Form of love
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翌朝。
昨夜よく眠れなかった…
あの時みた出来事が忘れられなくて…
(アスランさん…学校でそんなことするなんて思わなかったな…)
少なからずショックだった。
両親を事故で亡くし、心をなくした自分に優しくしてくれたアスラン…
彼がいなかったら、ここまで回復しなかったと思う。
尊敬していた。
人間として…こういう人になりたいと…
だったのに…
首を横に振り、暗い気持ちを振り払う。
今日は昨日渡せなかった資料を渡さなければならない。
アスランは朝早くから生徒会室に来ている。
(授業が始まる前に早く渡して素早く帰ろう。)
エレベーターに乗り込み、最上階のボタンを押す。
緊張とはまた別の感情が、胸の中に湧き上がる。
(大丈夫…昨日は体調が悪くなったことにすればいい…ちゃんと謝ればわかってくれる筈だよね。……アスランさんは……優しいから)
ポン!
エレベーターが最上階につく。
開くと目の前には生徒会室の扉。
…昨夜も来た扉。
ゆっくり近く。
念の為中の音を聞くが、何も聞こえない為2、3回深呼吸をして生徒会室に入る。
「…失礼します…」
「ん?あぁ、ミナか」
アスランは生徒会室奥の机で作業をしていた。
ミナは机の前に立つ。
「はい、あの…頼まれた資料お届けに参りました。」
「ありがとう。…しかし頼んだのは昨日の7時だった筈だが?」
「…すみません!!実は…昨日は体調が良くなくて…」
「大丈夫なのか?」
そういうとアスランはミナの額に額を合わせる。
「あ、アスランさん?!」
「ん…熱はないみたいだな、よかった」
「あ…はい、もう体調はいいので…」
「ただ、連絡はできただろう?
時間になっても来ないから心配したんだぞ?」
「申し訳ありません…」
そう言い頭を下げる。
(嘘つき…あんなことしてたくせに)
連絡をいれるかは正直なところ迷っていた。
しかし2人の営みを邪魔することはどうしてもしたくなかったのだ。
「罰として、今日は会長の仕事を手伝ってもらうぞ。7時にな、今日は来るんだぞ」
「…はい、わかりました」
そう告げると一礼し生徒会室を出る。
今回は連絡を入れなかった自分にも非はあると思い素直に従う。
いや、従うしかないのだ。
生徒会は絶対、特に生徒会長のいうことは従わなくてはならない。
これはこの学園の掟…というか暗黙の了解だ。
生徒会員の親はみんなこの国のトップに近い地位にいるものばかりで…
みんな従うしかない。
(そんな中に私が入ってるなんて今でも気が引けちゃうけど…)
でも事実、アスランがミナを生徒会に入れたことで、いじめられたり陰口を言われることは皆無だった。
一般市民であったミナを守っていたのは明らかに生徒会の力…
その事には感謝していた。
これも全部アスランのおかげ…
ミナは自分の教室に向かうと、もうほとんどの生徒が登校していた。
ミナは自分の席に座ろうとすると、
「おはよう、ミナ!」
前の席のキラに話しかけられる。
隣にはキラの彼女のラクスもいた。
「おはよう!キラくん、ラクスさん。」
「おはようございます。今日は遅いのですね。」
「うん、ちょっと生徒会に用事があって…」
「まーたアスランにこき使われたのか?」
頭にポンッと手が乗る。
その声と行動ですぐにカガリだとわかる。
「か、カガリさん?!」
「ん?そんなに驚かなくてもいいだろ?」
確かにその行動は会えば毎回していた為驚く事ではない。
だが今回は違う。
昨日の出来事がフラッシュバックしていた為、動揺してしまう。
「しかし今更だが、ミナのさん付けはいつになったら治るんだ?」
「カガリ、それはいいでしょ?」
「そうですわ、それがミナの良い所ではないですか」
「あぁ、わかってはいるんだがな」
そういうとカガリは自分の頭をかきながら困り顔をしていた。
本当はミナだって呼び捨てで呼びたい。
それぐらいこの3人とは仲がいいのだ。
しかし、ミナと親しくしているこの3人だって将来はこの国の未来を担う人間だ。
その事を忘れぬように、本当の自分を忘れぬように呼び方には拘っていたのだ。
「まぁ、卒業するまでには1度くらい呼んでほしいな!」
「うーん、考えとくよ」
そういうとミナはカガリの顔をまじまじと見つめる。
(カガリさんって私たちの前ではこんなだけど…女の子らしいところあるんだなぁ…)
「ミナ…なんか顔赤くないか?」
「え?!…いや、なんか…あ、暑いねー!」
「そうか?」
「お2人共、そろそろ先生がいらっしゃいますわ」
「お、そうだな!じゃあミナ、後でな」
そう言うとカガリはミナの頭を撫で、自分の席に戻る。
「ミナ、大丈夫?エアコン入れてもらう?」
「だ、大丈夫だよ!!」
(いけないいけない…アスランさんとカガリさんのことは考えないようにしないと…)
しかし、今日1日カガリの顔を見るたびに赤面し、3人に心配されるのは言うまでもない。