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いつも通りの日常に、いつも通りじゃない出来事が起こった。
それは遡る事1時間前....。
サポートアイテムの件で工房に向かっていると、前方に見慣れた後ろ姿を見つけた。
焦凍「莉紗」
名を呼ばれ、振り返った莉紗は笑って俺の名を呟いた。
『どっか行くの?』
焦凍「ああ、工房に」
『あ、じゃあ同じだね。一緒に行こうか』
今日の実戦訓練について話しながら工房に向かった俺達。
不二「やあ、風舞に轟くん」
乾「待っていたよ」
莉紗の中学の同級生達が出迎え俺達は彼らやパワーローダー、それに工房に入り浸ってると言う女子生徒(名前は忘れた)を交え、コスチュームやサポートアイテムについて改良、変更依頼をした。
焦凍「コスチュームの耐熱可能温度を拡大して欲しいんですけど」
『火力上がったもんねぇ』
俺の要望を聞いた莉紗が苦笑いしながら呟いた。
焦凍「ああ、使い方にもよるけど冷却機能が入った状態でも籠った熱が冷やされない時があるんです」
P・R「ああ、それは冷却装置の方に何かしら故障があるのかもしれないね。少し預かるよ」
焦凍「お願いします」
俺のコスチュームを受け取ったパワーローダー先生が今度は莉紗に向き直った。
P・R「で、君は?」
『あ、私は...』
莉紗が話し出そうとした時、工房のドアをノックする音が聞こえ全員の視線がドアに移った。
「あのー、パワーローダー先生。個性抑制リングについてなんですけど...」
入って来たのは見た事のない女子生徒だった。
P・R「ああ、君か」
「あれ、なんか混みいって...?!」
女子生徒が話しながら1歩工房の中に入って来た時何故かこちらを見て目を見開いた。
「あ...な、え...と...とど....生!!////」
「「「『生...?』」」」
女子生徒は顔を赤くして口をパクパクさせながら動揺した様子を見せていたその時、何故か後ろに向かって倒れて行った。
『危ない!』
莉紗が咄嗟に粘着糸を飛ばし倒れ込む女子生徒の身体に巻き付けこちらに引き、地面に転倒するのを防いだ。
『大丈夫?』
「は、はい...あ、あの...あ、ありがとう..ございます...」
莉紗に礼を言ったその時、女子生徒の目が光った。
P・R「風舞くん!離れた方が..」
『え?』
突然女子生徒の目が眩しく光ったかと思ったらすぐに光は収まった。
焦凍「何なんだ」
不二「先生、彼女の個性って確か...」
P・R「うーん、少し厄介な事になったねぇ...」
焦凍「一体何なんですか?」
状況が全く分からず俺は先生達に何が起こってるのか確認しようとしたその時、突如泣き声が聞こえた。
『ふぇ...ヒック....』
焦凍「風舞、どうした?」
泣き声は莉紗のようで、急に泣き出してどうしたのか尋ねようとした時大声をあげて泣き始めた。
「ご、ごめんなさい!私のせいで...風舞さんに...」
轟「風舞の事知ってるのか?」
「あ、あの...轟くんも風舞さんも有名だから...」
轟「有名?」
不二「2人は体育祭でも露出多かったし、その後もメディアに映ることがあったからね。校内では有名人だよ」
轟「そうなのか...」
『うぇーん!』
突如大声をあげて泣き出した莉紗。
焦凍「な...」
P・R「ありゃりゃ、やっぱり風舞くんにかかっちゃったか..」
焦凍「え」
不二「彼女の個性は"号泣"で、個性にかかると何でもない事でもすぐに泣いてしまうって言うものなんだ」
焦凍「号泣...」
