Form of love
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翌日、ミナは部屋に篭っていた。
ベッドにうつ伏せになり枕に顔を埋める。
考えるのはアスランのこと。
(アスランさん…あんなに優しかったのに…)
一昨日のことを思い出すと今でも涙が出る。
もう戻れないのだろうか…
アスランとの初めての出会いは生徒会室だった。
『アスランちょっといいか?』
理事長であるクルーゼがドアを叩く。
『はい!』
アスランはドアを開けクルーゼを中へ誘導する。
後ろには少女が付いてきていた。
『理事長…この方は?』
『あぁ、私の養子となったミナだ。実は彼女の両親が事故で亡くなられてな…親戚である私が引き取ることになったのだ』
『そうでしたか…』
そう言って彼女を見つめるアスラン。
見た目は自分より年下にみえる。
彼女の目は生気を失ったように虚ろだった。
『彼女はこの学園に転入させるつもりだ。
そこで相談なんだが君に彼女の面倒を見て欲しいんだ。』
『自分がですか?』
『あぁ…養子とはいえ私も家にいないことも多い…
この学園は寮もあるから安心だろう。あとは彼女の気の許せる相手が必要なのだ…頼めるか?』
『もちろんです』
『では頼んだよ、私はこれから仕事があるので失礼するよ』
そういうとクルーゼは振り向きもせず出て行く。
『…』
『…』
2人は会話なくただ佇む。
何か言おうと口を開けようとしたアスランだったが沈黙を破ったのは意外にも少女の方だった。
『…あの…ご迷惑をおかけします…』
消え入りそうな声でなんとか話したと言う感じであった。
『迷惑だなんて思ってないさ、立っているのもなんだからそこに座ってくれ』
そういうとアスランはミナをソファに誘導する。
『あの…お名前は…?』
『あぁ、すまない。アスラン・ザラだ』
名前は聞いたことがあった。
それくらい彼の父は有名だったから。
『よろしくお願いします、ザラ先輩…』
『うーん…そのザラ先輩というのは少し好きじゃないな』
『え…?』
そういうとアスランはミナ名前にしゃがみこむ。
『俺はミナの…家族みたいな存在になりたいと思っている…迷惑か?』
『い…いえ!そんな…』
『なら俺のことはアスランって呼んでくれ』
『えっと…じゃあ…アスラン先輩?』
『ん?』
これも気に食わなかったらしい。
なら…
『アスラン…さん?』
『まぁ、それでいいか…よろしくミナ」
そういうと優しく頭を撫でた。
それから1週間してミナはSEED学園に転入した。
学園内の案内、説明…すべてアスランがしてくれた。
生徒会にもすぐに迎い入れてくれたことにより、人間関係も安定していた。
困ったことがあったらすぐにアスランが対処してくれたり、弱っている自分を気分転換にと街に連れてきてくれたりとアスランは兄のようにミナと接してくれた。
そうしているうちにミナは心を開いていき、
アスランだけでなく生徒会メンバー、クラスメイトたちと仲良くなることができたのである。
今の充実した生活はアスランのおかげ。
アスランに好意がなかったか…と言われると
それは嘘になるかもしれない。
だが、あんな状況で抱かれると思っていなかった…
嫌がる自分を縛り付け、無理やり犯される
自分の中にいたアスランが崩れていく。
これから自分はどうなるのだろう。
アスランは自分をどう思い、あんな行動をしたのだろう。
考えても分からず、ただ優しかったアスランとあの日のアスランを思い返すことしかできなかった。
*養子に入ったのに名字が違っていたのでファミリーネームは削除しました。