Season5
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そして始まった第4試合。
A組チームは爆豪、耳郎、砂藤、瀬呂。
B組は取陰、鎌切、泡瀬、凡戸。
芦戸「爆豪まーたオラオラ俺様ムーブで振り回してんねー」
緑谷「あはは....」
『まあ、でも態度があんなんだから勘違いされやすいけど』
麗日「んー?」
『あいつもかなり先読みながら動いてるからね。そして、態度とは裏腹に冷静さは簡単に損なわない』
そう、爆豪とは何度も喧嘩しながら対戦してきたから分かる。
見た目のキレっぷりほど頭に血が昇ってるわけではない。
どんなにキレ散らかしてても、あいつは中々単調にはならない。
驚く程に、常に冷静。だから、相手の隙は逃さない。
....器は小っさーいけどな?笑
爆豪は先手を取ろうとしているのか工場内を走り敵を探していて、時々響香が周囲の状況をジャックで確認している。
先頭を走っていた爆豪が何かを感知したようで、一旦動きを止めて響香が索敵を始めた。
その時、気づくと爆豪の目の前に取陰のパーツがあちこちに散らばっていた。
敵の動きを鈍らせる為に瀬呂が周囲に張り巡らせていたテープごと凡戸の個性、接着剤によって辺りを包まれ逆に動きを鈍らされたA組。
そこに鎌切によって切り刻まれた配管が瀬呂達の上に降りかかった。
砂藤が瀬呂と響香を庇おうと2人の前に立ったその時、爆豪が落下してくる配管を丸ごと爆破で吹っ飛ばした。
突如、自分達を庇った爆豪にチームの3人が意識を奪われていた所に鎌切が響香に向かってきて刃を振り上げた。
だけど、爆豪の反応は素早くすぐに方向転換し響香の背中を足場に鎌切の目の前でA・Pショットを放ち、鎌切は咄嗟に避けその場を退避し爆豪はすぐに鎌切を追った。
爆豪「避けたか。虫は反射が速ぇなっ!!!」
再び個性を用いて畳かけようとした爆豪だったがB組は一旦退いたようで辺りに姿はなくなっていた。
耳郎「ありがとう!!」
爆豪「うるせぇ!逃げたぞ!探せ!!授業だろうが、何だろうが関係ねぇんだよ。
決めてんだよ、俺ぁ。勝負は必ず完全勝利。4-0無傷!これがぁ!!本当に強ぇ奴の勝利だ!!」
観覧席ではB組が口を開いてモニターを見ていた。
物間「あれぇ?僕の目が変なのかなぁ?彼、耳郎さんを庇ったような...」
上鳴「庇ったなぁ!足蹴で..;」
切島「あいつは意外とそういう奴だ。物間、大丈夫だ。目、変じゃないよ」
どう考えても皮肉で言った物間に、言葉尻そのままの意味で捕らえた切島がよく分からない励ましをした。
物間「あぁああぁ!キャラを変えたというのかぁあ!!」
まあ、そりゃあ物間の言いたい事も分からないでもないけどさ。
...ちょっとはね。あそこまで露骨に庇う事はあんまりないし。
でもあいつだって、ヒーローを目指す為に何が必要か何が足りないかちゃんと考えてる。だからこその変化だっていうのはA組の皆が分かってる。
轟「莉紗」
『ん?』
轟「B組の戦略。お前は何だと思う?」
『初手は、爆豪が単独先行プレイで連携が取れていないA組の隙を突くパターンを想定しての迎撃。
取陰の分裂を使って響香の索敵を欺いて居場所を読ませないようにしていた。爆豪と一騎打ちならあの3人だとちょっと不利だからね。何とか爆豪の隙を突いて響香をまず潰しに行った』