乾「個性のコントロールが出来ないまま成長してしまい、中学時代までずっと苦労していたそうだ。ヒーロー志望ではないからヒーロー科には進まなかったがヒーロー科のある学校に入学し、何とか個性を抑える術を身につけたくて雄英に進学したらしい」
P・R「個性コントロールが中々上手く行かなくて個性を抑制するアイテムを開発して先日渡した所だったんだがねぇ。パニックになったりキャパオーバーするとこうやって個性が暴走しちゃうんだよ」
女子「ごめんなさいごめんなさい!!」
P・R「そして君は何で突然パニックになったんだ?」
女子「だって...も突然、生の轟くんが..いて...遠くから見るより、かっこ..良かったから...///」
焦凍「.......」
不二「青春だねぇ」
乾「親父臭いぞ、不二」
こちらでそんなやり取りをしていると俺の制服をキュッと掴んだ莉紗。
『ヒック...焦凍くん...』
焦凍「どうした?」
『ごめんね..ヒック、昨日...焦凍くんの、ヒック...わらび餅..食べちゃった...』
焦凍「え?」
『ヒック...ごめん、なさい...もう勝手に..フェッ、焦凍くんのもの、食べ..ヒック...ないから、嫌いになら..っ、ないでぇ..』
焦凍「落ち着け。そんな事でお前の事嫌いになったりしねェから」
『ヒック、ホント...?』
焦凍「ああ」
そう言って安心させる為に頭を撫でてやると、莉紗はまた目尻に涙を溜めて泣き始めた。
『うぇーん!焦凍くんが、優しくて...嬉しいよぉ!ヒック...』
焦凍「....俺はいつも優しく無いって事か?」
不二「いや、どんな些細な事でも号泣の要因になってるだけなんだ。気にする事ないよ」
乾「2時間ほどで個性が解ける。それまで泣き続けるのは仕方ないだろ。だが些細なことで泣いてしまうとはいえ、本人の心内にない事で泣くようになるわけじゃない。風舞が最初に号泣を始めた要因である轟のわらび餅を食べてしまったと言うのは本人の中でそれなりに罪悪感と後ろめたさを感じていた確率は96.3%....」
焦凍「わらび餅くらいでか?」
不二「んー?わらび餅と言う部分より、黙って食べてしまった事にじゃないかな」
焦凍「...なるほど」
よく分からないがひとまず泣き続ける莉紗を連れて教室に戻り事情を説明した。
普段の莉紗から泣くイメージがなかったのか泣きながら教室に入る莉紗を見て、クラスの奴らはもちろん驚いていた。
上鳴「風舞も泣くんだなー」
麗日「そりゃあ泣くやろ〜」
蛙吹「莉紗ちゃんだって女の子よ」
瀬呂「でもイメージねぇよなぁ」
峰田「風舞は泣かせる方だろ!」
周りの会話なんか聞こえてないだろう事をいい事に好き放題に話すクラスメイト達。
相も変わらず泣き続ける莉紗に俺はどうしたらいいかわからずにひとまず莉紗に声をかけた。
焦凍「今度は何で泣いてんだ?」
『うーっ...だってぇ、しょ、とくんの..お餅、食べちゃっ..フェッ、だから..』
焦凍「..まだ言ってんのか」
麗日「轟くん、お餅って何なん?」
焦凍「ああ、冷蔵庫に入れといた俺のわらび餅を黙って食っちまったって泣いてるみてぇだ」
麗日「わらび餅....」
切島「風舞...渋いもん好きなんだな」
意外そうな表情とリアクションをする切島と麗日が莉紗を見つめた。
蛙吹「可愛らしい理由だけど、莉紗ちゃんが黙って自分以外の人の物を食べるなんて珍しいわね」
『昨日、夜中に...ヒック、お腹空いちゃって...見たら、食べたくて...購買開いたら..買って、返そうって...ヒック...』
