗注目株のこの私、Mtレディがヒーローの立ち振る舞いを教授します!」
切島「何するか分かんねぇが」
『メディア対応の練習じゃない?』
切島「みんな!プルスウルトラで乗り越えるぜ!!」
「「「「おぉ!!」」」」
コスチュームに着替えてグラウンドにやってきた私達。
そこには雄英のロゴが一面に書かれたバック画にステージが設置してあった。
Mt「授業内容は、ヒーローインタビューの練習よぉ!ヒーロー ショート、こっちに」
轟「はい」
トップバッターに指名されたのは焦凍くん。
『大丈夫かなー』
麗日「この前ちゃんと受け答え出来てたし大丈夫やない?」
ズレた回答も多かったけど。
皆が思ってる以上にズレてんだよ、奴は。
Mt「すごいご活躍でしたね、ショートさん」
轟「何の話しですか?」
Mt「コソっ、何か一仕事終えたていで!」
轟「あ、はい」
先行き不安すぎるその模擬インタビューの行く末を固唾を飲んで見守る私。
Mt「ショートさんは、どのようなヒーローを目指しているのでしょう?」
轟「俺が来て、皆が安心出来るような」
Mt「素晴らしい!貴方みたいなイケメンが助けに来てくれたら私逆に心臓バクバクよ~?!」
轟「! 心臓..悪いんですか?」
何でそうなる....。とぼけた顔で言う焦凍くん。
見ろ、イケメンのボケ発言にMtレディの周りがピンク色になっちゃったじゃないか。
Mt「どのような必殺技をお持ちで?」
Mtレディからのその質問にさっきまでのとぼけた顔が一転し、キリッと引き締まった表情に変わった焦凍くんは右手の平を振り上げた。
轟「穿天氷壁。攻撃制圧や足止め、足場作りと幅広く使えます。あと、もう少し手荒な膨冷熱波という技を」
ついこの前、技名をどう考えてるか相談された際に一緒に考えてあげた技名を、実演と共に披露した焦凍くん。
..にしても霜降りるくらい本気でやらなくても。
耳郎「あれ..B組との対抗戦で使ったやつは?」
砂藤「あれな、エンデヴァーの...」
葉隠「赫灼熱拳!」
轟「赫灼熱拳は親父の技だ。俺はまだ、あいつに及ばない」
そう言う焦凍くんの顔はおじさまへの憎しみに満ちていた以前とは違って、ただ前を見据えて高みを目指している。そんな風に見えた。
Mt「パーソナルな所まで否定しないけど、安心させたいなら笑顔を作れると良いかもね。貴方の微笑みなんて見たら、女性はイチコロよっ」
轟「俺が笑うと...死ぬ....」
『あのボケどうしたら治るんだろう....』
緑谷「あはは...苦笑」
常闇「技も披露するのか、インタビューでは」
Mt「あらら、やだわ雄英生。みんなが貴方達の事を知ってるわけじゃありません!
必殺技は己の象徴。何が出来るかは技で知ってもらうの。
特にチームアップ連携、ヴィラン犯罪への警鐘、命を委ねてもらうための信頼、ヒーローが技名を叫ぶのには大きな意味がある」
そう真面目に話すMtレディの姿に峰田がバケモノでも見たかのような表情を浮かべた。
峰田「ちょっと前まで、カメラ映りしか考えてなかったはずだぜ?あの女..」
相澤「Mtレディだけじゃないよ。今、ヒーロー達皆引っ張られてるんだ。No.1ヒーローに」
Mt「さあ、バンバンインタビューしちゃうよ!」
皆が次々とインタビューを受けて自分をアピールして、そこにMtレディのコメントが入っていく。
Mt「はい、次!ウィンディ!」
『あ、はい』
どんな質問が飛んでくるか気構えながら、階段を登ってMtレディの前に立った私。
Mt「大活躍でしたね!」
『ありがとうございます』
Mt「ヴィランと戦う時はいつもどんな気持ちで対峙しているんですか?」
『どんな...』
質問が難しい...。どんな気持ち?林間合宿の時、どんな気持ちだった?何を思って戦ってた?