焦凍くんに自分の推測を話してる間にもモニターの向こうでは戦闘が続いていた。
泡瀬の個性で、配管に溶接され身動きの取れなくなった爆豪。
だけどそこに砂藤が来て爆豪を雁字搦めにしている部品を破壊しまくって解放した。
自由になった爆豪が泡瀬を追いかけて、追いつかれた泡瀬が再び爆豪を付近に溶接しようとパーツを放り投げると爆豪は爆破でそれらを破壊した。
黒い煙で塞がれた視界。
すると、爆豪の「任せるぞ!」の声が聞こえた。
段々と煙が晴れていくとそこには瀬呂と響香がいた。
耳郎「ハートビートサラウンド!」
響香が放つ高周波の音波に、泡瀬のフルフェイスガードが壊れ全身で直に音波を受けた。響香の技で身動きが取れなくなった泡瀬は瀬呂にテープで捕獲された。
一方の爆豪は、その場を響香たちに任せ1人凡戸を追いかけた。途中、取陰のパーツが襲ってきているのも軽く躱し追いついた凡戸に連続爆破を食らわせ、後からやってきた砂藤が4の字固めで凡戸を捕獲した。
『B組からすれば、爆豪主体の連携皆無なA組チームの小さな隙を狙っていく戦法だったろうに蓋を開けてみればチームを頼り頼られしっかり連携プレーをしてくる予想外の事態。驚くのも無理はないけど、そのパターンでしか想定してなかったのはB組チームの落ち度だね』
入学の時と比べて、A組で一番変わったのは色んな意味で緑谷だと思ってたけど爆豪の変化も負けてない。
私達皆、幾度もヴィランと戦い無力さを知り未熟さを知った。
上には上がいて、ただ力を持つだけじゃダメな事を知った。
でもそれはきっと爆豪も例外じゃなくて...。
頭も良くて戦闘能力も高いのに唯我独尊で時に横暴。
仲間を見ずに単独行動で協調性皆無だったのに幾度のトラブルや試練を経て爆豪も強いだけじゃダメだってきっと気づいたんだ。
爆豪は鎌切を掴み爆破の勢いと共に投げ飛ばし壁に激突させた。
気を失って落下していく鎌切を瀬呂がテープで捕獲した。
一方で取陰の本体には分裂していたパーツが1つ、また1つと戻っていく。
瀬呂が、爆豪から預かっていたらしい小型の手榴弾を取陰のパーツに自身のテープでくっつけていた。
そんなことも知らずに爆豪の手榴弾ごと取陰のパーツは本体に戻っていく。
その手榴弾に取陰が気づいた時には既に遅く、手榴弾は爆発し集まっていたパーツは爆破の勢いでバラバラに。
そして、手榴弾に気を取られていた取陰の背後に爆豪が接近。
盛大な爆破を0距離で食らった取陰は気を失った。
ブラド「なんと....なんと...なんとわずか5分足らず...思わぬチームワークでA組4-0の完全勝利だぁあ!!」
『色んな意味で完全にダークホースだったねぇ、爆豪』
轟「そうだな」
そしてあっと言う間に最後の試合がやってきた。
近くでハイタッチをして気合を入れていた三奈とお茶子ちゃんに応援の言葉をかけに行った。
麗日「よし!」
『お茶子ちゃん、三奈。頑張って』
麗日「ありがと、莉紗ちゃん!」
芦戸「一丁やってくんね!」
ステージに向かって観覧席を下りていく次の試合のメンバーの後ろ姿を見送り、皆のいる所に合流した私と焦凍くん。
轟「見ものだな、この試合」
『んー。心操がどう活かされるかだねぇ』
轟「緑谷は体育祭で心操と当たって直接洗脳を食らってる。それに第一試合も見てる。初見殺しは通用しねぇ」
『かと言って、変声期で声を真似てくる手法は変わりないしそれを正確に聞き分ける事が出来なきゃA組の連携は崩されて第一試合のB組チームの二の舞』
