再会
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女子風に言えば恋バナというやつが好きな芦戸、葉隠は飽きもせず隙あれば恋愛話しをしたがっていた。
いつものように2人を筆頭に恋愛についての話しが始まり他の女子達も、満更ではなさそうで女子が集まり恋愛話が広がっていた。
芦戸「莉紗は彼氏いるー?」
風舞に振られたその話題に、俺は聞きたいような聞きたくないような複雑な思いに駆られ結局その場で聞くことにした。
『あーっと...いるよ?』
頭が殴られるような衝撃だったのを覚えている。
想いを伝えようとか考えていたわけじゃなかったが、伝えることすら出来ないと分かって俺の頭は思考を一時的にストップさせた。
葉隠「ええ?!同じ学校の人?!」
『ううん、別の学校だよ』
芦戸「出会いは?」
『中1の時のクラスメイト』
耳郎「ヒーロー目指してる人?」
『ううん、全然。普通の学校の人』
麗日「話しとか合う?」
『うーん、まあ学校の話しとかしてもハテナって感じだけど。でも授業のグチとかしんどーい!とか嬉しい!とかはさ、クラスのみんなと出来るから。むしろプライベートの時はヒーローの事とか訓練の事とか考えず頭真っ白に出来るから逆に救われてるかな』
芦戸「彼氏と喧嘩しても負けないね!」
『そうだね笑』
正直その後どんな話だったかは覚えていない。
突き落とされた気分になり、しばらく自分から話しかけに行けなかった気がするが、ガラにもなく風舞とは繋がっていたいと思った俺は自分の気持ちは伝えずに卒業するまで過ごし、そのまま離れ離れになった。
プロヒーローとなった1年目はジーニアス事務所とのチームアップで何度か一緒に仕事をしたがそれ以降は、幸いにもジーニアスとのチームアップの機会はなく風舞とはそれっきりだった。
だから、今回の再会は風舞への想いも高ぶることもなく落ち着いて行ったと思った矢先の出来事だった。
警察との合同捜査となり、若手実力派の真砂が警察側のチームリーダーとなり俺たちは新たなヴィラン連合について捜査することになった。警察側には、被疑者達の動向や不動産、通信回線などの契約状況や親族・交友関係の洗い出しを任せ、俺と風舞は今日のところは動きようがないため、既に絞られている4人の被疑者の自宅の場所の下見や人物の確認をすることにしてこの日の仕事は終わった。
風舞への想いを忘れられそうと思ってた中での、この状況にまた膨れ上がっていく想い。
まだ一緒にいたいと思って、飲みに行こうと誘うと風舞は目をキラキラさせて承諾してきた。
やってきた居酒屋はどうやら風舞は常連のようで、無言で個室に通された。
轟「1人で飲みに来るのか?」
『んー、飲みにというかご飯がてらね!作るのめんどくさいなーって時にご飯食べに来てついでに適当に飲んで帰るみたいな。一人の時はカウンターの角の方で隠してもらってひっそりと飲んでるよ?』
轟「そうか、意外だった」
『え?』
轟「お前、寮の時はあまりランチラッシュに頼らずにちゃんと作ってるイメージだったから」
いつも料理を作る風舞を見ていた。
鼻歌を歌いながら作る風舞が可愛くて目が離せなかった。
普段は食事の時間に合わせたりせず、時間が合えば寮で食べて、売店で適当に買ったり蕎麦をたべたりしていたが、風舞が料理番の時は、絶対寮で食べていた。風舞の料理は優しい味がして好きだった。
自分の為だけに作って欲しいと何度思った事か。
『そういえば、しばらくこっちで動くって言ってたけど家から通うの?』
ふと、風舞が聞いてきた。
そういや、どうしようか。
さすがに毎日通うにはキツい距離だ。
轟「いや、さすがに2時間かかる距離だから毎日通うのはキツい。今日はとりあえずホテル取ってる」
『期間によってはヒーロー専用の短期契約マンションとかは?この辺結構短期派遣で来るヒーロー多いから、数は結構あると思うよ?』
轟「そんなのあるのか?」
『うん、知らなかった?』
轟「ああ、聞いたこともなかったな」
『私のマンションも契約の時その話しされたから多分そうなんだけど』
風舞と同じマンション?
毎日風舞に会えるのか?
轟「お前と同じマンションなら案件進めるのに便利そうだな」
『あ、確かに』
轟「それなりに長くなりそうだしもう少し詳しく教えて貰ってもいいか?」
『うん、もちろん!』
チームアップを口実に同じマンションに越そうとする俺は確実に俺らしくもない。だが、そんなことも気にしてられないくらい今の俺は風舞を繋ぎ止めるので必死だ。
今いるこの店もそろそろ2時間経つ為移動することにし、2件目を探し歩くがどこも混みあっていて入れそうにない。
『この辺終電待ちのサラリーマンとかも多いからねぇ。週末は混むんだ』
轟「お前が良ければ俺の取ったホテル来るか?」
言って後悔したが、さすがにこれはマズいか...。下心あるとか思われるだろうか。
『宿泊者以外入れたのバレたらまずくない?それなら私の家おいで、轟が良ければ』
特に気にした様子もなく、むしろ風舞から願ってもない申し出に心臓がはやった。
轟「俺はいいけど、お前は良いのか?」
『ん?』
轟「男連れ込んでも大丈夫なのか?」
『や、別に私未婚だし彼氏もいないし。逆にそういう言い方されると変に意識するから!』
照れくさくなったのか、少し顔を赤らめて手をぶんぶんと振る風舞が可愛くて小さく笑ってしまった。
轟「悪りぃ」
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