Season1
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翌朝
昨日の訓練で疲れた為か、夕べはベッドに入ったらすぐ寝付いてしまったようで気づいたら朝になっていた。
『はぁ....眠いなぁ』
まだ働かない頭で体を起こし動き始める莉紗。
梨央「あ、お姉ちゃんおはよう!」
『おはよ。早いね梨央』
梨央「えー、今日はお姉ちゃんが遅いんだよ?ほら」
妹が指さす時計を見るといつも起きる時間よりも20分も遅かった。
『うわ、やらかした...』
自分が起きる前には父も母も仕事に出るため弟を保育園に預けてそのまま出勤する為基本的には朝も不在。早番の時には保育園の開園時間前に出勤の為保育園に送るのは私の仕事。
そして私は小学生の妹と動き出す時間が同じなため毎朝私が朝食を作って妹と一緒に家を出る。しかし、私が起きてこないため妹は常備してあるパンを食べたらしい。
『ごめんね、梨央』
梨央「いいよ~、お姉ちゃんも新しい学校で疲れたんでしょ?」
我が妹ながら、理解力があって7歳にしてはしっかりしていて助かった...
『そうなんだよねー、入学早々疲れちゃった』
梨央「でもヒーローになる為だもんね!お姉ちゃんガンバ!」
『ありがと、行こっか』
妹と一緒に家を出て、友達と合流する通学路まで見送ると踵を返し自分も学校に向かって歩き出した。
**
いつもの乗る通学電車。
通学、通勤ラッシュの時間の為それなりに人が混んでいる。
『(通学方法変えたいなぁ....
あ....)』
電車を待ちながらそんなことをぼんやり考えていると少し離れた乗り口に赤と白の頭を見つけた。
『(焦凍くん....)』
家がほぼ同じような場所にあるため、嫌でも登下校でタイミングが合ってしまうためこうして見かけることが多い。
入試で会って以降何かと向こうからも話しかけてくれるし、話しかけても素っ気ないなりに普通に話してくれる為、声をかけようかとも思ったが、電車が来ることを知らせるアナウンスが響いたうえ混み合う人をかき分けて行かなければ行けなくなるなと、電車を降りてから声をかけることにした莉紗。
駅を出て人が少なくなった頃を見計らって声をかけようと小走りで近寄った莉紗。
『(でも...迷うなぁ。
中学の時はあんな突き放し方されたし...
そもそも昔会いたくないって言われた...しなぁ...)』
そして、迷ったあげく私は結局声をかけられずに学校に着いてしまう。
轟side
同じ電車の少し遠い乗り口に莉紗の姿が見える。
声をかけようか考えたが、最近の自分の行動を思い返してそうしなかった。
中学の時、莉紗を親父から守るために俺は自ら莉紗を突き放した。あの時の莉紗の顔は、結構キツかった。
あいつの為、とはいえそんな顔をさせたのは自分だったから。
しかし、俺たちは同じ雄英に進んだ。
2人とも元々ヒーローを目指していたからおかしな事は何もない。
俺もあいつも不本意とはいえトッププロヒーローを親に持ちその親達に地獄のような鍛錬を強制させられてきたがため、実力はそれなりにあると思うから。
だが、俺はあいつを守るために突き放したのにこうして近くにいると自分から近づいていって関わってしまう。
守りたいなら必要以上に関わるべきじゃない。
なのに、昔みたいにあいつといるのに心地良さを感じてやってる事と言ってることが矛盾している自分に反吐が出る。
子供の頃何度もその小さな身体で、俺のことを守ろうとして傷ついているところを見ていた。
俺のために自分のことを無下にしたり、後回しにする。あいつはそういう奴だ。だから、親父のいいようにはさせねぇしあいつを利用するのも許さねぇ。
....そんなことを思っても、きっと今日も俺は、あいつの側に行っちまうんだろう。
**
今朝は、結局轟に声をかけられなかった莉紗。
昔、父親越しとは言え会いたくないと言われた手前積極的に自分から話しかけにくくなり女々しくなっていく自分に若干イライラしていた。