轟「緑谷達はばらけねぇ方が得策だな」
『だね。むしろばらけて知らない所で物間に誰かの個性がコピーされたりしてもそれはそれで厄介な状況を産むだけだし。でも緑谷結構逆転発想起こす奴だからなー』
試合展開を2人であれこれと話してるうちに、スタンバイが終わったらしくブラド先生の掛け声で開始のブザーが鳴った。
轟「索敵がいない分、緑谷が動いて誘い出さねぇ事には試合も動かなさそうだな」
『A組チームはそう考えるだろうね』
轟「A組チームは?」
『B組はそれを利用するだろって事』
モニターの向こうでは、緑谷と物間が対峙していた。
やはりB組は物間が緑谷を引き付けて残りの勢力でお茶子ちゃん達を潰しに向かったらしい。
そして身を潜めていたお茶子ちゃん達の方では既にB組の攻撃が始まっていた。
ねじや工場にあった部品などを柳の個性ポルタ―ガイストで操り奇襲をかけ、それを三奈が個性で溶かす。
だけど、ポルタ―ガイストで動かしているものの一部が急に大きくなり3人の上に落下した。おそらく小大の個性だ。
お茶子ちゃんが落下してくるものを個性で浮かせ被害を防ぐも、今度は庄田の個性で再び3人に向かって飛び交ってくるのを何とか回避している。
そして、緑谷と物間の方では緑谷がエアフォースを飛ばし物間が避ける攻防を繰り返していた。そんな中、突如として緑谷の手から現れた黒い帯状の何か。それらが緑谷の周りに溢れた。
緑谷を見ると左手を抑え、歯を食いしばり必死に何かに耐えているよう。そう、まるで個性を操れていないかのよう。
その帯状のものはまるで暴れるかのように辺りを破壊していき、しまいにはまるでその個性が緑谷を引きずりまわしているかのようにも見えた。
轟「緑谷の奴、新技か?」
『でも、その割にはなんか...制御できてないような。まるで、暴走してるみたいに...』
お茶子ちゃんが黒い物体を避けながら緑谷に近づきしがみついた。
そのうち、緑谷の手から出ていた帯状のものがゆっくりと消えていった。
と言うより、緑谷の手に吸い込まれていくようにも見えた。
緑谷は気を失ったように地面に落下していった。
もしかして、心操が洗脳をかけたのかもしれない。
お茶子ちゃんが頬を引っぱたくと緑谷が覚醒したけどそこに物間が不意をつき、柳の個性で操られた金属部品たちが飛び交い、そこに庄田と小大も現れた。
峰田と三奈もやってきて全員集結の大乱戦となった最終試合。
峰田はあちこちにもぎもぎを投げ飛ばしていたようで、峰田にだけは弾く性質となるもぎもぎの性質を活かしてトランポリンのようにあちこち縦横無尽に移動している為、どこに飛ぶかわからない峰田をB組も捕らえる事が出来ずにいる。
『小大と柳は個性の性質的に近接不利だし、あそこまで接近戦になれば三奈と峰田の方に分があるね』
轟「ああ」
そして緑谷の背後から迫り手を伸ばした物間。それをお茶子ちゃんが阻止し地面に倒した。
お茶子ちゃんに忍び寄った心操の捕縛布。それを緑谷が掴みその際お茶子ちゃんに個性をかけてもらっていたのか浮遊して心操の元に浮いて向かって行った緑谷はビルの中で心操と対峙した。
心操が捕縛布を巻きつけ力づくで破壊した建物のパイプ。
それが緑谷に向かって落下していくけど、緑谷は先ほど暴走していたあの黒いものでパイプの落下を防いだ。
さっきとは違う。コントロール、している?