芦戸「しょーもない事で泣いてる風舞超可愛いじゃん!」
葉隠「確かに!いつもサバサバした感じだからギャップ萌えだねぇ!」
泣き続ける莉紗を目の前に戸惑うどころか何故か盛り上がるクラスメイト達。
何がそんなに楽しいのかよく分からないが葉隠が聞いた事のない単語を言った。
焦凍「何だ、そのぎゃっぷも...ってのは?」
葉隠「普段見せない部分にキュンとしちゃう感じだよ〜!」
芦戸「ほら、今の風舞って女子!って感じじゃん?」
麗日「芦戸ちゃん、それいつもは女子じゃないみたいな言い方やない...?」
芦戸「轟だって今の風舞可愛いと思うでしょー?」
つまりこいつらは普段勝気な莉紗が弱々しく泣いてる姿が可愛いっつって盛り上がってるのか。
焦凍「こいつは意外と可愛い所多いから普段から思ってる」
本当の事を言ってやれば周りは何故か黙り出し、こちらをジッと見た。
耳郎「うわ、出たよ天然」
上鳴「サラッと言いやがったよ..」
葉隠「轟くん、愛を隠さないね~!」
麗日「莉紗ちゃん愛されとるなぁ」
峰田「リア充爆発しろ...リア充爆発しろ...リア充..」
蛙吹「でもこれじゃあ莉紗ちゃん。授業中にならないんじゃないかしら?」
焦凍「相澤先生の所に連れて行く」
蛙吹の言う事はもっともで、こう泣き続けていたら授業どころじゃないだろうと思った俺は莉紗を連れて職員室に向かった。
職員室の中に入ると、相澤先生はゼリー飲料を片手に書類を次々とめくっていた。
焦凍「先生」
相澤「轟か、どうし...ん?風舞?泣いてんのか?」
焦凍「工房で号泣って言う個性事故に合ってずっと泣いてるんです。このままじゃ授業にならないと思って」
『ごめん、ね...焦凍くん、迷惑..ヒック、かけて』
焦凍「気にすんな」
相澤「号泣...ああ、普通科の奴の個性な。そりゃまた不運なこった。
授業中ずっと俺の抹消で個性消し続けんのは物理的に俺が無理だ」
個性の名称を聞いて相澤先生は莉紗の様子と結びつき納得したようだがお手上げとも言いたげに両手をあげて、俺の隣でずっと肩を震わせて泣いてる莉紗を見た。
相澤「確かにその様子じゃ授業にならないだろうな...仕方ない。寮に連れて帰ってやれ。かかった個性が切れて落ち着いたら職員室に内線入れてくれるか」
焦凍「わかりました」
**
相澤先生の指示通り、俺は莉紗を連れて寮に戻ってきて共有スペースのソファーに座らせ、俺も隣に腰を下ろした。
焦凍「莉紗、何か飲むか?」
『お、茶...ヒック、暖かいの...』
焦凍「ん、分かった。今入れて来てやるから座って待ってろ」
そう言って頭を撫でてやると素直に頷いた莉紗。
俺は立ち上がりキッチンに向かった。
莉紗が好きな種類の茶葉とお湯を急須に入れて湯呑みと一緒に莉紗のもとに持って行った。
焦凍「飲めそうか?」
『ヒック、ヒック....ん...』
工房で個性にかかってからずっと泣き続けている莉紗。
その目元は赤くなり、少し腫れて来てるように見える。
俺は莉紗の目元に右手を当ててやった。
焦凍「腫れちまうな..」
『ん...フェッ、みっとも、ない...ヒック、顔になっちゃう...』
焦凍「お前は泣き顔も可愛いから大丈夫だ」
『ふぇ、えぇーん..!焦凍くんが、優しい..ヒック..よぉ..!』
せっかく少し落ち着いて来たのにまた号泣してしまった莉紗。
何が引き金になるか分からないが、さっきも俺が優しいとか何とか言って泣き散らしていたな。
優しくすると泣きたくなるのか?
なら、優しくしないで少し冷たくした方がいいのか?
