Season4
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芦戸「みーて見て!見てて!」
ストレッチをしていた三奈が急に周りの注目を自分に集めさせ、何をするのかとみんなで見ていると突然元気はつらつにステップを踏み出した。
芦戸「ブレイキンブレイキン!!」
突然始まった芦戸のブレイクダンスショーにクラスメイトたちは盛り上がったり感心したり様々な反応を見せた。
青山「彼女、ダンスが趣味なんだよね」
峰田「履くならスカート脱げやな!!」
葉隠「峰田くん!そういうの禁止ー!!」
緑谷「芦戸さんは、身体の使い方がダンス由来なんだよね。何というか、全ての挙動に全身を使う感じだ。僕もやってみようかな..」
上鳴「教えてもらえば?」
芦戸にステップを教えてもらう事になった緑谷と青山が実際に踏んでみるものの、何とも奇怪な動きで芦戸も言葉を失った。
『今日も元気なA組諸君』
轟「? 何言ってんだ?」
『あ、そうだ。今日寛太の帽子作らなきゃ』
轟「帽子って買うもんじゃねぇのか?」
『寛太にパウパトの帽子欲しいって言われたけどリュックはあったけど帽子は売ってなくて。生地は前にポシェット作るときに多めに買っといたやつあるから探すより作ったほうが速いなと思って』
轟「スゲェな。帽子って作れんのか」
『そりゃあ作れるでしょ』
**
相澤「えー、文化祭があります」
「「「「ガッポーイ!!!」」」」
久しぶりの学校っぽいイベントがある事を告げられたA組。教室中が沸きあがったが中には素直に盛り上がれずある懸念を抱く人間もいた。
切島「先生!!良いんですか?!さすがにお気楽じゃ!」
勢いよく椅子から立ち上がり抗議するように相澤にまくしたてた切島。
上鳴「切島..変わっちまったなァ」
切島「だってそうだろ!ヴィラン隆盛のこの時期に」
相澤「確かにもっともな意見だ。しかし、雄英もヒーロー科だけで回ってるわけじゃない。体育祭がヒーロー科の晴れ舞台だとしたら、文化祭は他の...サポート科、普通科、経営科の生徒達が主役。注目度は体育祭の比にならんが、彼らにとって楽しみな催しなんだ」
雄英に在籍するのはヒーロー科だけではない。その事を重々理解はしていたが、自分達の身に次々と降りかかるヴィランによる災難の数々により、現状誰もが他科の存在が意識下から抜けていたのも事実であった。
相澤「そして現状、全寮制をはじめとしたヒーロー科主体の動きにストレスを感じてる者もいる」
切島「そう考えると申し訳立たねぇな...」
そう言って俯き加減で椅子に座りなおす切島。
相澤「ああ、だからそう簡単に自粛とするわけにいかないんだ。今年は例年と異なり、ごく一部の関係者を除き学内だけでの文化祭になる。主役じゃないとは言ったが、決まりとして1クラス1つ出し物をせにゃならん。今日は、それを決めてもらう...ZZ」
教室の角に寝袋のまま座り込むと途端に寝息を立て始めた相澤。
「「「(寝た.....)」」」
飯田「ここからはA組委員長、飯田天哉が進行を務めさせていただきます!スムーズに進められるよう頑張ります!!ではっ!まず、出し物候補を挙げて行こう!!希望のある者は挙手を!!」
そう飯田の言葉が言い終わるかと同時にクラス中が威圧的な程に勢いよく手が上がった。
飯田「ハイ!上鳴くん!」
上鳴「メイド喫茶にしようぜ!イメージするとこんな感じ、もっと具体的にイメージするとこんな感じ。さらに!願望込みでイメージすると、こんな感じっ!!」
上鳴の脳内には、メイド服を着たA組女子の姿→その1A女子に囲まれる自分→1A女子が自分に奉仕してる光景を想像していた。
『クタバレ』
上鳴「何でだよ!」
『何想像してんのか知らんけどスゴイしょうもない事だってのは分かった』
上鳴「メイドは男のロマンだろ!