心操が一旦退いていくのを緑谷が追いかける。
手が届きそうな距離まで緑谷が距離を詰めたその時、何かが緑谷の顔面に飛び込んだ。
落下しそうになったのを踏みとどまった緑谷が、体勢を整え飛んでくる捕縛布を自分の体に巻き付け心操の懐に入り地面に押し倒すとそのままその捕縛布で心操を捕獲した。
お茶子ちゃんは物間を投獄した後、三奈と峰田の方に向かい柳の頸部に手刀を入れ気を失わせそのまま近くにいた小大をもぎもぎの貼り付いているパイプ管に押し付けた。
突如として逆転している形態に意識を奪われた庄田の隙を三奈が顎へのクリーンヒットで捕らえ結果、B組4人投獄の1人戦闘不能でA組の勝利となった。
ミッド「これにて全試合終了となります。どの試合も皆、敵を知り己を知りよく健闘しました。というわけで結果発表」
相澤先生とブラキンが緑谷を止める必要があるかもしれない、とステージの方に行った為代わりにミッドナイトが進行をしている。
近くで"公正実況に務めるミッナイ。偏向実況のブラキンはただちに更迭すべし"というデモ板を掲げている響香。
ブラキン、A組の評価だだ下がりだ...。
今回の対抗戦、3対1の1引き分けでA組が勝利となった。
最終戦のメンバーが先生達と戻ってきてブラキンが整列の声をかけた為先生達の前に並んだ。
ブラド「これから改めて審査に入るが、おそらく..いや、十中八九心操は2年からヒーロー科に入ってくる。お前ら!中途に張り合われてるんじゃないぞ!」
ブラキンの確信を得ているその言葉に後ろにいた心操は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
来年から、同じヒーロー科か。中々手ごわいライバルになりそうだな...。
「「「「おおー!!」」」」
上鳴「先生!どっち?!」
切島「A?!」
鉄哲「B?!」
ブラド「その辺は追々だ。まだ講評は続いてるぞ」
芦戸「ていうーか先生!峰田最低だったんで断罪してくださーい」
峰田「ハァ?!あれは、ものすごいラッキーは不可抗力だが?!それに、おいらは身体張って庄田達を翻弄したんだが?!」
物間「フッ、今回は確かに僕らB組に黒星がついた。
しかし!内容においては決して負けてはいなかった!緑谷くんの個性がスカだったと分かればそれに応じた策を練れる!つまり、今からもう一回やれば次はわからなーい!!」
ブラド「やんねーよ、もう今日の授業は終わりだ」
ブラキンも一佳も苦労してんだなぁ。
ていうか....。
『峰田の奴、後でヤキだな』
轟「?」
戦闘訓練を終えて、校舎に戻る人の流れの中骨抜が鏡野の手を引いて人の流れに逆らってこっちに向かって来た。
骨抜はいつもの気の抜けた顔をして、少し後ろを歩く鏡野は何故か俯き加減でキョロキョロと視線を右往左往していて様子がおかしかった。
骨抜「ねぇ、風舞さ」
『何?』
骨抜「良かったら反奈と友達になってやってくんない?」
『へ?』
骨抜「なんか、風舞に惚れちゃったみたいなんだよね」
『.....どういう事』
轟「そういう趣味なのか?」
この天然男は多分惚れた腫れたの意味だと思っているみたいだ。
多分そういう意味で言ってるんじゃないと思うのはただの直感だけど。
『多分そういう意味じゃないから少し黙ってようか』
轟「? おう」
骨抜「まあほら、反奈こういう性格だし他の女子達みたいにA組とフレンドリーに付き合えないの悩んでたからさ」
『んー、私としてはB組も皆ライバル兼友達のつもりでいたから今更感は否めないけど』
鏡野「え...?」
でも内気そうな鏡野からすれば一佳や取陰みたいにA組とも気さくに話せなくて疎外感みたいなのあったのかな。
『でも、ちゃんと話した事なかったもんね。LINE交換から始めよっか』
鏡野「っ../// あ、ありがとう!///」
照れくさそうに笑ってお礼を言う鏡野が私の目にはとても可愛らしく映った。
『可愛いねぇ』
骨抜「そうでしょ、まあよろしくしてやってよ」
轟「良かったな、お前女子の友達いねぇっつってたもんな」
『それ中学の時の話しな。今はどう見てもいるでしょ』
悪気もなく軽く貶してくる隣の幼馴染を一睨みして鏡野の肩を掴んで一緒に校舎に向かって歩き始めた。
