変化
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耳郎「でも電話来た時は久しぶり過ぎてびっくりしたよ」
蛙吹「そうね。でも
ずっと会えてなかったから嬉しいわ」
チームアップの依頼をしたイヤホン・ジャックこと耳郎響香とフロッピーこと蛙吹梅雨。
上司の許可を得ることが出来て、本格的にチームアップミッションを開始すべく私達は拠点となる公安委員会支部の会議室に集まっていた。
『私もだよー!任務とはいえ、会えて嬉しい!』
蛙吹「轟ちゃんも元気そうね」
轟「ああ、耳郎も蛙吹も久しぶりだな」
耳郎「久しぶり、轟相変わらずキャーキャー言われてんね」
轟「...そうか?」
隣にいる轟の顔を覗き込んで何気なく聞いてみた。
『轟は最後に会ったのいつだった?』
轟「卒業してから初めてだ」
『そうなんだ!それは久しぶりだ』
轟「まあお前も似たようなものだったけどな」
『あ、確かに』
そんなやり取りをする私達を見て、梅雨ちゃんと響香が顔を見合わせた。
耳郎「2人、付き合ってんの?」
轟「?」
『え?何で?』
耳郎「いや何か昔と雰囲気が違うし、なんか距離感が近い気がして」
蛙吹「そうね、なんだか恋人同士みたいよ」
そう言われて轟との距離を見た私。
確かに腕が触れるか触れないか位の距離に立っていた私達。
それを自覚し途端に恥ずかしくなり私はパッと轟と距離をとった。
『つ、付き合ってないよ!全然!違う違うっ!///』
轟「そんな全力で嫌がらなくてもいいだろ」
『あ、ごめん!そういうつもりじゃ...!!
あ、そろそろ任務の話ししよ!!』
蛙吹「そうね、目的を忘れちゃダメね」
轟「ああ」
賛同してくれた2人と違って、チェッと悔しそうな顔をした響香が見えたが今は無視無視。
真砂くんも合流し、梅雨ちゃんと響香に今現時点で分かってることを全て話した。
耳郎「もし元ヴィラン連合が絡んでると確定した場合はチームアップとかそういうレベルの話しじゃないよね」
『今、エンデヴァーとジーニストがホークスに協力してもらって、収容されてる元連合の奴らの動きを確認しに行ってもらってる』
轟「タルタロスの警戒レベルも最高まで上げてもらうよう要請するそうだ」
真砂「背亀以外の被疑者達の元ヴィラン連合の人間との関連ですが、今のところはっきり接触機会があったかどうかは分かっていません。しかし、他の被疑者3人も個性ありきの超人社会、そしてヒーロー社会への不平不満を日頃から口にしていた事が交友関係を洗ってる中で発覚しました」
『なら、連合からの接触がなくても被疑者達が一方的に連合に対する同志意識を持っていたかもしれない。自主的に新ヴィラン連合へ加入する動機としては十分ありうる』
蛙吹「それで、私達はどうしたらいいのかしら?」
『響香と梅雨ちゃんには明日出所する背亀の同行追跡をお願いしたい。もしかしたらアジトが判明するかもしれない。もし潜入となった時に2人のペア程潜入に最適なペアはいないから。何か有力な情報が入ったらすぐに真砂くんに連絡を』
耳郎「分かった」
蛙吹「分かったわ」
『轟、私達は他のメンバーの調査に入ろう』
轟「ああ」
真砂「ダイナマイトさんへの中間報告はどうしますか?」
『あー...調査行く途中に私から連絡入れとく。事が大きくなりそうなら他の事務所にもチームアップ要請依頼しなきゃだからその辺のリストアップをダイナマイトに任せようかな』
真砂「分かりました、エンデヴァーさん達から連絡が来たら皆さんにも連絡します」
スニーク活動が私達よりも有能な響香と梅雨ちゃんに背亀の同行追跡を任せ、私と轟は警察の追跡チームと分担して他の3人の同行を探ることにした。
『うん、これが事実だとするともっと大規模なチームアップが必要になるから。リストアップお願い』
爆豪に電話をかけ、地味な仕事だのモブの仕事だのギャースカ騒ぐ爆豪に要件だけ告げて電話を切った私。
轟「爆豪、騒いでたな」
