再会
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お酒も入ってる事もありそれからしばらく昔話に花が咲いて時間が経つのを忘れてしまっていた私達は日付が変わったことにも気づかずにいた。
轟「もうこんな時間か..悪りぃ、こんな時間まで」
『あ、ううん。私は全然大丈夫、明日休みだし。でも1駅とは言え終電無くなっちゃったね』
轟「タクシーで戻るから大丈夫だ」
『1泊で取ってるの?』
轟「ああ、しばらくこっちに張り付きになるって言われたの今日だからな」
『それじゃあ明日ここの管理会社行く?この前の引越しシーズンで結構引っ越してった人いるから空き部屋あると思うし』
轟「良いのか?」
『うん、どうせ暇だしね』
轟「サンキュー、手伝う」
使い終わったお皿やコップを下げながら話してると轟もお皿に手を伸ばした。
『ああ、いいよいいよ。下げるだけで明日やるから置いてといて!チェックアウト何時?』
轟「10時だ」
『じゃあチェックアウトした後うちに荷物置きにおいでよ。持ったまま行くのもアレでしょ?』
轟「ああ、じゃあそうさせてもらう」
『あ、轟って連絡先変わってない?』
轟「ああ、番号もアドレスもLINEも変えてねぇ」
『分かった、じゃあ明日ホテル出たら連絡してくれる?』
轟「分かった、ありがとな」
『ううん、じゃあ明日ね』
轟を玄関まで見送った私。
轟が居なくなったあとの部屋が不思議と寂しさを感じた。
誰かとこの部屋でお酒飲んだの久しぶりだったなー。
引っ越したばかりの頃にお茶子ちゃんや響香がちょこちょこ来てたけど。
ここ数年は私も含めみんなして忙しくて全く会えてなかったから。
久しぶりに同級生と会えて話せたことでお酒も随分進んでしまったようで空き瓶がテーブルの上にいくつも転がっていた。1人になった途端に睡魔が遅い、そそくさと歯を磨いたり化粧を落としたりして就寝の準備をしてベッドに身を投じるとすぐに眠りの世界に引き込まれた。
気がつけば外は明るくなっていた。
寝ぼけまなこな頭で、昨日何してたっけ...と昨日の出来事を思い出そうと体を起こした。
『あ、そうだ。轟と飲んでた』
少しずつ清明になっていく頭。時計を見るとAM9時を指していた。
『.....やばっ!』
10時にチェックアウトだと言っていたが、10時までホテルにいる必要はない。 早めに出る人もいるだろう。
もしかして、約束をしてるからと轟も早めにホテルを出ているかもしれない。
いや、それでなくとも10時チェックアウトで、轟の泊まってるというホテルは隣駅の駅近だ。あっという間に着いてしまう。
携帯を手にし確認すると轟からの連絡はまだ来ていなかった。
【ごめん、今起きた!今から急いでシャワー浴びてくる!終わったら連絡するから連絡前に着いたらエントランスのベンチで待ってて!】
轟に伝言代わりのLINEを入れて着替えとタオルを手に急いでシャワーを浴びた。
大急ぎでシャワーを浴び、携帯を確認すると【もうすぐ着く】と一言が4分前に来ていた。
大急ぎで化粧水や乳液で肌を整え、化粧を済ませ【もう終わったから鳴らしていいよ】と伝えると、家のモニターフォンが鳴った。
モニターを確認すると轟が映っていた為正面玄関の解錠ボタンを押し、『鍵開けとくから勝手に入って!』とスピーカー越しで伝え、急いで着替えに行った。
ベージュのAラインロングスカートに、ブラウスを合わせて玄関に向かうと轟が立っていた。
『中入ってても良かったのに』
轟「一人暮らしの女の家にか?」
『立場上マズイか』
2人して笑って話しながら私は薄手のカーディガンを羽織り、リビングに出しておいたバックを手にし玄関に戻った。
『お待たせ』
轟「おう」
『行こっか』
パンプスを履いて玄関に置いてある伊達メガネと帽子を手にして家を出た。
タクシーに乗って私が契約した管理会社にやってきた私達。
田渕「ああ、風舞さん。いつもヒーロー活動お疲れ様です」
私が契約した時や、その後の悩みやトラブルなどを一手に引き受けてくれる田渕さんがにこやかな笑顔で向かいに着席した。