焦凍「莉紗、あんまり泣くならお茶入れてやらないぞ」←※冷たくしてるつもり
『えぇーん!ご、ごめん..ヒック、なさ...嫌いに...なら、ない....ヒック、でぇ...うぇーん!!』
だけど冷たくするのも正解ではなかったみたいで、莉紗は更に激しく泣いてしまった。
『こんな..ヒック、泣いて..しょ、とくん..ヒック、困らせて...もう、いや...』
その一言を聞いた瞬間の俺にあてはまる言葉を考えたら、いわゆるこれが胸がズキってやつだろう。
何故なら、莉紗は悲しくて泣いてるわけでも泣きたくて泣いてるわけでもない。
個性のせいで、"泣く"という行為をコントロールするストッパーが外れてしまってるだけだ。
そんな状態のこいつを泣き止ませてやろうなんて考えがそもそもの間違いだった。
焦凍「莉紗、悪い。号泣の個性にかかったお前に泣きやめなんて酷い話しだよな」
そう言って頭を撫でてやると、莉紗は俺の言葉を否定するように勢いよく首を横に振った。
焦凍「個性が解けるまで居てやるし、泣き止んだら目も冷やしてやる。だから、安心しろ」
『ふぇ....しょ、とくん...に迷惑、ヒック、かけて..ごめ..ヒック』
焦凍「迷惑じゃねぇ」
そう言ってやると余計に泣き出しちまったから莉紗の身体を抱きしめてやると莉紗はしがみつくように抱き締め返して来た。
人に迷惑や面倒をかけられても世話焼き気質なこいつは口では色々言いながらもなんだかんだ面倒を見てやるような奴なのに、反対に自分が面倒をかける事には酷く否定的だ。
それはこいつの性分なのかもしれねぇが、そう言う所に俺が何とかしてやらなきゃと思っちまうのも事実だ。
それから30分くらい経っただろうか。
莉紗が俺の腕の中から抜け出した。
そして向き合うのをやめ、横並びに座ると俺の肩に頭を預けて来た。
体勢が疲れたのかと思った俺は莉紗の頭を抱きしめ、撫でてやるとまもなくして規則正しい呼吸音が聞こえた。
顔を覗き込むと、目は閉じられていてどうやら泣き疲れて眠ったようだ。
無理もないか..。
かれこれ2時間は泣き続けてたからな。
けど、ここで寝かすわけにはいかねぇな。そう思った俺は莉紗を横向きに抱き上げた。
莉紗の部屋に連れて行こうかと思ったが、女の部屋に勝手に入るわけにもいかないと思いとりあえず俺の部屋に連れていった。
自分の布団の上に莉紗を寝かせ肩まで布団をかけた。
彼氏とはいえ、男の部屋で何の警戒心もなく無防備に眠る莉紗に無性に色々してやりたくなるのは男の性というものだが、ここまで無防備だと少し心配するのと同時に腹が立つ気持ちも否めねぇ。
莉紗の頬を撫でるとくすぐったそうに身をよじろぎ、俺の方を向くとまるで起きてるかのように俺の手をギュッと掴み小さく笑った。
...こいつが起きるまでの辛抱だな。
**
『ん...』
焦凍「起きたか?」
俺の布団の中で寝ていた莉紗が少し身じろいだ為、顔を覗き込むと莉紗はゆっくりと目を開けた。
『...焦凍、くん?』
俺の部屋に居る事に気づいたのか、起き上がってあたりを見渡す莉紗。
焦凍「おう、悪りぃ。お前共有スペースで寝ちまって。黙って女の部屋に入るのも悪りぃと思って俺の部屋に連れてきた」
『別に今更そんな事気にする仲でもないだろうに...ごめんね、迷惑かけて』
焦凍「迷惑とか思ってねぇから安心しろ」
『あ、あと...泣いてる時も何回も言ったけどわらび餅食べちゃってごめんね』
焦凍「気にすんな。たまたま購買で見かけて食うか分かんなかったけどお前も食うかもと思って買っといたやつだったから」
『そうなんだ、ありがとう。あー、目が重たい...』
そう言って両手で顔を覆った莉紗。
そりゃ2時間も泣き続ければ目も腫れるだろうな。