そんな事言わないでさー!お前のメイド服とか超見てぇんだけど!」
瀬呂「やめとけって。風舞がメイドになったって轟専用になるだけだろ」
轟「『........((ならねぇだろ))』」
瀬呂「や、お前らも何かツッコめよ!!反応に困るわ!」
その実、否定の無言ではあるが肯定の無言だと思った瀬呂が慌てたように反応した。
飯田「メイド...奉仕か!悪くない!」
『奉仕の方向性ちょっと違うけどな』
峰田「温りぃよ上鳴ー!!おっぱ..グフッ」
言いかけて莉紗の粘着糸でぐるぐる巻きにされた峰田。
『よし。窓から吊るしておこう』
文化祭の当日は晴れますように、と願いを込めててるてる峰坊主は窓から吊るされた。
上鳴「お前、ホント峰田に容赦ねぇよな...」
瀬呂「お前、峰田が居て良かったな」
上鳴と瀬呂が茫然と呟き合った。
麗日「お餅屋さん!」
切島「腕相撲大会!」
葉隠「びっくりハウス!」
砂藤「クレープ屋!」
芦戸「ダンス~!」
緑谷「ヒーロークイズ!」
蛙吹「蛙の歌の合唱」
口田「ふれあい動物園」
轟「手打ちそば」
『ハンドメイトショップ?』
爆豪「殺し合い(デスマッチ)」
常闇「暗黒学徒の宴」
青山「僕のキラメキショー」
耳郎「コントとか?」
瀬呂「アジアンカフェ!」
尾白「演舞発表会!」
障子「たこやき屋!」
皆の意見を出し合い、議論をしたが結局時間内に決めることは出来ず無常にも教室にチャイムが鳴り響いた。
相澤「実に非合理的な会だったな。お前ら、明日朝までに決めとけ。決まらなかった場合...公開座学にする」
「「「「公開座学....」」」」
上鳴「ただの勉強じゃん」
瀬呂「冗談っしょ..;」
『何その誰も幸せじゃない企画...』
あまりにも無慈悲な相澤の提案(命令)に、誰もが固唾を飲んだ。
切島「みんな!今日中に出し物を決めようぜ!!」
「「「「おおー!!」」」」
-その日の夜-
A組の皆は補習のある莉紗以外のインターン組を除いて寮の共有スペースに集まっていた。
尾白「あれ、インターン組は?」
上鳴「補習。話し合いに参加出来ないから決定に従うって」
尾白「補習?あれ、風舞は?」
インターンでの公欠による授業の遅れを埋める為に補習を設けてもらっているインターン組だが、何故かインターン参加者である莉紗が共有スペースの端の方で壁に寄りかかっているのが見えた尾白が莉紗に疑問を投げかけた。
『私緑谷達より先にインターン始まってるから補習も先に開始してる分、コマズレてるんだ』
瀬呂「え、お前いっつも1人で受けてたのか?!」
『いや、同じコマあれば一緒に受けてるけど今日の補習はもう私受けてるの』
尾白「そっか。爆豪は?」
上鳴「寝た」
『あのヤロー...』
どうせ決まった出し物にあーだこーだと文句言うだろうと予想している莉紗は、その爆豪が話し合いに参加すらしないことに皮肉めいた。
飯田「みんな落ち着いて考えてみたんだが。他の科のストレス..俺たちは発散の一助となる企画を出すべきだと思うんだ」
八百万「そうですわね..ヒーローを志す者が、ご迷惑をおかけしたままではいけませんもの」
2人のその言葉に、そこにいる誰もが納得したようにうなずいた。だが、莉紗だけは神妙な面持ちを浮かべていた。
飯田「そうなると正直ランチラッシュの味を知る雄英生には食で満足させられる物を提供することは出来ないと思うんだ」
瀬呂「あ、飯系ダメってこと?」
飯田「個人的には、だ。他科へのサービスと考えれば...」
障子「そう言われるとそうだな。俺たちが楽しいだけでは、彼らに申し訳がない」
砂藤「悔しいけど、ランチラッシュには敵わねぇ」
葉隠「それじゃあ...」
八百万「体験系の出し物は...メイド喫茶かふれあい動物園か、ビックリハウス?」
『メイド喫茶も飲食提供してると考えたら食系に入らないの?』
上鳴「メイド喫茶の目的は食ではなく目の保養だ!!」
『そんなこと言うんならメイドだけじゃなく執事も用意すんだろーね...?』
上鳴「おーよ!ぶっちゃけ轟の執事1人で、きっと客足やべー事なんぜ?!」
皆が頭の中で轟がスーツを着て「おかえりなさいませ、お嬢様」と言って微笑む姿を想像した。
「「「『(ちょっと見たい.../////)』」」」
男子も女子も頬を赤らめてしまったその光景に轟が首を傾げた。
轟「?」
飯田「話を戻そう」
1つ咳払いをして、飯田が空気を変えた。
瀬呂「動物園は衛生上厳しくねぇ?」
葉隠「ん~発散かぁ...」
耳郎「コントとかは、ダメかな?」