『ありがとうございます』
田渕「本日はどのようなご用件で?」
『うちのマンションって、ヒーローの短期契約してましたよね?』
田渕「はい、承っております」
『実はこの人エンデヴァー事務所所属のプロヒーロー、ショートがこの度私とのチームアップの案件でこの街に少々長くなりそうな短期派遣で来る事になったんです。それでその間の居住地を探してて』
風舞に紹介され、轟がサングラスを外して軽く会釈をした。
田渕「え、ショートさん?これはこれは!うちの娘がファンなんです。サインとか...頂けないです、よね?」
轟「別に大丈夫ですよ」
田渕「ホントですか?!ありがとうございます!」
興奮したようにも控えめに言った担当者にショートは二つ返事で了承した。
田渕「うちの妻はウィンディさんのファンで、風舞さんが契約した時に同じようにサインを書いてもらったのに今度はショートさん...図々しいですね」
申し訳なさそうに言う男性に轟はそれほどに嫌な感じはしなかった為了承した。
『それで、うちのマンションで今短期契約は可能ですか?』
田渕「あ、はい。秋の引越しシーズンで大分退去されましたからね。空きは十分にありますよ。
風舞さんと同じ階にも空きがありますが、同じ階の方がよろしいですか?」
『どう?』
轟「ああ、何かあった時はその方が良いかもな」
『じゃあ同じ階でお願いします』
田渕「かしこまりました。角部屋の方がちょうど空きが出ましたのでこちらはいかがでしょうか?間取りは2LDKでエアコンや家具、テレビ、食器などは全て完備しております」
轟「すげーな」
田渕「前の契約者の方が使用したあとですが、洗浄、消毒、滅菌まで行っておりますので衛生面においてはご心配いりません。また、こちらのマンションはオール電化となっておりますがマンションの屋上にソーラーパネルを完備しており、また自社の通電網で、本社に設置しておりますソーラーパネルからも電気を引いておりますので電気代はほとんどかからないうえ、停電時などは自家発電で対応しますのでオール電化ならではのご心配はいりません」
轟「なるほど」
『ホントに電気代ほぼかからないよ』
轟「そうか、お願いします」
田渕「かしこまりました。連帯保証人はどうされますか?」
轟「保証会社は?」
田渕「はい、御座います。では、保証会社の契約も手続きさせて頂きます」
それから1時間半程かけて轟の短期契約は無事に終了した。
田渕「以上で契約手続きは全て終了となります。なにかご不明な点は御座いませんか?」
轟「いえ、大丈夫です」
田渕「それでは、今後は風舞さんと同様に轟さんの担当も努めさせて頂きますので何か不明な点やお困り事等御座いましたら私にご連絡ください」
轟「はい」
田渕「それから、万が一身バレしてしまいメディアやファンの方がマンションまで押しかけて来てしまった場合、マンションの各フロアに設置しております警備ボタンを押して頂ければ当社と連携しております、ヒーロー公安委員会認定の警備会社が対応にかけつけますのでそちらもご周知ください」
轟「それはありがたいな」
『うん、裁判沙汰まで発展しそうになっても全部代理で手続き勧めてくれるんだ』
田渕「はい、弁護士も在籍しており万が一のトラブル時には弁護士が駆けつけ法的措置を取ることも出来ます」
轟「まさにヒーローのためのマンションだな」
田渕「プロヒーローの皆さんに安心して生活していただけくため試行錯誤した結果現在の形となりました」
こうして、契約作業は終わりサインは明後日の入居の立ち会いの際に色紙で渡すことを約束して不動産を後にした2人。
轟「風舞、悪いな付き合わせて」
『ううん、どうせ暇だったし大丈夫だよ』
轟「さっさと帰って荷物まとめねぇと」
『明日は仕事だし今日中に終わらせたいよね。轟が良かったら手伝うよ?』
轟「いいのか?」
『当分一緒に仕事するんだし、恩は売っとかないとね?』
轟「飯くらいは奢る」
ニヤっと笑って言った私に釣られたのか、フッと笑って返した轟。
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