変化
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『轟...からかわないでよ』
轟「俺が冗談でこんな事言う奴だと思ってんのか?」
『...思ってない』
轟はどこか切ない表情を浮かべながら気まずそうにぽつりぽつりと口を開き話し始めた。
轟「高校の時から、お前が好きだった」
『.......え』
轟「卒業してから、お前の事忘れられたと思ったけど。再会して、やっぱお前が好きだって思った」
『ウソ、でしょ...高校の時って、いつから....なの?』
轟「.....1年」
『...............』
驚きのあまり言葉を失った。
高校時代、ずっと私の事好きでいてくれたってこと?
そんな事、全然....
気づけば私の目から涙があふれていた。
轟「....悪りぃ。急にこんな事言われたって困るよな」
『あ、違う!そうじゃ、ない..』
私が泣き出した理由が、轟の想いが迷惑だと思ったからだと勘違いされてそうで慌てて否定した。
轟「え...?」
『知らなかったから...轟の気持ちに、全然気づいてあげられなかったから。きっと、傷ついてたよね...。ごめん』
轟「お前...」
『ごめんね、轟...ずっと、抱えさせてたんだね』
まさか轟が私の事を好きだなんて想像したこともなかったけど。
でも、好きという気持ちを伝えられず気づかれもせず。ずっと自分の心の中にしまい込むというのはどれほど苦しく辛い事なんだろう。そう考えると、罪悪感でいっぱいだった。
轟「お前は、悪くねぇ...だろ」
『でも..!』
轟「お前って、ホントいい奴だよな..」
『え?』
轟「そういう所も、変わってねぇ飯の味も...やっぱ好きだ」
『........』
轟「悪い、忘れてくれ。少し、酒のせいで気持ちが高ぶっただけだ」
自分の伝えた本当の気持ちを忘れてくれ、だなんて。今どんな気持ちで言ってるの?
轟にとって大事な事だろうに、私の事を考えて言ってくれてるんだよね。
やっぱ、轟って優しい奴だよ。
『.....轟、辛くないの?』
轟「..俺?」
『正直轟が私の事好きなんて信じられないけど...でも、少なくとも今勇気出して伝えてくれたんだよね?それを忘れてくれだなんて...辛くないの?』
轟「................」
『私と居て....辛くない...?』
何も気づかずに一緒に過ごしてきたこの数日間。
私は何も気付かなかった。
何も見えてなかった。轟がどんな想いで今いるのかなんて...
轟は私が近くに居て辛くないんだろうか。気づきもしてくれない想いを抱えて...
轟「辛いっつーより、ただ...」
『?』
轟「お前とこうして過ごせば過ごすほど、俺だけのもんにしたくなっちまう」
『っ!?////』
轟「独占欲って奴だな」
『独、占欲....////』
轟とは無縁だと思っていたその言葉に一気に顔が湯気を吹く勢いで真っ赤になっていくのを自覚した。
轟「悪りぃ、チームアップ中に気まずくなっちまうよな」
『あ、ううん...轟は私と違って多分普通にしてられるだろうし』
轟「そうでもねぇよ、ここ数日もお前と居て舞い上がってた」
『見えない見えない!』
轟って本当に顔に出ない....。
轟「けど..そうだな。忘れてくれ、は間違えた」
『うん...』
轟「覚えといてくれ、俺の気持ち。振り向かせられるように努力する」
『うん....あっ、えっ?!/////』
油断していた所にまさかの諦めないって宣言。
轟「10年燻ってきたんだ、今更こんな距離になって諦めらんねーよ」
『と、どろき...////』
轟の表情には迷いもなければ、後悔も見えない。
轟は真正面から私に気持ちをぶつけてくれている。なら、私もその気持ちと真正面から向き合わないと轟に失礼だ。
『私の気持ちは別として...轟の気持ちは、嬉しい。そんなにも長い間自分の事を想ってくれていた人がいたなんて思ってもいなかったから。
....ありがとう』
まずは精一杯の誠意を。
『轟の気持ちには応えられない』
轟「........」
『でもこの先ずっとそうかと言われたらそれも分からない。
この数日轟と一緒に過ごして、色んな轟を見て少なくとも高校の時みたいなただのクラスメイトの1人...では、今はない』
轟「え...」
男女の垣根を超えた友情と呼ぶものなのか。
それとも...
『1番心許せる男友達って感情かもしれない。けど、轟が真っ直ぐ気持ち伝えてくれたから。
私も轟の気持ちに真剣に向き合うよ』
単に不器用な轟が放っておけないだけかもしれない。
見たことのない轟の色んな表情を見て戸惑ってるだけかもしれない。
それでも、今は轟に抱く気持ちは雄英時代と同じただのクラスメイトじゃない。
それが恋なのか何なのか。
知るのはもう少し先...
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