瀬呂「素人芸ほどストレス与えるものはねぇぞ?」
芦戸「みんなで踊ると楽しいよ?」
轟「ダンス、いいんじゃねぇか?」
芦戸が足をバタバタと動かしながらぼやくと、轟が何か思いついたように立ち上がり飯田達の元に近寄った。
予想もしていなかった者からの賛同に芦戸が目を丸くしていると、ちょっといいか?と飯田達の見ていたパソコンを自分の方に向けて、大手動画サイトで検索を始めた轟。
轟「何かあっただろ。何て言うのか知らねぇけど、バカ騒ぎする奴だ...あ、こういう奴だ」
見つけた動画を再生するとライブハウスのような場所でバンドが演奏し、観客たちがわぁっと盛り上がっている動画だった。
峰田「轟から出る発想じゃねぇ..パーティーピーポーになったのか?!とどろきぃ!」
轟「違ぇ。他の科のストレスを発散させようっつぅ飯田の意見はもっともだと思うし、その為には皆で楽しめる場を提供するのが適してんじゃねぇか?仮免補講からの連想なんだが..」
轟の言葉に、皆の脳裏には爆豪と轟がキラキラスーツを着てミラーボールが輝くステージ上で歌い踊っている姿を想像した。
砂藤「(どんな補講だったんだよ...)」
『(もしかしてこの前のちびっ子たちの奴かな...)』←多分正解
飯田「なるほど、歌とダンスか..」
瀬呂「今一度言うが、素人芸ほどストレスなもんはねぇぞ?」
芦戸「私ダンス教えられるよ!!」
上鳴「奇怪な動きだった素人が1日でステップをマスターした!芦戸の指導は確かだ!」
峰田「待て素人共!ダンスとはリ・ズ・ム!すなわち音だ!パリピは極上の音に慣れてんだ!」
葉隠「音楽と言えば~!」
耳郎「え?!」
葉隠の言葉に一同全員が一斉に耳郎を見た。
耳郎「え、何?!」
葉隠「耳郎ちゃんの演奏で、生演奏!」
耳郎「ちょ、ちょっと待ってよ!」
葉隠「何で?!耳郎ちゃん、演奏も教えるのもとっても上手だし!音楽してるときがとっても楽しそうだよ!私耳郎ちゃんの演奏聴きたい!」
葉隠のその言葉に耳郎の表情がどんどんと曇っていく。
『響香?』
耳郎「芦戸とかさ、皆はさ。ちゃんとヒーロー活動に根差した趣味じゃんね?ウチのは、ホントただの趣味だし。正直、表立って自慢できるもんじゃないって言うか...」
自身の耳からぶら下がるジャックをコツンコツンと合わせ目を泳がせながら言う耳郎に上鳴が詰め寄った。
上鳴「あんなに楽器出来んのなんてめっちゃカッケーじゃん!」
口田「耳郎さん!人を笑顔にするかもしれない技だよ!十分、ヒーロー活動に根差してると思うよ!」
耳郎「っ...」
八百万「お二人の主張もよく分かりますわ。でも、これから先は耳郎さん本人の意志で..」
『響香』
八百万が上鳴と口田を制止する言葉を遮り莉紗が耳郎の名前を呼んだ。
『私の趣味なんて裁縫だよ?全然ヒーロー活動に役立てられないんだけど』
耳郎「え?」
『響香は固く考えすぎだよ。趣味って、自分が楽しむものだよ。ヒーロー活動に根差してる必要なんてない』
耳郎「莉紗...」
『響香がホントにやりたくないなら誰も強制はしないけどさ。
人を楽しませるためにはまず自分達が楽しまないとでしょ?』
そう言って笑って言う莉紗に耳郎が俯いた。
耳郎「ここまで言われて、やらないのは...ロックじゃないよね」
「「「お〜!!」」」
上鳴「じゃあ、A組の出し物は生演奏とダンスでパリピ空間の提供だー!!」
「「「おお!!!」」」
**
翌日、補習が既に終わっている莉紗を除いたインターン組以外の全員で文化祭の話し合いを始めるため下校早々、寮内の共有スペースに集まった。
飯田「文化祭はちょうど1か月後!時間もないし、今日色々と決めてしまいたい!」
葉隠「まずは楽曲だね!何にする?」
尾白「俺、そういうの疎いからみんなの意見に従うよ」
障子「俺もだ」
上鳴「とにかくさ!おもてなしなんだから、みんなが知ってる曲をやるべきじゃね?ノレるやつっしょ!」
芦戸「踊れるやつ!」
みんなが口々に意見を言ってる側で耳郎が自身の額に指をコツコツと当てて、何かを考えている。
耳郎「皆の意見をある程度総合すると、楽曲は四つ打ち系だよね。ニューレイブ系のクラブロック。ダンスミュージックだと、ホントはEDMで回した方がいいんだけど、みんなは楽器やる気なんだよね?」
「「「「...は?」」」」
『響香...多分誰一人分かってないから』
耳郎「莉紗は分かってくれた?」
『四つ打ちとEDMくらい..音楽のジャンルまでは詳しくはわかんない』
耳郎「ベースとか、ドラムやってた人いる?」
シーン.....