『予想通りのリアクション。まあ、なんだかんだ言いつつあいつ仕事はちゃんとやるから大丈夫だよ』
轟「...そうか」
一言呟いた轟の表情が何だか思い悩んでいるような表情に見えて気になった私は轟の名を呼んだ。
『轟?どうかした?』
轟「! あぁ、いや...何でもねぇ」
そう言った轟は本人の言うようにいつものポーカーフェイスに戻っていた。
気にはなったけど、私達にも今すべき事がある。
『そう?じゃあ取り掛かろうか、私達の仕事』
私達が追った被疑者の1人。
黒土台地。個性、土台。
土を四角い形に形成できる。複雑な形状にする事は出来ず、台形や正方形など四角い形限定。しかし、その大きさは自在に操れるが土を生成することは出来ないので周辺環境の土の量に寄り切り。コンクリート社会の現代では使い勝手の悪い個性。
幼少期に両親が離婚。母親に引き取られたが中学生の頃に母が死去。以降は養護施設に引き取られた。
ごく普通に高校を卒業し、現在はサラリーマンとして働いている独身。
『人の過去に甲乙つけるつもりはないけど。経歴だけ見ると、他のヴィランと比べたらインパクトには欠けるけど...』
轟「ああ」
黒土が職場から出てくるのを私達は、轟が運転する警察の尾行用車両の中で待機していた。
たわいない話しをしながら黒土の就業時間が終わるのを待ちながら、私はこの案件の中身を掘れば掘るほど気になっていた事を思い切って聞いてみようと口を開いた。
『ところで、さ...』
轟「? なんだ?」
『もし、本当に元ヴィラン連合が絡んでたとして....』
非常に聞きにくい。思い切って聞こうと決心して、口を開いたが私の口は思った以上に聞くことを渋っていたようで中々言葉が紡ぎ出されない。
轟「ああ、なるほどな」
『え?』
轟「荼毘が関わってたら、大丈夫なのかって聞きてぇんだろ?」
まんまと見抜かれた私の心。
結構大事な問題だと思ったけど、轟は顔色1つ変えずに私に確認してきた。
『え、あ...うん。や、余計なお世話っちゃお世話なんだけど』
轟「フッ、そんな事思ってねぇから気にすんな」
そう言って轟はくしゃりと表情を緩めると私の頭を優しく撫でた。
『っ...////』
轟「そうだな、平気かって言われたら思う所は色々あるけど。けど、今回も関わってるって分かったらいい加減見切り付くかもしれねぇな」
『見切り..?』
轟「解放戦線の時は、兄貴を救おうと必死だったけど。今度も関わってるならもう救いようねぇなって」
そういう轟の表情は吹っ切れたような、でもどこか切ない表情をしていた。
轟「それに今度関わってたらもう重罰は免れねぇだろうし」
『轟....』
轟「お前がそんな顔してどうすんだよ」
私に気遣わせないようにか、そう言って柔らかく笑った轟。
轟「元々会話とかもほとんどしたこと無かったし兄貴との思い出もほとんどねぇ。お前が思ってるよりは案外平気だ」
平気ならそんな切ない表情しないよ。
昔に比べて感情が随分表情に出るようになった轟のその顔はどこか苦しそうで..。
『私には...』
私に出来ることなんてほとんどない。それでもこんな顔した轟の事、放っておけない。
轟「ん?」
『私には轟の辛さは理解してあげられないけど....轟が辛いって思う事も轟が迷ったりした時も話し聞く事は出来るから』
轟「風舞...」
『ホント、聞くだけしか出来ないけど....。
でも、人に話して楽になるってのが本当なら..私いくらでも聞く。朝だろうが深夜だろうが、付き合うから』
轟は1人じゃない、仲間がいる。1人で抱え込むことなんてない。
それだけは忘れないで欲しい。
轟「...サンキュ」
そう言って笑った轟は、私が今まで見たどんな轟よりも1番キレイだった。
私のこの気持ちが、友人としての気持ちなのか...
それとも別のものなのか。
この時はまだ、自分でも疑問にすら思っていなかった。
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