Form of love
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「よいしょ…大丈夫か?」
「うん、ありがと」
のぼせたミナはなんとか部屋まで行き、ベッドに横になる。
カガリがついてるからと、ラクスはキラの部屋に行っていた。
「本当にラクスさんってキラくんのこと好きだよね?」
「そうだな…」
いまだにカガリには元気がなかった。
やっと2人きりになれたので、意を決して聞いてみる。
「カガリさん…どうかしたの?」
「……」
「私でよければ相談に乗るよ?」
「……心配してくれるのか?」
「……え」
カガリはミナの上に覆いかぶさった。
いきなりのことでミナは動かなかった。
「か…カガリさん…?」
「……お前は、アスランのことどう思ってるんだ?」
「え?」
「どうなんだ?」
カガリの顔は真剣そのものだった。
それほどアスランのことが好きなのだろう、と思っていた。
ミナは真剣に考える。
「アスランさんは……恩人かな?あの人がいなかったら、私はここまで変わらなかったと思う。カガリさんたちともこんなに仲良くなれなかったかも……だから感謝してる。」
「そんなことない…」
「……え……」
「アイツなんていなくたって……私はお前と仲良くしていた!!……お前はおっちょこちょいで、ほっとけなくて…それで…それでっ…」
その時、カガリの唇がミナの唇に触れた。
「…っ!?」
「お前が…好きだっ…」
絶句した。思っていたことと違う。
「友達とか……そういうんじゃない!!本当にお前のことが好きなんだ!!!アスランもそのことを知っているからきたんだろう…私に襲われないか心配で……」
「か…カガリさ…」
「そんな風に呼ばないでくれ…!」
その時、暖かいものが自分の頬に当たる。
カガリの涙なのだとすぐにわかった。
「辛いんだ……私の思いは日に日に大きくなるのに…私はお前の友達にしかなれない……それにお前はこんなに近くにいるのに、遠くて…」
雨のように降ってくる涙、カガリの言葉に胸が苦しくなった。
自分はこんなにもカガリを苦しめていたのか。
(私…バカだ…。カガリさんがこんなになるまで私は…)
そしてこんなにも気持ちを表してくれる彼女に、何か答えてあげたくなった。
「泣かないでよ、カガリ」
「…!!!」
初めて、呼び捨てで名前を呼んだのだ。
「ごめんね…。私は…あなたの気持ちに応えてあげることができない…。カガリは私の中でとっても大切な友達だから。でもすごく嬉しいの、もっとあなたに近づきたいって思った。だからこれはその証……カガリは私がずっと気にしていたものを取っ払ってくれた大切な人だよ……ありがとう……」
「ミナ…っ…」
カガリはミナの胸で泣いていた。
辛い思いを全部涙に変えて流していた。
それをミナはただただ受け止めていた。
しばらくし、泣き止んだカガリが顔を上げミナの隣に寝転んだ。
「ところで、なんで今までさん付けで呼んでたんだ?」
「それは…私のしょうもない線切りというか…私みたいな一般庶民がカガリみたいな子たちと一緒なのっておかしいかなって。それでなんとなく……」
「そんなこと気にしてたのか?」
「へへ…でも、今のカガリの話を聞いて反省した。人の繋がりに身分の差とか、男女の差とか…そういうものは関係ないよね…ごめんね?」
「いいんだ、そういうところもミナの良いところだ」
ラクスの受け入りでしょ?、というと2人で笑い合う。
そんな中ラクスが帰ってきた。
すっきりしたようなカガリの表情を見て一言、
「お気持ちは伝えられましたか?」
カガリはそんなラクスをみて苦笑いをする。
なんでもわかっているラクスに敵わないなと2人は思った。
「すごいよね、ラクスは」
「え!?…ミナ、今なんと…?」
「え…すごいよね?」
「そのあとですわ!!」
「……ラクスは」
「あぁ…ミナ可愛い!!!」
呼び捨てに喜んだラクスはミナに抱きつき、
そのまま離さなかった。
ようやく離したと思ったら時刻は0時を過ぎており、さすがに寝なくてはとミナ達3人は布団に横になった。
しかしすぐに眠れるはずもなく、女子お得意のガールズトークが始まるのだった。
「しかしラクスが私の気持ちに気付いていたとはな…。いつからだ?」
「もちろん初めからですわ。一目惚れした瞬間もすぐわかりました♪」
「そ…そうか…」
「ミナには男女問わず人を魅了する力がありますもの。惚れない人などいないでしょう。」
「あー…なんかそんなこと誰かにも言われたような?」
「ラクスはどうなんだ?」
「わたくしにはキラがいますから。大事には至りませんわ。もちろんミナのことは愛していますけれど…」
友達に向かって愛しているはどうなんだ?
ミナは疑問に思ったが、ラクスの黒い笑顔がこれ以上は問うなと言っているように見え聞くのはやめておいた。
「でも酷いことにならずに済んでよかったですわ。ミナからはそういう危うさも感じますから。」
「え?…そ、そう?」
酷いこと…というのはアスランやイザークとのような関係のことだろう。
カガリにも無理やり口づけされたが、返答によってはその先もあり得たのだろうだろうか?
「あぁ、ミナのおかげで過ちは犯さずに済んだよ。」
あり得たみたいだ。
「まぁ、ここで気持ちの踏ん切りがつけてよかった。そうじゃなかったらひどい三角関係になっていたところだ。」
(たしかに……。カガリとアスランさんが婚約者で…私は2人に好かれていて……昼ドラみたい。)
「そんなの今更ですわ。わたくしとアスランだって元婚約者ですし。」
「え…ええぇぇ!!?」
「あら?言っていませんでしたか?」
「聞いてないよ!!そうなの!?というかなんで解消したの!!?」
驚いてつい質問責めにしてしまうミナ。
だが、今は旅行の雰囲気からかなんでも言っていい状態になっているので気にしない。
「年少の頃からアスランとの婚約は決まっていたのですが、学園に入ってからキラと出会い相思相愛の関係になったのでお断りしたんです。」
「そして、私に話が回ってきたわけだ。本当いい迷惑だ…」
カガリはラクスの頭をわしゃわしゃしながら言う。
普通ならギクシャクしそうな話だが、今もこうして親友として仲良くできているのは2人の人柄が良く、また割り切れる性格だったからだろう。
それにしてもアスランとキラは仲が良かったはず…
そんなキラに婚約者を取られてしまってアスランは何も思わなかったのだろうか?
「アスランさんは何も言わなかったの?」
「あの方にとって婚約は形式上だけの話ですから。」
「私ともそうだぞ?気持ちなんてお互いなかった。」
「そういうものなんだね…なんか、大変だね…」
「家同士の関係を強め社会的地位を得る為ですから…」
上流階級の人たちのことを少し勘違いしていたかもしれない…
みんな大変な思いをして生きているんだ。
家のことや社会のことを考えて……
(アスランさんやイザーク先輩…他の生徒会の人たちもそうなんだろうな……)
3人はその後も話し続けたが、いつのまにか眠ってしまっていた。