耳郎「だよね」
『何でそれでバンドやろうとしたんだ...』
耳郎「まず、バンドの腰ってドラムなんだけどさ。うち、ギターメインでドラムは正直まだ練習中なのね。初心者に教えながらうちも練習しなきゃだと1か月じゃ正直キツイ」
上鳴「..あ!つーかお前昔!音楽教室に行かされてっつってたじゃん!」
そう興奮気味にみんなから少し離れた場所に立っていた爆豪に言った上鳴。
爆豪「あ?」
瀬呂「爆豪!ちょっとドラム叩いてみろよ!」
爆豪「誰がやるかよ」
『無理なんじゃない?こいつドラムって柄じゃないし』
爆豪「ピクッ...」
莉紗の挑発にまんまとあてられた爆豪はドラムの実力をクラスに見せつけた。
爆豪「あぁっ?!」
耳郎「か、完璧...」
峰田「スゲェ...」
芦戸「才能マン来たコレー!!」
上鳴「爆豪ドラム決定だな!」
そう興奮するクラスメイト達に鋭い視線をくばせると、ポケットに手を入れ立ち上がった。
爆豪「そんなくだらねぇ事やんねーよ」
そう言ってドラムから離れていく爆豪。
耳郎「爆豪お願い!つーか、あんたがやってくれたらいいものになる!「なるはずねぇだろ!!!」
耳郎の言葉を遮るように怒号を浴びせた爆豪。
爆豪「あれだろ?他の科のストレス発散みてぇなお題目なんだろ?ストレスの原因がそんなもんやって、自己満以外のなんだってんだ。ムカつく奴からそんなもん素直に受け取るはずねぇだろうが!!」
『(爆豪...)』
一見みんなで出した答えをただただ乱暴に批判しているようにも聞こえる爆豪の言葉は莉紗の心には何故か深く突き刺さった。
耳郎「......」
葉隠「ちょっと!そんな言い方!」
爆豪「そういうのが馴れ合いだっつってんだよ!!」
飯田「いや、しかし..確かに配慮が足りなかったな..」
轟「話し合いに参加しねぇで後からくっさすなよ」
決定時には口を出さなかった爆豪が今更批判を始めた事に轟が噛みついた。
『ちょ...みんな待って。爆豪の言ってる事、私は分かるよ』
耳郎「莉紗?」
『皆で出したこの答えが間違ってると思ってるわけじゃないんだよ。ただ、私も少しだけ爆豪と同じこと思ってた』
飯田「風舞くん、どういう事だ?」
『確かに私達、ヴィランから2度も襲撃に遭って私達2人に至ってはたくさんの人の手を煩わせたし傷つく要因になって、迷惑かけたと思うよ。
全寮制になったのだってそういうのが原因だし、確かにそう。
でもさ...私達は、実害のある被害者なんだよ。私達だってヴィランの襲撃にあって大小あっても怪我まで負って訓練にも支障出て...全寮制になって自由も効かなくなって。ストレス感じてるのは私達だって同じでしょ?』
「「「!!」」」
爆豪「...ムカつくだろうが。俺たちだって好きでヴィランに転がされてんじゃねぇ。何でこっちが顔色伺わなきゃなんねぇ。テメェらご機嫌取りのつもりならやめちまえ。殴るんだよ。馴れ合いじゃなくて殴り合い。やんならガチで、雄英全員!音で殺るぞ!!」
耳郎「!!」
『.....ん?え?あ、やるの?』
爆豪「あぁ?テメェはやんねぇんのかよ」
『いや、やるけどさ』
「「「「爆豪!!!!!喜」」」」
爆豪の言葉にA組が沸き上がった。
葉隠「理屈がやばいけどやってくれるんだねぇ!!」
爆豪「ガチでだぞ?!」
芦戸「分かったガチガチ!!」
上鳴「素直じゃねぇなぁ!」
爆豪「俺はいつだってマジだ」
『いや、でもさっきのは普通にやらない流れの言い草だったよ』
爆豪「あぁっ?!文句あんのかよ、クソアマ」