『助けなきゃ、って一心で戦ってます』
Mt「素晴らしい!ヒーローの鏡ですね。ウィンディはどんな技をお持ちですか?」
皆、それぞれ1つ必殺技を披露していたから私も実演で披露するべきなんだろうけどどれを披露したら良いんだろう。
技は己の象徴...か。私を象徴する技、私の原点。
披露する技を決めた私は、右手を大きく振り上げ突風を起こした。
『突風木枯らし。威力や範囲の調整も幅広く可能なので、これで大抵の足止めは出来ます』
Mt「わぁお!派手さはないけど存在感のある技ですね!」
当たり障りなく無難な感じで私のインタビューは終わり、私の次に呼ばれた爆豪がステージ上にあがった。
爆豪「俺ァ、適当な事は言わねぇ!!黙ってついてこーい!!」
Mt「1人だとインタビューはまだマシね。分かった、ソリが合わないのね?人類と」
『すっごい毒...』
轟「悪りぃ、爆豪。俺が居たから丸々カットに」
『こっちも無自覚挑発してるし』
爆豪「思い上がんな!!テメェなんぞが俺に影響与えられるわけねェだろうが」
轟「そうか」
そして最後に壇上に呼ばれた緑谷。
本番でもないのに何故かめちゃくちゃ緊張して全身ガッチガチになって、声も聞きとれない程にか細い。
切島「あいつ!いつの間に俺の硬化を!」
蛙吹「上がりすぎ。そういえば、こういう機会には恵まれてないものね」
Mt「貴方の技はオールマイトリスペクトが多いように思われましたが、やっぱり憧れてる?」
緑谷「はい!!」
Mt「そこは声デカいんかい...」
緑谷「あ、でもそれだけじゃダメだと思って自分なりにオールマイトの技をカスタマイズしてみたりもします!例えば、デラウェアスマッシュはオールマイトのレパートリーにはない州からつけた技名で....」
『緑谷が戻って来たって感じだね』
麗日「う、うん...そやね」
そして皆と同様、技を披露する事になりその中でも先日戦闘訓練中に暴走していた黒い帯状の技を披露するみたいで目を閉じ腕を伸ばして集中を始めた緑谷。
どんな風に出てくるか、息を飲んで緑谷に注目していたらひょろっと小さな蛇が顔を出したようなのが少し出て来ただけ。
シーン....
緑谷「よっしゃ!今はぴょろっとですがコントロールの第一歩です!ゆくゆくはこれも!」
うん....まあ、暴走させないように発動出来るようにするのは第一歩だよね。
私も、早くアレを完成させられるように頑張ろう。
そんなこんなで日が流れ、迎えた1年最後のイベント。
砂藤「せーの!」
「「「「メリークリスマス!」」」」
皆で準備した飾りつけと料理、そしてシャンメリーでクリスマスパーティーを始めた。
瀬呂「このローストチキン超うめぇ!砂藤の手作り?!」
砂藤「んーや、ローストチキンは風舞の担当だな」
瀬呂「風舞!ローストチキン超旨ぇ!」
『ありがと。梅雨ちゃんのクリームシチュー美味しすぎる』
蛙吹「ありがとう、莉紗ちゃん」
上鳴「このローストビーフもうめぇ!」
麗日「このピンチョス綺麗だし、美味しい~」
シャンメリー片手に皆でオードブルを食べながら感想やレシピを教え合いながら食べてる私に、向かいに座った砂藤が私を呼んだ。
砂藤「風舞!ローストチキンの味付けの配合今度教えてくれ」
『ごめん、いっつも目分量で適当だから使ってるものしか教えられない。砂藤も今度ローストビーフ教えてくれる?まだ作った事なくて』
瀬呂「風舞良い嫁さんになるなぁ、な!轟!」
轟「? ああ、そうだな」
私も砂藤の会話を聞いていた瀬呂が隣に座る焦凍くんの肩に腕を回してしょーもない事を言っているけど、とりあえず聞こえないフリしよう。
にしても否定はされたくないけど、肯定されるのもこっ恥ずかしくてマジやめて欲しい。
