再会
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自宅の鍵を開け玄関の照明をつけた。
『どうぞ!』
轟「お邪魔します」
靴を脱いでそそくさとリビングに移動し、電気をつけると今朝方脱ぎっぱなしにしていた服を洗濯機の中に放り込んだ。
後から入ってきた轟にソファーの位置を指さし誘導した。
『散らかってるけど』
轟「いや、気にすんな」
人を家に招いたのは久方ぶりだ。
最近はありがたいことに忙しくてA女子ともあまり連絡も取れていなかったから。
轟「1人暮らしの割に結構広いところに住んでるな」
『えー、勝手なイメージだけど轟の方が広そう!』
轟「どうだろうな」
『とりあえず轟、何飲む?』
轟「お前は?」
『私は梅酒飲んでから日本酒行こうかな』
轟「お前結構混ぜるな」
『そう?』
轟「さっきもハイボールにワイン混ぜてたろ。そんな混ぜて二日酔いにならねぇのか?」
『私二日酔いになったことないんだよねぇ』
轟「酒弱そうなイメージだったけど、相当強いよな」
『そうかなー?あ、何かおつまみいる?』
轟「何かあんのか?」
『んー、すぐ作れるのは玉子焼きとか塩キャベツとかもやしキムチとかかな』
轟「結構作れんな」
『ふふ、何かいる?』
轟「玉子焼きともやしキムチ気になる」
『了解!』
ジャケットをソファーにかけておき、轟にお茶を入れたコップと途中で買ってきたチューハイを渡しソファーに座って待つよう声をかけるとアイランド式のキッチンに入りエプロンを着て手を洗うと冷蔵庫から卵ともやしを出した。
手馴れた様子で卵を器に割入れ、解きほぐすと冷蔵庫から予め取っておいた昆布とカツオのだし汁の入ったポットを出し解きほぐした卵に混ぜた。
轟「それ何入れてんだ?」
『だし汁だよ、暇な時に昆布とカツオで出しといたの』
轟「へぇ、すげーな」
『....昔から思ってたけど轟って、相手のスゴいと思ったことを素直に褒めれるところ良いとこだよね』
フライパンに卵を流し入れ手馴れた様子で巻いていった。
轟「別に、普通だろ」
『いや、轟くらい才能あって強かったら普通は素直に他人を褒めるのはプライドが...ってなるよ?』
轟「そうなのか?」
『まあ爆豪は極端すぎだけど』
轟「そういや、爆豪とは同じ職場だもんな」
『まあね』
轟「お前って爆豪と接してる時は素な感じだったな」
『素..なのかな?単にムカつくって言いやすいってだけかなー』
轟「....そうか」
『さ、出来たよ!』
焼きたてのだし巻き玉子の横に大根おろしを添えてテーブルに出した。
また、だし巻き玉子を焼いてる間に鍋でもやしを茹でて、卵を焼き終わったあとにもやしを水あげし、ストックしていた某ラーメン屋のもやしキムチの素を混ぜ器に盛った。
轟「この短時間ですげーな」
『もやキムは市販の素混ぜただけだけどね』
轟「そうなのか..美味そう」
『どうぞ?』
轟「ん、いただきます」
轟は卵焼きを1つつまみ、口に運んだ。
轟「美味ぇ」
『良かった!』
轟「店以外で作りたての料理食べたの久しぶりだ」
『料理なんてもんでもないけど...実家帰ってないの?』
轟「年に何回かは帰ってる。けど、途中で出動要請出たり忙しくて長居する時間がなくて飯食わねぇで帰るのがほとんどだ」
『そっか、人気ヒーローは大変だね』
轟「お前も結構忙しいんじゃねぇのか?」
『?』
轟「ビルボチャート8位だったろ?」
『意外!轟絶対そういうの見てないと思ってたのに』
轟「あー、自発的には見てなかったが後輩が騒いでてランキング結果載った雑誌見せられた」
『轟はもうトップヒーローの仲間入りだもんね、そりゃ騒がれるよ』
轟「言っとくがお前もランクインしたんだからトップヒーローだからな」
『いやいや、私轟ほど騒がれてないよ』
そう、私が8位に選ばれたヒーロービルボチャートJP上半期でショートは堂々の5位に選ばれていた。
その結果を見て後輩サイドキックの人がショートの話題で盛り上がっていたのを聞いて爆豪が半殺しにしていてジーニストに締め上げられたのも、その日から数日はそれはそれはもう荒れまくっていたのも記憶に新しい。
轟「親の名前もありきだろ」
『えー、それでランクインできるほど甘いランキングじゃないの知ってるでしょ?轟の努力の結果だって!さすがは1Aの3強だね』
ちなみに緑谷ことデクがビルボチャート、好感度、好きなヒーローランキングでオール3位に選ばれていて当時3強と呼ばれていた3人共が堂々とトップ10に入っていたのは級友としては誇らしい。
まあデクの方がランキングが上という事実にさらに発狂した爆豪はその日から数日ジーニストに外業務させてもらえなかったんだけど。
轟「3強?」
『うん、クラスで言われてたじゃん?』
轟「俺の記憶だとお前も入れて四天王って言われた記憶がある」
『....何で覚えてるの』
轟「わざとかよ」
そう、実は私も親がプロヒーローという恵まれた環境であることもあり実技に関してはそれなりに出来る方だった。その為、クラスメイト達が3強と呼んでいたのはウソで実際は私を入れて四天王って騒ぎ立てられていた。だが、あまり騒がれるのが得意じゃない私は勝手に自分の中では3強とずっと思っていた。轟は自分の評価とかを全く気にしない奴だからそんな風に呼ばれてるのも知らないだろうし騙せると思ったけど知ってるとは思わなかったよねー。
『私入れなくていいよ、3人と比べたら雲泥の差だもん』
轟「そんなことねぇだろ。お前わりと周りよく見てサポートに回る事多いから動きに派手さがないだけで」
何か久しぶりに会った轟から、意外な言葉がポンポンと出てくるのは久しぶりだからだろうか...。
『なんか...轟ってさ。意外と周りの事見てたんだね?』
轟「? クラスメイトだからそりゃ見てるだろ」
『いやー、何か当時は周りの変化に鈍かったからあんま見てないのかと思った』
轟「そうだったか?」
『うん』
轟「あまりそういうの気にしたことねぇけど」
無頓着とか興味が無いってわけじゃなくて、そもそも轟は優しい奴だからもちろん友達が落ち込んでれば話聞きに行くし励ましたりするし困ってれば助けてたし、だけどそういう他人の変化とか違和感に対して鈍感だと思ってたから本当に意外だった。
轟「でも実際お前はもっと上にいると思ってた」
『ん?』
轟「ランキング」
『あー、最近外仕事より中仕事メインでやっててね。数ヶ月前にうちの主任経理が病気で急遽入院しちゃって。その人1人で3人分の仕事するくらい有能な人だったから急に人手足りなくなって。それで、私も経理の方に回るようになってさ、最近あんま依頼解決に携われて無いってのもあるかな』
轟「そうだったのか。最近ヒーローニュースでお前の名前見かけなかったから気にはなってたんだ」
『え、気になってたの?』
轟「ああ」
『へぇ』
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