『まあやってくれんならなんでもいいけどね』
轟「...そうか」
爆豪と莉紗の言葉を思い返した轟。
轟「林間合宿であいつらはヴィランに攫われ...」
飯田「彼ら自身、多大な負荷を負っているものな」
爆豪と莉紗の心情を思いながら2人を見つめる飯田と轟。
一方で、ようやく出し物が決まった事に他のクラスメイト達は大盛り上がりだった。
葉隠「やったね!耳郎ちゃん!」
耳郎「うん!ウチ、頑張るよ」
八百万「私、幼少の頃から教養の一環でピアノを嗜んでおりましたが何かお役に立ちますでしょうか?」
芦戸「わぁ!じゃあヤオモモはキーボードだね!」
耳郎「シンセはクラブミュージックに欠かせないポジなの!ヤオモモ!助かるよ!」
八百万「頑張りますわ!」
芦戸「女子でガールズダンサーズやろうと思ってたのにぃ。でも可愛いからいいや!」
耳郎「ベースはウチやるから、後はギターとボーカルだね!」
尾白「ってことは、それ以外の人はダンス?」
飯田「うむ、ただ。普通にそれだけで盛り上がれるか?」
轟「それは、あのバカ騒ぎするやつの「演出を加えなきゃー!」
轟「それだ」
口・瀬「「?? 演出?」」
『ライブとか見たことない?』
芦戸がパソコンでライブハウスでのライブ映像を検索し再生するとみんなに画面を見せた。
芦戸「例えばこれね。火花とかテープとかミラーボールで盛り上げてるでしょ?空間づくりで欠かせないのが演出!」
葉隠「夢の国のパレードみたいにしようよ!」
芦戸「例えば例えば、麗日が轟と切島を浮かしとくでしょ?でね!轟の氷を切島がゴリゴリ削るの!で!風舞の風で会場全体に削った氷の欠片が散るようにして...青山がミラーボールみたくなってる!スターダストみたく光がキラキラ舞い落ちるんだよ!?ズバリ!チームスノーマンズ!」
葉隠「そうなると、演出の裏方さんも必要だよね!」
話し合いが盛り上がってきたころ、補習に参加していたインターン組が帰ってきた。
緑谷「遅くなってごめん!」
麗日「今日でようやく穴埋まりました!本格参加するよー!」
蛙吹「ケロ」
ひとまず、決まった所までインターン組に報告した。
蛙吹「なるほど。音楽はニューレイブ系のクラブロックに決まったのね」
切島「耳郎がベースで、八百万がキーボードってのはわかるんだけど」
麗日「爆豪くんがドラムって言うんは、なんていうか...」
葉隠「意外!」
爆豪「何か文句あっか!」
ガヤガヤと盛り上がるクラスメイト達をよそに莉紗が耳郎のもとに寄った。
『...響香』
耳郎「ん?」
『私ベースなら出来るよ』
耳郎「え...マジ?」
「「「え?!」」」
『うん、でも他の楽器と合わせた事ないからその辺ちょっと心配だけど』
芦戸「才能マンに引き続き才能ガールも来たコレ!!」
莉紗をジッと見つめる轟。
『何?』
轟「いや、弾いてるのも触ってるのも見たことねぇから」
『高校入ってから弾いてないからね』
葉隠「莉紗ちゃんも音楽教室?」
『違う、兄貴が高校まで軽音やっててギターとベース両方持ってたんだ。家出るときに何本か置いてったから初心者用の教本見てなんとなーく触り始めて覚えた』
耳郎「え、じゃあギターも出来んの?」
『ギターは...ちょっと。Fコードでつまづいた』
耳郎「あー、なるほどね。じゃあ私がギターで莉紗がベースだね!」
蛙吹「それで、肝心のボーカルは誰が担当するの?」
耳郎「いや、まだ決まってなくて」
麗日「え?歌は耳郎ちゃんと莉紗ちゃんじゃないの?」
耳郎「『えっ?!』」