鏡野「あの、風舞さん...」
『莉紗でいいよ。私も反奈って呼ぶね』
鏡野「あ、うん...えっと....莉紗、ちゃん..../////」
『ん?』
後ろをちらっと見て、少し離れた後方で焦凍くんと骨抜が何やら会話をしているのを気にしている様子の反奈。
鏡野「莉紗ちゃんも、轟くんと..幼馴染なんだよね?」
『うん、そうだけど』
鏡野「やっぱり名前で、呼び合ってる?」
『え?あー、普段はそうかな』
鏡野「名前って....どうやって呼んだらいいんだろ....」
『..どうって?』
鏡野「私、昔から骨抜くんって呼んでて..付き合ってから骨抜くんにそろそろ名前で呼んだら?って言われたけど...ずっとこの呼び方だったから...」
『あー、それは中々変えられないよねぇ。んー、私達は最初から名前だったからそれのアドバイスは持ち合わせてないな』
鏡野「そうだよね...」
『でも、入学した時は周りに幼馴染だって隠してたからお互い苗字で呼び合ってたよ』
鏡野「そうなの?」
『うん、違和感ありまくりだった。でも段々慣れてきたら当たり前になって幼馴染って知られた後も2人で会話するときとかは名前で呼び合うけど他の人と話す時とか他の人がいるときはなんとなく苗字のままになって。今じゃなんか苗字だったり名前だったりでごちゃごちゃになってるよ。特に向こうは』
鏡野「そっか」
『だから慣れるまでは照れくさいだろうし違和感あるだろうけど、呼んでみない事には始まらないからね』
鏡野「そう、だね...」
『でも骨抜はあんまり強制したり急かしたりしなさそうだし、ゆっくりでいいんじゃない?口にするのが恥ずかしいなら手紙とかLINEとかでまずは呼んでみるとか』
鏡野「確かに、口にするよりは出来そう...」
『そういうのは焦らず2人のペースで良いと思うよ』
鏡野「うん、ありがとう莉紗ちゃん」
**
鉄哲「バカ野郎!!!」
切島「うっ!!」
鉄哲「テメェ!弱音吐いてんじゃねぇ!!」
切島「しかし..今日俺は完全にお前に上をいかれた...」
鉄哲「俺は金属故に熱に耐えられる...だが、金属故に限界コードがある!打てば打つほど固くなるテメェとは違う!俺とオメェは違う強さがあんじゃねぇーのか!!」
切島「うぉお!!鉄哲ー!!泣」
『......やかましい』
対抗戦を終えた夜。
A組とB組で全員ではないもののA組の寮に集まって、合同の反省会と交流会を兼ねた食事会を開いている現在。
麗日「良く言えば、熱いね...」
『違う強さはあるけど、同じアホさもあるのがあの2人だ』
葉隠「莉紗ちゃん、今日も毒性強いね~」
『あ、お茶子ちゃん。緑谷戻って来たよ』
麗日「あ、ホントやね!..って、何でうちに言うん?!」
『え、いや?なんとなく?』
ドアの方には戻って来た緑谷と飯田が会話をしていて、緑谷が中に入ると焦凍くんが緑谷に声をかけた。
近くにいるお茶子ちゃんや透や反奈とヤオモモの入れてくれた紅茶を飲みながら2人の会話に耳を傾けた。
緑谷「轟くん」
轟「お前も個性二つ持ちだったのか」
緑谷「え?」
轟「体育祭ん時、"全力でかかってこい"。そう言ってたお前が力を隠してたのなら俺は多少ショックなんだが...」
...何かやっぱ焦凍くんってズレてんだよなあ。
でも緑谷のアレが何かわからないけど、2つ持ちではない気がする。仮にそうだとしてもあの緑谷の様子からすると多分ポッと出の発現な気がする....。私今同じ立場だからか何となくそんな気がした。
一生懸命弁明してる緑谷。
今日突然あんな事が起こって緑谷自身も戸惑ってるみたい。
それは仕方ない、いきなりあんな暴走みたいな感じになれば誰だって。
緑谷「轟くんもすごかったよ!炎、あんなに使えるようになってたなんて」
轟「いや、まだまだだ。それこそ今のお前と変わらねぇよ。だからさ、俺はもっと上へ行くよ」
そう穏やかな口調で話す焦凍くん。
その言葉の意味するものが何かわかった私は、どこか安心したような嬉しいような気持ちを押し隠し女子トークに意識を戻した。
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