そんな中、いつも通り学校に到着するといつも通りじゃない光景が広がった。
「あ、雄英の生徒さんですね!オールマイトについて聞かせてください!」
『え、や。学校の許可無く話せないんで』
校門前にマスコミが群がっていた。
とてつもなくしつこいマスコミを適当にやり過ごしなんとか教室にたどり着いた。
相澤「昨日の戦闘訓練お疲れ。VTRと成績見させてもらった。
爆豪、お前もうガキみてぇな真似するな。能力あるんだから」
爆豪「...分かってる」
相澤「で、緑谷はまーた腕ぶっ壊して一件落着か。個性の制御、いつまでも出来ないから仕方ないじゃ通させないぞ。俺は同じことを言うのが嫌いだ。それさえクリアすればやれる事は多い。焦れよ、緑谷」
緑谷「は、はい!!」
相澤「HRの本題だ。急で悪いが今日は君らに....」
「「「(また臨時テスト....?)」」」
相澤「学級委員長を決めてもらう」
「「「(学校っぽいのキター)」」」
切島「委員長、やりたいです!」
上鳴「それ俺も!」
耳郎「うちもやりたいっす」
青山「僕のためにあるや「リーダーやりたぁい!やろう!(by芦戸)」」
普通科なら雑務って感じで嫌がられる傾向にある学級委員長も、ここヒーロー科では集団を導くというトップヒーローの素地を鍛えられる役であるため人気がある。
飯田「静粛にしたまえ!他を牽引する責務、責任重大な仕事だぞ。やりたい者がやれるものではないだろ。周囲からの信頼あってこそ務まる政務。民主主義に則り真のリーダーをみんなで決めると言うならこれは投票で決めるべき議案」
そんな飯田の右手は天から牽引されてるかのように伸びきっている。
「「「腕そびえ立ってるじゃねーか!(じゃん!)」」」
上鳴「何故発案した?!」
蛙吹「日も浅いのに信頼もクソもないわ、飯田ちゃん」
切島「そんなんみんな、自分で入れらぁ」
飯田「だからこそ、ここで複数票取ったものこそが真のリーダーにふさわしい人間ということにならないか!どうでしょうか、先生!」
相澤「時間内に決めりゃなんでもいーよ」
既に寝袋に入っていた相澤はそう言って横になった。
『(誰にしよう。立候補してない人に入れるか。焦凍くんと...あれ、緑谷ってあげてたっけ?でも、戦闘訓練の時の緑谷の判断力は中々なものだったし..。焦凍くんに入れたのバレたら睨まれそうだから緑谷にしよ。どーせ、八百万あたりっしょ)』
そして、投票結果...。
緑谷出久 4票
八百万百 2票
芦戸、蛙吹、青山、尾白、上鳴、切島、口田、砂藤、耳郎、障子、瀬呂、常闇、爆豪、葉隠、峰田
各1票(※おそらく自票)
緑谷「僕4票?!」
爆豪「なんでデクにっ!!誰がー!」
『あんたに入れるよりマシでしょ』
目の前で騒ぎ出した爆豪にたった一言ツッコんだ莉紗。
瀬呂「まあ確かにそれはわかるなぁ」
飯田「0票....わかってはいたが....さすがは正職と言ったところか....」
とても悔しそうに言う飯田に周りは怪訝な表情を浮かべた。
八百万「他に入れたのね....」
砂藤「お前もやりたがってたのに、何がしたいんだ?飯田」
轟「『.........』」←学級委員に興味ない
『(ごめんよ~、緑谷。ワザとだけど悪気はないんだよ。いや、悪気はあるけどワザとじゃない..かな)』
そして、無事投票が終わり上位2人が教壇前に立った。
相澤「じゃあ委員長は緑谷、副委員長は八百万かー」
緑谷「ま...マジでか.....」
ガクガクと震えて緊張している緑谷に委員長になれなかったよりもこんな感じの緑谷に負けたのが悔しいと言った感じの八百万。
蛙吹「いいんじゃないかしら?」
切島「緑谷、何だかんだで熱いしな!八百万は、講評の時の方がかっこよかったし」
お昼の時間になり莉紗は寝坊をしてお弁当を作れなかった為今日は食堂で食べることにした。
『(何食べようかなー.....)』