峰田「ボーカルならおいらがやる!モテる!」
青山「ミラーボール兼ボーカルはそう、このボク!」
切島「おう!楽器は出来ねぇけど歌なら自信あんぜ!」
気合満点で演歌を歌い始めた切島。
麗日「ジャンルが違くない..?苦笑」
峰田「バックバックバックバック!!」
麗日「がなってるだけじゃない?」
青山「あ~」
麗日「裏声..」
葉隠「私もお茶子ちゃんと同じで、耳郎ちゃんと莉紗ちゃんだと思うんだよ!前にカラオケ行った時、2人共すっごく上手かったんだから!」
耳郎「ちょっと..ハードル上げないでよ」
『ベースと歌両方はちょっと...』
葉隠「いいからいいから!」
そう言って葉隠がマイクを2本取り出し2人に渡した。
蛙吹「カラオケで聞いた2人のハモリ、とても素敵だったわ」
『...今ハモれっていうの?』
耳郎「ムチャぶり..」
峰田「オイラ達の魂の叫びを差し置いて、どんなもんだよゴラァ!」
切島「耳郎と風舞の歌聞いてみてぇな!」
上鳴「轟は風舞の歌聞いた事あんじゃね?どう?うめぇの?」
轟「ああ、何かしながらよく歌ってるな。普通に上手い」
『ちょっと!』
切島「まあまあ、いっちょ頼むぜ!」
『どうすんの、響香...』
耳郎「もう歌うしかないっしょ。コ〇クロ歌おう。今度はSAKURAね」
『んー...もう、分かったよ。私古淵パートやるから玄田パートお願いね』
耳郎「了解」
そして...
♪~uh-uh-uh-uh-uh-~♪
2人は目を閉じて静かにメロディを紡ぎ始めた。2人の歌が始まると、サバサバ系な2人から想像もしなかった透明感のある2人の声とその声の相性。紡がれたメロディに誰もが聞き惚れていた。
耳郎「『......』」
2人は周りの反応を伺うようにゆっくり目を開けた。
葉隠「耳が幸せー!!」
芦戸「セクシーボイス!」
飯田「よぉし!では、満場一致で決定だ!」
『(うわ、マジかよ...)』
耳郎「..じゃ、それはそれで///
で!後ギターとベース!もう1本ずつ欲しい!」
上鳴「うぇー!!楽器弾けるとかかっけー!!」
峰田「やらせろー!」
切島「俺..切りそう..」
爆豪「やりてぇんじゃねぇんだよ、やる気あんのか!!」
上鳴「あるある!超ある!ギターこそバンドの華だろぉ?!」
峰田「~っ!!
キャラデザのせいで手が届かねぇよぉ泣」
ギターを手にし音を出しながらカッコつける上鳴のそばでギターにそもそも手を回せない峰田は泣きながらギターを放り投げた。
砂藤「俺はダンスが良いな!」
尾白「俺も。尻尾でわりと動けるし」
瀬呂「俺はテープで色々演出しかけたいな」
そんな中とある人物がギターを手にし演奏を始めた。
その人物とはそう、常闇踏影であった。
切島「なんて切ねぇ音出しやがる...」
障子「弾けるのか!何故黙ってた」
常闇「..Fコードで一度手放した故」
『常闇、仲間だね』
常闇「ああ、今度は乗り越えてみせる。
峰田、お前がやらないなら俺がお前の分までつま弾く」
部屋の隅で体育座りをしながら邪悪な雰囲気を醸し出す峰田はぶつぶつと喋っている。
峰田「勝手にしろ..クソがぁ。くだらん、くだらん。はよ、終われ文化祭..全員爪割れろぉ」
『妬み方小っちゃ...』
芦戸「みーねた!ダンス、峰田のハーレムパート作ったらやる?」
峰田「やるわ、はよ来いや文化祭...!!」
『三奈、峰田の扱い上手い...苦笑』
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