焦凍「見せてみろ」
『え、嫌だよ絶対!もう、絶対みっともない顔してるもん』
目を冷やしてやるため莉紗の手を取ろうとするも頑なに手をどかそうとしない莉紗。
焦凍「手どかさないと冷やせねぇだろ」
『でも、こんな顔見られたくない...』
焦凍「寝てるとき散々見てるから今更だろ」
『なっ...////』
無防備に寝顔晒してたのはどこの誰だと思ってるんだ、とまでは言わねぇが今更俺らの間で恥ずかしいもクソもねぇと思ってる俺は莉紗の手を掴み少し力を込めてどかそうとした。
まさか、拳が飛んでくるとは微塵も思ってなかった。
焦凍「いてぇ..」
思いっきり頭頂部を拳で殴られて痛みで少しむっと来た俺は眉をしかめて莉紗を見てやった。
『何でそうデリカシーないかな!///』
焦凍「今更気にする仲でもねぇっつったのお前だろ」
『そ、そうかもだけど!女子は....す、好きな人には..少しでも可愛く見られていたいものなの///』
顔を真っ赤にして俺に背を向け何を言うかと思えばそんな事か。
焦凍「そういう事なら、大丈夫だろ」
『何が?!』
焦凍「お前はいつも可愛いし、むしろ可愛くねぇ時がな『い、いちいち口にしなくていい!!////』」
可愛く見られていたい割に可愛いって言ってやれば怒るとか、女子の事情はよく分かんねぇな。
莉紗がいつも可愛いのは事実なんだが。
焦凍「何か、よく分かんねぇけど。じゃあ見せなくていいから早く目貸せ」
『...話し聞いてた?』
焦凍「ああ、好きな人には可愛く見られたいもんなんだろ?なら早く腫れ引かせて元の可愛い顔に戻さねぇとな」
『なっ....!?////』
ほら、と莉紗の手の上から俺の右手をかざしてやると莉紗は素早く自分の手を抜き俺の手を自分の目元に押し当てた。
焦凍「ちなみに聞くがお前の言う好きな人って誰の事だ?」
『な、何で聞くの...///』
焦凍「いや、誤解してたら困るだろ」
『そんなの、聞かなくたって分かるでしょ...///』
俺の手がずれないように自分の手で押さえながらふいっとそっぽを向いた莉紗。
やべぇ、照れてる莉紗が可愛すぎる。
...寝てる間ずっと辛抱してたからな。
焦凍「莉紗」
『ん?』
焦凍「目の腫れ引いたら付き合ってもらうぞ」
『何に?!』
普段面倒見が良くてどちらかと言えば俺の方が頼る事が多い莉紗との関係。
だけど号泣にかかってる間は泣きながら俺に縋ってくる莉紗が不謹慎にも可愛くて仕方がなかったなんて言ったらこいつは多分怒るから言わないでおこう。
その代わり、寝てる間の無防備さに煽られたからと言う理由で莉紗の目の腫れが引いたら愛でてやる事は許してもらうか。
焦凍「莉紗」
『ん?』
焦凍「好きだ」
『ん。私も...焦凍くん、大好き...///』
照れ臭そうにしながらも控えめに笑って言う莉紗。
ああ..目の腫れが引くまで待てなかったな。
後でわらび餅買って謝るとするか。
-翌日談-
教室に登校した莉紗はすっかりいつもの莉紗だ。
『昨日はごめんね、みっともない所見せて』
麗日「ううん!個性解けて良かったね!」
芦戸「解けちゃったの?泣いてる風舞可愛かったのになー」
『いつもは可愛くなくて悪かったね。あ、そうだ峰田』
何かを思い出したように峰田を呼び峰田の方を振り返った莉紗。
峰田「?」
『放課後たっぷり泣かせてやるから楽しみにしてて~。なんたって私は泣かせる方だからね』
峰田「〇×△~っ?!」
よく考えればそりゃそうだ。寝てるわけでも酔っぱらってるわけでもねぇのに泣いてる間の会話を覚えてないわけねぇよな。
莉紗の宣言通り放課後、1Aの寮内で峰田の断末魔がしばらく響き爆豪がキレたのは言うまでもない。
END