切島「インターン行けってよ。雄英史上最も忙しねぇ1年だな、おい」
耳郎「2人はまたリューキュウだよね?」
麗日「そやね、耳郎ちゃんは?」
蛙吹「莉紗ちゃんも次もエンデヴァー事務所かしら?」
『そうだね。再開しても受け入れてくれるって言われたし』
パーティーの話題は一気にインターンの話しに切り替わった。
緑谷に至っては、以前行ってたナイトアイ事務所をセンチピーダーが引き継いだみたいだけどかなり多忙な様子でインターン生を受け入れる余裕はないみたいだし職場体験先のグラントリノも別件で動いていて受け入れは難しそうで今宙ぶらりんになっているみたい。
爆豪は爆豪で、職場体験で行ったジーニストが神野事件以来行方知らずとなっていてこっちも行先が決まってないみたい。
切島「けどまあ、オメェ指名いっぱいあったしな!体育祭で!行きてぇ所行けんだろ!」
爆豪「今更有象無象に学ぶ気はねぇ」
轟「インターン先か」
そんな真面目な話を繰り広げている所に相澤先生がやってきた。
相澤「遅くなった、もう始まってるか?」
そして、相澤先生と一緒に寮に入って来たのはサンタ姿の壊理ちゃん。
「「「「壊理ちゃん!!」」」」
麗日「か、可愛い!!」
『天使がいる....』
緑谷「似合ってるね!」
いつも壊理ちゃんと一緒にいる通形先輩は自分のクラスの皆とクリスマスを過ごしに行ったらしくて私達のパーティーに壊理ちゃんも混ぜてやってくれという相澤先生の依頼に私達は1つ返事で了承した。
壊理「玉子に絵描いた!」
麗日「それはイースター!」
『壊理ちゃん、ケーキ食べない?』
壊理「うん!」
皆でケーキを食べた後、周りからギター演奏をリクエストされて響香がギターを部屋に取りに行って戻って来た。
耳郎「莉紗、うち弾くから歌って」
『響香が弾き語りすればいいじゃん』
耳郎「一緒にボーカルやった仲じゃん」
とかなんとか言い合ってたら周りがやかましく歌えコールしてくるもんだから観念して響香と一緒にクリスマスに街で流れる某洋楽のクリスマスソングを歌った。
飯田「よし、プレゼント交換の時間だ!」
全員が用意したプレゼント+相澤先生が持ってきたプレゼントに紐をつけて何に繋がってるか見えないようにした。
ちなみに私は考えるのがめんどくさかったから空き時間に練習で作ったハンドメイドのトートバックをプレゼントにした。
だけど1つだけおかしいプレゼントあるんだよな。
なんか、モンハンに出て来そうなでっかい剣みたいなやつがさ。
全員好きな紐を選び、声を合わせて一斉に紐を引いた。
私の所にやってきたプレゼントの中身は、目がチカチカするほどにフレーム一面キラキラしてる眼鏡。絶対青山でしょ、コレ。
楽しい時間はあっという間に過ぎていき、壊理ちゃんがあくびをし始めたから梅雨ちゃんとお茶子ちゃんが教師寮まで壊理ちゃんを送り届けに行ってる間に私達は全員で後片付けを始めた。
そんな中、焦凍くんが両手に皿を持ったまま緑谷と爆豪のもとに近づいた。
轟「緑谷、爆豪。もし、行く当てがねぇなら、来るか?No.1ヒーロー、エンデヴァーのインターン」
緑谷「!」
爆豪「!」
『あ、それいい案だね』
緑谷「来るか?ってそんな、エンデヴァーには...」
轟「まだだけど。多分大丈夫だ」
『あ、私明日再開手続きで事務所行くから話ししておくよ』
轟「ああ、じゃあ頼む」
爆豪は体育祭優勝だし、緑谷にも興味を持ってる感じだったから多分絶対的な拒絶はしないと思う。
おじさまの場合、私は別として焦凍くん以外を自分が見たくないってだけで事務所自体はインターンの受け入れバンバンやってるし。
困ったクラスメイトの為に、人肌脱ぎますか。
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