共同作業
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家に帰ってシャワーを浴びルームウェアに着替えた私。
お隣だしすぐに寝れる格好で良いよね?
轟もう帰ってるかな?と思い、シャワーから上がった後にLINEを入れたがまだ既読はつかない。
連絡が来るまで、何か家にあるものでおつまみでも作ってようと思いキッチンに立ち冷蔵庫を漁っているとLINEの音が2回鳴った。
[今帰った]
[シャワー浴びる]
[鍵開けとくからこっち来ててもいいぞ]
そのメッセージを見て今ちょうど冷蔵庫から出した鶏の皮とレモン、スマホと鍵を手にして轟の家に向かった。
お邪魔しまーすと呟き、轟の家に上がった私は真っすぐにキッチンに立った。
浴室から聞こえるシャワーが流れる音をBGMにおつまみ作りを開始した。
轟「風舞、何か作ってくれてんのか?」
シャワーから上がった轟が首にタオルをかけてキッチンに姿を表した。
『うん、ごめん。勝手にキッチン借りてたのと冷蔵庫の中身使わせてもらった』
轟「ああ、構わねぇよ」
出来上がった鶏皮をカリカリに焼いたものにレモンを絞った鶏皮せんべいに、揚げ出し豆腐、揚げ納豆の3品を皿に盛りつけテーブルに並べお酒の缶をコツンと当てて、今日の飲み会も始まった。
轟「相変わらずすげぇな、この短時間で」
『でも簡単なものばっかだからすごくないよ?』
轟「簡単なのか..これはどう作るんだ?」
揚げ出し豆腐を指さした轟。
『水溶き片栗粉つけて揚げ焼きしてだし汁つくって味馴染ませただけ』
轟「これは?」
『お揚げの中に納豆入れてグリルで焼いただけ』
轟「これ」
『少しだけ油引いたフライパンで焼くだけ』
轟「少しでいいのか?」
『焼いてたら鶏皮から大量に油出るんだよ』
轟「へぇ、今度俺にも料理教えてくれ」
『うん、いいよ?...ふふ』
まるで幼い子供みたいに興味深々に質問してくる轟に思わず笑ってしまった。
轟「? 何だ?」
『や、轟子供みたいだなぁって』
轟「..子供は、失礼だろ」
『ごめんごめん、悪い意味じゃないよ?可愛いとこあるんだなーって思っただけ』
拗ねてしまった様子の轟はお酒の缶を勢いよく傾けごくごくと自棄になって飲み干すと2本目を開けながらムスッとして顔をふいっと逸らした。
轟「男が可愛いって言われても、嬉しくねぇ」
『? じゃあどう思われたいの?』
轟「...........」
『轟?』
急にだんまりになった轟の顔を覗き込むと先ほどよりも不貞腐れたような顔をしていた。
轟「そりゃあ....男だからな。可愛いよりは、かっこいいって言われる方が...」
『え..』
轟「..何だよ」
『いや....轟はカッコいいなんて言われ慣れてるでしょ?』
轟「慣れてねぇよ」
『それは轟が周りの声気にしなさすぎなだけだよー?轟がカッコいいって思わない人の方が世の中少ないと思うよ?』
不貞腐れた轟をなだめるようにそう言うと、今度は先ほどとは違って急に真顔になった轟。その表情はどこか切ない表情をしていた。
『どうしたの?』
轟「..お前は?」
ぽつりと呟かれたその言葉。
『え?』
轟「お前は、どう思う?」
『私?轟は普通にカッコいいと思うよ?それに轟優しいし!
轟くらい良い男中々いないと思うけど』
轟の問いに答えてあげると轟は突然目を見開き勢いよく顔を逸らした。
轟「..........」
『轟?もしかして照れてる?』
轟の不自然な挙動にもしやと思い、席を立ち背後から顔を覗き込もうとすると、轟の掌が私の額を押し戻した。
轟「見んなよ...」
『轟って、照れることあるんだね?』
照れたり不貞腐れたり今日の轟はコロコロと表情が変わって面白い。こんなに表情のバリエーションある人だっけ?
轟「俺を何だと思ってんだ」
『意外だなー、カッコいいなんて言葉で照れるなんて。だってイケメンとかカッコいいなんてプロヒーローショートを検索したらハッシュタグで出てくる代名詞みたいな言葉じゃん?』
轟「それは喜ぶ事なのか?」
『嬉しくないの?』
轟「.........」
一連の轟の反応や挙動で私はピンと来た。
『あ...轟、もしかして好きな人いるな?』
轟「.....何でだ」
『轟の好きな人はあんまりそういう事言わないから、他の女にキャーキャーカッコいいとか言われても好きな人に言われなきゃ嬉しくもなんともねぇよ!って感じじゃないの?』
轟「...........」
『図星だな、これは』
どう考えても的中させた轟の反応にひっそりとドヤ顔をしてやると轟が分かりやすいくらいにふいっと顔をそむけた。
『でも轟の事かっこいいって思ってない感じなの?』
轟「..思ってるみてぇだけどそれだけだ」
『あ、恋愛対象に入ってない感じね』
轟「...そういう時はどうしたら、男として見られるんだ」
『えー、普通に迫ってみたら?普通の女子は轟くらい顔良い奴に壁ドンとかされたらトキメクと思うけど』
轟「そうなのか?」
『よっぽど嗜好が変わった女子じゃなければね。あ、お酒まだ飲むよね?』
そうアドバイスしている最中、テーブルの上に用意したお酒が全て空になっているのに気づいた為冷蔵庫にお酒を取りに席を立った。
冷蔵庫の中から、何を出そうか吟味していると背後に気配を感じ、振り向くと轟が立っていた。
『あ、轟も選ぶ?』
てっきりお酒を見に来たのかと思ったから少し避けて冷蔵庫の中が見えるようにしたら急に右手で冷蔵庫のドアを閉めたと思ったら左腕で腕を掴まれて、何故か轟の方を向けさせられ
冷蔵庫に押し付けられた。
『....え、な、なに?』
轟「お前は、どうだ」
『ど、どうって?』
轟「お前も、意識してくれんのか?」
『...え、どういう意味?』
轟「普通の女子は俺に壁ドンされたらトキメクんだろ?お前はトキめいてくれんのか?」
話しながら段々と顔を近づけて来る轟。
あろうことか鼻が触れ合いそうな距離まで端正な轟の顔が近づいてきて私の心臓は爆発しそうだ。
『ちょ、轟....酔ってる?』
轟「酔ってねぇよ」
『どういう意味で、聞いたの?それ...』
轟「........」
私がそう問いかけると、轟の端正な顔が歪んだ。その表情はどこか切なそうだった。
『と、どろき?』
轟「...好きだ」
突如轟の口から紡がれたたった一言。まるで轟の個性で凍らされたかのように私の身体が動かなくなった。
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