キョロキョロと何を食べようか迷い、別の場所も見に行こうかと後ろを振り返った時、制服が視界に入りぶつかりそうになった。
『すいませ...って、あ』
轟「...おう」
『...もう、決めたの?』
轟「ああ」
そう言って轟が莉紗の背後を指さした為その先を視線で追うと"ざる蕎麦"の貼り紙があった。
轟「蕎麦」
『あ、蕎麦。相変わらず...好きなんだ』
全く変わっていない好みに苦笑いしつつも自分の知っている彼がまだそこにいる事が嬉しく思い小さく微笑んだ莉紗。
轟「......?なんだ?」
『あ、ううん。昔と変わってないのがちょっと嬉しくて』
轟「昔とは変わった」
『え?』
轟「身長は70cmくらい伸びた」
『.....うん、そりゃーな。てか、そこ中学から数えないんだ。
(天然なところも変わってない...)』
食事時という事もあり混雑している食堂。空いてる席もあまりなく、なんとなくの流れで一緒に食事をとることになった2人。
『えっとー...みんな元気?』
轟「ああ、姉さんは小学校の教師してる」
『へぇ~。冬ちゃん昔から面倒見良かったから合ってそう』
轟「夏兄は一人暮らしして大学行ってる」
『そっか。....冷さんは、体調どう?』
轟「会ってないから分からねぇ」
『会ってないって....え、いつから?』
轟「入院した日から」
『入院した日って....え、10年間1度も会ってない、の?』
轟「ああ」
衝撃の事実を知り言葉をなくした莉紗。
轟「お前ん家は?」
『あ、んーと...うちもそんな変わってないよ。親ともほとんど顔合わせてないし、こっちの兄貴も大学進学と共に家を出てから一度も帰ってこないからずっと会ってない。今はサラリーマンやってるっぽいけど』
轟「そっか」
『あ...ごめんね。なんか話題のチョイス違った』
轟「別に」
そこからは無言で食事を進める2人。莉紗は気まずい心情からかご飯の味がよく分からなかった。
食事も終わりに差し掛かる頃、突然非常ベルが鳴った。
『...何?』
<セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは、速やかに屋外に避難してください>
『セキュリティ3..?』
轟「侵入者か何かか。おい、俺らも移動するぞ」
『うん』
屋外に避難するようアナウンスがあった為屋外に向かうも、廊下は人がごった返しになっていて、紛れ込んでもとてもじゃないが前に進めそうにもない。
『窓から出る?』
轟「目立つ行動はやめとけ...あれ、見ろ」
『え?』
轟が指さした方を見ると、校門が破壊され、マスコミが敷地内に侵入していて、相澤とプレゼントマイクが対応していた。
轟「ただのマスコミのようだな」
『でもただのマスコミが門破壊してくる?』
轟「確かに妙だな」
とにかく、侵入したのがマスコミだということがわかり騒ぎが落ち着くまで人の少なくった食堂で待った2人。
『(改めて見ると、焦凍くん背高くなったな...)』
**
昼休みが終わり、他の学級委員を決めることになった。
八百万「ほら、委員長。始めて」
緑谷「で、では...他の学級委員をき、決めて参りますっ...けど、その前にいいですか?」
八百万「えっ?」
緑谷「委員長はやっぱり、飯田天哉くんがいいと思います!」
飯田「!」
緑谷「あんな風にかっこよく人をまとめられるんだ、僕は飯田くんがやるのが正しいと思うよ!」
切島「俺ァ、それでもいいぜ!緑谷もそう言ってるし。たしかに飯田、食堂で超活躍したしな」
上鳴「ああ、それになんか非常口の標識みたいになってたよなぁ」
相澤「時間がもったいない、何でもいいから早く進めろ」
飯田「委員長の指名ならば仕方あるまい。以後はこの飯田天哉が、委員長の責務を全力で果たすことを約束します!」
八百万「私の立場は....泣」
こうして、学級委員決めのHRは平和に幕を閉じた。
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